心理学

やりたくないことはやりたくない 〜必殺! 抱き合わせ商法〜

やりたくないことは、やらない。

断固、やらない。

そんな子は多い。

 

母
そうは言ってもアンタ、世の中にゃあやるべきことがあってだね。

 

やりたくないことでも、やらなきゃ仕方ない場面がある。

何かを得るためには、どこかで我慢を強いられる。

世の中、そう相場が決まってるもんで。

 

母
あれもイヤこれもイヤって、どこかで妥協しなきゃしょうがないでしょ!

誰だって我慢して生きてるんだよっ。

 

やりたくないっ!

「やらなきゃいけない。」

 

わかる。

その通り。

正論だ。

 

例えばOD。

治したいなら、夜は早く寝なきゃだし。

 

例えば宿題。

現実的に、①イヤだけどやる ②やらずに叱られる のどっちかしか選択肢がないわけで。

 

例えば不登校。

学校に行ってないなら、遅れた勉強はどこかで取り返さなきゃだし。

別室登校するなら、他の子と廊下ですれ違う可能性はついて回る。

『徐々に復帰大作戦』を選択したら、「なんでイベントだけ来るのねぇねぇなんで?」という好奇の目に晒される覚悟が必要だし。

「好きな授業だけ来てズルい」って言われるのが怖いあけましておめでとうございます。 紅白は白組が勝ちましたね。 おせちも、久々に食べるとおいしいね。 いやー、正...

 

そう。

結局、「やるしかない」のだ。

四の五の言っても、最終的にはどこかで「やるしかない」。

 

相談には乗るし、合理的配慮もする。

でも、最終的には本人が「やるしかない」わけだ。

どこかで妥協し、納得し、踏ん切りをつけて、「やるしかない」。

 

 

……のだけど。

 

 

女の子
女の子
やだよ!

教科書を見るだけで不安になるし、友達とは絶対に会いたくない。

「スキー教室だけ来るってズルくない?」なんて言われたら耐えられない!

 

大人は手を焼いてしまう。

困る。

イヤなことも少しは飲んでくれないと、この場から一歩も動けない。

 

母
週1回の別室登校でいい。

学校側も相当配慮してくれてるんだから、ちょっとは我慢しなさい!

 

手段と目的の入れ替わり

これねー。

よくある状況ですよね。

困っちゃってるご家庭は、たくさんあると思う。

 

基本的には本人待ちです。

本人がモチベーションを持って動き出すより他ないと思うわけですが。

 

 

そうは言っても、待っている親御さんは不安になる。

イヤなことを拒否してばかりじゃ生きていけないと、親御さんは経験上知っている。

 

不安だ。

少しは動いて欲しい。

イヤなことでも、少しは我慢して取り組んで欲しい。

やっている間に楽しくなるかもしれないじゃん!

 

 

それはわかるのだけどさ。

注意してほしいのだが、当初の目的がどこかへ消え「イヤなことを我慢すること」が目的にすり替わるケース。

 

最初は、

  • 進級
  • 規則正しい生活
  • 社会復帰

なんかが目的だったのに、気づくと

  • イヤなことをやらせる
  • 約束したら絶対に守らせる
  • 大人の提案を飲んで妥協する

のが目的に。

 

ハテ、これって一体何のためだっけ?

 

なんてこともしばしば。

これは親子とも不幸だ。

避けてほしい。

 

秘技⭐︎抱き合わせ商法

頑張るのは手段であって、目的はあくまで「その子がその子らしく生きること」。

じゃあ、基本は本人待ちだ。

納得して動いてもらう他ない。

 

子どもがいつ動き出すかは、難しいのですが。

本人待ちだもんで、基本わからないのだけれど。

 

お子さん、イヤなこともいつか取り組みます。

 

夜寝ない?

宿題やらない?

四の五の言って外出しない?

 

いつかやります。

 

いつ?

知らんけど、いつか。

いつか必要に駆られたとき。

子どもの意思で動き出し、必要に迫られたときだ。

 

 

本人が主体的に「遅刻は困る」と思えば、夜は早く寝ますし。

したい勉強が見つかれば、興味ない教科も受験についてきちゃう。

本格的に社会復帰すれば、「人目が気になる」「腹痛が怖い」なんて不安も鳴りを潜める。

 

いやなことをいつやるか。

今でしょ!

と言いたいところだけど、今はきっとやらない。

 

他にやりたいことがあって、ついてきちゃうときにやる。

いつか、そのうち。

 

そう思っていてください。

だから、今無理やり妥協させる必要はないです。

ってゆーか多分その子、妥協できないから今こうなってるのでしょ?

