発達障害

ぼくたちは勉強ができない

ちょくちょく聞く訴え。

 

勉強できるようにしてください。

 

成績を上げてください。

 

こんな主訴で受診する人。

実際に、ちょくちょくいる。

 

勉強できるように

 

いや、ここ塾じゃねーし。

 

学校でもねーし。

教育機関じゃないヨ。

 

 

というのは冗談で、相談する気持ちはわかる。

わかるけれども、ですね。

この訴えは、なかなかに手強い。

 

いや、言いたいことはわかるんだ。

 

  • あまりにも勉強ができないので、知的障害や学習障害じゃないですか?
  • それか、この子の特性にあったいい感じの勉強方法を教えてください。

ってことでしょう。

 

病院で勉強の相談をするように、学校から言われてくる人もいる。

勉強はできるに越したことないからね。

そりゃ、できないよりできた方がいいから。

 

 

実際にこの訴えで受診したケースで、知的障害や学習障害だった経験は、僕は今のところない。

(もちろんそういう理由の人もいるだろうから、疑うなら受診してください。)

 

じゃあなんで勉強できないか。

ADHDタイプの子で、かつ勉強に対する興味がない(失っている)ケースが、経験上は多い。

 

 

キョーミないのよ。

やる気ないの。

 

男の子
男の子
どーせできないし。

 

男の子
男の子
やりたくないし。

 

男の子
男の子
別にそれでいいし。

 

↑こんな感じか、

 

女の子
女の子
やる気はあるんだけど。

 

女の子
女の子
どうしても手につかなくて。

 

女の子
女の子
そりゃできるようになりたいんだけど。

 

↑こんな感じ。

 

 

表現に個人差はあるけど、まとめると

勉強してない。

だからできない。

ってことだ。

至ってシンプル。

 

勉強してないから、できない。

あまりにもそりゃそうだ。

 

学校の勉強と、社会での勉強

勉強してないんだから、そりゃできませんよねハイ終了! ではあるんだけどさ。

そう言っても仕方ないので、なぜこの子が勉強しないのか考察してみる。

 

 

なぜ勉強しないのかというと。

モチベーションがないからでしょう。

キョーミ(もしくはやる気)がない。

 

勉強に対する興味の偏りって、ASDタイプで強そうなイメージだけど。

でも実際にはADHDタイプでよく見るのだ。

 

好きな科目(や課題)はやるけど、嫌いなものは嫌。

もちろんASDにもその傾向はあるが、ADHDの方がより強い印象。

低年齢から好き嫌いをはっきり主張する子(嫌いな課題はやらず先生を困らせるとか)は、ADHDタイプに割と多い。

学年が進むとさらに、「勉強全部がいや」という訴えになってくる。

 

 

想像だけど、学校の「勉強」ってADHDタイプと相性が悪いんだと思う。

 

ADHDは本来、いわゆる「勉強」に向いている特性だ。

興味のあることに次々首を突っ込み、新しい知識を吸収する。

既知のものを組み合わせ、新しいものを創造する。

外に向かって世界を広げていく。

これぞまさに「勉強」だ。

 

だから社会に出ると、ADHDは成功しやすい。

社長や起業者や校長先生には、ADHDタイプが多いんだそうだ。

実にうらやましい。

 

 

でも、この外に向かっていく力、学校という枠内では発揮されにくかったりする。

学校の勉強って、どっちかというとレールや道順が決まっていて、それに沿って進む形じゃん?

途中のチェックポイントをちゃんと通過してさ。

外に向かって勝手に飛び出すスタイルは、評価されづらい。

 

評価されるためには、決まった手順を踏んで、決まった方向に進まないといけないのね。

これが、ADHDタイプとは相性が悪いのだろう。

 

 

でさ。

評価されないと、人は腐る。

ADHDは、評価されるより、叱責や訂正される経験が増えやすい。

すると、やる気がなくなるんだよね。

成功体験がないと、勉強なんて続かないもの。

 

 

その不満が、外に向く人は

 

男の子
男の子
勉強なんて意味ねーし。

 

になり、内に向く人は

 

女の子
女の子
どうせ自分はバカだから。

 

になるのだと思う。

 

まぁどっちにしろ、勉強はしない。

しないんだから、できない。

 

勉強の方法

勉強について、病院でアドバイスできることは多くない。

 

  • 視覚優位か聴覚優位か。
  • レンガタイプか設計図タイプか。
  • 手を動かすのは苦手なので書字を減らしてとか。
  • スモールステップがいいよとか。
  • あとは、できたところを褒めてくださいとか。

 

↑こんなもん。

レンガから? 設計図から?目の前に「橋を作る」というタスクがあったとする。 よし、橋を作りましょう。 その時、『まず』どうしますか? ...

 

勉強の方法に向き不向きがあるのは事実。

ある程度のアドバイスはできるだろう。

誰でも100点が取れる勉強法はい、タイトル気になりますよね。 『誰でも100点が取れる勉強法』 こんな方法、あると思います? そう...

 

でも、そこまでだ。

モチベーションが上がらない子のお尻の叩き方を期待されると、ちょっと厳しい。

その子にやる気がないのは、それなりに時間をかけて、それなりの経験をした上で、そうなっているんだろうし。

魔法のように頑張らせる方法など存在しない。

 

 

余談だけど、昔進研ゼミの広告で、マンガが届いたじゃん?

僕あれめっちゃ好きで。

よく読んでたんだけどさ。

 

「部活で疲れてるけど、20分だけゼミやっちゃおう」

「(テストや授業で)ここゼミでやったところだ!」

 

的なやつ。

部活も、恋も、勉強も! 的な、サクセスストーリー的なやつね。

 

あれ、あんな風にできる子って一握りだと思うんだよ。

平均的な子は、「部活疲れたーゲームしよー」だ。

そんなもん。

理想と現実は違うってこと。

そしてリア充爆発しろ。

 

 

じゃあどうするかって、本人が自分で目標を持つしかないのだろう。

ADHDタイプは特に、興味や目的を持つと、超特急で進んでいく子が多い。

急に火がついて壮絶な巻き返しをしたり。

設計図タイプが多いから、先が見えると過集中でやってのけたりする。

そのパワーたるやマジでスゲーよ?

 

 

どうやって目標を持たせるかって?

 

それは、

やる気スイッチを押せるのは、本人だけ

です。

身もふたもないんだけどさ、実際そうでしょ?

外野が口を出しても、大抵うまくいかないじゃん?

 

ドアノブは本人の側にしかついていない。

 

僕はそう思っている。

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