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お金の話:親の立場から

お金の話。

不登校の話に特によくくっついてくる。

 

別の居場所とか進学とか考えるにあたり、

 

母
でも、お金がありません。

 

これね。

僕の立場から口を出す話じゃないって、重々承知。

リアルでは絶対に何も言わないんだけど、ブログなのでちょっと書かせて。

 

そんなお金ありません!

お子さんの進路選択に際し、そんなお金ない!

 

コメントでも外来でも言われる。

口には出さなくともモヤモヤしている方も多いのだろう。

 

 

僕さ。

実際に教育にかけるお金に限りがあるなら、ハッキリ言えばいいと思うんだよ。

「高校は公立に行ってほしい。」

「大学は、私立なら奨学金を借りてくれ。」

かけられる限度額を明示し、子どもに伝える。

 

親として、教育資金は最大限かけるべき?

限りがあるなんて、親失格?

 

そんなことないと思う。

無理なものは無理なわけで。

※僕はめっちゃ子どもファーストだと思われてるかもだけど、案外そんなことなくて。親御さんの都合も相当考える。実際外来でも、親御さんの状況(経済的、精神的、環境的)を最優先にしてくださいとアドバイスすることは多い。誰が優先というか、「誰の問題かを分けてください」ってことやね。誰かを犠牲にしたらうまくいかないと思うから。

 

 

でも、僕に向けられるお金の話は、きっとそうじゃなくて。

「ない袖は振れない」的な話じゃないんだと思う。

 

特に不登校や、それに類する出席の安定しない子。

この子の、どこまで通えるかわからない学校の費用を出すことに抵抗があるのだろう。

 

母
入学金、学費、制服代とかもろもろ出したのに、結局行けなくてムダになるなんて。

だったら別のことに使いたかった!

 

ってことだと推測する。

 

現実的に、出すことは可能

ただ、出したのに意味がないのはイヤ! ってことだろう。

 

 

わかる。

ここで大枚叩いてドブに捨てる(言い方悪いけど)より、未来の「ここぞ」というときにとっておきたいし。

毎日地道に節約して暮らしているのに、意味のない学費を払うなんて!

わかりみ。

 

事実と感情論を分ける

気持ちはわかるし、僕は口を挟む立場にはないので、リアルでは絶対に言わないんだけど。

ブログだから言うけど。

 

それって親御さんの問題ですよね。

 

現実的に、出すお金は「ある」。

出そうと思えば出せる。

物理的には存在している。

だけど感情的な面で、「効果がないことにはお金を払いたくない」ってことですよね。

 

 

フリースクール。

高いよね。

せっかくお金を払っても、行けない可能性が十二分にあるし。

 

高校。

入学関係一式揃えるとそれなりのお値段だ。

なのにほとんど袖を通すことのない制服。

無駄になる授業料。

 

塾。

不登校だから学習機会をと思って入れるけど、行かない。

マジ無駄でしかない。

 

超絶無駄じゃん!

 

そう思う。

わかる。

 

 

でもこれってさ。

無駄なことにお金を使いたくないっていう親御さんの気持ちの話だよね。

多分、普通に問題なく通うなら、親御さんも問題なく払うと思うんだよ。

通わないなら払いたくないなーってことでしょ?

 

じゃあさ。

どこまでの支払いなら許容範囲なのか、親御さんが決めるしかないと思うんだ。

人(子ども)にぶつけてもしょうがない!

と、僕は思うんだよね。

 

感情をクリアにする

勘違いしてほしくないのは、「子どもの学費なんだから払えよ!」って言ってるわけじゃない。

「行かないなら払わない」、それは全然いいと思うんだ。

むしろ妥当な判断。

そんなの各家庭の方針で良い。

 

だけど、その線引きは親御さんに決めてほしいんだ。

払うのは親御さんだもの。

 

 

感情論なのは別にいい。

そりゃ人間だもの、感情的にもなりますって。

せっかく払ったのに行かなかったら、そりゃムカつくよ。

 

でも感情論なら感情論で、まず親御さんの感情をクリアにしてほしいんだ。

つまり、本人にどの程度の覚悟があれば、お金を払ってもいいと思いますか?

