発達の検査といえば、WISCを指すことが多いだろう。
支援級に入るためにとりあえず必要、なんて言われることも。
このWISC、実に奥深いと思っている。
今日はWISCの読み方について。
あとミーハーに今話題のパーソナルカラー診断についてなんだけど、WISCとどんな関係があるのかは後述。
WISCとは、子供用の知能検査だ。
いわゆるIQの検査。
この検査で発達障害を診断することはできない。できないのです。
じゃあ何をみるかって、その人の持っている能力なんだけど。
そもそも人間の能力ってどうやって測るの?
どんな項目について、どのくらいの配点で評価すれば?
そこなのだ。
人の能力を数字で測るなんて土台ムリなのだ。
そもそもWISCは、検査室で、椅子に座って、紙と鉛筆で、もしくは心理士との対面で行うのが前提。
そのシチュエーションで測れる能力しか見ていない。
芸術的センスとか、集団での役割とか、新たなものを作り出すチカラとか、見ていないわけだ。
じゃあ何を検査しているかというと、語彙や言葉の知識量を見たり、単純作業の正確性を測ったり。
机上でできるものに限定されてくる。
学校のテストみたいなものだ。
これでその人の能力が規定できるのかというと、甚だ疑問だ。
学校の成績が頭の良さに比例するわけではないことは、多くの人の同意を得るところだと思う。
学歴がなくても賢い人なんてゴマンといる。
メンサ(人口上位2%の高IQ集団)の会員が、
「私たちは法則性を見つけるのが得意なだけ。本当に頭のいい人とは違う。」
みたいな趣旨の発言をしていたのを思い出した。
じゃあなんで検査するか?
WISCの項目の中で、能力に凸凹を持つ人が結構いるのだ。
得意と不得意の差が大きい人。
これが実に興味深くてですね、同じ人なのに、分野によってIQが大きく異なる。
言語理解はIQ120、ワーキングメモリーはIQ80、とか。
こういう人は、どうしてこうなったのかとか、今後どのように生きていくと生きやすいかとか、分析するのが個人的に好きな作業だったりする。
どうしてこうなったか考えるに、おそらくもともと言語が得意でワーキングメモリー(暗記や記憶)が苦手な人ではあったのだと思う。
で、ワーキングメモリーは苦手だから使ってこなかったんだと思う。
得意な言語理解を武器に物事と対峙し、解決してきた。
ワーキングメモリーは必要なかったのではないか、と。
使った能力はさらに伸び、使わなかった能力は伸びない。
なのでより大きな差となった。
と予想している。
だとすると、この人はこれまでの人生、ワーキングメモリーを使ってこなかったわけですよ。
ここまで生きてきて、使わなくても困らなかった能力ってこと。
この能力をここから伸ばす意味ってあるんだろうか。
学生の時分には必要になると思う。
でも就職後、ワーキングメモリーを使う仕事をする必要が、はたしてこの人にあるのか。
職業なんて星の数ほどあり、日本では職業選択が自由なわけで。
わざわざワーキングメモリー必須の仕事につくなんて馬鹿げている。
それより得意な言語能力を生かす仕事につくべきと思う。
それで良くないですか?
むしろその方が良くないですか?
このような人は稀ではなくて、多くの人の能力に凸凹がある。
むしろ平坦な人のほうが稀だ。
この凸凹を知って、人生に活かすのがWISCの醍醐味だと思う。
得意なカードを切ればよい。
苦手なカードは使わなくてよい。
じゃあ何が得意で何が苦手って、他の人と比較しなければ分かりようがない。
たくさんの人の平均と比較してくれるWISCの信ぴょう性は、かなり高いと思う。
人生経験から察するより格段に容易だろう。
特に子供なんて人生経験が短いので、そこから察するのは難易度が高い。
だから、WISCは受けっぱなしが一番いけない。
受けたらそれをどう読んで、どう活かすか。
上述の通り、そもそも人間を数値化なんてできないので、数字に一喜一憂しても意味がない。
数字がいくつでもその人の価値は変わらない。
それより、その人の強みは何か。
芸術的なセンスとか人懐っこさなんかは数値化できないので、数字にできるWISCの項目だけでも知っておくと強いのではないでしょうか。
で。
個人的な感覚で恐縮だが、今流行りのパーソナルカラー診断ってあるでしょう?
WISCってアレに似ている気がする。
あれってどんな色合いが似合うかを見る検査でしょう?
自分を印象よく見せる色を知っておくと便利っていう。
診断で出た色しか着てはいけないわけではなくて。
どんな色味が自分をどう見せるか、客観的な印象を知っておく。
そのイメージを上手に生かしてセルフブランディングをする。
知っていて損はないし、結果をどう活かすかが重要ってところがWISCと似ている気がする。
自分の強みを知るって、人生の潤滑剤になると思う。
発達の凸凹のある子は特に、その特徴を知り、セルフブランディングするのが生きやすくなるコツだと僕は考えている。
あなたの色は、何色ですか?