不登校

考察が浅いッ! 〜不登校の原因、ゲームしたいからってホント?〜

「考察」。

僕の好きな言葉。

好きと言うか、得意というか。

ちなみに嫌いな言葉は「合併号」。

 

個人的に、「考察」を大事にしていて。

  • なぜそうなったか。
  • この先どうなりそうか。

あれこれ考える。

 

外れてもいい。

外れてもいいんです。

実際結構外れるし。

 

とりあえず考え、ひとときの安心感を得るのが、僕にとっては大事。

理屈がつくと、なんか安心。

理由が分からないのが一番不安。

 

 

「考察」、個人的にちょっと得意だと思っていて。

好きだし、得意。

で、恐れ多くも人様の考察に思うところがあったりする。

 

言わないけどね!

直接は言わないけど、ここ自分のブログなんで、ちょっと書いていいですか?

 

考察、浅くね?

例えば、こんな話を聞く。

 

不登校の子の親御さん。

 

母
うちの子が学校に行かない理由は、「ゲームしたいから」。

そんな理由ならひっぱってでも登校させなさいって、学校の先生に言われました。

 

ゲームしたいから学校に行かない、とな?

うん、確かに理にかなっている。

学校に行かなければ、ゲームに費やす時間は物理的に増える。

 

不登校で失うものは「機会」、得るものは「時間」だ。

この「時間」というリソースを、ゲームにぶっこみたいと。

おぉ、非常に合理的。

 

じゃあ、そんな理由で貴重な「機会」をドブに捨てるなら、無理やりにでも登校させようと。

これもまた、一見合理的な主張に思える。

「ゲームしたいから学校に行かない」って、確かにアンタそりゃちょっと、だ。

 

でもさ!

 

でもさ、でもさ。

ここで僕、思っちゃうんだ。

ちょっと考察浅くない? って。

 

僕の考察

その子が学校に行かない理由は、「家でゲームしたいから」。

確かにそうだ。

本人がそう言ったもの。

本人が言うんだから、間違いない。

 

でも、この「ゲームしたい」の裏側って、どうなっているんだろう

と、僕は考える。

 

表面的に出てきた言葉は「ゲームしたい」だけどさ。

この結論に至るまでの思考過程。

見なきゃダメじゃね? と。

 

 

いくつか考えられると思うんだ。

シンプルに、必要なことや後先なんかが見えておらず、

今! 目の前の!! ゲームがしたい!!!

の可能性はある。

 

でもさ。

実は学校がしんどくて、でもうまく言語化できなかったり、自分でもよく分かっていなかったり。

ギリギリまで頑張って、心がすり減って、これ以上は学校というフィールドで戦えない。

心を守るために、現実(学校)から逃げてゲームしていたい、ってかそれしか選択肢がない。

とにかくしんどい……。

のかもじゃん!

 

この場合も、本人なぜ学校に行かないのか尋ねたら、

 

男の子
男の子
家でゲームしたいから。

 

に、余裕でなるじゃん!!!

 

 

冷静に考えてさ。

例えば、全国の小中学生をみんな集めて。

 

はーい、明日から学校に行かなくてもいいでーす。

でも、それに伴って生じる機会の喪失、つまり勉強とか学歴とか将来とかは、全て自己責任となりまーす。

おまけに、家族学校その他からの風当たりはめっちゃ強くなりまーす。

 

と言った場合。

不登校を選択する子って、全体の何割くらいなのだろう。

おそらく、だいぶ少ない。

 

学校って、非常にコスパが良い。

行けるなら行った方がお得だと、僕は考えている。

ただ単に目先の楽を理由に不登校を選ぶって、あまり考えられない。

むしろ、不登校より行った方が楽でしょ?

 

そして、現状の不登校って、上記みたいなもんだ。

自己責任だし風当たり強いし。

※もちろんケースによるけど。ここまでつらくないケースもたくさんある。いや、あって欲しい。心穏やかに不登校しててほしいと、切に願う。

その上で不登校を選択するのだから、相応の理由があると考える方が自然。

 

 

つまり、「ただ純粋にゲームしていたい」という理由で不登校を選択するって、結構レアケースだと思うのだ。

それより、ゲームに逃げこむだけの理由、すなわち現実世界のしんどさがあるケースが多そう。

 

じゃあ、闇雲に登校させるのが正解とは限らないんじゃないか。

言語化できないしんどさを、丁寧に解きほぐす作業が、絶対に必要じゃね?

 

浅い!

浅すぎる!

と、僕は思うのだ。

 

うまい!

