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人生はドラクエだ 〜後編〜

ドラクエの話の続き。

人生はドラクエだ 〜前編〜 インタビュアー:あなたにとって人生とは? 小児科医P:ゲームと漫画、ですかね。 今日は、僕のつぶやき...

 

発達障害特性は、「人類」や「社会」という規模で見ると必要なものだけど、個人だとメンドクセーよねって話。

 

どの職業を選ぶ?

でさ。

昨今の教育とか社会では、「発達障害特性をなくす(もしくは目立たなくする)」方向を目指す風潮がある。

 

もちろん、わかるんだよ。

一撃即死の魔法使いは、パーティーに入れない。

戦えないもの。

 

あまりにもコミュニケーションの取れない人材は、チームに入れない。

つまり、あまりにも社会適応困難な特性があるなら、矯正せざるを得ない。

 

「最低限、こんくらいは頼むよ」というラインはある。

そこを目指してトレーニングするのは、非常に意味がわかる。

 

 

でも、「定型発達を目指す」のは、違うと思うのだ。

魔法使いは、どこまでいっても魔法使い。

戦士は、ずっと戦士。

それしかないし、それでいいと思うんだ。

 

と、いうのもですね。

 

ドラクエやってて、主人公が一番扱いに困る!

 

詳しくない人のために説明すると、主人公って職業が選べるんですよ。

戦士、武闘家、僧侶、魔法使い、盗賊……etc

なんにでもなれて、何回でも転職できる。

 

一方、仲間は職業が選べない。

この人は戦士タイプ、こっちは魔法使いタイプと最初から決まっている。

 

そうするとですね。

 

主人公、パーティーに入れづらい!

 

中途半端なのよ。

なんでもできるって、つまり全部中途半端。

戦士としても魔法使いとしても、専業のキャラの方が強いし。

わざわざ主人公を入れるメリットがない。

 

この時、僕は思ったね。

 

普通が一番使えねェ。

 

普通・平均って、裏を返すと特化したものがないってことだ。

一人で旅をするなら、デコボコのない「普通」が、つまり主人公が最強だと思う。

でもさ、パーティーを組む場合、「普通」が最も扱いづらいんだよね。

 

 

人間社会も、チームだ。

人間は、社会生活を営む生物。

社会には、その人その人の役割や居場所がある。

じゃあ、デコボコな方がむしろいいんじゃないの? と。

 

FF10に、キマリってキャラがいてですね。

彼、どの職業にもなれるんです。

自由度めっちゃ高いんですけど。

 

マジ、使いづらい。

 

どう育成しても、誰かの劣化版になっちゃうんだよ。

 

やめて! キマリの悪口言わないで!

 

 

特性のある一般人として

「誰か」を目指しても、「普通」を目指しても、勝ち目のない無理ゲーな気がする。

発達障害特性があるなら、それは「ある」のだ。

発達グレーは、白ではなくて薄い黒。

定型発達は目指すのは、ムリだし、さほどメリットもない。

 

特性があるなら、「特性のある人」として社会に入る方が、ずっとずっと建設的。

 

これは、

みんなにいいところがあるんだから、発達障害特性を生かして輝きましょう⭐︎

的な話ではない。

エジソンもアインシュタインもイチローも発達障害なんだから、みたいな話じゃない。

 

そりゃ現実を見ないエセポジティブってもんだと僕は思うし。

そんな才能がある人は一握り。

 

そうじゃなくて、「デコボコを持った一小市民」として社会参画する方法を考えようぜって話。

 

 

例えば、僕。

昔からなんとなーく、自分は魔法使いタイプなイメージを持っている。

  • HP低いから、常にサボりながら、身を守りながらだし。
  • MPの配分も考えなきゃだし。
  • 腕力まったくないし。

正直めんどくさい。

 

でも、特性に起因する過集中を持つ。

秩序を大事にする(イレギュラーが苦手)ので、気になることへの情報収集や解析能力には長ける(こだわり)。

それがハマると、強い。(逆にハマらないと全く興味を持たないんだけど)

 

ずば抜けた能力ではないけど、一小市民としてはこんなもんかと思う。

イオナズンは使えないけど、まぁイオは打てるし、程度。

 

それでも僕の周りの人は、僕を魔法使いとして受け入れてくれる。

僕に剣を持たせて「ガンガンいこうぜ」とはしない。

HPやMPが減ったら宿屋に行かせてくれる。

それでいいんじゃないかと思う。

 

これが、

「僕、打撃がヘタだから人一倍頑張るよ!」

とかやっちゃったら、周囲の人も戦士として扱うだろうし、でも使い物にはならないし。

お互い不幸だ。

特性を把握し、「自分は魔法使いタイプです」と主張するのって、マジ大事だよなーと。

 

あなたは何タイプ?

