早期受診について。
患者さんがなぜ焦るのか、コメントをいただいた。
なるほどなーと思った。
- 早く受診そして療育すれば、将来困らなくなる?
- 「普通」か「普通じゃない」か、そして「普通じゃない」なら早く受診すれば「普通」になる?
- 不登校は、焦げ付く前に早めに受診すれば「治る」?
なるほどなーーーーー。
コメントより
コメントをいただいた。
早期療育早期療育と言われていて、まるで早く受診して療育するほどその後困らない確定かのような話がまことしやかに話されているのを信じて、受診を急ぐ人も多いように思います。その時に望むものは、どうしたら定型により近く育つのか?だったりするので、結果望むようなものは得られず…、診断されて終わり、ということも結構あったりする。そうすると、何のために受診したのか?となる。また、市などの相談だと、小さいときは様子見しましょうで終わったりしました。
先の方が書かれているように、「早期療育」の圧は園でもネット上でも(今思えば惑わされすぎでしたが)とても強いように思います。勧めてくる人達も、善意からなので、余計に翻弄されます。
小学校に入ると、学校からの「投薬させろ」の圧が強いです。こちらも、良かれと思ってなので、難しいです。。
親がある程度腹落ちしていれば良いですが、親も手探り状態で機が熟していないうちに受診してしまうのは、こんな背景もあるのかな、と思います。
そして、そんな感じで上手く噛み合わないと、受診のメリットがないばかりか、親のメンタルが悪化し、連動して子供の調子も悪くなる、というのが我が家の場合でした。
おそらく、早く受診する人は発達障害を疑った時にまず専門の「医師」に診てもらって、アドバイスが欲しいのではないでしょうか。
幼児を早く受診させるのは、診断やら投薬やらではなく、この子は「普通」なのか、それとも「障害」なのか。早く医師にかかれば「治って」「普通」になるのかもしれない!
早く医師にかかれば不登校を早く脱することができるのかも!
教員は、薬を飲めば良くなると考えているから、保護者に受診を勧める。
というところなんだと思います。(中略)
おそらく、一般的な母親や教員は冒頭に書いた認識なのだろうなと、思います。実際私と会ったママ友や教員たちはそんな感じでした。
その辺の認識の一般化キャンペーンができるといいかもしれないと思います。
なるほどーーーーー!
きっとこの意見が、まんまその通りなのだろう。
だから早く受診したい。
でも予約がとれない!
ってことなのでしょう。
おそらく、一般的な母親や教員は冒頭に書いた認識なのだろうなと、思います。実際私と会ったママ友や教員たちはそんな感じでした。
その辺の認識の一般化キャンペーンができるといいかもしれないと思います。
そうなんだなーーーーー!
よしっ、じゃあここでキャンペーンしよう。
このブログで。
ぶっちゃけ、
医療って、結構アレよ?
できないこと多いよ?
急ぐ保護者と医療にできること、認識の違い
① 診断だけしても……
早期療育は僕も賛成。
でも診断は、アセスメントなしではあまり意味がない!
受診して、診断されて、それでどうします?
ってことです。
もちろん、診断がつくことで腹をくくり、子どもと向き合うきっかけになる人もいる。
でも逆に、「この子は発達障害だから……」で線を引いてしまう親御さんもいる。
多分、表に出てくるのは前者の意見で。
後者はきっと自分の体験を発信しない。
だから巷では早期受診を勧める声が広がりがちで。
実際、受診や診断って、ポジティブにもネガティブにも、どちらにも転ぶ。
でも、ネガティブな意見はあまり表沙汰にならない。
そして。
時期尚早(嵐)で診断されたとして、一番多いのは、
「発達障害と言われたけど、はて?」
で止まる人だ。
これ、意味ない。
ポジティブにもネガティブにも、何もない。
情報が増えるだけで、活用できなきゃ意味がない。
② 療育はできるヨ
これも知らない人が結構いるのかもと思ったんだけど。
療育や通級指導は診断が不要な地域が多いです。
受診の前に、まずそちらを始めるのはアリ寄りのアリです。
療育に受診は必須ではない地域が多い。
早期療育に、受診は別に必要なかったりする。
知能検査も、病院の専売特許じゃない。
教育委員会や児童相談所、教育センター的なところで割とやっている。(お住まいの自治体に確認してください)
そちらで検査するのも手。
療育するなら受診必須ってわけじゃない。
診断云々、投薬云々の前に、そして子どもの特性を受け入れるとか受け入れないとかの前に、まずは療育で実際の対応を学ぶのは良い手だ。
③ 普通? 障害?
