親子関係

「どうすればいいですか?」 〜とりあえずのベターな方法〜

前回の話から。

「どうすればいいですか?」 〜答えはどこに?〜 最近頻繁に聞かれる。 「どっちがいいか」について、明確なエビデンスはない。 それぞれ...

 

とりあえず、急場をしのぐ方法。

ベストじゃないかもだけど、少なくともワーストではない。

まぁ悪化することはないだろうって方法。

 

オススメがあるので、

①親御さんへ

②お子さんへ

に分けて書きます。

 

① 親御さんへ

話を聞いてください。

↑これに尽きます。

 

評価しない。

アドバイスしない。

解決しようとしない。

自分の経験と照らし合わせない。

 

気の利いたセリフなんて要らないです。

ただただ聞いてやってください。

 

 

そもそもなぜこんなに困っちゃっているのかというと、この子の気持ちが分からないからですよね。

なぜ気持ちが分からないかというと、話してくれないから。

 

母
ちゃんと話さないこの子が悪い!

 

そう思います。

 

でもね。

お子さんにも理由があるんです。

理由があるから話さない。

 

お子さんが話さない理由。

それはただ一つ。

 

“聞いてくれないから”

 

これだけ。

非常にシンプル。

 

 

分かってる!

自分はちゃんと聞いてる、そう思いますよね。

お子さんのことで心を痛め、お子さんのためにこんなクソみたいなブログを読んでいる親御さんです。

一生懸命お子さんと向き合っているのはめっちゃ分かってる。

 

でもね。

こんな熱心な親御さんでも、お子さんは「親は全く聞いてくれない」と思っています。

これホント。

 

 

僕ね、外来ですげーよく見るんですよ。

親御さんは非常に熱心。

なのにお子さんと噛み合ってない。

 

お子さんに伝わってないんですよ。

僕の文章力じゃうまく説明できないんだけど。

 

泣くんです。

外来で、母子分離して話を聞く。

子どもがさめざめ泣くんですよ。

 

「話を聞いて欲しい」

 

「興味を持って欲しい」

 

「自分を見て欲しい」

 

「愛して欲しい」

 

はらはら落涙するんです。

思春期の、反抗的でクソ生意気な子が。

大人なんてみんなクソだって、尾崎みたいな子が。

Ado (うっせぇわ)みたいな子が。

 

女の子
女の子
 何度も話したけど、いかに学校が大事か、自分(親)が学生のときはどうだったかの話になっちゃって。

そんな話してないのに……。

 

男の子
男の子
 妹ばっかり見て、俺のことは興味持ってくれなくて、寂しくて……。

 

「こんなこと、初めて喋った……。」

 

ポツリ言うんですよ。

「よくわからん大人(僕のこと)に、こんな自分の根幹に関わる話をする気なかったのに」という気持ちから出た、本音なのでしょう。

喋るつもりじゃなかったのに、想定外に漏れ出てしまった。

それくらい強く親御さんからの承認、興味、肯定、愛情を求めているのだと思う。

※僕の聞き方がうまかったという可能性はほぼない。カウンセリングテクニックとか、一切持ってない(それは心理士さんの仕事)。ASDで共感力のない僕だもの。むしろ人として相当低レベル。

 

マジで。

このクソ生意気で態度が悪く、世の中舐めきったような子が。

全ての大人に反抗するぜ! 邪眼の力を舐めるなよ! みたいな子が。

 

消えてしまいたくなる(つまり、この世からいなくなるってこと)気持ちを抑えながら。

自己肯定と自己否定を繰り返しながら。

 

そんな漏れ出た本音に触れると、僕みたいなクソ人間でもさすがに切なくて。

 

 

でも彼/彼女が求めているのは僕じゃない。

親御さんです。

 

彼らは話を聞いて欲しいんです。

でも親は聞いてくれない。

余計傷つく。

なら、喋らない。

 

精一杯の自己防衛。

 

 

少しずつでいいので、聞いてやっちゃあくれませんか?

でもいきなり

アンタ学校どうするつもり?

将来は?

とかはもちろんNGです。

 

雑談から開始してください。

天気、ニュース、エアコン設定、道端の草、ファッション、筋トレ、マリトッツォ……なんでもいい。

学校とか進路とか生活態度とか(つまりその子の地雷)に結びつけず。

ただ彼/彼女の言うことを、そのまま聞いてください。

 

あなたはそう思うんだねー

 

魔法の言葉を添えて。

親御さんには興味の持てないゲームとかアニメとかヒカキンの話も、そのまま聞いてあげてください。(ここは頑張って!) (聞き流していいので) (可能なら一緒にそのゲームをやってみると良いです)

 

へー。そんなふうに思うんだねー。

 

雑談ができると、徐々に大事な話をしてくれるようになります。

いきなりはなりません。

いきなり「僕の進路について、相談にのってよ!」とはならない。

時間がかかります。

 

長い時間をかけて、「親は話を聞いてくれない」と認定したのだもの。

「親は味方認定」にも、また時間がかかるのが道理。

 

話を聞いてください

 

これだけ。

とりあえず聞いてくれたとお子さんが感じれば、とりあえずその場の大暴れは止まると思われます。

さらに、先々の会話への、未来の親子関係への架け橋にもなる。

とりあえずの急場しのぎとして、僕は非常によい手だと思っています。

※もちろんゴールじゃないです! ここから対処法を考えてください。

 

② お子さんへ

とりあえず休む

↑とにかくコレですね。

 

困ったことがある。

自分で自分の感情がコントロールできない。

気持ちと身体が反発している。

どうしたらいいかわからない。

場合によっては、自分がどうしたいか、何がイヤなのかすらわからない。

 

とにかくイヤ!!!