発達障害なら、発達障害のままでいい。

ってか、それしかできないと思うし。

 

戦士なら戦士でいい。

ガツガツ攻撃したらいいんだよ。

回復は、僕がやるから。

おっと、一人のときは両手いっぱいの薬草を忘れずに。(特性をケアするってことね)

 

「自分は魔法が使えずすみません。ホイミくらい使えるように精進します。」

とか、しなくていいよ。

むしろ、やらない方がいい。

他のメンバーがつじつま合わせるから。

 

キミは一人じゃない。

パーティーなんだから。

人間は、社会の中で生きてるんだから。

 

 

そうやってバランスを取るのにちょうどいいのが、今の発達障害の比率なのだろう。

だから今日現在、2022年11月現在、たくさんの発達障害がいるのだ。

診断レベルじゃなくても、個々人が色々な特性を持つのだ。

※余談だが、僕は全人類なんらかの特性を持つと思っている。完全なド定型なんて、存在するの?

 

自分はどんな特性があって、つまりどんな「玉」を持つのか。

今の戦況で求められる能力は何か。

 

それに応じて、戦うのか逃げるのか、どの技を使うのか。

つまり、矢印を決める。

 

活躍できそうもないフィールドなら、別の場所へいく。

つまり、環境を変える。

 

人生って、戦況を読んで作戦を立てる作業の連続だ。

そう、まさにドラクエだ。

人生はドラクエ。

 

小児科医P「人生とは……ドラクエです。あ、僕はFF派です。」

 

戦況によっては、力技のゴリ押ししかない場面もあるけどさ。

多くの場面は、工夫しながらなんとかなる。

 

 

それぞれの役割をこなせばいい。

その役割も、小さくていい。

目覚ましい活躍なんて、一握りのヒーローだけだ。

 

世界を救うことなど、一小市民である僕らにはできないけどさ。

自分の人生の主人公は自分だから。

自分の力で、自分の物語を変える力は持ちたいと思う。

POSTED COMMENT

  1. イカとタコとクラウドと流川 より:

    楽しいお話ありがとうございます!

    ドラクエもFFも6までしかしてませんが…
    (ドラクエはやはり3と5、FFは6推しです!あ、でも4もー涙)、

    ドラクエしてて私もかつて、パーティ編成考えてた時、勇者いらないじゃんって思ったことあります笑

    レベル20になったら転職可能。これもある程度自己理解が進み、メタ認知が進み、経験値がついたらできるのでしょう。でも現実でのイメージはレベル20なんてまだまだ弱そう。35くらい?

    そして遊び人最強説。うちの子達、遊び人コースのホームエドゥケーションだなあと思いました(╹◡╹)宿屋に1500〜2000泊弱してますが、動き出しましたよーパルプンテ!(あ、それなりに苦労はしてます涙、汗、笑)。何に転職するのかなと、愛おしく、楽しみです。

  2. 匿名 より:

    先生いつもありがとうございます。

    ※余談だが、僕は全人類なんらかの特性を持つと思っている。完全なド定型なんて、存在するの?

    ↑これ、私もずっと疑問に思ってます。
    定型って何?特性の無い人なんているの?
    いつかこの余談についてブログに書いて下さるとうれしいです。

  3. 匿名希望 より:

    P先生、いつもありがとうございます。
    親は子が社会で直面する問題を肩代わりすることはできない。だからこの先子供が困らない様に、知っていたら苦労しない、面と向かって他人から教えてはもらえないルールや、この先困った事にならない小さな工夫をたくさん教える。しつけもSSTも確かに一緒ですね。P先生が「余談だが、僕は全人類なんらかの特性を持つと思っている。」と書かれていた様に、あなたも私も皆変人、だからこそ、無用な衝突を避けるためのお互いの知識や工夫は必要。相手に一方的に我慢させる関係は長続きしないし、それを繰り返せば孤立するのはその子。自分のいない社会で、みんなの中で笑っていてほしいと願うからこそのしつけやSSTだと思います。その子が社会で何に直面するか完全に予測はできないので、どうしてもずれは生じますが。弱いところを突かれて一撃で終了しない様に、最低限の防具を授けるのがしつけやSSTなのでしょうね。

