HSC

HSP以上、ASD未満

ASD (自閉スペクトラム症)かと問われると、そこまでではない。

学校でのトラブルはないし、少なくとも診断基準は満たさない。

 

でも、なんか「……ん?」って子。

いるでしょ?

 

この子たち、その特性ゆえかなり困るよなーと思った。

 

こんな子いるかな?

ASDほどではないんだけど、HSC (繊細な子)にしてはこだわりが目立つ。

 

一度こうと思ったら、変えられない。

予定変更ができない。

完璧主義で、少しのミスも許せない。

 

思い通りにいかないとかんしゃく。

でもこのかんしゃくが自宅限定で、学校に聞くとなーんにも問題がないって言われちゃう。

 

 

よくよく聞くと、なーんか偏ってる。

 

心配なのはわかるけど、「そこ⁉︎」って部分にやたらこだわる。

他の人が気に留めない細部が、気になって仕方ない。

そして、全体像がお留守。

 

課題を完璧に仕上げられなければ、そもそも出さないとか。

むしろその方が怒られない?

 

 

気遣い屋なのはわかるけど、ずれてる。

 

友達の、とある発言が気になって仕方ない。

仲間に入れてもらえなかったのは、定員オーバーだから?

なんとなくの気分?

それとも、私のこと嫌いなのかしら?

 

考えても答えの出ない問いを、ひとりグルグル。

そんなことより、そもそも「入れて」って言ってないなら、そりゃそうじゃない?

 

 

いますか?

いますよね?

 

外来にめっちゃ来る。

ASDとまではいかない。

でも、HSCかと言われると、空気が読み切れていない。

 

こんな子。

いるかな?

いますよね。

真面目なんだけど考えが堅くて、融通の効かない子。

 

中途半端な特性

外来で、かなり多いんですよ。

 

一見マジメな優等生。

学校でのトラブルは、ないか、あっても軽微なもの。

 

むしろマジメな頑張り屋で、評価もしっかりされていることが多い。

成績は人並み以上。

クラス委員や生徒会の所属率も高い。

 

この子がある時、環境の変化に耐えきれなくなったり、がんばりすぎて燃え尽きたり、思い通りにいかない先生や友達と当たったり。

で、外来に来る。

 

 

思うに、HSCはあんまり病院に来ないんですよ。

環境に適応してるから。

本人は疲れていても、周囲から見ると問題がない。

小中学生で「ワタクシ、気を使いすぎて疲れました。」とか言ってくることは、あまり考えられない。

 

どうしても、受診する人はASD寄りが多くなる。

周囲とトラブルを起こすと受診につながりやすいので。

 

 

ASDってほどじゃないけど、HSCにしては、ん?

って子たちは、ある程度以上の年齢になってから病院に来る。

 

それまではノーマーク。

でもよくよく聞くと、

ん? そこ?

とか

そりゃ家で大変でしょう、そして学校側は気づかないでしょう。

って感じで。

 

特段ケアされず、強い責任感から一人で抱え込み、でもずれてるからにっちもさっちもいかなくなって、受診に至る。

 

診断されない、ケアされない

この子、受診しても診断はつかない。

多分「そういう子」とか「性格」「個性」で片付けられる。

 

特性が中途半端なのだ。

診断するには弱いか、ある点は強くても別の点が目立たないか。

とりあえず、診断基準は満たさない。

投薬対象にもなりにくい。

 

あ、ちなみにHSCは医学的な診断名じゃないからね。

診断をつけるならASDなんだけど。

 

 

何度か書いているが、ASDとHSCはよく似ている。

そりゃもう、非常に。

ASDとHSCって全く別物? 同じもの? 〜ASDとHSCの違い①〜 ASD (自閉スペクトラム)とHSC (敏感な子)の違い。 これはとても難しいと思っている。 絶対的な答えは...
女子のASDとHSC前回の話から。 https://hattatsu-kids.com/?p=4748 これは、完全に僕の私見。 ...
ASDとHSCの違い 〜イルカサメ仮説とイーブイ仮説〜 vol.1ASD (自閉スペクトラム症)とHSC (繊細な子)の違い。 禁断のテーマに、また踏み込んでみようと思う。 https://...

