『子供は褒めて育てる』
昨今の子育てのスタンダードだと思う。
異論・反論あるだろうけど、僕は賛成。
苦手なことを指摘しまくって心を折るより、得意なことに注目して伸ばす方がずっと良い。
なんだけど。
『褒め方』ってコツがあるよなーって話。
心理実験
こんな心理実験を聞いた。
子供たちにテストを受けさせる。
成績に偏りが出ないように、子供たちを2群に分ける。
Aグループ:「頭がいいね」と褒める。
Bグループ:「よくがんばったね」と褒める。
次のテストに挑戦する際、Aグループの子にはこんな反応があったそうな。
- 新たな挑戦を避ける
- 難しい問題はすぐ諦める
- できないとヘコむ
- 実際の点数より高く申告をする(ウソをつく)
結局、成績が下がったのだそうだ。
対してBグループは、難しい問題にも果敢にチャレンジし、問題を解くことを楽しいと感じ、結果成績が上がったのだそうだ。
詳細は忘れたけど、大体こんな感じだったように記憶している。
へー。
「頭がいい」って褒め言葉なのに、期待とは逆の結果になったのね。
「頭がいい」と褒められたAグループは、期待を裏切らないために新たなチャレンジを避けるのだろう。
確実に解ける簡単な問題にのみトライ。
問題が解けなくて「なんだーやっぱり頭悪いんじゃん」と評価されることを回避する。
「頭がいい」という良いレッテルを剥がさないように、実際より良い結果を報告する。(ウソをつく)
自分のミスを認められないし、そもそもミスする可能性のある課題にはチャレンジしない。
これを繰り返すと、チャレンジを続けた人と比較し結構な差がついちゃうだろうと予測できる。
「頭がいい」というのは褒め言葉だ。
褒めれば自信をつけ、さらに伸びそうなものなのに。
実際は期待した反応と真逆になってしまうのが興味深い。
へー。
褒め方って大事なのね。
過程を褒める
- 頭がいいね。
- 運動神経抜群だね。
- センスがあるね。
そのような『結果』を褒める言葉は、どうやら逆効果になることがあるようだ。
そうじゃなくて、そこに至る『過程』を褒める。
- 以前解けなかったこの問題が解けたのは、きちんと復習したからだね。
- 体幹の使い方を工夫したら、すごくバランスが良くなったね。
- この部分をこの色で表現したのは、とても素敵だね。
そんな風に、がんばったこと、創意工夫したことを褒める必要があるのだろう。
大人は、『結果』を褒められると純粋に嬉しい。
ある程度人生経験を積み、良い結果を目指して、結果そうなっているからだ。
「しめしめ狙い通り」ってこと。
でも、子どもは圧倒的に経験が足りない。
行動の結果がどうなるか、あんまり見えてなかったりする。
どんな結果がどの程度褒められるかの感覚も掴めてないし。
なので、想定外の感じで褒められると、混乱しちゃうのだと思う。
その子の想定と同じ目線で褒める。
狙ったことや考えたことを見据えて褒める必要があるのだ。
めんどくさいけど。
大人は「狙い」が大体みんな一致しているし、わかりやすい。
でも子どものそれって、マジで千差万別だったりする。
子どもだもの。
ワケわかんないこと考えてる。
「そこ⁉︎」ってことが、結構ある。
子どもだもの。
ところで。
HSCは、自分の思惑とズレた褒め方をされると、褒められているのにブチ切れることがあるんです。
褒めたのに、めっちゃ怒る。
慎重にその子の思惑を観察し、どこをどう工夫したのか見極めて、上手に褒める必要がある。(大きな声じゃ言えないけど、かなりめんどくさい。。。)
ギフテッドだってそうだ。
苦労せず当たり前にできてしまうことを褒められても、なんだか釈然としない。
今興味を持っている方向を見定め、新たな発見や工夫を上手に褒める。(これも難しいけど。。。)
同様に、定型発達の子だってその子の努力や成長を褒める必要があるのだろう。
何を工夫し、どこが成長した?
ケースバイケースだ。
その子をよく観察するしかない。
答えは子どもにしかない。
お子さんをよく見てください。
めんどくさいけど!
でも理解できると大人も子どももすごく嬉しいし腑に落ちるし、子育ての醍醐味を感じると思います。
『結果』を褒めるのは簡単だ。
パッと見れば誰にだってわかる。
でも、「対子ども」に限って言えば、それじゃうまくいかないんだと思う。
子供は成長する。
今日のこの子は、昨日のこの子とは違う。
今までになかった新たな考えや工夫が、絶対にある。
「今回はココをがんばった!」ってポイントがある。
それを見つけてすくい上げることが大事なのだろう。
めんどいけど!
正直めんどいけど、それをツブサに観察するのってすごく大事。
子供にとっては、「親は自分のことを見ていてくれる」という心の安定に繋がるのだと思う。
叱るときも同様
同様に。
子供の困った行動を改善させたければ、その子が何を考えなぜその行動をしたのか、よく観察する必要がある。
「困った行動」(つまり『結果』)だけ叱っても、うまくいくことは少ないようだ。
何があって
↓
どういうふうに感じ
↓
何を考え
↓
どんな目的でその行動をしたのか。
見極めないと、「大人は意見を押し付けてくるばかりで全然話を聞いてくれない!」という状態になる。
ホラ、よく聞くあの状態ですよ。
信じられぬ大人との争いの中で夜の校舎窓ガラス壊しちゃう、アレです。
悪い行動という『結果』だけ見てても、多分ダメで。
診察室で『答え』を求められることが結構ある。
でも、その答えを僕は持っていない。
ケースバイケースだ。
こうすればみんな良くなるよ! なんて魔法の言葉や方法はない。
「なんでそんなことをするの?」
理由が分からないと、対処のしようがない。
そして答えは子供にしかない。
だから子供をよく観察するしかないのだ。
まとめ
結局、褒めるのも叱るのも「その子をよく見てください」ってことだ。
子供をよく見てください。
「子供をよく見るって具体的にどうしたら?」
という問いの答えがコレなんだと思う。
その子が何を感じ、何を考え、なぜそう行動したのか。
そこをしっかりすくい上げていれば、褒める子育てでも叱る子育てでも、もう何でも全部正解でいいや! と大雑把な僕は思っている。
記事を読んで、大学時代の同級生を思い出しました。同学部の学年一の美人で、親も裕福、頭脳もおそらく親譲りで成績優秀。際立った美点がある訳ではないけれど、真面目で誰とでもうまくやれる子。当然モテモテ。
女子会の時に「内面を見てほしい。でも私全然輝いてない。こんな状態で付き合いたいって言われても」と悩んでいました(本心から悩んでいるのがわかるので、それで全く周りの反感を買わない、いい子でした)。
真面目な子、色々なものを持っている子ほど、自分で得た物を認めて欲しい、でも自分で得たものが何かが自分でもわからなくて、苦しいのかもしれませんね。