不登校

自閉スペクトラム症の不登校支援

不登校は、本人が動き出すタイミングを待ってよい。

親にできるのは、家を快適にすることだけ。

そのうち必ず動き出すので、待つしかない。

動き出さない子、どこまでぐうたらさせていい? 人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが 何事かをなすにはあまりに短い 昔、吉田兼好が言った。 全然違った。 ...
自分で動くしかない 〜親のコントロールの範囲外〜不登校とか反抗期とかゲーム依存とか、そういった子供の困った状況。 勉強しないとか生活態度とか嘘をつくとか約束を守らないとか、そんな...

 

のだけど。

 

待てど暮らせど動き出さない子がいるのも事実。

そう、ASD (自閉スペクトラム症)タイプの子だ。

 

ASDと不登校

ASDはコミュニケーションに難がある。

加えてこだわりも強く、興味のないことにはトコトン興味ない。

どう考えても学校向きの性質ではなく、必然的に不登校になりやすいのはご理解いただけると思う。

 

で。

そんなASDだが、一生家でダラダラさせるわけにもいかない。

社会復帰を目指すのは、まぁ当然なわけです。

で、学校が合わないのならと別の居場所を勧めたりするんだけど、見向きもされない。

もちろん自分で目標を決めて動きだすわけでもない。

自宅でだらだらマイクラし放題の今の状況を心から楽しみ、満足しちゃっているように見える。

 

一体どうしたら?

 

自分に興味がない

ASDの子が動き出さない理由。

一番の難点は、『人に興味がないこと』だと思っている。

中でも『自分』に興味がないこと。

自分も人だからね。

 

『自分』って、相対的な概念だ。

他の人がいると認識して初めて『自分』を意識できる。

ASDは、その辺まるっと興味が薄い。

人がどうで、自分がどうで、とか、キョーミない。

こだわりの対象物が全て。

そこに浸っていられればスーパーハッピー!

 

  • 社会の中で、自分がどう見られているか。
  • 未来の自分がどうなっているか。

そんなん、キョーミないわけです。

 

大好きなマイクラをしていられる、今のこの不登校の状態がスーパーハッピー。

「でもそれじゃ困るよな」

「自分の人生どうしよう……」

そんな気持ちが湧いてこないわけだ。

 

そりゃ、ずっとマイクラしてるわ。

スーパーハッピーだもの。

 

母
学校どうするの⁉︎ 

 

母
あなたはどうしたいのっ⁉︎

 

母
いつになったら決めるのっっっ⁉︎

 

そんな問いかけにも「うーん? うーん……」といった調子でのれんに腕押し、ぬかに釘、馬の耳に念仏、犬も歩けば棒に当たるわけです。

子供はスーパーハッピー、お母さんはスーパーサイヤ人なわけです。

激おこってことね。

 

動かない前提で動く

マジ、動く気がしない。

マジ、この状態がずっと続く気しかしない。

マジ卍。

 

どうしましょう?

 

僕のおすすめはコレです。

動かない前提で大人がお膳立てする

 

不登校対応の基本は「家を快適にして本人が動くのを待つ」なんだけど。

でもASDに限っていえば、それではうまくいかないことも多い。

もちろんその子の特性の強さや性格や知的評価とかラジバンダリの考慮は必要だが、その上である程度社会適応できそうな子なら大人が行き先を決めちゃうのも手だと思う。

「こういうもんだ」と提示してしまえば、ASDタイプはルーチン化は得意だったりする。

 

「毎日適応指導教室に行きます」

とか

「月・水・金は午後から学校に行って先生と別室で勉強します」

とか、親が決めちゃう。

 

消去法がおすすめ

その時に注意してほしいこと。

本人は、何がしたいかは分からなくても、何がイヤかは分かることが多い。

イヤなことがあったから不登校になったわけで。

その「イヤなこと」は、可能な限り避けてあげてほしい。

リコーダーの音がイヤだとか、あの熱血の先生が嫌いとか、大人数の教室が苦手とか、イヤなことはきっとある。

それを避けてあげてほしい。

 

これはイヤ、あれもイヤ、を避けて、残った場所を提供してあげてほしい。

そう、消去法だ。

 

ASDの支援方法として、僕は消去法をおすすめしている。

「とにかく頑張れ」は無理。

「何がしたい?」も無理。

「じゃあ、何がイヤ?」これはいける。

 

「これは絶対にイヤ!」を避けて、残ったところに少し強く背中を押してあげてもいいんじゃないかなーと思っている。

 

