不登校

不登校で失う〇〇を、どう補うか

不登校で失うもの。

僕はコレだけだと思っていて。↓

不登校で失うのは〇〇のみ 子供が不登校になると「すべて終わった」みたいな感覚になる方は多いと思う。 親御さんも、不登校児自身も。 ...

 

機会の損失

 

不登校で失うのは『機会』

 

学校に行っていればできたこと。

具体的には

  1. 勉強する機会
  2. 同年代の友達とのコミュニケーションの機会

を失うわけです。

学校ってコスパがいいからね。

 

 

不登校になると、この、「機会の損失」が問題となる。

 

  • どこでどう勉強すれば⁉︎
  • どのようにコミュニケーションの機会を作れば⁉︎

 

逆に言うと、不登校で失うものはコレ「だけ」だと僕は思っていて。

機会を失うだけで、経験まで失ったわけではない。

 

そして、失うものがあれば、必ず得るものもある。

「時間」だ。

 

時間はあるのだ。

別口で経験すれば良い。

 

それ以外の、根性とか努力とか忍耐とか普通とか将来困るとかは、僕的にはクソ食らえで。

そんなもののために、心を潰してまで学校へ行く必要はない。

 

機会の確保

でさー。

そうは言っても、不登校になっちゃうと、現実問題その「機会の確保」が難しいわけです。

 

ですよね。

フリースクールとか適応指導教室なんかもあるけど、うまく乗れるとは限らないし。

塾や習い事なんかも選択肢だけど、これも出来る子と出来ない子がいる。

 

できる子は、それでいいんよ。

なんとかうまく適応し、どこかに所属。

勉強やコミュニケーションの機会を持てる子なら。

そうじゃない子が困っちゃう。

ダメだったら、その時どうする? 〜うまくいかない可能性〜僕はこのブログで、かなり極端なことを書いている自覚がある。 ゲームの時間制限をしても、どーせうまくいかない。 ...

 

こんな子は、そもそもなぜ不登校になったか、自分でもよく分かっていないケースが多いように思う。

 

なんかイヤ、そしてとにかくイヤ!

↑本人は色々言うけど、突き詰めると、結局ここに帰着する。

 

具体的に「イヤな部分」が分かっている子は、対応策が取れる。

 

女の子
女の子
大人数がイヤ。

 

なら、少人数のフリースクールへ行けるし。

 

男の子
男の子
算数がとにかく苦痛。

 

なら、取り出し授業や別課題など対応しようがある。

 

女の子
女の子
〇〇ちゃんがどーーーーーしても嫌い!

 

であれば、次年度のクラス変えからは行けるのが道理だ。

 

 

これら、本人の言う「理由」を解決してもなお行けない子。

もしくは、

 

男の子
男の子
人目が怖い!

人がいる場所には行きたくない!

 

女の子
女の子
勉強も部活も人間関係も、全部100%完璧にしないと。

 

みたいな解決不可能な理由の子が、最後まで「困っちゃう」。

 

 

現実的な話が進まないケース。

「もう、とにかくイヤなのっ!」みたいな子が困る。

もしくは、「やるよ!」→「できなかった」→「こんな自分はダメだ……」的なケース。

結局、何がイヤでどうしたいか、何ならできるのか、自分でもよく分かっていないものと思われる。

 

この子たちの居場所

こんな子たちにどうやって「機会」を確保するか。

大きな問題だ。

ってゆーか、不登校支援はここに集約されるとさえ思える。

 

どこかに行ける子はいいんよ。

ゆっくりでも、自分で居場所を選べる子は。

家を快適にして、エネルギーが溜まれば、「暇だー」と言いながら自分から動き出す子なら。

 

そうじゃなくて、まったく動けない子。

探せない、選べない、決められない。(まさに優柔不断)

じゃあこのままの生活でいいのかというと、それも違う。

(本人はいいと思っているケースもあるけど、大人としてはやっぱり社会的な自立を目指したい)

 

 

この子たち、そもそも発達にデコボコがある。

不安が強かったり、こだわりがあったり、認知に歪みがあることも多い。

だから動けない、現実的に考えられないわけだけれど。

 

この子たちにこそ、「経験」が必要だ。

社会の中で、相対的に自分はどんな特性を持ち、じゃあどうやって適応するか作戦を練る。

失敗の経験も含め、絶対的に「経験」が必要。

 

なんだけど、その機会がない。

経験する機会がないのだ。

不登校だし、基本誰とも会わないからさー。

 

これが困っちゃう。

不登校支援でぶち当たる壁だ。

 

大人が居場所を作るんだけど……

こうなると、大人が居場所を作るしかないのだろう。

本人が動かないのなら、周囲が機会を作り、強制的にぶち込む。

 

  • 無理に学校に行かせるのも選択肢。
  • フリースクールも良い。
  • 進路も、大人が決めてとりあえず行かせる。

 

なんとか経験させるしかない。

 

非常に不本意だけど!

