親子関係

「ゲーム依存」が気になったら読む話

ゲーム依存症

とか

ゲーム障害

なんて、最近よく耳にするようになった。

 

 

母
 ウチの子、ゲーム依存症かも?

 

ゲーム依存症という言葉を聞くと、急に不安になってくる。

 

え、え、『依存症』?

病気ってこと?

このままだとゲーム廃人?

自立できないとか?

今なんとかしないと、取り返しのつかないことになるんじゃ???

 

不安に駆られた親御さんへ。

 

ゲーム依存とまではいかないけど……

ゲーム依存は病気だ。

診断基準もある。

いいかマズいかでいうと、まぁ、マズいわな。

 

それはそうなんだけど、僕的に警鐘を鳴らしたいのは、ここじゃない。

 

 

昨今よく聞く、「ゲーム依存症」という言葉。

それはまぁ、よくないけどいいとして。

 

それを聞いて、急に不安が強くなる保護者

↑コレ!

コレがめっちゃ危険だと、僕的には思うんだ。

 

 

ゲーム依存の治し方は、ここでは言及しない。

専門機関もあるし、専門機関に行って治るのかって話もあるし、そもそも本人に治療意欲がなければって問題もあるし。

少なくとも僕は良い解決策を知らない。

 

んだけど、僕の外来に来るようなレベルの人たち。

警察沙汰になって児童相談所も出動して、暴れて暴れて手が付けられない

家庭内暴力で物を壊して人を殴って家族は萎縮、本人はひきこもりで社会性皆無

とまではいかない子たち。

 

ずっとゲームしてて、言うとキレる。

ゲームでイライラして、だったらやめりゃいいのに執着する。

勉強や宿題なんかのやるべきことができない。

↑このくらいの人たちね。

人数的にはこんな子が多いと思うんだけど。

 

 

僕は、ゲーム依存を治す方法を知らない。

でも、上記の状態の人たちを悪化させる(可能性が高い)方法なら知っている。

 

親が不安になって、突然ルールを変えること

↑コレです。

 

それは親の不安

「親が」不安になるんです。

ゲーム依存について、見聞きして。

 

ネットやテレビかもしれないし、知人の誰かの話かもしれない。

漠然とした不安から書籍を読んだのかもしれないし。

いずれにしても、「親が」見聞きして、「親が」不安になる。

 

で、子どもにぶつける。

 

母
このままじゃいけない。

ゲームは1日1時間!

 

親のさじ加減で、突然、勝手なルールを設定する。

 

で、案の定守れないんだけど。

 

母
ルールが守れないなら、ゲーム禁止!!!!!

 

ゲーム機没収ときたもんだ。

 

 

ゲームを没収しても、おそらく事態は好転しない。

本人にモチベーションがないんだもの。

ゲームから距離を置こうと、本人思ってないもの。

 

なのに「勝手に」ルールを決められ、「勝手に」取り上げられた。

子ども、怒るよ。

 

 

理由は理解せず、ただひたすら没収期間をやり過ごすなら、まだよくて。

(取り上げられた本質理由を理解していないから、教育的な意味はないけれど)

怒りから、反抗的な態度をとる子も多い。

 

母
ゲームを取り上げたら激おこした。

ゲーム依存の症状だわ。

 

いや、それが普通でしょう。

熱中していたゲームを取り上げられたら、普通キレるっしょ。

マジ妥当。

 

 

なんだけど、キレた様子を見て「ゲームを取り上げなくちゃ」という気持ちがさらに強まる。

教育とかしつけ的に。

 

一方的なルールを押し付ける。

ゲームとの距離感じゃなくて、「親が決めたルールを守らせること」が目的にすり変わる。

 

 

で、やっぱり守れない。

親キレる。

子どももキレる。

 

この悪循環。

 

 

そしてこの子、数年後に自分より弱い人に同じことをするようになる。

具体的には、弟のおもちゃを取り上げるとか、下の学年の子を締め出すとか。

 

親は教育やしつけの意味で取り上げたが、子どもは理解しない。

不満だけ残る。

不満だけど、親には力ではかなわない。

従うしかない。

 

思い通りにならなければ(自分の作ったルールに従わなければ)、力づくで取り上げてよい

という学びだけが残る。

 

こうなると、もうカオス。

 

親の不安と子の不安を分ける

これが、僕的に一番危惧するところ。

 

ゲーム依存は悪いよ?

