子どもの発達が気になったとき。
早く受診した方がいいか。
それとも、ゆっくりでいいのか。
それが問題だ。
急がなくて良いケースが多い
この話から。↓
児童精神科、2年待ちだってよ。
マジ卍。
長すぎるでしょ。
2年は長すぎるにしても、発達の遅れが気になったときに、さっさと受診した方がいい?
ほら、早期診断、早期療育とかって言うしさ。
いや、でも予約取れないんだけど。
待てよ。
どーせ予約取れないし、そもそも急がなくてよかったりする?
「中の人」として書かせてもらう。
これはね。
大半、急がなくていいです。
発達外来。
多い訴えは、
- 発達の遅れが気になる
- 落ち着きがない
- かんしゃく、暴力
- チック、吃音
- 話が聞けない、集中できない
- 不登校
- 園や学校の先生に受診を勧められて
↑こんな感じでしょうか。
心配ですよね。
わかります。
でも、急がなくていいです。
ご心配はわかる。
でも、急がなくていい。
急いでも、心配はあんまり解決しないからです。
実際、「中の人」としてはですね。
ちょっと受診が早いなーと思うことが多々あってですね。
熟してないというか。
時期尚早。
時期時期尚早。
嵐がラップで「時期時期尚早」って言ってるじゃん?
なんでやねん! と思ってたんだけど。
違ってて、
take it so so (やってみよう!的な意味)
らしい。
全然違った。
時期尚早だと、相談効率がよくない。
せっかく受診しても、得るものが少ないのです。
相談時期が早すぎる人。
内容がふんわりしているんです。
訴えを聞くと、
来年の就学を見据え、相談に来ました。
ふむふむ。
落ち着きがないって、具体的にどの程度でしょうか。
園の集団行動はできますか?
先生の指示は聞けます?
家でも外出先でもピョンピョンするのですが、これってこの年齢の子どもとしては正常ですか?
この子しか見ていないので、基準がわからなくて。
そうですか。
オッケーです。
親御さんは、当該の子および数人の兄弟しか見ていないわけで。
この落ち着きのなさが標準範囲か、それとも度を超えているのか、わからない。
心配で、焦って受診したのだろう。
わかる。
実際、このようにおっしゃる方はとても多い。
責めてない。
でも、そうなってくると僕にもわからないのです。
診察室で明らかに多動(飛び出しちゃってロクに会話できないレベル)なら、多動と分かる。
でも、そこまででもない場合。
椅子クルクルとかちょっとしたいたずらとか、そのレベルだったら。
わからねぇ。
一般に発達障害って、「社会の中での困難さ」だ。
社会的に求められる行動から大きく逸脱する場合に診断される。
だもんで、社会の中での様子がわからないと、僕にもわからない。
診察室(個別対応の落ち着いた環境)では、観察に限界がある。
次回までに、園の様子を先生に聞いてきます?
あ、そもそも診断や投薬について、どのようにお考えですか?
療育や通級はどうですか?
その辺はまったく考えていませんでした。
↑上記モデルケースだが、こんな感じの受診は実際少なくない。
そう……ですか。
診断とか、ましてや投薬とか、まだ全然考えていませんでしたか。
診断を求めていない人に診断するのは、僕はちょっと抵抗があって。
診断するならその先を見据えて。
診断だけして投げっぱなしは、個人的にはタチが悪いと思っている。
なので、このようなケースで診断をつけるのは憚られる。
と、すると。
この受診で得るものは、なんだったのだろうか。
落ち着きのなさの程度の評価はできない。
「診察室ではそこまで目立ちませんけどね」としか言えない。
社会的にどのくらい困るかわからないし、先の見通しも、今後の注意点も、取れる選択肢も、何も言えない。
僕としては、ちょっと早かったなーと思う。
他にも。
学校から受診を勧められたけど、別に困ってませんけど……?
とか。
不登校になりたてで、本人も親もまったく考えがまとまりません。
なんなら本人は受診拒否中です。
とか。
とりあえず来てみたけど、何を解決したいかというと……?