     それとは真逆、自分が魔法使いなのか戦士なのか、得意を見つけるために必要なのは子供の頃の自由な時間だと、私は思います(与えられる勉強で才覚を現せる子は、その子が望むならそれでいい)。自分は何になら観察眼が働くのか、何になら失敗を繰り返しても楽しくて工夫を重ねようと思えるのか、何になら夢中になって細やかに想像して空想の世界に遊ぶことができるのか、自分で選んで自分で試して少しずつ探していく。
     (幼児期に多くの子が一度は興味を示す←そうでもない?、砂遊びやバッタ捕りなどを想定して言ってますが、P先生のゲームへの愛に溢れた文章を見てると、ゲームも、飲み込まれなければ良いものなんだろうなと思いますね。)
     人の心は天秤なので、迷惑をかけられる事はあっても、嬉しい気持ち楽しい気持ちをくれる喜びと釣り合えば、それが苦にならなくなる。一人で打ち込めることがもし見つかれば、自分の幸せを周りの人間関係以外からも見つけやすくなる気がします。

     理想通りに物事が進むなんてないけれど、短所に対策する、長所を伸ばす、一度にどちらも成長させようとせず、今子供がその気になれる事を積み重ねたあとに、大人になれるといいですね。

  4. ななちママ より:

    今まで沢山の子育て本を読んできたけど、上手くいかない自分と子供に葛藤し、空回りしてました。
    先生のブログを読み自分の中でとてもしっくりきて、そして穏やかになれました。
    いつもありがとうございます。

  5. サボテンダー より:

    人生はドラクエについてとても共感しています。

    発達障害に関係なく、人はそれぞれ得意不得意があり、長期間、仕事や物事をこなしていくために、得意なことをしていくほうが続きます。
    それか苦にならないこと。

    というか、好きなことでも不得意なことを続けると孤立します。

    ましてや会社組織は集団で動くため、全ての職、レベルが必要です。

    全社員イオナズン必須の組織は成り立ちません。
    イオナズンばかり唱える魔法使いより、イオ、イオラ、イオナズンとスピーディに環境の変化に対応できる人が求められます。
    現実、万能魔法使いはいませんけどね。
    ザラキ連発暴走神官は使いづらいです。

    スライムにはイオ、ラスボスにはイオナズン、弱い呪文も強い呪文も、必要な場面(仕事)はあります。
    不要な仕事はないです。
    仕事していれば誰かの役にたっています。
    オーバーキル(コスト度外視は現実では好まれません)は不要です。

    会社組織に属していると、自然と歯車にはまり、自分が得意と思っていたことよりも、会社で結果を出せる職につきます。
    どんな人であれ、社会に貢献できる職や環境に出会えた人が笑顔が増えます。

    ちなみに、P先生はイオ系を極めた魔法使いだと思います。

    僕もFF派です。
    マスターマテリア付けまくって、開始早々、全員でナイツオブラウンドを連発しています。
    あッ職業も特性も関係ないじゃん。
    ゲームだと勝てば正義なんですけどね~

  6. ベアトリクス より:

    そうですよね、赤魔道士×4人パーティーだと途中から進めなくなりますよね…。
    魔法は使えないけど戦士やモンクや竜騎士がいて、攻撃魔法しか使えない黒魔道士がいて、攻撃はできないけど回復で仲間をサポートする白魔道士がいて、ラスボスにたどりつけるんだよな…と気付きました。
    うちの子は先頭きってちょこまかするシーフタイプ(アイデアはたくさん思い付くけど計画性がない)なので、人並みに計画性を身に付けろ!と矯正せずに、その特性をいかしたパーティーが組めたらいいなぁと思います。

  7. トクメイ より:

    特性ってその子の個性なんですよね。療育って?SSTって?息子の個性を否定されるようで、ずっとモヤモヤしてました。個性は個性として、療育やSSTを通じて自己理解と楽に生きるための処世術が身に付いたらいいなと思います。息子も先生のようにうまく社会と付き合っていけたらいいな。

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