起立性調節障害の受験生にとって、ネックになってくるのが出席日数だろう。
起立性調節障害の子は、どうしても遅刻や欠席が増える。
朝起きられない病気なので、当然だ。
だが、受験で不利になるのだ。
受験を見据え、出席日数のために無理やり登校する子がいる。
動かない体をひきずり、ゾンビのような顔で。
気力だけで頑張る。
起立性調節障害には、調子のよい日と悪い日と、波がある。
調子が悪い日に無理やり朝から活動すると、一日中体調が最悪。
夜まで体が動かない。
そんな日に限って、夜からエンジンがかかって眠れなくなり。
翌朝さらにつらい・・・。
これが数日続くと、とうとう精も根も尽き果てる。
遅刻が増え、いずれ欠席につながる。
せっかく遅刻しないように頑張っていたのに、頑張りすぎたせいで欠席が増えるのだ。
起立性調節障害には、がんばりやさんが多い。
総じて真面目でいい子。
学校が、そして社会が欲しがる人材だと思う。
こんなことになるくらいなら、出席日数なんて見ないでくれたらいいのに受験校よ・・・。
案外知られていないのだが、
こんな子には診断書が役に立つ。
「起立性調節障害で遅刻しました、サボりじゃないです」
という証明書を提出すると、融通を利かせてくれる学校は多いようだ。
遅刻が『なかったこと』になることも。
「診断書を書く」という発想のない方も多いようだが、便利なので使っていただきたい。
出席日数の心配がなくなると、体調がよくなり逆に遅刻しなくなる子も。
うまく活用されたし。
これが診断書が効力を発揮するケース。
ということは、発揮しないケースというのもある。
起立性調節障害で、遅刻や欠席がかなり増えている子。
目安として、学期の三分の一以上遅刻か欠席をしている子が心配。
もちろんこの子たちにも診断書を書く。
でも、心配。
学校側の制度ではなく、その子の心と体が心配なのだ。
今の環境で3日に1回は遅刻している子が、進学先で果たして連日登校できるのか。
それが心配。
この子たちは、『一発逆転』を狙っているように感じる。
今の学校では遅刻や欠席が多く、うまく居場所が作れずにいる。
進学先では完璧に登校し、友達を作って勉強も頑張るんだ!
新しい自分になるんだ!
そんな気概を、子供から感じる。
だから絶対に進学しなくちゃいけないし、そこでは完璧に振る舞うんだ!
だからだから、絶対に出席日数なんかでひっかかれないんだ!
気持ちはよくわかる。
真面目な子だ。
頑張り屋さんだ。
でも多分、ムリだ。
人は不本意な状況になると、一発逆転を狙う。
今までの自分を捨てて、新しくリセット! と考える。
これは大抵うまくいかない。
現実を直視せず一発逆転を狙っても、まず成功しないことは想像に難くない。
さらに傷つき、自己肯定感が低下する。
だから、出席日数で足切りする制度にも一理あると思う。
「この子は一発逆転だな」と思ったら、僕は進路の再考をすすめる。
再考を促すのに、出席日数はよいとっかかりだ。
出席日数が足りなそうだけど、本当に全日制じゃなくちゃいけないの?
定時制や通信制という手もあるよ。
出席日数を問われない学校もあるから、調べてみたら?
こんな揺さぶりをかける。
なんのために進学するの?
進学先で何の勉強がしたい?
学校のイベントや部活は、どの程度の規模を想定している?
一発逆転を狙う子は、大抵、あまり考えていない。
「みんな行くし」でなんとなく、全日制の普通科を選んでいる。
「それが普通だから」。
いじわるな言い方だが、今いる「普通の環境」で欠席や遅刻がかさんでいるのだ。
普通にこだわる必要はないと思う。
本当にその学校に行きたいの?
次の受診までによく考えてみて。
次回までに、この子たちは自分と向き合ってくれる。
素直ないい子たちだ。
「大学で心理学を学びたいから、ある程度の偏差値の高校に行きたい」
「中学ではイベントを楽しめなかったから、高校では文化祭を楽しみたい」
「周囲に影響されやすいので、レベルの高い子の揃った学校に行って自分も引き上げてもらいたい」
あるいは
「よく考えたけど、自分には朝から登校するのはムリだと思った。三部制の高校にする」
ここまで考えてくれれば、僕は喜んで診断書を書く。
頑張ってねと背中を押しながら、心から合格を願う。
この子ならできるはずだし、進学して得るものがあるだろう。
万一失敗したとしても、この子なら立ち直れるはずだ。
こんなときに、勝手ながら思う。
出席日数ではなく本人の特性や目標で選抜する入試になるといいな、と。
二転三転、我ながら勝手だけれど。
ありがとう
私もかつては起立性調節障害と診断され、中2ぐらい~高3、一時期大学生になった後もその症状がでていました。
薬が効きづらかったり、精神衛生があまりよくなかった状況を考えると、メンタル系の起立性調節障害だったようです。にも関わらず、努力の方向性を間違えて、はやく起きて体調が悪くなっても遅刻しないようにしたり、電車の中で腹痛が起きたときは、自分の手首を噛んで痛みに耐える等、かなり無理して学校に行っていました。
そのおかげか、高校では準皆勤賞をとるほど遅刻・欠席なく登校できましたが、このブログを読みながら今振りかえると、「そこまで頑張らなくてもよかったんだよなあ(苦笑)」、「いや、努力の方向性おかしいでしょ」、「メンタル的に学校が無理だったんだから休まんかい/休ませんかい」という感想ばかりです。
>>出席日数が足りなそうだけど、本当に全日制じゃなくちゃいけないの?
定時制や通信制という手もあるよ。
出席日数を問われない学校もあるから、調べてみたら?
もしこの言葉をかけてくれる人がいたら。もし、そうやって新しい進路の選択肢をくれる人がいたら……と、無い物ねだりですが、考えてしまいました。
可能なら、昔の自分に教えてあげたいです。( ;∀;)
そうかぁ…。息子も不登校から一発逆転を狙って受験を頑張り、合格したものの高校生活よりも出席日数にばかり気を捕らわれ、折角入学したのにもう留年の危機です。今まで登校出来なかった子が毎日登校出来るかなんて考えてなかったかもしれません。親として反省です。小児科を2件回りましたが、説教されなぜ登校しない!と叱られ、診断書を書いて貰えませんでした。
息子も私も怖くて2度と受診出来ません。何の為に受験するのか、もっと早くP先生のブログを見付けていたらと後悔ばかりです。息子はHSC私はHSPだと思います。
ああ、今まさに悩んでいるテーマです。
ありがとうございます。
出席日数、困りますよね。