 

  • ほぼ確実に登校するなら払う。
  • 五分五分以上なら払う。
  • 少しでも可能性があるなら払う。

 

その線引きは、親御さんが決めるしかないと僕は思う。

 

今回はかなりの覚悟がなければ払わない。

多分行けないと親は予想するから。

その分、大学進学時は選択肢を広げたいから出すつもり。

とかでもいいし。

 

もちろん、実際にやってみるまで本当に通えるかはわからない。

子どもとよく話をして、本人の覚悟や考え方で判断するわけだけど。

 

出すなら、ちゃんと線引きして、気持ちよく出してあげてほしい。

そのモヤモヤは親御さんの感情だ。

親御さん自身で決着をつけてほしい。

 

 

これをクリアにせず、モヤモヤしたまま子供にぶつけてしまう。

払わなきゃーという義務感と、でも払いたくないなーという気持ちとで宙ぶらりんなまま。

 

母
そんなこと言って、どーせ行かなくてお金が無駄になるのに。

アンタって金食い虫よね。

 

子ども、つらい。

実際やってみる前なのに。

やる前から「絶対に失敗できない」というプレッシャーを子どもに与えることになる。

 

大人の問題と子どもの問題を分ける

子どもは、お金のことはどうにもできない。

子どもだもの。

 

出す・出さないの線引きは、大人がするべきだと僕は思う。

大人に決める権利があるし、同時に子どもに説明する義務を負う。

と、僕は思う。

 

お金の話を出されちゃうと、子どもの立場としては「ウチはお金がないから諦めよう」しかないわけで。

せっかく揃えてもらった新品同様の制服を見るたび、罪悪感。

 

自分はダメだ。

お金を無駄にして親に迷惑をかけている。

 

新しいチャレンジなんてする気になれない。

ダメな自分はまたお金を無駄にしちゃう可能性があるんだもん。

100%大丈夫! って自信が持てるまでは動けない。

そして、そんな日はそうそうやってこない。

_____動けない。

 

 

まずは大人が決めてほしい。

お金は、『大人の問題』だ。

親の「譲れないライン」を明確にした上で、子どもと話し合ってほしい。

 

母
 親としては、この金額を払うならそれなりの覚悟を見せてほしいんだけど。

あなたの学びになりそうなら応援する。

あなた、本当に通う気はある?

 

先に親のラインを決めて、その上で子どもの気持ちを確認する。

先に腹をくくるのは大人。

この順番が筋だと思う。

 

 

親の問題子どもの問題を分けて考える。

お金についてはまずは親の納得するラインを決め、その上で子どもの状態に当てはめる。

繰り返しになるが、お金は『大人の問題』だ。

 

親の問題を漠然と子どもにぶつけても、どうしようもないし、むしろ事態が悪化するよなーと。

お金の使い方ってその人の価値観だから、この進学にどの程度の価値を見出すかは、お金を払う人、つまり親御さんが決めるべきだと思う。

 

まとめ

以上、小児科医としてじゃなくて、勤労と納税をしているイチ大人としての僕の意見です。

個人的な意見。

 

僕だって、自分が必要と思うものにはお金を払うし、不要と思えば払わない。

それって自分の価値観で決めてるし、それ以外にないよなと。

そして、自分で決めたことには責任を持つ。

買ったものがうまく使えなくても入ったレストランがおいしくなくても(こんなことってあるよね)、それは自分の責任だ。

 

 

次回。

ちなみに外来を受診する子たちはお金問題についてどう思ってるの?

を書こうと思います。

POSTED COMMENT

  1. ゆるゆる待つhha より:

    勉強になります。
    うちの15歳引きこもり息子、まだ「お金の問題で悩む」必要ない段階のようで・・・・これは、ラッキーなのでしょうか?

    無理なおねだりなんてしない、出掛けないので交通費ゼロ、どこかに通いたいなんて言わないしどことも繋がってないので学費などゼロ、
    ・・・ちょっと趣旨とは違うコメントかもしれません・・・!