うますぎる!

十万石饅頭。(前回反応してくださった方、ありがとうございます。)(僕はこのCM見たことないんだけど、友達がしょっちゅう言うんだけど。)

 

さらに考察

しかもさ。

 

考察した結果、

「やっぱりこの子に学校のしんどさはなさそうで、純粋にゲームしたいから不登校なのだろう」

となったとするじゃん?

 

エネルギーもあるし、環境にも問題がない。

行けばそれなりに楽しいし。

でも、今! 目の前に! ゲームがあり、これをやっていたい、と。

だから学校へは行かないのだ! という主張だったとする。

 

そしたら、じゃあ引っ張ってでも登校させるべきかって、それも違うと思うんだよね。

 

ここまで後先考えられない、その「性質」の方が問題なのでは?

と。

 

 

学校に行く行かないは、二の次だ。

行かないと不利だとか、勉強が遅れるとか、友達とも会えないとか、そんなものを度外視してしまうその「性質」。

具体的にはASDタイプか知的にゆっくりか、いずれにしても全っっっっっ然先が見えていない。

↑コッチ!

コッチの方が、ずっとずっと大切じゃね?

 

なぜ、学校に行くより、ゲームを選ぶのか。

ここまで目先ばかりになってしまう理由。

 

学校に行く行かないより、この特性の把握と、対処法を考える方が、圧倒的に大事だと思うんだよ。

人生に影響を与えるのは、「不登校だった過去」より「極端な特性に気づかれずケアされずに大人になってしまうこと」だ。

 

だから、純粋にゲームしたいからの不登校でも、ひっぱって連れて行くのが正解とは限らないよなーと。

※特性を把握した上で、だからこそ経験が必要だと判断して無理やり登校させるのは、アリ寄りのアリ。「無理やり連れて行く」が絶対的に不正解なわけではない。ただ、ここまでの考察の上で、だ。

 

まとめ

この話もそうだけど。↓

「不登校の親は過干渉」への私見小耳に挟んだのだが。 不登校は、親が過干渉なケースが多い。 親が先回りし、本人の自己決定の機会がない。 そ...

 

表面的な現象にただ飛びつくのは、考察が浅い。

 

例えば、

「ゲームしたいから学校に行かない」と本人が言っている。

じゃあそれが原因だ!

 

不登校児の親はみな過干渉。

じゃあそれが原因だ!

 

となるのは、考察として浅いと思うんだよね。

 

 

その現象は、原因じゃなくて結果かもしれないよ?

(過干渉だから不登校になったんじゃなくて、不登校になるような子だから親が干渉する必要があった)

 

本質的な原因じゃないかもよ?

(「ゲームしたい」が表面上の結論だけど、本質は「学校がしんどい」かもよ?)

 

このあたりまで考えると、安易に

不登校はコレが原因だ

とか、

不登校にはこう対応すべき

とか、言えないと思うんだ。

 

あまりに人それぞれだもの。

「みんなこう!」って答えは、存在しない。

 

家を快適にして、その子をよく観察してください。

 

ここまでは、かなりの確からしさ。

不登校になったら家を快適にして、休ませるといいようだ。

ここまでは、僕にも言える。

 

でも逆に言うと、ここまでしか僕には言えない。

POSTED COMMENT

  1. しろくま より:

    いつも興味深い考察ありがとうございます。
    小2不登校息子がいます。
    幼稚園の頃から登園しぶり傾向、「ゲームがしたいから学校に行きたくない」と言われないか不安で、ゲームはずっと買えませんでした。
    でも「そうじゃないのね」と不登校になった今思います。
    約束していたこともあり、不登校中にゲームを買って、ゆるやかな約束事を作った結果、本人も元気に過ごしています。

    息子の困り感や特徴がよくよくわかるなあと感じます。
    あとはどう社会とつながるか・・ですっ!
    いつも参考にさせてもらってます。

  2. 匿名希望 より:

    P先生、いつもありがとうございます。
     その提案をした時に子供がどんな反応をするかを、親以上に正確に推測できる人はいない。だから、親がどんな行動をするかは、親が決めるしかないのでしょうね。
     以前のブログに、全日制の高校に通えない事を、お子さん自身が自覚するまで、黙ったまま通信制の高校などを色々調べておいた親御さんの事が書かれていた様な気がします。
     お子さんに対してアクションを起こすかどうかはともかく、お子さんがその気になった時に利用できそうな近くの施設や制度、進路、家でもできる興味を持ちそうな事を黙ってあらかじめ調べておくのは悪いことじゃない。その子に合いそうな所を幾つか絞って、お子さんがどんな状態なら勧めても大丈夫そうか黙ってシュミレーションしておくのも一つの方法だと、私は思います。親が思いついた所を片っ端から勧めると、お子さん疲れちゃうかもしれないので。カンのいい子なら、親がどれくらい自分の子を見た結果、それを勧めてきたかは気がつきます。
     
