IQと学力の関係。
IQが150あったら、そりゃ勉強もできるでしょう?
そう思いますよね。
でもこれが、そうでもなかったりする。
IQと学力は、そこまで関係がない。
関係なくはないけど、さほど強い相関関係にはないようだ。
僕はこんな風に捉えている。
・成績が良ければ低IQではない。
・でもIQが高いからって成績が良いとは限らない。
どういうこと?
説明する。
まず、高IQの子ってどんな子?
IQが高い子は、能力に凸凹があることが多い。
いろんな能力が平均的に高いわけではなく、全体的に高めではあるけど、その中で得意不得意の差が大きい。
『ギフテッド』と呼ばれるようなタイプ。
それってどんな子?
クラスの中で特に目立たない、何考えてるかわからないあの子、だったりする。
頭が良すぎると、その思考や行動が凡人には理解できない。
僕のイメージでは、古畑任三郎。(先日再放送を見たので印象に残っている)
あの人はすごーく頭がい。(ですよね?)
でも、変人に見えるでしょう?
考えていることが人より数歩先を行っており、凡人の目には奇異に映る。
高IQの人は頭の回転が早く、理論的。
思考がスラスラ、どんどん、サクサク進む。
凡人がもたもた引っかかっている間に、もう数歩先を歩いている。
凡人がつまずくところが理解できないのだ。
ちなみに、頭のいい人に勉強を教わると、さっぱりわからなかったりする。
彼らには「わからないことがわからない」のだ。
で。
この人たちは「わからないことがわからない」ので、凡人を基準にした授業の面白みがさっぱりわからない。
凡人は何度も繰り返して漢字を覚えるのだけど、見れば覚えられるので繰り返す意味がわからない。
凡人は途中式を書いて計算ミスを減らすんだけど、彼らはすっ飛ばして答えを出す。
で、ですよ。
学校教育って、何度も繰り返したり、丁寧に途中式を書いたり、そういった努力が評価されるじゃないですか。
すっ飛ばして答えを出す天才は評価されないわけだ。
途中式がないと、正解でも点にならなかったり。
「答えは合ってるのになんで?」
これは面白くない。
そのうち学校の勉強自体に興味を失う。
加えて、授業は凡人に合わせて進む。
つまずきやすいところを丁寧に解説したり、大事なところは何度も繰り返したり。
でも彼らには、当たり前で、分かりきったこと。
これをくどくど説明する授業に興味が持てない。
まぁ飽きるよね。
知的好奇心旺盛な彼らは、授業を聞かず別のことを考えている。
もともと能力の凸凹、興味の偏りがあるので、興味ない授業は本当に全然聞いてない。
いかに天才と言えど、まったく知識がなければ点数はとれない。
なので、成績は結構悪かったりする。
小学校では勉強しなくても点が取れたのに、中学以降はそういったわけで落ちこぼれたり。
あー、いるよねそういう人。
もし僕のブログがみなさんに理解され、共感いただいているのなら、僕のIQが高くない証左だ。
凡人の思考に沿って説明できている証拠。
自覚しているが、僕は凡人だ。
じゃあ、成績がいい人ってどんな人?
中学校の成績トップをひた走る子たち数人に、WISCを受けてもらったことがある。
どんな結果だと思います?
IQ100だった。ド平均。
もっと詳しく言うと、言語理解100、知覚推理100、ワーキングメモリー100、処理速度100。
で、トータルのIQ100。
超ド平均。
まぁこの子たちは成績トップであり続けるのがしんどくなって、僕の外来に来たのだけれど。
他の成績優秀な子も、IQはさほど高くなかったりする。
100〜120くらいか。
この子たちが良い成績を取れるのは、『普通』だからだと思っている。
授業や参考書がぴったりフィット。
つまずいたところが周囲から理解されやすく、指導もしてもらいやすい。
書き取りや暗記など、『普通』に努力すれば、『普通』に身に付く。
努力が順当に実を結ぶ。
達成感を得られるし、自信にもなる。
ゆえに成績上位でいられるものと予想している。
成績が良いということは、IQは低くない。(平均以下のことは稀だろう)
でも、高いとも限らない。
ばらつきなく平均的に能力がある子が有利かな、と思っている。
そんなわけで。
・成績が良ければ低IQではない。
・でもIQが高いからって成績が良いとは限らない。
と思っているのだが、いかがだろうか。
もちろん成績はIQに依存するわけではなく、本人のやる気によるところが大きい。
高IQの子がやる気を出せば、成績は良い。
普通のIQの子がやる気を出しても、成績は良い。
結局、本人がどの程度頑張れるか、だと思う。