大人のお小言。
つまり、大人が子どもに期待することだ。
- 勉強しなさい。
- 良い学校に行きなさい。
- 友達と仲良くしなさい。
- バランスよくなんでも食べなさい。
- 自分のことは自分でしなさい。
- 部屋を片付けなさい。
- お金は大事に使いなさい。
とか、こんな感じのこと。
どーしても言ってしまいがち。
これはつまり、「できないと困るよ!」ってことですね。
ね、できないとあとで(大人になってから)困ることが予想される。
だからガミガミ言ってしまうのよね。
わかるし、妥当な意見だ。
コレさ。
ガミガミ言われて、でも結局できちゃう子っているじゃん。
もしくは、言われる前にできちゃう子。
結果を出せちゃう子。
この子たち、将来安心なように見えて、案外危ういんじゃない? と、思った。
出来ちゃう子の危うさ
親御さんがお子さんに言う小言。
その第一位は、「勉強しなさい」でしょうか。
勉強は、出来るに越したことはない。
出来ないと進路が狭まるし、学歴がないと低賃金になりがちだし(もちろんみんながみんなそうじゃないけど。傾向の話ね。)、将来苦労することが予想される。
だから大人はお尻を叩く。
でね。
お尻を叩かれて、一生懸命努力する子。
それなりに結果が出せちゃう子。
いるじゃないですか。
小学校くらいだと、頑張ればそれなりに結果が出せる。
出来ちゃうのよね。
こんな子はきっと、期待される通りに宿題も片付けもやるし、友達も作るし、お金の無駄遣いもしない。
なんでも出来ちゃう優等生。
頑張り屋な「いい子」だ。
これは疑いようがない。
でもさ。
学年が進むと、勉強でトップを取ることが難しくなる。
元来の能力が高い子には、どうしてもかなわない。
それどころか、あれよあれよと成績が落ちて、気づくと平均点くらいになったりする。
成長するにつれて、できないことが見えてくる。
上には上がいて、自分は万能じゃないと気づく。
余談だけど、僕は自分のデキなさに気づくのが「大人になる」ってことだと思っていて。
自分はヒーローじゃないと気づく。
戦隊モノでいうと、自分はレッドじゃなくイエローだった、って。
自分に期待されているのは、カッコいい必殺技を放つことじゃなく、カレー食ってることだ、と。
自分の本質と周囲の目線を理解した上でおいしくカレー食ってるのが、「カッコいい大人」よな。
でさ。
こんなときに、今まで「頑張ればできた」経験しかない子。
次の手がわからず、困っちゃうんじゃない?
と思った。
今更カレー食えなくね? と。
「頑張る」一択
多分ね、その子、また頑張ると思うのよ。
それしかやり方を知らないし、頑張っても出来ないという経験がないから「デキない自分」が受け入れられないし。
あくまでレッドを目指す。
人一倍頑張る。
いや、人の10倍くらい頑張る。
でも、なんともならない。
世の中にはすごい人がゴロゴロいて、能力差がいやでも目に入る。
それでも「デキない自分」は受け入れたくない。
受け入れたら、心が折れてしまいそうで。
この子、どうするかというと。
腐るんじゃない?
言い訳を並べて、結局動かない。
もしくは、
と心折れるか。
どっちにしろ、「うまくいかない時にさあどうする⁉︎」が出来ない。
なまじっか今まで出来ちゃってた分、つまずいた時の対処法がわからない。
レッドになれないなら、ヒーローやーめた! と。
出来ない経験を積もう!