     親がどう動くかは親自身が決めるしかないけれど、P先生が一般論として時々書かれている、これは避けた方がいいという事を念頭において注意するだけでも、地雷を踏む確率は確実に下がるんじゃないかと私は思ってます。自分で進むしかない道だからこそ「この先注意(急カーブ、落石、動物飛び出しなど)」の道路標識は役に立つ。(衝突防止安全装置はもちろんない、紙の地図しかない時代に、うっかりしてると本当に鹿とぶつかる様な夜の山道を運転した人にしかピンとこない例えで、ごめんなさい)。この標識を立てた人は、この場所の今の具体的な状態も、誰が通るかも知らない。それでも、過去の事故の傾向などから、ここにその標識を立てるだけの、それなりの根拠があるはずなので。同じ事をしてもこじれなかったケースは病院に来ないので絶対ではないけれど、側から見てると、それはこじれやすいわって行動は、確かにありますね。

  3. あやめ より:

    考察。大事ですよね。うちも不登校になって一年以上たちましたが、家が快適になって、好きなことして、ゲームして。でも、一切外にでようとしない。エネルギーも溜まっているようだ。なんなら少し勉強も自習できるようになってきた。難しーいゲームも根気よくやってるし、絵も何時間も書いている。もう鬱ぽい感じはない。でも知り合いに会うことを恐怖している。なんか、外に出るのが怖いっていうより、過去の栄光から落ちぶれてしまったとか、太ってしまったとか、人に見られてなんと思われるかを、恐怖しているっていう感じかな?とおもっていて。特性もあってこの子はずっと家にいることを選びそうだなと思いまして。人に嫌われることより、蔑まれたら人として終わってしまうプライドが強いのかな。そんなくだらない!と私は思ってしまうけれど。娘は絶対無理!っていうポイントなんでしょう。

    その辺考察して作戦立ててみようと思います。

  4. 匿名 より:

    p先生、いつもわかりやすいブログを発信して下さり、ありがとうございます。

    家を快適に 念頭において、子供の言葉を否定せず、寄り添っているつもりなのですが。
    難しいのです。

    子供が不登校に関する情報をネットで探しまくり、不安に拍車をかけています。
    不安だから検索するのか
    検索するから不安になるのか

    クラスに入らなくていい。
    勉強しろとも言っていない。
    なのに自分から不安を取りに行っている感じで、家にいるのに安心安全になりません。

    フリースクールや適応指導教室等、学校以外の居場所に誘ってみても及び腰なので、この子ホントに動き出すのかな、と不安になります。

    他人は「パワーが貯まるまで待ちましょう」と徳川家康みたいな事を言うけれど、HSCタイプは貯まるのかな、、、

    私は豊臣秀吉タイプです。
    だって鳴くまで待っても鳴かないかもしれないじゃない?とモヤモヤしてしまいます。

  5. より:

    p先生の「心穏やかに不登校」の文字が心に響きました。本当、皆心穏やかに不登校出来ててほしいです。
    娘も、不登校に対してそう思っていない人間もいるのが分かっているから、あえて傷つく必要もないと外に出ずになるべく家にいたいんだなと思います。私より賢いです。また更に元気が溜まると変わってくるのでしょうが。
    不登校に対してそう思ってくれる人がどこかにはちゃんといるんだって思えると(いなくても余裕で堂々と出来るようになりましたが)親も元気出ます、ありがとうございます。先生の文章はいつも心温まります。

  6. シジュウカラ より:

    P先生、今回も興味深い考察をありがとうございます!!

    子供がゲームに走る理由や、「自己責任だし風当たり強いし」「学校はコスパがいい」など、今までモヤモヤだと思っていたことを、ズバリと言って頂き、とてもスッキリです。

    子供が不登校になり各所に相談してますが、メンタルもみてくれる小児科の先生には「発達障害だから、不登校になった」、通っていた某私立中学の校長には「ゲームは悪です」など言われました。子供がゲームに夢中になっていた頃でしたので、子供を否定された気持ちになり、かなり傷ついてました。
    前回のASDの話も含め、謎がとけた気持ちです。
    いつも話を分かりやすく、教えて頂きありがとうございます。

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