HSC

子HSC、母HSPの場合 〜接し方のヒント〜


子供がHSCの場合、両親のどちらかがHSPタイプ※のことが多い。(両親とも非HSPのこともある)

※子供はHSC、大人はHSPと呼ぶ。同じものです。

 

母子ともに繊細なタイプの場合、うまくいくこともあれば、逆にアダとなる場合も。

今日は僕のところにくる母子とも繊細タイプの、繊細ゆえの落とし穴を紹介したいと思う。

 

 

 

母がHSPの場合、子供のよき理解者となる。

ふつうは見落とすような小さな変化、心の機微なんかをキャッチできる。

子供が何を見つけたのか、何にこだわっているのか。

説明されなくてもなんとなくわかったりする。

 

「先生や友達には理解されないけど、お母さんはわかってくれる」

 

という安心感は、とても大きい。

これがうまく噛み合うと、すごく強い。

何にも代えがたい安心感となる。

 

 

が、気持ちがわかりすぎるゆえに空回りすることがあるようだ。

親御さんがHSPだと、親御さん自身が子供の頃から「なんとなくうまくいかない感じ」を抱えて育っていることが多い。

 

 

なんかみんなと違う……。

 

 

空気が読めすぎるので、必要以上に周りに合わせる。

嫌なことをイヤと言えない。

人間関係のバランサーになって、周囲には感謝されて。

でも本人はぐったり疲れている。

 

 

小さいときからそう。

気を使って気を使って、

気を使いまくって居場所を確保してきた。

 

 

『過適応』という。

HSPは5人に1人と言われる。

少数派だ。

そしてHSPは、敏感ゆえに自分が「なんとなくみんなと違う」ことに気づく。

持ち前の真面目さで「みんなと同じにしなくちゃ」と、常に思っている。

 

はみ出たことは嫌い。

注目されたくない。

 

すごく気を使い、よくも悪くも注目されないよう、本当の自分を隠して生きている。

 

 

この生き方が親御さんの前提になってしまっている場合。

「私は根暗なので、努めて明るく振る舞わないといけない」

「みんなと同じにするのが当然で、努力と苦労を伴うのが普通」

「世の中って冷たいところで、何かあったらひとたまりもない」

といった考え方になりやすい。

世の中はこうだから、自分はこうせねばいけないという思い込みのもと、生きていかなくてはならない。

これがあると、ひどく生きづらい。

この人が親になる。

どう考えるか。

 

 

「この子も私と同じタイプだ」

「周囲に合わせないといけない」

「私がちゃんとした社会人に育てなくては」

 

 

親自身が、頑張って我慢して気を使いまくって、なんとか生きている。

そんな自分と同じタイプの子供も、同じようにしないといけないと思う。

HSPは責任感が人一倍強いので、「子供のため」に頑張りすぎる。

 

 

でも、よくよく考えるとこれは、「子供のため」ではなく、親の不安だ。

そうしないと『親が』不安なのだ。

「うまくいかなかったら立ち直れないはず」

「こんな私の子供なんだから人一倍努力させないといけないに決まっている」

本当にそうかは、試してみないとわからないのに。

 

 

 

そしてこれは無意識だ。

子供のためという愛情と混ざり合い、確固たる信念となる。

だから、子供をそのまま認めることはできない。

 

 我慢しなさい

 みんなに合わせなさい

 こうあるべき

 そうしないと馬鹿にされる

 居場所がなくなる

 

そんなメッセージを、子供に発信し続けることになる。

子供側は、そのままの自分では親に認められないと感じる。

親にも認められないなら、それ以外の人にも認められるはずがないと考える。

親のフィルターを通して世界観を形成するので、世界は冷たいと思う。

頑張らないと、我慢しないと、合わせないと……。

 

 

 

HSCは真面目で心配性なので、親のいうことを聞こうとする。

 

 

何かあったらひとたまりもないから、失敗しないように、間違えないように……。

 

 

その我慢が溢れて、多くは思春期くらいに爆発する。

そんな子たちが僕の外来に訪れる。

 

「親がうるさい、うざい。

 でも勉強しなきゃ、学歴をつけなきゃ、将来が不安」

生きづらさが見事に受け継がれている。

負の連鎖だ。

誰も悪くない。

でも、断ち切ってほしい。

 

 

子供は、そのままでよい。

HSCは繊細で敏感でめんどくさい。

育てにくいだろう。

でもよく気づいてみずみずしい感性を持ち、深く考え集中力がある。

そのままでよいと思う。

みんなと同じじゃなくて、そのままで十分魅力的だ。

まずは親御さんが、そのままの我が子を認めてあげてほしい。

そのためには、親御さん自身が自分を認めること。

HSP、素敵じゃないですか。

 

繊細でよく気づき、気が使え、空気が読め、人にない視点で物事を観察できる。

 

素晴らしい才能だと思う。

そのままでよい。

そのままでいてほしい。

親御さんが自分を肯定できると、同じタイプである我が子を肯定できる。

そのままでよい。

世の中は優しいし、そのままのあなたで居場所はできる。

 

 

「人とは違う子どもを育てるなら、

      人とは違う親にならなければなりません」

(エレイン・N・アーロン)

 

 

HSCの子供に親が与えられることって、自己肯定感だけだと思う。

世の中の仕組みなんて、教えなくても子供が自分で学習していく。

HSCだ。

よく見ている。

その観察眼の鋭さ、親御さんが誰よりも知っているはずでしょう?

その子の世界観を信じてあげてほしい。

そして今まで頑張ってこられたHSPの親御さん。

辛い思いをされてきた方が僕の外来にはたくさんいらっしゃる。

嫌なことを乗り越え、他の人のために自分を犠牲にし、今はお子さんのために一生懸命尽くして。

 

 

あなたもお子さん同様、とても素敵です。

自分に嘘をつかなくていい。

そのままでいい。

人と違うって、素敵なことだと思う。

自信を持ってほしい。

POSTED COMMENT

  1. さくらんぼ より:

    泣きました。
    私の子供にも先生と同じ言葉を掛けたら
    同じ気持ちになるのかな。
    だとしたら、掛けてあげたいな。

  2. ゆゆ より:

    ずっと育てにくい娘だった。
    私自身が、hsPです。ずっと普通に合わせていた。
    先生の言葉で、泣きました。ホッとしました。
    これでいいと思いました。不登校初期の娘を受け入れることができそうです。ありがとうございました。

  3. あご より:

    初めまして。子供の頃から両親不仲で自分の意見を押し殺して生きて早め半世紀…。この記事を読んで我がことの様に感じました。我が子3人みた発達障害。末っ子が(中3)不登校中!昨日もラーメン屋さんにいったけど、予想外の人の多さに何故か怖くて不安でラーメン食べてる最中に泣きそうになった!と店を出てから話してくれました。そかそか!と受け止めました。

  4. まるこ より:

    泣きました。胸の支えがスッと下りました。
    夫がHSPでおそらく娘もそう。私は真逆の性格。娘が不登校になりようやく気がつきました。

  5. アラフィフ麦子 より:

    私はHSPで、娘はHSCなんだ、と目の前が明るくなりました。
    こんな風に言ってもらったの、初めてです。
    ありがとうございます。
    ありがとうございます。

  6. いっこ より:

    誰からも「優しく気配りできる人」という評価をもらって満足していた自分。私以上に敏感な息子…
    泣きました、これから変わりたいと思います。

  7. ミッキー より:

    先生、頭を優しく撫でられ
    そっと背中を押された気分です。

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