出来ちゃうこと自体は素晴らしいと思う。
頑張って、結果を出したんだから、誇るべきことだ。
それは純粋にそうなんだけど、デキちゃう子って失敗の経験が圧倒的に足りないのも事実。
デキちゃう子が、デキちゃうままで一生を終えられるのなら問題ない。
失敗せずに、なんでも出来ちゃうならね。
そのままレッドになれちゃうなら。
でも、そんな人はきっとごく稀で。
世の中にはいろんなスゲー人がいる。
どこかで壁に当たるだろう。
その時に、この子たちは圧倒的に経験が足りない。
全くトライしない子の経験値が足りないのは分かりやすいんだけど、
全体的になんとなーく出来ちゃう子も似たり寄ったりで経験が足りない
のではないかと思うんだ。
特に、大人にせっつかれて頑張ってきた子。
自分で考えて自分で目標設定した子は、うまくいかなければ方向転換できる。
でも、そうじゃなくて大人に言われてやってた子。
「褒められるから」
「叱られないために」
頑張ってきた子。
勉強しなさいって言われて、その通りに勉強してきた。
「目指すはレッド一択!」と刷り込まれてきた。
こんな子で、うまくいかない時にどうしようもなくなっちゃうケースを、これまで見てきた。
成功体験と失敗体験
成功体験は大事。
頑張って乗り越えた経験は、何物にも替えがたい。
同様に、失敗体験も非常に大事なんだと思う。
成功する力ももちろんだけど、失敗したときにどう立ち直るか(もしくは回避するか)の力も、とっても大事よね。
軽視されがちだけど。
大人は、子どもが失敗する姿を見たくない。
そりゃそうだ。
でも、大人が見ている間にあえて失敗の経験を積むことも、非常に大事なんじゃないだろうか。
神童も、20歳過ぎればただの人と聞く。
有名大学を卒業しても、社会でつまづく人がいる。
中高年のひきこもりの大部分は、社会に出た経験のある人だ。
大人になってから失敗し、立ち直れずに引きこもりになるのね。
学生時代の不登校からそのまま……って人は、思ったよりずっと少ないのだそうだ。
やっぱり、子どものうちに失敗しておいた方がいいと、僕は思う。
失敗しても笑って(もしくは多少の罰で)許されるのって、子ども時代の特権だ。
考えようによっては、失敗し放題なお得な時期だ。
無責任ってステキ!
今のうちにつまづこう!
つまづく経験は絶対に必要。
失敗したって人生が終わるわけではない。
絶対にない。
その人の価値は変わらないし、失敗しても大丈夫と知ること。
めっっっっっちゃ大事よな。
失敗させないように転ばぬ先の杖をつきたくなるけど、それよりも失敗から学ぶ方が大事なんじゃないかと、人生失敗だらけの僕は思う。
※もちろん心折れるレベルの失敗は避けてほしいけど。
最後まで失敗せずに人生を乗り切れればいいけどさー。
ほとんどの人が、そんなわけにいかないでしょう?
子どものうち、親が骨を拾えるうちにぜひ失敗させてあげてほしい。
骨拾いババァ(ジジィ)が周囲をうろついている子は、安心して失敗ができると思う。
「あ、イエローでも大丈夫なんだ」と自分で気づく日が来るだろう。
目の前の、明らかに失敗しそうなその状態。
気になるけど、見て見ぬふりをする選択肢も、アリ寄りのアリじゃないかと思う。
骨拾いの準備だけして。
P先生、いつもためになるブログをありがとうございます。
失敗させることの大切さ。これは何となく知っていたので、赤ちゃんのころから「あれダメ、これダメ」を言わずに何でも挑戦させてきたつもりでした。
それでも本人の生まれ持った慎重さや不安の強さといったものが、年齢が大きくなるにつれて強くなっていった気がします。
失敗して、立ち直る経験を積んでほしいけれど、そもそも何にもチャレンジしません。
いま中1で完全不登校ですが、このような子はどうしたらよいのでしょう。。。
うちのなんとなく出来てきた息子。高校生になり撃沈してます。
今回の記事、タイミング的にピッタリで、息子のテスト結果も優しい目で(少しだけ)みてあげられそうです。
大人になってるんだなー。
お忙しい中、頻繁に記事をアップしてくれる先生に感謝です!いつも前向きになれます。私の心の支えです〜!!
先生〜、今日の例えはゴレンジャーっ?笑
もちろん私は知ってますとも。
そしてモモレンジャーになりたかったんです。でも、私もカレー食ってました。汗だく…
うちの不登校息子も、今がまさに失敗体験中です。カレーに骨入れて食っちゃいそうですが、なんとか頑張れそうです。
先生のおかげです。ありがとうございます。
いつも拝見させていただいてます。
言葉の選び方や文章の作り方…毎回センスがありすぎます!
先生は間違いなくお忙しいはずなのに、私を含めた不特定多数の方が分かりやすく知識を得られるようにされていて心から尊敬しております。
すらすらと読めるこんな文章書けて羨ましいなとかそんなことばかり考えながら読ませていただいてます(^^;
内容と関係なくてすみません!
ふだんこうして書き込むことはほとんどないのですが、なんだか感謝の気持ちを伝えたくなって書き込んでしまいました。
ありがとうございます!