イヤなことがなければ、「そういうもんだ」と粛々と学校(やその他の居場所)に通えるASDは多い。

本人が希望したわけじゃなくても、本人に合った(と思われる)コミュニティーにとりあえず所属させる。

その中でコミュニケーションなり学習なり、もちろん「自分」に対する意識なり、伸びていく部分は多いんじゃないかなーなんて思っている。

POSTED COMMENT

  1. ぴよ子 より:

    初めまして!
    親の会で話題になって知り、拝読しまくっています!
    こちらの記事が私には特に参考になりました。
    エネルギー溜まってきたはずだけど……となっていて。
    ありがとうございます!

  2. たんぽぽ より:

    私はラジバンダリで笑いましたよー。

    知ってる人には受けてます!とお伝えしたくてコメントしてしまいました。

  3. かよぽん より:

    「ラジバンダリの考慮」って何ですか?ラジバンダリについて調べても分かりません。
    ASDについては、最高に分かりやすく書かれていて、学校の先生にも読んでもらいたいほどです。

    • pediatrician-p より:

      わー、すみません。
      意味ないです。
      昔「〜たり、〜たり、ラジバンダリ」ってギャグがありましてですね。
      ってスベったギャグを説明するの、恥ずかしい!

  4. くろこぶたん より:

    まさに次男の話にぴったりの話だったので、もう頷きしかありません。
    まだ不登校になってないのは「学校は行くところ」で「毎朝兄に登校班の集合場所まで連れて行かれる」からで、行けば給食美味しいし、体育は楽しいし、他の科目も特に嫌いじゃないしで、ほんと「そういうもんだ」と思ってるからだと思います。
    特定の友達がいないこと(誘われて気が向けば遊ぶし興味なければひとり)を先生は心配されてましたが、親としては「興味がないからしょうがない」と気にしてないし、「本人が気にしてないからいいです」と伝えてます。
    ほんと自分に興味がないので「何したい?」とかはさっぱりなのは今後進路や就職など困りそうなのですが、得意不得意など見極めて方向性を考えていく必要はありそうですね。

  5. あさみ より:

    いつも勉強になります!

    人に興味がない、自分に興味がない…ものすごく納得です。
    ASDの気持ちをこのように理解して説明できる先生に息子を診てもらいたいと本当に思います。

    具体策があり、分かりやすくありがたいです。
    発達障害の本を読んでも、受診してもそのあと「結局どうしたらいいんだろう」ってモヤモヤするのですが、このブログは読むと心がスッキリします。

  6. カナカナ より:

    まさしく!P先生の言う通り!

    あれも嫌、これも嫌、体育着着るのが嫌、給食が嫌  帰りの会が無駄だから嫌! 
    イヤイヤBOYだYO!
    もうどうしたらいいんだYO!
    で途方にくれてた時期が2年くらいありましたが、今はいい意味で諦めました。

    ただいま不登校3年目。でも彼の「嫌!」を可能な限り尊重して今は、金曜日の6時間目から登校するかなり変わったスタイルの登校に落ち着きました。週1ですよ 笑

    担任の先生、学校にも何度も文書で彼の特性や、不登校の二次障害で不安症がある事を伝えて理解をもらってます。

    めちゃくちゃ落ち着きました。
    勉強もすららという学習ツールが合うという発見をしてパソコンを使って毎日やるようになりました。

    実は、絶対に行かないだろうと思ってた修学旅行にも行きました!優しい気のきく友達が同じ班に誘ってくれたそうです。
    ただ本人は「俺は別に陽キャのメンバーと話し合わないんだよね〜、疲れる〜」なんて言ってます。同じ班の子の名前だけは覚えて〜!
    とお願いして送りだしました。そう、人にあまり興味無し 笑

    確かに、やりたい事や中学で何したいとか夢とか聞かれたら全く答えられません。

    でも、上手くルティーンに乗せてあげれば少しづつ行動範囲が広がるか・・も・・

    みたいな 笑 

    まだまだ途中で確信などありませんが、今は毎日穏やかに過ごせてます

    • pediatrician-p より:

      そうなのですね。
      落ち着いて生活できるのがもう素晴らしいです!

      少しずつ行動範囲が広がる……の……? という感覚、僕はとても大事だと思っています。
      押しつけず、でも背中を押す感じ。
      これが一番難しいと個人的に思います。
      確信なんて持てなくて、試行錯誤していくしかないのですよね。

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