 

結局、根性論だ。

根性論、大嫌いだけど。

でも、現実問題そうするしかないケースも、確かに存在する。

 

「経験」を得るために、無理やり「機会」を押し付ける。

それしか方法がない。

 

 

いやー、不本意だけどね。

こんな子は、ASDタイプか、知的にゆっくりなタイプだろう。

本人の特性をよく観察し、こりゃ動かないなと判断したら、押すしかないケース。

あります。

 

当たり前だけど、時間をかけて慎重に観察、判断する必要がある。

「不登校になったらとにかく押せ!」って話ではないからね。

特性を踏まえ、失う経験と本人への負荷とを天秤にかけた上で、の話だ。

これが大前提!

 

 

でも、この時にまた、ぶち当たる。

やっぱり、「その上でも心を潰してまで学校(やそれに準ずる場所)へ行くべきではない」という理論もまた、真なのだ。

経験のために生涯癒えない傷を負ったら、本末転倒だ。

 

不登校の子が無理やり学校へ行くことが正解ではないし、でも機会を失ったまま放置では社会復帰できないし、かといって無理に社会参加させて心を潰すのも違う。

非常にややこしい。

 

難しい点だと思う。

 

一番支援が必要なのは、支援できない人。

 

すごく実感する。

全く動けない、支援できない人にこそ、経験が必要なのだ。

不登校のジレンマ。

 

とにかく、出来る人に出来る支援をしていくしかないのだけれど。

  • 不満を取り除けば学校に行ける子には、不満を取り除くお手伝い。
  • 学校以外の居場所を持てる子なら、その応援。
  • そもそもそんな段階の前のエネルギーゼロの子には、家を快適にするアドバイス。

 

手をかえ品をかえ、色々試しながら、その子がどんな子か観察する。

 

どんな「玉」を持つ?

じゃあ、ゴールはどこ?

逆算して、今は何ができる? 何をするべき?

 

それしかできないんだけどさ。

 

まとめ

こう言っちゃ身も蓋もないんだけど、不登校は絶対になくならない。

僕はそう思う。

「一人も取りこぼさない教育」なんて、不可能だ。

絶対にこぼれ落ちる人は出る。

 

その前提の上で、今目の前にいるこの子に、我々が出来ることは何か、この子はどんな特性を持つのか、観察し、アドバイスする。

この子の力を信じて、自分で人生を選ぶ力があると信じて。

それしかない。

POSTED COMMENT

  1. あやめ より:

    いつもブログありがとうございます。

    ワールドカップ、引きこもり娘と興奮してみてました!P先生もご覧になってましたか?

    今回も納得の内容です!うちの子は10月より通信高校転校した高校1年女子ですが、まさに完璧主義の凸凹発達娘で、ある程度のお膳立てがないと動けないようです。私自身の過干渉問題もあるので、常にどこまでなら良いか?を娘の状態を、見極め、専門家に相談して、亀の歩みでゆっくりゆっくり進んでいます。ウチの場合は人目が気になっちゃって、家から出れないけれど月2回ぐらいのスクーリングなら行けるみたいなので、車で1時間かけて送迎しています。一年かけて、やっとここまで。知的にゆっくりなのかな?私もそんなとこあったので、気持ちもわかります。私は神経すり減らして学校行きましたので、この時期に自分の時間をもてる娘が羨ましい気がします。あせらず、けれど経験できる機会は逃さないよう、私と娘のペースで頑張っていこうと思います。

  2. やまだ より:

    いつもありがとうございます。内科の同業者です。そして不登校JKの母です。他の親御さんたちと同様に苦しんで悩んでリアルの世界やネット社会をうろついて、他の皆さんのアドバイスや助言で少しは落ち着いたのです。でも、娘とどう向き合ったらいいかは頭はわかる、理屈もわかる、でも感情が追い付かない、そんな状態でさらにうろうろ。そしてこのサイトにたどり着きました。医師という第三者?の立場だからなのかすっきり腑に落ちる言葉が多くありました。そして重い内容なのに親にも子にも優しい。
    不登校になる子の親に特徴や同一性はないと思うけれども、子供が不登校になって苦しむ親には特徴があるのではないかと思います。いろんなところで頭をたたかれた後だったからここに書かれていることが沁みました。毎日お疲れ様です。コラムを楽しみにしています。

  3. ねっこ より:

    “家を快適にして、エネルギーが溜まれば、「暇だー」と言いながら自分から動き出す“

    ↑最近疑問に思っていたこと、まさにこれなんです! 不登校の本やスクールカウンセラーさんとか、みんながみんなそう言うんです。
    家を快適にしてね。親に出来ることはそれしかないって。そうしたら暇だーって言ってそのうち勝手に動き出すって。登校刺激は絶対にダメだよ!!って。
    うちの子、不登校になり一年半、暇だーと言ったりしますが動きません。言いながらも楽しそうにゲームです…。なんかうちの子の場合は違うのでは?と疑い始めていたところです。

    発達凸凹、ASDありそうなんです。
    機会ですね、うちの子の場合、確かに与えたほうが良さそうな気がします。
    何が正しいのか何が駄目なのか難しくてまだよく分かりませんが、今回の先生のような意見は初めて見ました。参考にして色々考えたいと思います。
    また続編を?是非よろしくお願い致します。

  4. より:

    P先生、いつも勉強になる話をわかりやすくブログに書いて頂きありがとうございます!
    時折繰り出されるギャグの内容に同年代感を感じて勝手に親しみを感じています。
    我が家では小学校5年生の息子が周囲のサポートもあり最近再登校をし始めました。
    いわゆる回復期に入り始めたのか?と思ってはいるのですが、本人の背中を押して、調子良く長めに学校にいれるときもあれば、ちょっとでも嫌なことがあるとまた行き渋り、親としては背中を押すのを辞めたらまた不登校に逆戻りする気がして背中を押す手を離せません。再登校し始めた子ども、とてもあやういです。まだ十分エネルギーがたまっていないのか。でも家ではとても元気になってきたんです。再登校が上手くいく親子の特徴や親の対応方法について、もし家庭環境を快適にする以外に何かあればブログで教えて頂けたら嬉しいです。

  5. 1173 より:

    ありがとうございました!
    このお話が聞きたいと思っていました。

    中三からの不登校を経て、通学できる通信制高校へ入学した凸凹高2長女。学校は休みがちだけど大学で学びたい夢もあり、バイトや旅行など青春を謳歌できるようになりました。
    やりたい、があることがどれだけ救いになってるか痛感しています。
    人の目や存在を気にしすぎて疲れに疲れてしまい、不登校になった中3次女。気も遣えて優しくて、友だちからは慕われ、勉強は苦手でも教えてくれる子もいる。
    でも、部活もあそびも自分で決められず、友だちのあとにくっついてたらいろいろ苦しくなってしまった。
    元気な姿しか知らない学校の先生やお友達ははびっくり!!
    人と会うのはしんどくて特に男の人は怖くて、コンビニのレジも行けない。PASMOで買っておいでって言ってもどうしたら良いかわからないから怖い。。家ではまっく~らの中ベットにベッドに寝ている毎日。
    個別で学習も療育的なこともやろうとしても、新しいことをやるエネルギーもないし見通しつかないことはできないから全部拒否。
    これはやばいとどうにか通院はしながら養生中。
    高校?高校生にはなりたいけど、学校なんて選べない。将来?やりたいこと?好きなこと?わかんないよ!!(泣)

    好きなことしかしたくない小5凸凹長男。小3頃から休校もあってから、おや?と思いはじめました。
    勉強苦手。図工以外授業、何話しているかわかんないんだよね、と言うところから始まり、コミュニケーションも苦手意識大。某バレーボールアニメのような友情もの大好きで、現実はうまくいかないことにイライラ。
    学校では上級生の存在がプレッシャー&音声もイヤ。一人になりたい!→外へ飛び出す&床で寝る(本当に寝るらしい)
    すっかりゲームとYouTube依存の不登校です。あまりに何もせずリビングでテレビを陣とるので父親にも煙たがられてこじらせ加速中。
    あれこれ提供しようとしましたが、いや、いい。いかない。ばかりで疲れてしまい、この半年ちょっと、ほっときました。
    オレのことはほっといてくれっ!て感じだけどほっとくとそわそわするお年頃。どうしたら良いかわからずにおりました。

    でもちょうど私が一念発起し、新たな場を提案。強気で行くよって言っただけなのでどうなるかわかりませんが来週行ってきます。

    これもまたダメなら、しばらく様子見てチャレンジするしかないんでしょうね。
    この声をかけるタイミングが難しい…
    言い過ぎてもプレッシャーになるようです。

    長くなりすみません。

  6. 匿名 より:

    中2男子、入学1ヶ月で不登校になりました。まさに、この「何がイヤか分からない。けど、とにかくイヤ」状態です。親から見ると、多分ASDのグレーゾーンだと思う。病院で一度診察させたいが、本人は特に困ってない(外と関わりがないため、困る場面がない。学校行けないことは困り事ではないと思ってる)
    中学卒業まで、あと1年チョット今後どうするべきか…本人にどう話すかどうアドバイスするか悩んでる。

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