起立性調節障害

子どもの頭痛

頭痛を訴えて受診される方は多い。 

「今朝から急に頭が痛いと泣いています!」という急性発症から「数年前から度々頭痛があり、最近頻度が増えて心配」という人まで。 

症状や状況は様々だが、でもある程度の共通点が存在する気がするので、記載したい。  

「子どもにも片頭痛ってあるんですか⁉︎」

しばしば聞かれる質問だ。 

答えは、ある。

しかも結構よくある。

大人特有の病気ではない。 

でも、子どもの片頭痛はわかりにくいことが多い。 

僕は頭痛の専門家ではないので、頭痛の患者さんが来たら、『片頭痛』か『それ以外』かを見るようにしている。(もちろん脳腫瘍や脳出血は考えるがここでは省く。)  

子どもの片頭痛は、わかりにくいことが多い。

大人のように、「目がチカチカして頭の片側だけガンガンして、暗いところで休むと翌日には治ります」みたいな典型的な症状ではないことが多い。 

片頭痛とはいうものの、両側が痛いとか、全体的に痛いなんてこともよくある。

「ガンガンするかギューっとするか」という質問に対する答えもまちまち。

子どもは大人のように症状を的確に説明できない。

親が痛いわけではないので、代わりに説明することもできない。  

なので見分けるポイントとして、動けないほどすごく痛いかどうかを重視している。

片頭痛は、かなり痛い。

日常生活がままならないことが多い。

「動けないほどの痛くて学校を休んだ」「こうなったら寝るしかなく、寝ると翌日治っている」なんて訴えがあれば、片頭痛っぽいと思う。 

片頭痛であれば、治療は大人と一緒。

規則正しい生活をして、痛くなり始めたら早めに痛み止めを飲む。

痛い日はゆっくり休むとして、痛くない日は普通に生活できるだろう。 

  反対に、片頭痛らしくない場合とは。 

「朝からずーんと痛いけど、我慢すれば学校生活は送れる程度」

「午後にかけてだんだん軽快するがゼロにはならない」

「翌朝また痛い。連日痛い。」

なんて場合。 

緊張型頭痛とか、起立性調節障害に関連する頭痛とか、そういったものだと思われる。

起立性調節障害にはよく頭痛が合併する。  

このタイプの頭痛は頻度が高く、月の半分異常、ひどいとほぼ毎日痛いなんてことも。

ちなみに片頭痛は月に数回程度だ。 

痛み止めを連日飲むことになり、今度は『痛み止め関連頭痛』が心配。

あまりにも痛み止めを頻用すると、そのせいで頭痛が起こるらしい。

これでは本末転倒だ。 

このような場合、痛みをゼロにすることを目標にせず、うまく付き合っていきましょうと説明している。 

僕の外来では、多くの子はこの『片頭痛っぽくない頭痛』に『片頭痛』が重なっている。

両方の要素を持っているのだ。 

ベースに片頭痛以外の頭痛があり、常に少し痛い状態。

活動はできる程度だけど、まあまあ痛い。 

そして月に数回、この上に片頭痛が乗っかる。

その日はすごーく痛い。動けない。 

翌日、片頭痛は治まるが、ベースの頭痛は残っており、痛みはゼロにはならい。  

こんな感じが多い。 

その場合、片頭痛の日は積極的に薬を飲んで、休みましょうと話している。

片頭痛じゃない日は、ある程度は許容するのがよいと思う。  

痛みをゼロにするのは難しい。

許容することが重要。 

このタイプの頭痛は、起立性調節障害とか繊細な性格とかが絡んでくることが多く、「学校ですごーく痛くなったらどうしよう」「明日テストなのに朝から痛かったら困っちゃう」など『今後起きる痛み』を予想し、不安になることがある。 

すると、不安が自律神経を乱し、起立性調節障害を増悪させ、引きずられて頭痛も悪くなるという悪循環。  

今後起こることを予想して不安になることを、『予期不安』と呼ぶ。

これが様々な症状を増悪させる。  

 そうならないように、ある程度の痛みなら許容するのがよいと思う。

ゼロを目指さず、付き合っていくのがよい。 

とりあえず頭のMRIと血液検査をして、異常がないことが確認できたら、あとはそういうものとして受け入れるのがいいだろう。 

どーんと構えた方が、頭痛は楽になっていくようだ。

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