また、
特性は「ある」か「ない」かのはっきりした概念じゃない。
グラデーション。
受診しても、白黒はっきりつくとは限らない。
そして、
早く受診すればグレーが白になるなんてことはない!
診断があろうとなかろうと、その子は変わらない。
その子はその子。
大切な、世界でたった一人の我が子。
診断をつけるなら、つけてどうするのかまで考えてからがよいと思う。
つけっぱなしじゃ意味がない。
結局、その子をその子として受け入れるしかないわけで。(「障害」を「普通」にするって、無理なので。)
その一助に診断が必要なときに受診するのがいいと思う。
④ 不登校は治らない
さらに。
不登校を「治す」手法は、病院には存在しない。
あえて「治す」という表現を使ったけど。
不登校の子を学校に行かせる方法は、病院は持っていないってこと。
どんな特性があるかのアセスメントはできるけど、それをどう活用するかは各ご家庭だ。(相談には乗りますが)
一番大事なことだけど、実際に動くのは本人。
社会復帰に向け動き出すのは、本人の力だ。
周りはサポートしかできない。
僕なんかは骨拾いしかできないと思っている。
「受診したら学校に行く」とは、期待しない方がよい。
⑤ 投薬は……
投薬については、
万能薬じゃない。
投薬したら解決! なんて、ありえない。
もちろん僕も投薬するし、効果もある。
でも万能じゃない。
原則は、先に環境調整だ。
その子の特性を把握し、アセスメントして環境調整。
ここをすっ飛ばして「まず投薬」は、僕はあまり良いと思わない。※これが必要な切羽詰まったケースもあるけど、原則は先にアセスメントと環境調整だと思う。
病院にできること、できないこと
こんなもんでしょうか。
認識の違い。
これらせいで、「せっかく受診したのに得るものが少なかったって」ケースは多そうだ。
医療って、思いのほか力がない。
病院で働いていてなんだけど。
- 診断(そこから派生して書類記載)
- 投薬
の2つくらいしか、強みがない。
メンタルは心理士、教育は学校、療育は療育施設の方が、ずっとずっと強い。
この分野の診療を続ければ続けるほど、医療って無力だなと思い知らされる。
僕らにできることは多くない。
ってゆーかぶっちゃけ少ない。
情報も、実は病院ってあまり持ってなくて。
療育とか支援級とか手帳とか手当てとか福祉とかの使える制度の相談は、しかるべき窓口の方が詳しい。
進学情報も、口コミで聞く程度で実際のところはよくわからないし。
少なくとも、絶対に病院で聞かなきゃ、聞けば全部わかるってことではない。
相談できる環境(予約が取れる地域とか)なら聞いてみると良いが、「絶対に病院」ってわけじゃない。
病院って、できる支援が偏ってるんだよね。
一点特化型というか。
いや、二点特化(①診断 ②投薬)か。
ドラクエの呪文で言うと、ザキやザラキみたいな?
ハマると超強いけど、効かない敵も多いよな的な。
ザキとザラキに特化した偏った機関、それが病院だ。
メラ(療育)とかベギラゴン(関係機関の情報共有)とかホイミ(カウンセリング)とかラリホー(育児支援)とか、バランス良く使う病院もあるけど、全部じゃない。
細かいケアをしてくれたらラッキーで。(診療報酬がつかない中やっている)(ありがとうございます)
基本ザキとザラキの偏った機関
と思っていただければ。
開口一番ザキを唱え(まず早期受診して)、それでうまくいくケースもある。
でも、
えにくすはザキを唱えた!
いっかくうさぎには効かなかった!