 

 

昔さ。

ドラクエを買うと、クソゲーもセットになってついてきたんだって。

今じゃ考えられないけど。

ドラクエ欲しけりゃクソゲーも買え! ってこと。

「抱き合わせ商法」という。

 

↑コレだね。

子どもがイヤなことをやるのは、抱き合わせ商法だ。

 

大人もそうか。

ご褒美があるから頑張る。

人生、抱き合わせ商法だ。(ださっ)

 

 

イヤなこと、気が乗らないことをするためには、上回る報酬が必要なのだ。

それがなにかは分からないけど。

ドラクエか、親の称賛か、社会的評価か。

とにかく、報酬が必要。

 

ん?

心の汚れた大人のモチベーションは基本金だって?

僕にはちょっと分からないけど。

心がきれいで。

 

大事なのは心だ。

お金はちょっぴりでいい。

ちょっぴりはほしい。

……できれば、たくさんほしい。

 

報酬がないと、イヤなことは受け入れられないのだ。

 

 

子どもがイヤなことを受け入れるのは、イヤさを上回るモチベーションがある時。

「Aを得るために、苦手なBを我慢しよう」と思えたとき。

これが基本の行動原理だ。

 

実際、子どもたちはそう動く。

「イヤだけど、必要に駆られてしょーがなく」イヤなことをやるようになる。

 

まとめ

 

人生、抱き合わせ商法だ。

 

「イヤなことでもがんばりなさい」を単品で押し付けるのは、ドラクエなしでクソゲーだけ売りつけるような、報酬を出さずやりがい搾取するブラック企業のようなものである。

到底、受け入れられない。

 

報酬が見つかれば、イヤなことでもやる。

勝手にやる。

その時を待つしかないのだろう。

 

 

まぁ、そう言うのは簡単で、理想論ばっか語ってんなよクソがとお思いでしょうが。

目の前で困っちゃってる人は、いつかっていつだよクソがと思うだろうけど。

この子にとっての報酬って具体的になんだよクソが。

 

子どもと親とは、違う人で、違う人生。

全てはコントロールできない。

 

心配は非常に分かるけどね。

お疲れ様です。

ゆっくりやっていきましょう。

POSTED COMMENT

  1. らむね より:

    妥協できないから、今こうなっている、、、
    まさにその通りです。
    失念してました。

    いつも、本当にありがとうございます。
    このブログで、不登校に限らず、子どもと接する時に心に留めておくといいことをたくさん学んでいます。

  2. まぼ より:

    P先生こんにちは。
    連休も今日で終わり、明日からまた世の中は平常運転ですね。

    不登校中2息子、「周りに合わせてふんわり生きる」とか「嫌だけど妥協する」ができない頑固一徹な男です。保育園や小学校中学年までは優等生で模範的ないい子、家では少しわがままでしたね。外では相当無理をしていたんでしょうか。

    クソゲーと抱き合わせでも何でもいいから、早く自分なりの報酬(やりたいこと)を見つけて動き出してくれ!と願い続ける私ですが、今のところ一切その気配なしです。
    学校の先生には「まだ子どもだから、大人の手でグッと引き上げてあげないといけない」と言われます。言われることは分かるけれど、引き上げてついてくる子ならこんなに苦労しないんだよなあと思います。

    とにかく目の前のこの子がいなくなることが1番怖い。とりあえず元気で笑ってくれれば、いつか道は開ける‥のかな?

  3. 匿名 より:

    だき

  4. すずらん より:

    「やりたくないことはやりたくない!」
    ついこの前、6年五月雨登校中のADHD+LDの息子が呟いた言葉…
    彼の今やりたくないことは運動会の集団演技のよさこい(笑)
    あんな漁師の曲では踊れないそうで…

    毎年、運動会の集団演技はダンスみたいな感じなので、どうしてもやりたくないらしく学校にお願いして見学→なぜか本部の校長先生の横で優雅に見学させていただきました(笑)

    ただ、担任には「他の男子もイヤでも適当にやってるんだから適当にやればいいんだよ」と言われ、適当…が嫌いな息子は断固拒否。

    本当にやりたくないことはやらない。
    今は野球とピアノと料理とゲーム以外はしていないけど、元気に生きてるからよしとします。

    おそらく今後、高校受験が一番の課題になると思っています。

    大学は行けないだろうし、仕事もお医者さんや先生とかにはなれないと思うけれど、本人のやりたくないことを我慢してやらせるより自分の身の丈にあった人生を何より楽しんで生きてもらいたい…というのが希望です。

  5. より:

     自分で動くのを待つ。これしかありません。
    今まで自分で起きて宿題もして楽しそうに学校いってた子。
     学校行きたくないのに起こして起きるはずない。今なら分かります。わかるまで大分時間かかりました。
     親も自分のために生きる。
     少女マンガとかに好きな人に振り向いてもらうためには自分の好きなことして追いかけない。追いかけられなくなった彼が気になって連絡くれるというのがよくありますが。
     不登校もこんな感じかと最近思ってます。
     私の文章固いなあ。p先生みたいに書けるといいなあと最近思います。

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