そりゃ、悪いですよ。

 

でも、だからといって強行突破(ゲーム没収)しても、きっとうまくいかない。

 

 

依存症って、「現実世界からの逃避」だと思っている。

ゲームに限らず、ほかの依存症でもね。

 

思うようにいかないしんどい現実から逃げて、自分の心を守る行動だ。

で、ハマりすぎて自制できなくなった状態が、依存症。

 

なので、あながち完全な悪とも言えない。

もともとの出発点は、自己防衛なのだ。(間違った方法ではあるけど)(これを紐解くのは繊細な作業で、時間がかかる)

 

だもんで、依存先(ゲーム)をとりあげれば解決ってわけじゃない。

自分で現実と向き合い、適応していく作業が必須。

引き離すだけじゃ、ダメなのだ。

 

 

この場合の保護者は、親の不安をそのまま子どもにぶつけたのがまずい。

ゲーム依存について見聞きしたのは「親」で、まずいと思ったのも「親」。

「親の不安」ですね。

 

これを、子どもにぶつけちゃいけない。

親の不安と子の不安とを分けて考える必要がある。

 

 

親の不安はまず親が引き受ける。

なにがどう不安なのか、じゃあどうするのか。

 

一方、子どもは子どもで不安なはず。

だからゲームに逃げ込んでいるのだ。

なにが不安なのか、じゃあどうするのか。

 

 

そもそもお子さん、なんのゲームにハマってます?

それ、何が魅力で、どう楽しいの?

聞いてみると、むしろ一緒にやってみると良いと思います。

まずそこからだな。

 

 

ゲーム障害?

依存症?

わかるけど、その前にまず親子関係でしょう。

話はそれからだ。

 

僕はそう思う。

 

まとめ

 

「ゲーム依存」や「ゲーム障害」というワードに踊らされないで。

親の不安を子どもにぶつけるべからず。

 

ゲーム依存症の報道や、認知度が上がるのは良いことだと思う。

だが僕はこんなことを危惧している。

POSTED COMMENT

  1. ゆきあき より:

    ゲーム依存にも強制終了は意味がないんですね。
    今までの記事でも先生は、子供の気持ちを無視して力ずくでコントロールすることは、事態を悪化させるとおっしゃってましたね。
    やはりゲームも一緒なんですね。

    うちもゲーム好きですが、ゲームをクリアした時の喜びや、アイテムゲットした話をよく聞いてあげてると、確かに時間きてもすっとやめられてる気がします。
    楽しい、嬉しい気持ちは共感して行こうと思いました!

  2. あやめ より:

    以前ゲーム依存外来をされてる先生から聞いてなるほどなと思ったのは、ゲームの世界では強くなれたり、パーティ仲間から頼られるなど、自己肯定感を高める事が出来る、だからのめり込んでしまうと言うことです。
    つまり、他にそうなる事があれば、少しずつ離れる事が出来るかもしれない。
    発達障がいがあると、日常生活では自分に自信がなくなりがち。それを支えてくれるのがゲームとなり、依存しやすいんだそうです。

    また、催眠術でゲーム依存を治す的な広告も見たことがありますが、現役の催眠術士さん曰く、催眠術は本人の中のかかりたいという希望が大きいほどかかりやすいので、かかりたい理由がないとなかなかかからないのだそうです。その先生は、甘いものやハイカロリーなものを食べたくなくなる催眠術をかける事が出来るため、ダイエット催眠術をしていますが、それは依頼者が痩せたいと願っているからかかると話されていました。
    ゲーム依存の治療については、本人が治したいと希望するならかかると思うのですが、むしろ本人がやめたくないならかからないよと言われましたね。
    (催眠術は心理学の応用なので、魔法みたいにだれでもかかるとかはあり得ないそうです。芸能人がかかりやすいのは、かかった方が仕事としておいしいから、かかりたい願望が強いためなのだそう。)

  3. トリカブト1号 より:

    我が家も子供が不登校になりかけの時、スマホにかじりついてました。依存症だ❗️何とかしなければ❗️時間厳守、Wi-Fi切断❗️とかやっちゃいました。依存症親の会なんてのも参加。私と子供の関係を直視せず、スマホのせいにしたのです。ルールに従え❗️ウラーッ❗️て圧力全開…の間は最悪拗れ家族でした。

    不登校親の会で「まずは充電。休ませて、話はウンウンと共感して」と言われその通りにすると、徐々に落ちついて3年経過した現在はスマホはよく触ってますが、学校も行くしバイトもするし、廃人にはなってません。

    今回のコラム、3年前に読みたかった❗️

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