 

ASDとHSCが、同じものか別の概念かの議論はさて置おき。

この、「HSC以上、ASD未満」の子。

正直、かなり困る。

 

だって、本人(および親御さん)にどう伝えてよいかわからない。

困りごとを聞いて、アドバイスするときに、

ASDだから特性をケアしてください

は違うし。

 

HSCだから自分のペースでネ

も、ちょっとずれる。

 

気を付ける点の伝え方がよくわからない。

 

 

学校でも、おそらくそうだ。

先生の目にちょっと「ん?」って点が見え隠れしても、明らかな指導対象ではない。

トラブルになってないし。

スルーされることが多そうだ。

他にもっと、明確な指導対象の子がいるわけで。

 

 

親御さんもきっとそうで。

はっきりしたトラブルはなく、基本的に外面は良い。

なんとなく気になりつつも、「子どもってこんなものか」となりがちと予想される。

 

 

誰にもケアされず、マジメな頑張り屋なので自分で抱えこみ。

でも、抱え方がなんかちょっとずれてて。

そんな子、めっちゃ来ます。

 

この子たちを医療の対象とすると、病院の守備範囲が広がりすぎてしまう。

なので、二次障害を起こした子をメインに扱うこととなるんだけど。

具体的には、不登校とか、抑うつとか、摂食障害とか、起立性調節障害とかですね。

 

でもホントは、二次障害を起こす前にケアされるべきだよなーとは思う。

それが難しいんだけどねー。

 

まとめ

 

「HSC以上、ASD未満」の子。

めっちゃいます。

 

どうすくいあげてどうケアするかは、正直よくわからないんだけど。

でも、かなりいます。

 

そして、相当生きづらいです。

決定的ではないんだけど、なんかヘン

という感覚を抱きやすい。

自己肯定感も下がりやすいように思う。

そして二次障害を起こす。

 

ケアの方法はよくわからないんだけどさ。

ちらちら見え隠れするなら、お子さんをそういう目で見てみる価値はあると思います。

POSTED COMMENT

  1. バナナ より:

    初めて投稿させていただきます。
    先月より学校をお休みしてる小6の娘がいます。来月まで初診待ちで先生の記事を色々参考にさせていただいてます。
    娘がもしかしたらこれなのかなと思ったり。精神状態で症状に強弱があるのはASDの特徴ですか?
    今はHSCの特徴がすごく出てます。が、たまにおや?と感じられる瞬間はあったものの、何年もずっとしんどそうにしてたようにはこれまでの写真などを見返しながら思い出してもとても思えません。

  2. T より:

    これ、まさに私のことです、、
    生きづらさを抱えて、就職後に二次障害を発症しました。
    (最近、強迫性障害が二次障害だったと気づきました。子どものためにいった児童精神科で指摘されました^^;ちなみに強迫は生活に支障ないくらいまでなってます)
    ずっとHSPだと思っていたけれど、
    こちらのブログや本田秀夫先生、水島広子先生の著書をよみ、
    ASDだったんだ、、、と、
    やっと気づきました。
    なんだか、悲しい気持ちやショックもありましたが、やっとわかって、対処法もあるし(困りごとハックなど)
    もっと早く知りたかったよ~~~と、思いました。
    P先生、ありがとうございます。

    子どもたちは、不登校でそれを表現しました。
    たぶん、遺伝で、同じ感じです。
    ASDやHSCの出かたは、子それぞれ、って感じですが、
    基本ASDと思って接することにしました。
    不登校である自分に傷ついていそうですし、今は
    家で元気なので、元気なまま大きくなって欲しい。

    本人に特性を伝えるか迷っています。
    子どもが知ったら、ショックかなあ。
    でも、私は知りたかったなって。
    どうしても、少数派だけど(ASD)、そういう種族だよ。
    お母さんもそうだよ。
    大多数と感じ方が違うから、ズレてるって感じると思うけど、それでもOK!って言いたいけど、
    迷っています。
    (ASDの本が家のあちこちにありますが。(笑))
    本人への告知について、P先生はどう思われますか?
    このうすいけど、支援の対象にならないって、
    ほんと生きづらいです。
    二次障害出ますよね。

  3. 素朴な疑問 より:

    P先生、いつもありがとうございます。
    今さらですが、教えてください。

    発達障害と「診断した」「診断がついた」とはどの状態からを指すのでしょうか。

    1.親に傾向がある、特性があると口頭で告げた。本人には何も言っていない。
    2.親に発達障害であると口頭で告げた。本人には何も言っていない。
    3.本人に傾向がある、特性があると口頭で告げた。
    4.本人に発達障害であると口頭で告げた。
    5.診断書を書いた。

    子どもの主治医には通院を始めたころに「特性がある」と言われたのですが、はっきりと「発達障害と診断します」と言われたわけではなく、あれ?診断されたんだっけ?とわからなくなってきました。

  4. シェル より:

    娘のことと思って、深く頷きながら読みました。
    はっきりした特性があり、「自分はこれは絶対無理」といってくれれば、得意を伸ばし苦手を補う手助けができるのだけど、「学校に行きたいけど絶対に行きたくないけど行かなくてはならない」「友達いないとだけどあの子達のここが嫌ででもボッチは嫌」というように、いつも相反する感情と闘っているのをみています。
    ぼーっと動画を見たりゲームをしてるときでも、心のなかではものすごい引っ張り合いがあり、強力な磁石みたいだなと思うようになりました。磁力が強い時は絶対に動きません。
    P先生が仰る通り、親ができるのは雑談と骨を拾う覚悟をもつことで磁力が少しでも弱まり、本人がひょいっと動けるのを見守ることでしょうか。大荒れの行きしぶり、不登校を経て現在は復学した娘ですが、まだまだ生きづらさは継続中です。

  5. こあら より:

    まさに!これです!!

    小さい時から、「そこ?」っていう、周りが気にも留めない部分を異様に気にします。

    そして、「私はこんなに傷ついたのに、何で理解してくれないの?」と怒ります。
    周囲の人間は気にならない部分なので、「面倒臭いな」という態度になり、それにまた怒る、、。

    学校で、社会で、生きにくいだろうな、と思います。
    親でさえ重いです、正直。

    経験から学んでいくしかないと思います。

    わかりにくい特性を、わかりやすく文章化して下さり、ありがとうございます。
    本当に助かります。
    親として対峙する時、心構えを持っているのと無知なのでは全く違います。

    「あなたはそう思うんだね」
    魔法の言葉を今年も使っていきます。

  6. 時々みてます より:

    連投ですみません。
    先生が医師として率直にご自分の考えを書いてくださることにとても感謝しています。

    仕方のないことですが、受診が半年待ち、最初は長いもの(検査と傾聴?)の、次からは5分10分になってしまう診察のなかで、ほとんどパソコンに顔を向けている医師の言葉から、こちらが受け取れるものはごくわずかです。

    だから、医師の立場からの先生の発信はとてもありがたいのです。
    日々お忙しいなか先生は、親のモヤモヤ感をこの「発達診断外来室」で治療なさってくださっているのだと思ってます。

    • 時々みてます より:

      やばっ(汗)
      『発達外来診察室』でした。
      看板まちがえてすみません。

  7. 時々みてます より:

    大学生の子どもがいて、困りごともありこちらを読ませていただいてます。

    うちのこがその流れかなと。
    小さい頃からなにか、どこか違う?と思いながらも、検診にはひっかからず。
    集団生活に入ると、友達ともよく遊びよく笑い楽しくやっていました。
    特に教師やまわりのおとなからの評価が高く(成績、人間関係、積極性、授業態度など)優等生で、トラブルもなし。私の考えすぎがよくないのかなと思いながら子育てしてきました。

    それが中学になり、だんだんと学校そのもの嫌いになり、時々休んだり、続けて休んだりしながらも進学校に進み、ギリギリの出席で卒業、受験も最低限の勉強しかせず、大学進学。
    大学生活も楽しんでいるというより、仕方なく行ってる感じです。

    なんというか無気力で、まわりからみると「すごい」ってところがいくつもあり、そんな経験もたくさんしているのに、一向に自分の自信に繋がらず、自分はダメな人間なんだという意識が強いのです。
    そんな自分といても友達も楽しくないだろうからと、積極的にひとと関わろうとしなくなりました。誘われても断ってばかりいます。
    ただなぜか仕事などで誰もしないような時は、自分がしますと引き受けたりします。

