発達障害

子どもに発達障害を伝えるか 〜僕の経験から〜

子ども本人に、「あなたは発達障害です」と伝えるか否か。

よく相談される。

 

僕は個人的に、伝えた方が良いと思っている。

その理由。

最近、こんなことがあってですねーーーーー。

 

僕はASD

先日友人と話していて、こんなことがあった。

 

友人
友人
こないだ会ったんだけど、お前、〇〇病院の山田先生と同じ学校の出身なんだって?

 

……え?

 

友人
友人
山田ケンジ、知らない?

 

山田……ケンジ……だと?

 

どうしよう、全然、何も思い当たらない。

友人も、あ、察しって顔。

あぁ、じゃあいいやってなって。

 

変な気を使わせてしまった……。

 

こんな時、思い知らされる。

あぁ自分はASDだ。

他者とのコミュニケーションが苦手というか、平たく言えば、他人に興味がない。

 

 

思えばこれまでの人生、このようなことが何度かあった。

 

相手は僕を認識している。

でも、僕は相手を知らない。

 

これは僕の特性だ。

他人が視界に入っていない。

むしろアウト・オブ・眼中。

でも相手は僕を認識している。

同じ学校の目立たないアイツ、と。

 

このすれ違いは、たびたび経験するところだ。

そして僕が少数派であり、特性持ち。

一般には同じ学校の生徒はなんとなく認識している人が多いのだ。(そうなんですよね?)

僕の感覚では信じられないけれど。

 

 

若い頃、特に学生の頃なんかは、僕はこの特性を自覚していない。

このようなシチュエーションで、僕は瞬間的にこう感じる。

 

誰それコワイ!!!

 

自分は全く認識していない相手が、自分を知っている。

しかも山田ケンジの例で言うと、彼は2学年上らしい。

学年が違うなら、ほぼ確実に喋ったことはない。

 

なのに、なぜに僕のことを?

 

僕なんて、めちゃめちゃ目立たない、地味な存在だったハズだ。

良くも悪くも目立たぬよう、細心の注意を払ってきたのだ。

 

でも、相手はそんな僕を、少なくとも卒業後10年以上経って共通の知人との話題に出す程度には認識しているという事実。

これが怖くてたまらなかった。

いや、恐怖でしかない。

 

正直、今でもそうだ。

怖くてたまらない。

 

これが僕の特性だ。

イレギュラーなもの、未知のものへの圧倒的な恐怖。

「コワイ」「イヤダ」が先に立ち、全身全霊で拒絶する。

うん、ASDだ。

 

特性をケアする

でも!

今の僕は違う。

昔の僕とは違うのだよ明智くん。

 

これが特性だと分かる。

相手は、ふっつーーーーーに同じ学校の在校生として僕を認識していただけだ。

そこに悪意はないし、もしかしたら好意があるかもしれない。

ここからコミュニケーションが生まれる可能性だってあるのだ。

 

だから、過剰反応しない。

以前の僕なら誰だ、名を名乗れ!!!とか、武士みたいなことを言っていたはずだ。

そして人間関係を破綻させていたはず。

 

でも、今の僕は違う。

自分がASDだと知っている。

瞬間的に「誰なのコワイ!!!」と思っても、一旦心を落ち着け、冷静に対応することができる。

 

相手は怖くない(ハズだ)。

怖いのは、むしろ過剰反応する自分。

 

どこかでもし山田先生に会う機会があれば、僕はにこやかにこう言うだろう。

 

山田先生、こんにちは。

同じ学校の出身だそうですね。

 

あぁ、成長した。

僕は成長しましたよお母さん!

 

 

これができるのは、僕自身でASDと自覚したから。

特性で、他人に興味がないこと、いや、なさ「すぎる」ことを自覚した。

よって失礼なのは僕で、一方的にパニックになるべきではないし、そうするメリットもない。

自分の失礼を詫び、人間関係を構築していく方が、ずっと建設的だ。

 

これが、僕が自分の特性をケアするために気をつけていること。

反射的に「コワイ!!!」と思っても、一旦心を落ち着け、「ゴメンあなた誰でしたっけてへぺろ⭐︎」をするってことね。

自分の特性を把握しているからこそ為せる技である。

空気を読む前に……ASDの子。 「空気が読めない」というのはよく聞く特徴で。 とか。 ...