というケース。
とても多い。
心配でとりあえず来てみましたぁ! 的な受診は、正直、得るものが少ないのだ。
もっと具体的に、
- 何が知りたいのか
- どんな状況での、何についてのアドバイスが欲しいか
- アドバイスをもらい、その後本人や親御さんはどう動くか
- 診断されたらどう考えるか
- 診断されなかったらどう考えるか
- 薬は積極的に考えるのか、消極的か
↑この辺りをまとめてからの受診が、効率が良い。
コメントをいただいたんだけど。↓
息子の特性が強まり学校を拒否するようになった昨年、一ヶ月待ちで受診できる児童精神科をみつけ、藁にもすがる思いでかけこみました。
wisk検査をしたうえで、これ読んでくださいと発達障害のパンフレットを渡されました。当院ができることは投薬ですと、adhd治療薬のパンフレットを渡されました。混乱しパンフレットではよくわからないと質問すると「個人差ありますからねぇ」と一言。
お気持ちは、非常にわかる!
僕も人の子なんで、親御さんの焦る気持ちは否定しない。
めっちゃわかる。
でもその「藁にもすがる思い」に、予算がついていないのです。
前回書いた通り。
だから、聞いてくれないし、寄り添ってくれない。
病院でできることは、投薬です。
そうなっちゃうんです。
予算がついてないから。
このケース、病院が悪いとは僕は思えない。(もちろん親御さんも悪くない)(悪いのは保険点数制度)
早いと正直「わからない」
そして。
発達障害の認知が広がり、その界隈のキーワードを相談されることも非常に多い。
- 多動
- かんしゃく
- 過敏
- 落ち着きがない
- 勉強できない
↑こんなの。
でも、正直「わからない」のだ。
早めに受診される方は特に。
僕は個人的に、基本的にはある程度の年齢まで発達障害の診断をつけない方針でいる。
- ASDは、4−5歳以降。※すごーく典型的な子なら3歳前後でつけることもある。
- ADHDは、就学以降。
- LDは、入学からしばらくたって、できれば2−3年生以降。
それ以前って「わからない」のだ。
僕にはわからない。
評価するには幼すぎる。
※医師によっては早めに診断をつける人もいます。僕はつけないってだけです。
ある程度発達が進み、社会的に求められることが明確になってからじゃないと、「わからない」。
幼児期にあった特性が、就学以降はほぼ目立たなくなる子もいるし。
一口に「多動」と言っても、それがASD由来かADHD由来か、幼児期にはよくわからなかったりするのだ。
なので、幼児期は特に
診断は急がず、ご心配ならとりあえず療育を開始(継続)してはいかがでしょうか
という話に帰着することが多い。
親御さんが受け入れるまでの時間もあるしねー。
こんなケース、急いで受診しても、あんまりメリットがなかったりします。
これが、正直な「中の人」の意見。
逆に、急ぐケース
なので、ほとんどのケースは「急がない」です。
逆に急ぐのは、
- 書類提出時期が決まっている
- 明らかな不適応から二次障害を起こしている(先に学校に相談する方がいいかも)
- 希死念慮、うつ、摂食障害、脅迫性障害など(児童精神科がよい)
こんなケースかな。
逆にこれらのケースは、ここまで切羽詰まる前に然るべき場所に相談を開始してほしかったし。(もちろん無理なものもあります)(摂食障害や希死念慮は、悪化するまで気づかないことが多い)
とにかく、
- 発達が気になってきた
- (何かきっかけがあって)急に不安になった
という段階で焦って受診しても、あまりメリットがなかったりします。
本人および親御さんの中である程度の方針を決めてからが、絶対に効率がよい。
それまでは、病院よりもスクールカウンセラーや特別支援担当教諭、担任、地域の相談窓口なんかに相談して、じっくり煮詰まらせる方がよいです。
- 色々考えた結果、しっかり診断された上でこの先の支援を続けていきたい。
- 環境調整では限界があり、積極的に投薬を考える。
- 知的障害の有無で進学先を決めるので、知能検査が受けたい。
↑ここまでまとめていただけると、受診効率がよいです。
この辺の棲み分けができれば、「初診予約取れない問題」も解決に向かうんじゃないかなーと個人的には思う。
それは、前回書いた通り。
我が子の場合、高校不登校がきっかけで気付いた為、二次障害が出てしまってからという感じでしょうか。不安障害と発達障害とで本人も親も辛い状態が続いています。長男は注意欠陥よりのADHDで、ちょっとシャイなかなり抜けてる男の子ってくらいで思ってたんです。早く気付いてやれてたらなと思うばかりです。次男は小学二年生の頃国語の授業の後で体調が悪くなる事が続き、漢字が覚えられないなどもあって三年生から市の療育センターで受診してLDの診断にいたりました。コロナかもあって、受診から診断がつくまで二年近くかかりました。しかし長男の事もあったので早く対応できた事はよかったなと思っています。タイミングって本当に大切ですよね。ママ友などは保育園の頃に担任に指摘されて受診したけど『グレー』との診断。相手は子供ですからね。あまり早いと難しいだろうなとは思います。
『時期時期尚早』って私も言ってると思ってました。勉強になります!
