前回の続き。
不安が強くて動けない子には、まず「不安と言ったこと」を褒めるのはどうでしょうか。
という提案。
- 不安でも変じゃないし
- 親は気持ちをわかってくれている
と思えれば、子どもの不安は軽減するんじゃないでしょうか。
でも。
うちの子、何も言わなくて。
今日はその話。
気持ちの言語化が苦手
自分の気持ちをうまく表現できない子がいる。
理由はいろいろ。
ASDは、自分の気持ちをうまくキャッチできないし。
ADHDは、刹那の気持ちが次の瞬間には流れ去っている。
HSCは、「こんなこと言ったら変かな?」などと考え、口をつぐむか、いわゆる「いい子の回答」をするかの二択だ。
言ってくれりゃ対応するけどさ。
言ってくれなきゃこっちもわからんし。
そもそも、聞いているのが「やるべきことをやらない理由」なわけで。
何を言われても言い訳に聞こえがちなのに、黙ったり、適当な返答をしたりされちゃ、やる気がないとしか思えない。
大人だってイライラしてくる。
やらなきゃいけないんだから、やらなきゃいけないんだよっ!!!
言いたくなる。
超絶わかる。
僕なんてモーレツ合理主義だから、「やらなきゃ進まんだろゴルァ!」って思うもん。
やってみて、不都合が出たら対策だ!
とにかくPDCAサイクルを回せゴルァ‼︎
って思うもの。
超わかる。
でもですね。
ここは、お小言をグッとこらえて。
どうしてやりたくないんだろう
を、一緒に考えてみるのはいかがでしょう。
この作業が、遠回りのようで近道に思う。
クローズド・クエスチョン
あ、今回も小学校低学年くらいを想定している。
まだ、理論的にペラペラとは喋れない時期。
なんでやりたくないの?
不安なのかな?
不安が強いなら、
何が不安?
先生にバツをつけられるのがいや?
やり直しになって再提出するのがイヤかな?
不安じゃなければ、
今は気分が乗らなくて、あとでやりたいの?
疲れていて元気がないのかな?
それとも、勉強が分からなくてイヤになってる?
こんな感じで絞り込んでいく。
ひとつひとつの質問は、YesかNoで答えられるものだ。
クローズドクエスチョンという。
クローズドクエスチョンとは:
相手に回答の選択肢を与えて、そのなかから回答を選ばせる形の質問のことです。 たとえば「あなたは学生ですか?」という質問は、「はい」か「いいえ」で答えることができるので、クローズドクエスチョンにあたります。
対になる概念にオープンクエスチョンがあり、「今日は学校どうだった?」のように、子どもに自由に答えてもらうような質問の仕方です。
「どう思う?」のような、正解のない、無限に広がる質問が苦手な子っている。
「思ったように自由に」と言われると、とたんにハードルが上がる。
こんな子には、クローズドクエスチョンで絞り込む方法をオススメしている。
この辺でも書いてる。↓
脱線するが、このタイプの子は作文や読書感想文なんかが苦手。
大人がインタビュアーになり、
「楽しいお話か悲しいお話かだと、どっちだった?」
「冒険のシーンとラストシーン、どっちが印象に残った?」
ってな形で絞りこみ、箇条書きにしていくとやりやすかったりする。
閑話休題。
気持ちの言語化ができない子には、
大人が気持ちを代弁し、クローズドクエスチョンで絞り込んでいく
といいですという話。
未来への種まき
まどろっこしいよね。
わかる。
自分のことなんだから自分で表現しろやゴルァ!
