発達障害

苦手なことは克服しない 〜「そこそこ」を目指す〜

苦手なこと、ありますか?

きっとありますよね。

僕はめっちゃある。

 

 

苦手なことが見えたとき。

  • 例えば、忘れ物が多くて叱られるとか。
  • 友達関係が築けないとか。
  • WISCで、苦手な分野があったとか。

 

母
どうやって克服したらいいでしょう。

 

母
訓練する方法はありますか?

 

よく聞かれる。

 

苦手の訓練方法

訓練する方法は、あるっちゃある。

例えばコレ。↓

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ゲーム感覚で、苦手分野のトレーニングができる。

1日5分続ければ、結構な差になるだろう。

取り組みやすい良い教材だと思う。(勉強って感じじゃないから、子どもも乗ってくれる)

患者さんに紹介することもよくある。

 

が。

 

本質的にはここじゃないと、僕は思う。

上記のようなトレーニングや、その他苦手克服訓練には、大いに効果があると理解した上での意見だ。

 

僕は、苦手を克服するより得意を伸ばす方がずっと良いと思っていて。

苦手のトレーニングより、得意なこと、好きなことに取り組む方がよい。

モチベーションも上がるし、何より楽しい。

苦手な課題ってしんどいもの……ね。

 

自分を変えず環境を変える

そうは言っても、苦手なことで実際困っちゃうことがある。

発達障害って、「その特性のせいで困っちゃう」ってのが診断基準だ。

困っちゃうことがあるから発達障害なわけで。

 

診断には至らないまでも、特性のせいで困っちゃう場面はあるだろう。

どうしても困っちゃう場面って出てくる。

 

母
書字が苦手で、どうしても板書が負担で……。

 

そんなときはまず、「環境を変える」ことをおすすめする。

上の例だと、板書は免除で写真を撮らせてもらうとか。

 

苦手な能力を使わない環境に身を置く。

するとその苦手は、なんと「なかったこと」になる!

なんとか人並みにと追い立てるより、さっさと逃げる方が得策だと僕は思う。

 

  • 学校と相談し、合理的配慮をしてもらう。
  • 受験では自分に合う学校を選ぶ。
  • 就職は苦手な能力を要さない職種に。
  • 日常生活は苦手をフォローする仕組み作り。(根性じゃなくて仕組み!)(これ大事)

 

このへん、まず最優先でやるべき。

自分を捻じ曲げる(苦手を克服しようともがく)前に、まずは環境を変える。

これで解決することは多い。

 

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そこそこの最適化

それでも無理な場合。

ありますよね。

 

  • どこの環境でも、やっぱりこの苦手が問題になる。
  • 環境が変えられない。(義務教育期間は特に選べる環境が限られるしね)
  • 今の環境がトータルでメリットが大きいので、ここは踏ん張りどころ。

 

そんなときは仕方ない。

そこそこの適応を目指すことをお勧めする。

 

いいですか、そこそこですよ。

よく「人並みにできるように」って聞くけど、それ結構ハードルが高い。

「人並み」「平均」「普通」は、ハードルが高い。

 

そのレベルより、かなり下で良い。

平均以下、赤点以上を目指す。

 

母
これを機に訓練させ、いっそのこと克服させます!

 

いや、ハードル高いですよ……。

 

母
やればできます!

やる気がないからできないんです!

 

いや、できないから発達障害(グレー含む)なわけで……。

 

 

「ちゃんと」できるようにするのはハードルが高い。

トラブルにならない最低限でよい。

 

苦手と直面すると、「できる」「できない」の二択で考えてしまうことがある。

 

この子、これが「できない」んだ。

じゃあ「できる」ようにしなきゃ。

 

極端だ。

物事は、「できる」「できない」の二択じゃない。

ちょっとならできる、それなりにできる、ほぼほぼできる、確実にできる……などなど、幅があるものだ。

苦手なことは、そこそこ、まぁまぁ、良くはないけどそこまで悪くもない、というレベルを目指したい。

 

例えば、上記板書の例だと

成績に直結するものは書くが、そうじゃないものは書かない

がそのラインだろうか。

 

出さなきゃいけないプリントは書くが、ノート提出が不要、もしくは出しても成績に大して響かないなら板書はしない。

ここが合理的なライン。

 

 

友達作りが苦手なら、

誰とでも仲良くする必要はないが、気の合う友達を一人、二人作る。

とか。

 

 

忘れものだと、

ヤベーものは絶対に出す代わりに、そうでない細々した提出物などは忘れる覚悟で生きる。

とかさ。

 

 

平均点には届かないけど、赤点はとらない。

このスタンスで。

 

まとめ

苦手なこと、ありますよね。

僕はめっちゃある。

 

 

繰り返しになるが、

苦手は克服せず、得意を伸ばす

のが、基本方針。

 

そのためには、

環境を変える

のが最優先。

自分を変える前に、環境を変える。

 

それでもダメなら、

「ちゃんと」じゃなくて「そこそこ」の適応

を目指す。

平均点以下、赤点以上ね。

 

そんな感じで、苦手は把握した上で、戦略的に戦っていただきたい。

POSTED COMMENT

  1. Cocco より:

    今回も親として反省しました。つい、できない所が目がいってしまうんです。
    我が家のADHD(少しLD入り)の息子は、板書が壊滅的。そして授業中はADHDの要素を発揮し、ただ話を聞いていることに耐えられず落書き三昧。
    テストも字が先生には読解不能でバツになること多し!!学校での評価が低くなること間違いないタイプなんです。
    本当はわかっているのに・・・と思うと、親が悔しくなり、ついお尻を叩きたくなります。もっと、私の基準を下げて学校の授業で何かひつとでも覚えてきたら(^o^)👌にしてあげようと思います。また更新を楽しみにしてます。

  2. いよ より:

    たしかにその通り.だけど、本人にそこそこにして凌ぐ調整をする気持ちがないと、難しい。本人が苦手と得意を認識して、冷静に調整できるまでに時間がかかると思います。

  3. 匿名 より:

    先生、今回もとっても救われました。
    そうですよね。そこそこ頑張ればいいのだ…
    学校は避けて通れないので。

    そこそこ出来たら褒めてやると、これでいいのだ!って思えるようになるのだな、と、天才バカボンのような思考を植え付けるように頑張ります。

    余談ですが、天才バカボンの一家も発達障害家庭ですよね!はじめちゃんはおそらくギフテッドでしょうしね。笑

    また更新を楽しみにしております。

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