需要があるかわからないけど書いてみる。
僕は本っっっ当に勉強ができなかった。
特に苦手だったのが数学。
自慢じゃないが、高校3年間のテストで、30点を超えたことは一度もない。(えっへん!)
※偏差値50台の公立高校
そんな僕がどうやって医学部に潜り込んだか。
バネだと思う。
それまで僕は、全く勉強してこなかった。
親への当てつけでわざと悪い点を取っていた感じもある。
小学校の頃はそこそこ勉強できたので、地頭はそこまで悪くないのだろう。
でも、やらなければ伸びないのであって。
『やる』才能が皆無で、それ含めて自分の能力だ。
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じゃあいつスイッチが入ったかというと、受験を決めたとき。
具体的には高2の冬だった。
自分があまりにもクズすぎて、何もなさすぎて。
そんな自分が周囲に認めてもらうには、もう資格を取るしかないと思った。
自分のチカラでは無理だから、国家資格に頼ろう。
で、医師免許。安直だ。
泣きながら勉強して1浪で合格した。
高校3年生は授業に参加せず、中学の参考書をやっていた。(お恥ずかしい)
因数分解なにソレおいしいの? からのスタート。
リアル偏差値30からの大学受験。
ビリギャルも真っ青、ドラゴン桜もチアノーゼだ。
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クズな自分がなぜそこまで頑張れたか。
「勉強は苦手ではない」という思いがあったからだと思う。
新しいことを知るのは楽しかった。
いろんなことについて、あーでもないこーでもないと考えるのも好きだった。
目の前に起こったことを、理論的に整理して、分類するのが好きだった。
自分にはいろんなカードが欠けてるけど、『勉強』のカードは持ってる気がする。
その思いだけが自分を支えてきた。
今にして思うと、自分を信じるチカラ、つまり『自己肯定感』ってやつだ。
これがなければ受験なんてハナから諦めていたと思う。
幸いなことに、僕は親から「勉強しなさい」と言われたことがない。(虐待家庭だったから)
その点については親に感謝している。
強要されたら勉強が嫌いになっていただろうと思う。
それまで、僕はずっと腐っていた。
腐って腐って腐って、とことんまで腐った。
だからこそのバネだと思う。
色々考え、絶望もしたし、自分が持たないものも見えてきた。
じゃあ持っているカードをどう切るか。
勉強ならできるかもしれない。
勉強ができれば、医師免許をとれば、『みんなが認める僕』になれるかも……!
自分にできること、できないことを見据えた上でのバネだ。
決めたらもう突っ走るしかない。
もちろん勉強は大変だった。
でも、ここで人生を諦める方がずっと怖かった。
『やる』一択だった。
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これが僕の受験物語。
でも受験に限らず、成功者は総じて『好き』や『興味』を味方にバネを使っていると思う。
イチローは小さい時からものすごい量の練習を続けてきたと聞くが、苦痛ではなかったそうだ。
何かを成し得る時って、努力を努力と思わない。
好きでやってたら成功しちゃった、みたいな。
外来の患者さんを見ていて思う。
もっとバネを使えばいいのに。
本人の気持ちがついてきていないのに、親や先生に勉強を詰め込まれている。
毎日の課題をこなすのでやっとで、あれじゃ「勉強ってつらいもの」としか思えないだろう。
少しでも高く、昨日よりちょっとでも高く。
で、バネが伸びきってビロンビロン。
あれじゃ高くジャンプできっこないな、と思う。
発達障害の子の、苦手分野の克服。
ADHDの忘れ物管理とか、ASDの感情の切り替えとか。
それより秀でた部分を伸ばしてあげればいいのに、と思う。
『その時』がきたら案外なんとかなる。
目標が定まれば、ビヨヨヨ〜ンと飛び越えていける。
あんなに苦手だった数学も、受験に必要なら克服できる。
(僕は医学部予備校で数学トップになった。そして受験が終わった瞬間に全部忘れたので今では九九も怪しい。)
必要とあらば、苦手なこともなんとかなる。
逆に必要と思わなければ、苦手の克服はかなりしんどいだろう。
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興味深いことに、WISCでみるとかなりの苦手分野のはずでも、その気になれば結構良い結果を残す。
例えばワーキングメモリーが低くても暗記モノの点が取れるのだ。
だから、「この子は○○が苦手」とレッテルを貼らなくて大丈夫。
能力を決め付けないであげてほしい。
それより、自分で自分を信じる力、すなわち『自己肯定感』を育てるのが得策と思う。
苦手は回避し得意分野で勝負すればよい。
平均的になんでもできる必要はない。
無理して間口を広げておく必要もない。
その子が持っているバネを信じて、その時がくるのを待つのがいいと思う。
それが一番効率が良いと思うのだけど。
「でもうちの子、いつまでたってもジャンプしない。
だったら少しでも高いところに手を伸ばさせたほうが・・・」
そのレッテルを貼らないでほしい。
その子がジャンプしないって、なぜ決められるのか。
僕はジャンプした。高校2年で。
バネを使う機会なく一生を終えるなんて、すごくすごく勿体無いと思う。
高く飛ぶには一度しゃがむ必要があるわけで。
『その時』がくるまで、じっくりしゃがませてあげてもいいんじゃないかな、と僕は思う。