 

僕の黒歴史

思えば、これができるようになるまで、僕はこちらからコミュニケーションを叩き切ってしまっていた。

友達を作ろうにも、こちらから拒絶していたのだ。(しかも無自覚に)

 

学生の頃、新年度は怖すぎて誰とも喋れなかった。

友達の誘いも、知らん人が一人でもいる場合は行かなかった。

よく知らん人から話しかけたら、反射的にATフィールド全開ッ! だ。

 

就職後は、病院では医者の数って多くないので、看護師さんは僕を把握しており、でも僕は把握していないという事態が多発。

多分、相当おかしな対応をしていたと思う。

「お主誰だッ!」とは言わないけど(ナースなのは見れば分かるから)、僕はたいそうキョドッていたと容易に想像できる。

多分、相当キモかった。

 

くそぅ。

当時もう少しうまくやっていれば、抱かれたい男ランキング上位とまでは言わないが、抱かれたくない男ランキング常連からは逃れられていたはずだ。

(そんなランキングないけど)(いや、実はあるのか?)(女子会のネタにされてたらどうしよう……)

 

 

ちなみに僕が特性をはっきり把握したのは、20代の頃。

なんか、知らん間に同期に嫌われて。

そりゃもう、毛虫のようにけちょんけちょんに嫌われて。

多分、(アウトオブ眼中で)無視したとかあったのだろう。

僕が悪いのだろうけど。

 

あまりの嫌われっぷりに引いた別の同期が、教えてくれた。

 

なんで嫌われたか分からないってお前、そういうとこじゃね?

 

そうか、分からないのがもうおかしいんだ!

 

嫌われた理由なんて、普通分かるはずなのだ。

そう言われてみると、これまでの失敗の歴史も腑に落ちる。

これを教えてくれた同期に本当に感謝している。

 

子どもに特性を伝える

ってなわけで、僕は子どもには自身の特性を伝えるべきだと思っている。

 

この子は一生、この特性と付き合っていく。

本人が知って、本人がケアするのだ。

知っておいた方が圧倒的にやりやすい。

 

僕のように、黒歴史を量産する前に……。

お願いだよ……知らせてやってよ……。(涙目)

 

いつ知らせるかはケースバイケースで良い。

もう少し大きくなってからでもいいし。

「発達障害」じゃなくて「〇〇な特性がある」といった表現にするのも手だろう。

 

 

僕が子供の頃、最も教わりたかったこと。

勉強より運動より、この「持って生まれた特性」を教えて欲しかった。

「お前こういうとこあるから、ケアしろよ」って。

 

黒歴史を量産した挙句やっと同期に教えてもらうより、「てへぺろ⭐︎」で許される子供の時分に教えて欲しかったなーと、20年越しに思う。

POSTED COMMENT

  1. 杉母 より:

    いつもありがたく拝読させていただいています!
    やはり本人にもしっかりと理解してもらう事を大切にしたいと思いました。現代社会ではネットでたくさん情報があるもんだから、本人も自分は間違いなく発達障害があるなとは思っていて、なんだかもやもやしてる感じですし。しっかり話し合ってきたいと思います!

  2. 3児の母 より:

    毎日、長男の特性(しゃべりすぎる、自分の正義感やルールにとらわれすぎる)に振り回されています。最近でも、屋内でドッチボールをしようとするクラスメイトが許せなくて先生に直談判しに行くと聞かず、クラスメイトにウザイと言われる始末。
    自分は出来てないこともたくさんあるのに、他人のそういうところは許せない。挙げ句、いつも忘れ物ばかり、マイペースで迷惑を掛けてばかりのお前には言われたくない!とうざったがられることもあるようです。
    親としては、丁寧に「自分のルールばかり他人に押し付けてはいけないよ」と伝えているのですが、10歳の反抗期もあってか響きません。

    お世話になっている心理師さんに相談したら、この心理師さん自身も多動だったそうで、高校生の時、突然、自分でこのままではいけない!と気付いたとのこと。なので「いつか本人が気づくときが必ず来ます」と言われました。

    それでも、いつかその時が来るまで、親は言い続けなければならないのでしょうか。。。
    先が長いですね(T_T)

  3. しろ より:

    うちは告知をしてよかったと思います。
    小3くらいのときに『オレって自閉症なの?』と何度か聞かれ、きちんと話をしたほうが良いと思ったので、主治医から話してもらいました。
    告知とは言ってもまだ小3ということもあり、ズバッと伝えるような感じではなかったですが、その後折にふれて特性との向き合い方みたいな話ができるようになったのは、やっぱりこの告知があったからだと思います。
    今でもイライラや癇癪があり『オレが発達障害だから〇〇なんだろ!』とか『どうせ漢字も覚えられないバカだから!』のように怒るときがあるので、告知しないほうがよかったのかなーと思うことはありますが…。
    でも先日、筑波大学DACセンターの『人はそれを発達障害と名づけました』という本を私が読もうと思って置いておいたら、すぐに食いついて読んでました。
    こちらはハッキリと発達障害とかASDなどのワードも出てきて、特性との向き合い方も書いてあるので、息子がどう感じるか少し心配でしたが、共感したり大笑いしながらあっという間に読み『おもしろかったわー』と言っていました。
    こういう本などから、ポジティブな向き合い方を吸収してもらうのもアリだなーと思いました。

  4. ミモザ より:

    先生の学生時代のお話、まんま、うちの息子のことかと思いました。ほんとにクラスメイトの顔と名前が覚えられません。スーパーとかでバッタリ、クラスメイト(ぽい人)に出会って、あちらは挨拶してくれてるのに、息子は「え?え?どちらさまでしたっけ?」状態です。

    告知、親は悩みます…。
    息子が診断を受けた5歳のときから、告知についてずっと悩んでいました。いつ言うべきか、どう伝えるのか、いっそこのまま言わずにいるべきなのか…?

    すると、小6の秋に、主治医から「ところで、告知はどうされますか?」といろいろと提案をしてもらえました。
    計画を作り、少しずつ息子に自分の特性と向き合ってもらい、そして中学生になる直前の春休みに、私と夫の前で、主治医から息子に告知していただきました。

    告知してショック受けたりするのかな…と思ってハラハラしていましたが、息子自身は、「あ、そうなんだ。なるほど…。」くらいで受け入れていました。
    そして、告知してからの方が、本人の精神状態も落ち着いたような感じです。

    特性を把握して、自分でケアをする、だなんてはまだまた無理ですが、いつか先生のように、覚えてなくても
    「同じ学校の出身だそうですね♪」
    みたいに対応できるようになって欲しいです。

  5. しのぶ より:

    こんにちは!

    けちょんけちょんに嫌われた経験がおありなのですね。
    そこまで嫌われるのなら、
    じつは元々は その同期さんの中で、嫌いの振り幅と同じか 近いくらいの幅で
    P先生に対して良い方の感情があったのかもしれませんよね^ ^

    仲良くなりたいと思っていた、とか
    仲良くなれそうと思ってた とか
    仲良くなれたと思っていた、とか

    それを、気付かぬP先生に どこかでぶった斬られちゃって、悔しかったり悲しかったりで、
    もう けちょんけちょん!
    みたいな。

    分かりませんけど。

    でもそう思うとちょっと人間が可愛く見えてきます。^_^

  6. ちい より:

    先日「ザ・ノンフィクション」で同じような話がありました。特性があるのか?何度も同じことで人力車の車夫試験に落ちる男性に師匠が「自分が苦手だなと思うことを直そうとしなくていい。苦手なのを自覚してそこを気をつければいい」とおっしゃっていました。私も自分の短所を見つけるともぐらたたきのように潰そうとしてしまいますが、うまく共生していく道を探した方が良さそうだな、と思いました。

  7. 匿名 より:

    まさに、それ。自分の特性を理解して対応してほしい中学2年生男児がおります。でも人の話は興味がないし、自分のことにはもっと興味がないようで、自分について考えることをしようとしてくれません。

  8. 匿名 より:

    あぁ、なんてタイムリーな❗️
    こんにちは。いつもありがたく読ませていただいております。
    小6の娘に、特性・トリセツを伝えようとチャレンジ中です。主治医と担任にもこのチャレンジは伝えてあり、親としての最後の仕事だとまで思ってトライしております。
    …が、なんせ他人と自分を比べる概念がない娘。
    みんなと比べて自分にどんなクセがあるのか、本人がまったく把握していないので…

    こりゃもーハッキリ
    「あなたが○○と考えやすいのは、そーゆークセがあるからなのよ」
    と一方通行でも伝えておくのがよいのか…
    暗礁に乗り上げ中です。

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