子供の問題行動で受診される方は多い。
反抗的とか、やるべきこと(宿題とか)をやらないとか、思い通りにならないと怒り狂うとか、不登校とか、切り替えができないとか。
ダメなものはダメって厳しくしつけろって言うんです。
僕は思うんだけど。
甘やかすとワガママになる、それ本当?
ワガママな子
以前質問された。
反抗期の娘さんにホトホト手を焼いている様子のお母さん。
中学生にもなって、やっちゃいけないことはダメって叱ったら、余計に暴れて手がつけられなくなって……。
これな。
こういったトラブルは多い。
悪いことをしたから叱ったのに、反省するどころか逆ギレして激おこ。
激おこぷんぷん丸!
余談だが、「おこ」の表記は下記6段階だそうだ。↓
- おこ(弱め)
- まじおこ(普通)
- 激おこぷんぷん丸(強め)
- ムカ着火ファイヤー(最上級)
- カム着火インフェルノォォォォオオウ(爆発)
- 激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム(神)
Wikipedia 「激おこぷんぷんまる」
余談があまりにも余談すぎてもう。
閑話休題。
さてさてこのトラブル。
どう考えましょうか。
ちなみにお母さんの解釈モデルは例の如く「私が甘やかして育てたのでワガママになった」だ。
僕の考え。
フツーに素朴に疑問なのだが、この子、「車を蹴ってはいけない」って社会的なルールを知らないの?
傷ついたら修理が大変だしお金もかかるし、って分かってない?
中学生でしょ?
そんなわけなくない?
知ってて、あえて車を蹴ったんだと思うんだけど。
「車を蹴ってはいけない」と理解しているからこそ、あえて悪いことをしたんだと思う。
だから、「車を蹴ってはいけない」と叱りつけることになんの意味もない。
じゃあなんのために車を蹴ったのか。
フツーに、お母さんへの嫌がらせでしょうね。
激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム(神)!!!
その気持ちの表現として、わざと悪いことをしたのだろう。
お母さんがわからんちんだから激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム(神)でお母さんの嫌がること、つまり車にキックをしたのだと思う。
「あたしゃ怒ってる」という気持ちの表現として車をキックするのは、冷静に考えたらあまり効果的な方法ではないのだけど、でも子供だしそんなもんでしょ。
怒りの腹いせに嫌がらせの車キック!
そんなもんでしょ。
それならすごく納得できる。
ワガママになった「理由」
この子が悪いことをした理由。
この場合は「思い通りにならなくて車キック」だけど、他のケースでも同じだと思う。
悪さの理由。
話を聞いてくれないから
じゃないでしょうか。
母の考えを押し付けて、自分の意見は聞いてもらえない。
自分にも意見があってそれを聞いてほしい。
その上でなら母の意見も聞くし、すり合わせ、歩み寄りも交渉の余地あり。
なのに母がわからんちんで!
それがかなわないから、「必殺! 車キック!」したわけで。
納得いかない気持ちの置きどころが分からず、とりあえず母もイヤな思いをしろ! って思ったわけで。
あわよくば私の話を聞け! って。
甘やかし、関係なくね?
ルールを理解していないからやったわけじゃないと思う。
だからルールを教えても意味がない。
「社会のルールなにそれおいしいの?」って子なの?
そうじゃないと思う。
「私が世界の中心だからみんなひざまずけ、命乞いをしろ!(ムスカ)」って思ってるなら、きっと他のことでも問題が起きまくってすでに介入されていると思う。
ルールを理解してない子なら、周囲が分かる。
きっと自閉症か知的障害があるんだと思う。
そしてそんな子に対し、「甘やかしたからワガママになった!」とは思わないと思う。
「この子は分かってないんだな、仕方ない」ってなるでしょうね。
問題になってる子は、そういう子じゃないわけでしょう?
だったら、ルールは分かってる。
分かっててわざとワガママ言ってる。
じゃあ、わざとワガママを言わなくちゃいけなかった原因、きっと多くのケースで「話を聞け!」を解決するのが筋だと思う。
なのでこのケースの場合、僕はどんな内容でどんな口論になったのかの方が気になる。
社会のルールを学ぶ場所
いや、わかるんですよ。
「ワガママなのはしつけができてない、つまり親である自分が社会のルールを教えなかったからだ」って思うから、強く叱って今からしつけようとするんですよね。
ワガママが通ると思ってるけど、世の中はそんな甘いもんじゃない! って。
それはわかる。
でも、きっと違って。
社会の仕組みとかルールって、家庭の外で学ぶ方がずっと多いんだと思う。
例えば親に「人を叩いちゃいけません」と教わる。
でもそれだけじゃ字面では理解しても、でもなんで叩いちゃいけないのか、根本の理解はない状態。
しっかり理解するのって、園や学校で友達を叩いて、あるいは友達に叩かれて、「叩いたら相手がイヤな思いをする」って実感したときだと思う。
相手はイヤな思いをするし、自分は嫌われるし、何も解決しない。
じゃあ叩くのはやめとこ。
そんな風に経験から学んでいくんだと思う。
親に教えられるのは、表面上のルールのみ。
「破ったらマジシャレになんねー」って実感は、社会の中で学ぶものだと僕は思っている。
ルールを学ぶ場所、それは家庭じゃなくて社会。
だから、ワガママと甘やかしは関係ないと、僕は思う。
だからだから、ワガママって交渉や表現の手段としてあえてやってるんだと思う。
だからだからだから、ワガママな子ってつまりルールをきちんと理解したよくしつけられた子ってことだと思う。
まとめ
- ワガママは、分かっててわざと言ってる
- 社会のルールを学ぶ場所は家庭じゃなくて社会
- ワガママ言う子はよくしつけられたいい子
そんな意識でいていただけると、思春期の子供のワガママにイライラすることが減るかなーなんて思う。
今回もためになる記事をありがとうございます。
うちの子も荒れた時期がありまして、その頃は「お母さんは話をぜんぜん聞いてくれない!(激おこ)」とよく言われていました。話は聞いているけど、料理しながらだったり、即座に答え(余計なアドバイス)を返していたので、不満だったのかもしれません。
わがまま言う子はしつけられた子、という言葉に少し心が軽くなりました。
勉強は家でもできるけど、社会のルールは家から出ないと身に着かないんですよね。その意味で、家にこもっているわが子に焦ってしまいます。
今日も思わず笑ってしまうブログをありがとうございます。ムスカの例えも最高です!
「でも子供なんだしそんなもんでしょ」
これですね!お父さん達にも是非この感覚をお願いしたいです。
子供の話、聞いている「つもり」なんですが、子供は「全く聞いてくれない!」感覚なのでしょうね。。。