とにかく困った!!!

 

そんなときは、

とりあえず休む

これをオススメします。

 

ベストじゃないかもしれない。

上手に動けば解決が早いのかもしれない。

 

でも、休めば失敗に突き進むことはない。

少なくともワーストではない。

 

混乱しているときに判断すると、大抵間違えるんで。

迷ったら、とりあえず休む。

休んでからまた考える。

 

動かない。

向き合わない。

休む。

休んでから考える。

 

特に抑うつが強いときは、これは大事で。

抜けようとしない。

とにかく休んでやりすごす。

少しエネルギーが溜まってから考えることにする。

 

困ったらとりあえず休む

これをお勧めします。

POSTED COMMENT

  1. くぅちゃん より:

    先生いつもありがとうございます。
    最近やっと、やっと本当の意味で
    息子を認めるということの意味がわかりました。
    息子の話は中3の時、高1の時の不登校時凄く聞いていました。
    が、アドバイスやジャッチ、解決方法を探りながら
    息子を操作しようと内心していたのだと
    今なら思えます。
    なので、話し終えて息子がイライラすることが何度もありました。

    今は、息子の個性を認め息子を信じられるようになってきました。
    なので、気持ちや将来のことを話し終わっても
    息子は晴れ晴れした顔になることが多くなりました。
    人生は経験、間違えや失敗も沢山して気づいて学ぶことが大切だと40歳にして知りました。
    なので、私も以前の良くなかった対応は貴重な経験です(^^)
    息子を困ってる悩んでいる時が学ぶ時だと
    言っている方がいました。
    子育ての困ったを通して私も成長したいと
    思います。
    ある人が自分の子供を信じれないって
    ちょっとおかしいよ!!
    と言っていました。
    子供の生きていく力を信じて
    皆さん一緒に試行錯誤しながら
    やっていきたいですね(^^)

  2. くろこぶたん より:

    初めて小五の長男に「黙れ!クソババア!!」と言われてショックを受けた今日この頃です。
    思い返せばASDの次男ややんちゃな(ADHD傾向)三男に手が掛かりほったらかし気味でした。
    ここ数か月あまり話してませんが、心底話を聞いてやりたいと思いました。

  3. 匿名希望 より:

    「こんなこと、初めて喋った……。」

    「自己との対話にも、「他者」が必要」(以前のブログ 不登校の治し方? 〜僕が不登校だったとしたら〜より)と言うのはこう言う事なんでしょうね。そして親も関係性が悪くなければ、子供が自己と対話するために必要な他者になれる。
     メーテルリンクの青い鳥についてのブログを見ていたら、という記述がありました。子供も、話して相手も一緒に悲しくなって欲しいわけじゃないと思うので、P先生の様な、洞察力が高くて、一見感情を超越した様に見える、自分の生活圏から離れた大人には本音を漏らしやすいのでしょうね(P先生が善良でないと言っている訳ではないです)。
     でも、一部だけでも親に思いを話して、自分の口からでた言葉を客観視する事で、子供のモヤモヤも少しは減ると思うので、子供が話したい時をできるだけ逃さない様にしたい、と思います。ありがとうございました。

    • 匿名希望 より:

      青い鳥についてのブログの記述は、です。抜けちゃいました。

  4. たぬき より:

    ありがとうございました(T . T)
    話を聞くこと。コレですね。
    ありがとうございます。コレでいいんですね。そう思うだねーでいいんですね。
    なぜか、読んでて涙が止まりませんでした。

  5. みみこ より:

    またまた素敵なブログで何度も読み返しました。シンプルでわかりやすい!即実行できる!最高です。たくさんあるブログや本をみてはいろいろなアドバイスを試したりしますが、なんだか色々あって訳分からなくなったり、目の前で大泣きしている中2の息子をみていると、何が正解なのか私の怒りと切なさでブレまくったりもするので、そんな時は正論はおいておいて、まず話を聞きます!そして、うつが強そうなとき、パワーが一切感じられない表情のときはとりあえず休ませます。この2点だけで確かに最悪な状況にはならないだろなーと想像できます。ありがとうございます!昨日このブログを見ていたとしたら、あの大惨事にはならなかったな…と反省です。

  6. ut より:

    P先生

    いつもいつも、楽しく優しく、魔法の文言添えてくださって本当にありがとうございます。
    「そっか、そう思うんやなぁ〜」と、大阪弁バージョンでこの夏、乗り切ります!!
    ᕙ( • ‿ • )ᕗ

  7. suzu より:

    先生だから話すんだと思いますよ。
    外来に来るような子は、どんな人かを感じ取れる、繊細な子が多いかと。
    うちの子とも話して欲しいなーと、
    いつも思ってます。

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