コロナ休校が長引いている。
stay homeに伴い、虐待が増えていると聞く。
正直、僕は実感がなかった。
むしろ学校が休みで不登校も発達障害も落ち着いている印象だった。
どうせみんな休みだから、学校に行かなくても罪悪感なく気楽♪ みたいな。
が、先週立て続けに虐待につながりそうな案件を耳にした。
どの家庭にも通じる部分がありそうなので、詳細を変えて共有したい。
ケース① 自閉症男子
高知能の自閉症で、普通級の小学3年生。
コミュニケーションはかなりしっかり取れ、診察室で会話する分には自閉特性はあまり気にならない程度。
ただ、自宅や学校で、興味のない内容の話は全く耳に入らないことがある。
「耳が聞こえない」「耳がついていない」かのような入らなさとのこと。
興味のある内容なら普通に会話できる。
母はその特性を理解し、うまく対応していた。
理論的で落ち着いた母。
だったのだけれど。
休校に伴い、母子で過ごす時間が大幅に増えた。
わかっていたはずの特性でも、目の前で何度もやられると、さすがにイライラする。
「聞いているの⁉︎」
「ちゃんと話を聞きなさいっ!」
自宅で大声で怒鳴ってしまったところ、通行人の耳に入り、110番通報。
ケース② ADHD男子
知的にかなり高い(IQ130台)小2男子。
自宅で学校の宿題をやらせるが、座っていられない。
10〜15分ほどで立ち歩き、集中しない。
小6兄が先に宿題を終えゲームしていると、「ゲームの音がうるさい!」と取っ組み合いの喧嘩に。
他にもぼーっとして何度も鉛筆を落としたり、おもちゃに気をとられたり……。
何度も何度も仲裁に入る母がイライラして限界に。
どうだろうか。
どこのお宅でも、似たようなところはないだろうか。
ケース①は、普段は学校に行っており、母と顔を合わせる時間がさほど長くなかったのに、丸一日べったり一緒になったせいで限界を超えた。
数回なら笑って流せることでも、何十回、何百回やられる。
少しは手伝ってくれないと生活が回らない。
母の我慢の限界を超えたことは責められないと思う。
ケース②も、学校ではゲームやおもちゃはなく先生の目もあるのである程度勉強に集中できていた子が、自宅ではそうもいかなくなった。
宿題が終わらなくても、集中力が途切れたらそこで終了にしてはと本人に提案したが、完璧主義なところのある子で「それは気持ち悪いから嫌だ」と。
急に勉強部屋や書斎など増設できるわけもない。
血を見る喧嘩になるので目が離せず、家事も進まない。
どちらのケースも、もう、どうしようもない!
どうしようもないよ。
誰も悪くない。
環境が変化したせいだ。
コロナウイルスのせい。
今回は発達障害の例を出したが、定形発達児でも同じ。
在宅時間が長くなったために顕在化してくる問題は多いはず。
子供を育てるって、それだけ大変。
マジで大変だと思う。
もう、手を抜くしかないと思う。
やらなきゃいけないことを最大限に減らす。
家事とか、もういい。
母の「やるべきこと」を極限まで減らす。
人はホコリでは死なないし、カップラーメンおいしいですヨ。
その分直接子供に関わること(危険なことがないように見守るとか、要求にリアルタイムで向き合うとか。向き合うだけで、すぐに答える必要はないと思いますが。)を優先する。
今まで教育のプロである学校の先生がやってくれていた内容を、
家庭でカバーするしかなくなったのだ。
本当にお疲れ様です。
もう、今日という日を生き抜けばそれでよい。
明日まで元気に生きていれば、それだけでハナマルだ。
100点を目指す必要はない。
子育て、本当にお疲れ様です。