って思う。
超わかる。
でも、この作業が未来に効いてくる。
大人の投げかけた言葉、「不安」「タイミング」「順番」「理解」「やる気」みたいな言葉は、子どもの中にタネとして残っていく。
めんどくせーけど、要領を得ないけど、誘導尋問みたいな気もしてくるけど、とにかくタネをまいておく。
するとどうでしょう。
未来に同じようなことがあった際に、花を咲かせるのです。
気持ちの言語化ができるようになる。
この気持ちはこう表現すればよいと、インプットされる。
すると、あるときから上手にアウトプットできるようになるのです。
別のシチュエーションで、この時のタネが芽を出す。
あのとき蒔いた表現が、ここで使用される。
ってな感じで。
気持ちのラベリング
これは、大変貴重で。
そりゃもう、大変に貴重でして。
というのもですね。
子どもは今後、どんどん反抗的になってくる。
もともと気持ちの言語化が苦手な子が反抗期になると、もう、マジで何も言わなくなるんだよね。
考えていることがさっぱり分からなくなる。
なので、この時期から気持ちを自覚させるのは超オススメ。
表現方法をインプットしておくと、後々表出が楽になる。
今はまどろろっこしいし、大変だけど。
今は解決しなくても、あとで芽を出す。
このモヤモヤした気持ち=『不安』
とラベルを貼っておく。
不安の強い子は、何が不安か分からないのが一番の不安だ。
「先生に直されるのが不安」と自覚できると、不安が和らぐ。
自覚できない気持ちを、大人が代弁するのだ。
そのために、今は子どもと一緒に試行錯誤するのはいかがでしょうか。
まとめ
言語化できない子には、気持ちの代弁を。
今は解決しなくても、あとで芽を出す。
とりあえず、大人が代弁して、気持ちにラベルを貼るのはどうでしょう。
という提案です。
今日の話終わり。
最後に、最低なことを言う。
「気持ちの代弁」って別に変な言葉じゃない。
普通に使う言葉。
なんだけど、診察室で代弁代弁言ってると、僕はムズムズした気持ちになる。
「だいべん……フフッ」
ってなる。
心が汚れているんだと思う。
過去振り返って、そうだったんだ!
と思いました。
ASDの我が子。
小さな頃は自分の気持ちに気づきにくいため
迎えに行くと不機嫌。嫌なこと何かあった?と聞いても答えたくなくて逃げる。時には答える。
あら、なんか変だな?が、数日続くと、感情の大爆発!で大号泣大暴れ、本人もなんで泣いたか忘れるくらいの長泣き…
ということを何年も繰り返していました。
でも、実は大爆発は小爆発に過ぎず、高学年で不登校という本命の大爆発になりました。
そこから5年自宅警備員を全うし、中学卒業と同時に少しずつ外に出るようにはなりましたが、
少し不登校への気持ちの落ちついた中学半ばになって、
「あの時泣いたじゃない?あれは○○って気持ちだった。」
と言い始め、そこからは今の感情を少しだけ時間差はありますが、表現するようになりました。
芽が出るまで10年近くかかりました。
でも。
小さい頃から即話せる子に比べて
結構年齢の割には考えて物事を口にするな、と感じます。
相手の気持ち、自分の立場。
あの人は○○って思ってるかもしれないけど
私はこう思う
前置き?クッション言葉?
人が苦手な子とは思えない言葉を聞けるようになりましたね
子供に言われました。ハイかイイエで答えられる質問にしてって。クローズだと誘導尋問みたいになるので、何とか子供の気持ちを聞きたくて、オープンクエッションで攻めてました。小学生低学年向けテーマ、またやって欲しいです。
これ、中学生ぐらいの子にも有効なのかしら。
だいべん…意味分かってフフってなってしまった、私もまだそういうので笑える精神年齢。笑
いやー、宿題三時間everydayだったうちの娘に有難い記事(っ´ω`c)
うちは「どんな気持ち?」って聞いても、本人の中で色々考えてバツつけちゃうのか明言しなかったりがまだ多いです。「ママ昔こゆことあってさー、**って思ったから@@したんだよねー!」て言うと「ぇ!ママも?」てうっかり乗ってくれるうちに、種蒔き蒔きしておきます(*´ω`*)
早く『これが私じゃ!!』て開き直れるようになって頂きたい。だから、まず私から。笑
日々やってるうちに気持ちが落ちる事もあるけど、P先生のブログ見るとあったかい気持ちになれます、ありがとうございます(*´▽`*)
大人の投げかけた言葉が…子どもの中にタネとして残っていく
未来に花を咲かせる
それを信じて、気持ちをラベリングするなど代弁していきたいです。そして、最後のギャグのおかげで大事なことが何倍も残ります。計算され尽くしてます。さすがP先生!