  2. 匿名 より:

    いつも悩んでいることにタイミング良くブログで答えを頂いています。
    お金…大事です。
    線引きも大事ですね。

  3. 迷える母羊 より:

    入院中の息子のICで最初のイベント主治医の一言が体調大丈夫ですか?でした。

    私は?そんなに体調悪そうに見える?と思ったのですが、寒くなって来たから体調大丈夫かと気遣ってくれたそうです。

    子どもの主治医であるのに親にまで気遣いする医師は大変だなと頭が下がります。

    無駄金を使いたくない。
    そんな思いももちろんありますが、先が見えない(わからない)から親はお金でも困る(迷う)のだと思います。

    普通なら大学まで行けば、親の金銭的役目は終了し、後は本人が社会人となって自分で生活出来ると考えられる。

    ところが発達障害があり、登校渋り等あると働いて生活出来るようになるか不安でしかない。

    進学が就職に結び付かないのなら、無駄金になってしまうのなら、少しでも生活費として残した方が・・・と迷う。

    親が用意出来るお金には限りがあります。
    進学しようとする時、学費を払えるようにと誕生してすぐに学資保険にも加入している。
    だけど、卒業後の生活費、場合によっては死後の生活費まで残さなければいけないとは思ってもいなかった。

    だから親は不安で感情をつい子どもに向けてしまうことがある。
    子どもが将来を見据えることが難しいように、親もこの子どもの将来が予想出来ないから。

    そんな息子、老後に私がお金に困ったら援助してくれるそうです。
    (気持ちだけはあるようです。)
    ゲームを仕事にするってゲームの事で爆発して大人の手をわずらわせている小5だけど・・・

  4. ゆん より:

    いつも楽しく読ませていただいています。
    今まさに腹を括るか括らないか、子どもと腹割って話す時期だと感じていた所でした。
    中3不登校5年目です。

    腹割って話した所、親の気持ち多分わかってはくれるし、
    どちらかと言うと親の気持ちを押せば自分の気持ちを抑えて譲る子だった。

    これまでは誘導して親の思いで動かしたこと多々あったけど、
    この度は子どもの人生、子どもの思いにかけたい、信じたいと思っています。

    ただこちらもそれなりに負担があるのだから最終確認はしたい。
    でも、その言葉がプレッシャーになって、
    吉と出るか凶と出るか。
    その子次第なんでしょうけど、1の気持ちでこちらが言ったことが、9にも10にも負担に思ってしまって、それだけで潰れてしまわないか、
    不安です。
    長い不登校だったので、絹豆腐メンタルになってる我が子なので…

    次回の子どもの思いを読むのが楽しみです。

  5. ACO より:

    ちょうど、その事で悩んでいて、タイムリーでありがたかったです!
    お金を出す・出さないは親の問題と思っていても、本人が希望するなら…出すべきなのか、でも行かないものに出していると、だんだん苛々してくる。払うと決めたら、腹を括って子供を責めない…ですね。来年度以降のことを、再度自分の中で考えようと思いました。

  6. 匿名 より:

    関係あるような、ないような話なんですけど、うちのASD息子、課金がしたくてしょうがないんです。
    だけど、彼の中で線引きがあって、今日もしたから明日もするとか、今日の1000円が、1年後には5万円ふっかけてくるとか、そうゆうことじゃないんです。
    ママのお洋服はネット注文して届くのに、習い事だったらお金出すのに、本が欲しいって話なら買ってあげるのに、なんでゲームの課金になると、やれ学校行ってからだとか、お勉強してからとかの交換条件が出てきて、課金してはダメなんだってことなんだと思います。僕の1番はゲームなのに…って
    ASD不登校ですが、大爆発は全部ゲーム課金関係です。
    これも親の都合なんですかね。
    なんかまとまらない文章になりましたが、彼が言うこともわかる気がします。

  7. かおりんご より:

    P先生
    こんばんは。
    やっぱり大人が、ここぞとゆう時に腹を括る。
    大事ですね!

  8. 匿名 より:

    わぁ!私のことだー!
    すぐ言っちゃうもん、あんたにはすごいお金かかってんのよ!どんだけ〜(怒)って。

    そうです。それって私の感情の問題です…

    また気付きをいただきました。ありがとうございました。

  9. しのぶ より:

    こういう事を言って(書いて)くださるP先生が好きです\(^ ^)/
    真に、良い方へ 向かうことを応援してくださって
    ありがとうございます。

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