おそらく、早く受診する人は発達障害を疑った時にまず専門の「医師」に診てもらって、アドバイスが欲しいのではないでしょうか。
幼児を早く受診させるのは、診断やら投薬やらではなく、この子は「普通」なのか、それとも「障害」なのか。早く医師にかかれば「治って」「普通」になるのかもしれない!
早く医師にかかれば不登校を早く脱することができるのかも!
教員は、薬を飲めば良くなると考えているから、保護者に受診を勧める。
というところなんだと思います。
うちは2歳2ヶ月で行政がやっている子育て相談に行き、地域の療育センター病院の自費枠に入りました。一回1時間5,000円で、心理士さんは子どもと遊びなどを通してコミュニケーションをとり、私は悩み相談に乗ってもらい、我が子の取説を教わりました。最初の頃は隔週で通っていました。
そしてその心理士との面談は6年生の今でも間隔は空きますが続けています。
心理士の先生が幼稚園や小学校へ出向いて先生方に彼の取説を伝え、就学前のウィスク4をやってくださり、小学校への情報提供書を書いてくださいました。
医師に受診したのは3年生の時。コロナの長期にわたる自宅軟禁でバランスが崩れ、クラスメイトに他害に走った時です。
医師は投薬を考えてくれます。というより、心理士のように1時間かけて向き合ってくれるわけには行かないわけで。
投薬が必要なのかもしれないと判断し、初受診しました。うちは半年待ちで主治医に会えました。
私は医療従事者で病院で働いていたので、ふんわりとその辺の医師や心理士の役割分担は把握していたのですが、それでもこの分野はわからないことが多くて手探りでした。
そして、「発達障害」についての考え方や知識はほとんど持ち合わせていなかったので、心理士さんに教わりながら対応を学びました。
おそらく、一般的な母親や教員は冒頭に書いた認識なのだろうなと、思います。実際私と会ったママ友や教員たちはそんな感じでした。
その辺の認識の一般化キャンペーンができるといいかもしれないと思います。
まさに今朝、子供の持病の定期受診と児童精神科の月一しかない予約日が重なり、カレンダーとにらめっこしていました…
受診に行ったら電話がかけれないが、受診優先しました。毎日、この事で頭が一杯で年末年始どころではないですが…
こちらの記事を読み、少しホッとしました。
じっくりコトコト煮詰めてみます。それから予約が取れたらいいかな位の気持ちでいきたいです。
いつもありがとうございます。
これからも楽しみにしています。
いつもありがとうございます!
先の方が書かれているように、「早期療育」の圧は園でもネット上でも(今思えば惑わされすぎでしたが)とても強いように思います。勧めてくる人達も、善意からなので、余計に翻弄されます。
小学校に入ると、学校からの「投薬させろ」の圧が強いです。こちらも、良かれと思ってなので、難しいです。。
親がある程度腹落ちしていれば良いですが、親も手探り状態で機が熟していないうちに受診してしまうのは、こんな背景もあるのかな、と思います。
そして、そんな感じで上手く噛み合わないと、受診のメリットがないばかりか、親のメンタルが悪化し、連動して子供の調子も悪くなる、というのが我が家の場合でした。
先生のブログ、そして、そのコメント欄を読み続け、月日を経て親のマインドが少しずつ変わってきたのが、結局はいちばん良い方に大きな影響があったように思います。
格安保険点数どころか、1円も払わずに、こんなに沢山学ぶことができて支えてもらえるのは、本当に本当に有難いです。
これからも楽しみにしています(^^)
早期療育早期療育と言われていて、まるで早く受診して療育するほどその後困らない確定かのような話がまことしやかに話されているのを信じて、受診を急ぐ人も多いように思います。その時に望むものは、どうしたら定型により近く育つのか?だったりするので、結果望むようなものは得られず…、診断されて終わり、ということも結構あったりする。そうすると、何のために受診したのか?となる。また、市などの相談だと、小さいときは様子見しましょうで終わったりしました。