    行きづらさ満載です。

    最近の記事で、
    「診断は(医師)の主観」というのと、今日の記事のなかで「ケアの方法はよくわからない」という言葉に、この「生きづらさ」は病院に行っても医師がどうにかできるものじゃなく、それを抱えながら、本人がどうにかして、なんとかして生きていくしかないんだなーと思いました。

  8. まど より:

    うちの子のことかと思いました。小さい頃から何か引っかかる育児でしたが、発育相談しても問題なしと言われ、学校でも問題なく友達とのトラブルもこれといってなしでした。
    でも、私(母)はずっとどこかに相談しなきゃいけないんじゃないかと思いつつ、どこなら相談を受けてもらえるのか分からず、何をどうしたらいいのか分からず、ずっと来ました。

    そして息子は小6で不登校になりました。

    不登校になる前に、P先生の仰っている「そういう目」で見て育児したかったです。
    もう遅いのでしょうか。

  9. にこ より:

    こんばんは。
    いつも見事に言語化してくださるP先生、最高です!

    私自身がまさにこれで、相当生きづさらを抱えてきました。
    だいぶ無理しなきゃごくノーマルな子にはついていけず、かと言って、入院治療はそれは行き過ぎ?と感じました。

    親からは常に甘えてるだけよ!の一言で自己肯定感下がりまくり。

    一般的な職業にはなかなか馴染めず、どうにか生活できる夜のお仕事を親に内緒でして、生き繋いだ時期もありました。短時間で高賃金と割り切って出勤していました。

    我が子が不登校になり、発達障害やHSCなど、いろいろ学ぶうちに私自身も偏りがあるんだろうな、と感じ、今はダメな自分を肯定しつつ子どもたちのことも受け入れることができるようになった気がします。

    私自身は無理に無理を重ねてノーマルを演じてボロボロになっていたけど(未だに親の前では普通を演じて取り繕っています)子どもたちは不登校で表現してくれ、自分自身を取り戻そうとしているんだな、と思います。

    今は外交的、リーダーシップを取れる子が良しとされる世の中ですが、リーダーがいればサブも必ず必要で、どんな子も必ず要所要所で長所を活かすことができると思います。
    特性がある子も安心して過ごせる社会を願って止みません。

  10. はらぺこりん より:

    きたー!うちの娘の回がきました!…P先生から見ても相当生きづらいんですね…泣ける。。
    コロナの始まりと高校入学が重なり、不登校になって特性に気づきました。そうでなければもっと気づくのが遅かったと思います。ある意味、親がぎりぎりケアできるうちに気づけてよかったです。
    パソコンに苦手意識があるのですが、大学に入学できたとしても、パソコンにつまづいてなんだかんだで退学…なんてこともありそうで怖いです。
    そんな彼女に身につけてほしいのが「てへぺろ」の力。パソコンなんてひとを頼ってなんぼ。
    基本真面目ながんばりやなのはみんなが認めてくれるところ。苦手なことを「てへぺろ」して「手伝って」と言えればぐっと生きやすくなると思うのです。
    でもそれがなかなかできないんですよね。。どうしたらいいのかな…
    P先生、今のところケアの方法はよくわからないということですが、引き続き、はざまにいて生きづらいこの子たちのことを一緒に考えてください。
    よろしくお願いします。

  11. おばさん より:

    はじめまして。いつも「なるほどなぁ」と思いながら拝読しています。
    我が家の息子、おそらくコレで、
    小4で二次障害になり、入院中です。
    幼少期から、何度もあちこち相談しても
    問題ナシとか、問題になってからじゃないと
    対応できないと言われたりで
    中々関わり方が分からず、
    母である私にだけ暴言暴力が出て、
    相談してた児相にすら
    「お母さんがそういう関わり方をしていたせいだ。
    じゃないと母にだけ向かうわけがない」
    と特性を理解してくれません。
    やっと児童精神科を受けられて入院になりました。
    やっぱり院内学級ではいい子で
    看護師さんからは注意喚起行為が多いと指摘があり、
    ですよねーと思いました。
    特性を見つけてもらう、繋がるって、
    こんなに難しい事なのか…と痛感しました。

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