で終わるケースも多い。
患者さんのニーズと医療の持ち札の相違は、僕は現場でひしひしと感じていて。
何より、
一番のニーズである「不安に寄り添い、時間をかけて一緒に考えていく」のカードを、医療は持っていなかったりする。
※やってくれる病院もあるが、全部じゃない。
だから「診断(投薬)します? しないなら、ウチで出来ることはありません」になる。
ひー、冷たい! ってなる。
ココが最大の認識の違いよなー。
これが広まっていないのは僕ら医療者の責任だけど。
本来、かかりつけの小児科なんかでちょっとした不安を気軽に相談できるといいんだけど。
そういう制度になってないから。
「じゃあ発達外来へ」ってなって → パンクし → 塩対応になる。
と。
散々ネガキャンしましたが。
我々医療者も、それなりに頑張っているんですよ。
小児科医や児童精神科医って、優しくて真面目な人が多くて。(僕を筆頭に)
特に発達分野に手を挙げている先生なんて、基本みんな「いい人」だ。
みんな性格がよく、人格者。(僕を筆頭に)
制約のある中で、出来る限り寄り添おうとしている。
病院は、怖いところではない。
うまく使えば最強の味方になることだって、もちろんある。
とりあえずゆったりと、できれば相談内容を整理して、受診してみてほしい。
焦らなくていいから。
そして僕にお歳暮を差し入れるといいと思います。
優しくて真面目で、性格がよく、人格者で、おまけに見た目も完璧!なP先生、いつもありがとうございます♪
病院やその他の機関、それぞれの得手不得手に加えて、それぞれの親子に必要な支援の違い、さらには相性の問題もあるし、一律のやり方ではとても上手くいきそうにないですよね、、
その中でも、心理的な支援は、誰にとっても有用な場合が多いように思います。スクールカウンセラーさんともお話しする機会があり、とても有難いですが、何と言っても先生のブログが、いちばんの心の支えです。
ちょこちょこ心理学に絡めた記事もあり大変勉強になっていますが、最近『ポリヴェーガル理論』が気になります。機会がありましたら、先生の見解をお聞きできたらうれしいです!
感謝の気持ちを込めて、お歳暮贈ります🦀🍺🍖🐟
お好み分からないので、カタログギフトも贈ってみます📚
P先生、今年も1年更新ありがとうございました!
1番のニーズは、不安に寄り添い、長い時間をかけて一緒に考えていくこと。に、つまりそこに尽きるんだなーーと思いました。とにかく親(自分)が不安なんですよね。子供を信じること、世界にひとつの大切な玉を見て、観察し、骨を拾いサポートに徹すること。そうなりたいと思ってもすぐ不安に捕まってしまうので、来年も親の修行は続きそうです。自分も子供も大事に過ごしたいものです。
P先生に松坂牛脳内で送ります!良いお年をお過ごしください!
うちの市には障害関係の某センターなるものがあり、病院・療育・相談その他いろいろな機能があります。
このセンターがあることについては、この市に住んで良かったと思います。(その他のことはいろいろ言われている市ですが)
初診前には心理士さんとの面談があり、当時はそれまでもいろいろな窓口で同じ話を何度もしていたので“なんでお医者さんに会う前に面談が必要なんだよー。二度手間じゃないかー”なんて思ってしまいましたが(ごめんなさい)、今思えば必要な面談でしたね。
現状の困り事、保護者の考え方、受けられそうな支援を整理してくれる時間だったのだと思います。
たくさんの人にお世話になって中学生になった今、リアルタイムで相談するのは学校・スクールカウンセラー・通級で、投薬は某センターで落ち着いてきました。
人によっては療育だったり放デイだったりもあるでしょうし、家庭ごとにいろいろなパターンができあがっていくんだと思いますが、初診前の状態だとそういう情報も少なく、“困った→まず病院!”となっちゃいますよね。
病院が相談先の柱になることは少ないと思うのですが、そのことを教えてくれたり、じゃあ柱になりそうな窓口がどこなのか?を提案してくれるシステムがあるといいんですけどね。
P先生、今年1年おつかれさまでした!
脳内でカニ送っておきます!(笑)
病院への受診は何度か考えた事があります。特に学校へ行けなくなって、メンタルが落ちている時と、発達の診断をハッキリした方がいいのかと思う時です。
スクールカウンセラーの勧めでwisc検査はうけましたが、病院ではなく支援センターで受けました。その後も学校ではスクールカウンセラー、支援センターでは心理士の先生に定期的に面談をしてもらっているので、結局病院への受診はしていません。
今、小学6年生なので中学に早めに見学をしたのですが、その校長先生に診断をするのはいい事だけど、自分達が支援する事には診断があってもなくても変わりがな
いと言ってもらったので、病院への受診は今は考えていません(メンタル安定したので)
その子の困っている事を見て、その環境を整える事がまず第一だと改めて思いました
そして、療育にしても、発達診断にしても、その子を普通にする為の手段ではなく、環境を整える為の手段なのだと思いました。
ありがとうございます。
あちこちに相談し、不登校は凹凸がある子が多いから一度受診してウイスク検査受けてみたらいいかも?(受診に、抵抗ないか聞かれる)
とりあえず、まわりが行ってみたらいいのかも?
とカモカモだらけ…
困ってるし、行ったら何か変わるのかも知れないと漠然と思っていましたが…こちらの記事を読みスッキリしました。
ゆったり相談内容整理してからにします。
まずは、環境調整ですね。
P先生の記事を自治体、教育機関等に配布してほしいくらいです。