親子関係

世間体ってそんなに大切?

「不登校なんて近所の人に知られたら恥ずかしい」

「こんなこと、田舎のおばあちゃんになんて説明すればいい?」

「いとこの○○ちゃんは△△高校に合格したのに、あなたは……」

「このままじゃ親戚に顔向けできない」

 

親御さんは、このような発言を子どもに対してしていないだろうか。

 

 

上記のようなことを言われると、子どもはひどく傷つく。

すげー傷つく。

 

親子の温度差

僕の外来では親と子を分離して別々に話を聞くことが多いが、この手の話は子どもからよく出る。

「こんなん言われて悲しかったんだよ!」と。

 

でもその親御さんに話を聞くと、自発的にはまず出てこない。

僕から尋ねると、「あぁそんなこと言いましたっけ」と。

 

温度差がすごい!

 

親は、大して気にしていない。

でも子どもはすげー傷ついている。

 

子供の視点

子供が超傷つく理由。

親が自分を見てくれていないと実感してしまうためだろう。

 

子ども自身困っている。

なんとかしたいけど、できなくて今こうなっている。

なのに親が気にするのは親戚の顔色。

 

自分じゃなくて、親戚を優先している!

 

これは怒るだろう。

 

 

自分がちゃんとしないといけないのは、親戚のため。

近所の人に変な目で見られないのが目的。

できるならとっくにそうしているのに、できないのに。

なのにお母さんがちっとも自分を見てくれない!

 

そりゃ悲しいでしょう。

そりゃ傷つく。

 

親の視点

一方親の方はというと、叱咤激励の一環として何気なく発言していたりする。

 

  • 今の状態(例えば不登校)だと、いろんな困ることがあるけど、親戚から変に思われるというデメリットもあるよ。
  • おばあちゃんに説明するとき困るよ。
  • いとこの○○ちゃんはできたんだから、アンタもがんばりなさい。

そんなノリだったりする。

 

だから子どもの傷つきに比べ、親は軽い。

「頑張らせる理由」を列挙したに過ぎないので、覚えてすらいなかったり。

この手の発言のまずいポイントは、

親の不安』と『子の不安』を混同しているところだ。

 

親戚にとやかく言われて困るのは『』だろう。

親戚のオバチャンの意見を子どもが気にすることは、まずない。

田舎のばーちゃんから嫌味を言われるのも、いとこと比較し劣等感を覚えるのも、全部『』だ。

 

子供はそんなことどーでもよくて、今はとにかく目の前の学校から逃げたい一心だ。

 

 

私の子育てが悪かったって思われるかしら……。

 

親が』不安なのだ。

それをさも『子どもの』不安のように言う。

 

母
このままじゃアナタ恥ずかしいわよ。

 

子供には、「アンタのせいで私(親)が恥ずかしい思いをする。どうしてくれる」というメッセージにしか聞こえない。

 

そんなこと言われてもどうしようもないだろうが激おこプンプン丸!!!

 

そりゃ怒るわ。

壁に穴のひとつも空けるだろう。

『親の不安』と『子の不安』 外来を受診される方は何かに困って受診するわけだが、何に困っているか、すなわち主訴をまとめてきてくれると非常に助かる。 ...

 

「親の不安」と「子の不安」

親の不安子の不安を分けて考えることだ。

 

周囲の目が気になるのは、親の不安だ。

そして今困ったことに直面し、実際に一番不安なのは、まぎれもなく子ども自身だ。

親の不安をぶつけたところで「よーし、じゃあ頑張ろう」と思う子はいないはずだ。

 

それなら上記発言になんの効果もない。

むしろマイナスにしかならない。

 

人とは違う子どもを育てるなら、

人とは違う親にならなければなりません

(エレイン・N・アーロン)

 

ほんとコレ。

まさにコレ。

コレしかないと思うのだ。

※エイレン・N・アーロン:HSCの概念を提唱したエラい先生

 

困っているのは、目の前の子どもだ。

一番の味方になってほしいのは、他でもない、親であるあなただ。

子どもが切に欲しがっているのは、親戚ではなく、『あなた』からの理解と承認だろう。

 

まとめ

ってことで、世間体ってそんなに重要ですか?

 

親戚の小言なんて無視してほしい。

お母さんの一番大事な宝物は、目の前のその子ですよね。

「うちの子のいいところも何も分かってないくせにバーカバーカ」

これでいきましょう。

 

あ、例によって心の中でお願いします。(トラブルになるから)

POSTED COMMENT

  1. 子供とともに より:

    いつも楽しく拝見しています。
    夫には「お前に任せたせいだ。」、姉からは「あんたのせいだ。」と言われても、息子には全く言わずに自分で受け流していたつもりですが、壁には無数の穴が。。。いっそのこと、息子がいる前で「うるさい!誰のせいでもないわ!外野は黙ってろ!」とでも言うべきでしょうかね(^o^;)
    子供達の気持ちをいつも代弁してくださって、ありがとうございます。

  2. Thaikick mama より:

    私の親は、まさにその通りでした。

    そして、私は不登校でした。
    だから、自分で判断がハッキリできる歳になったら、好きにさせてあげたいと思います。
    何とでもなります。
    が、基本的な社会性を身につける時期の、小学一年生の今。
    行き渋りが強く、厳しいです。
    本人もよくわかっていない。
    ただ不安。家にいたい。
    行けば楽しいのに、行くまでの勇気がめちゃくちゃいるみたいです。
    付き合うと確実に遅刻の日々です。
    これが親に成らせてもらった試練なのかなと思います。

  3. まちゃ! より:

    親が周りからの盾になる。
    こどもは親が見栄を張る材料じゃないし。
    子がちゃんとできないのは、親のせいおか思う奴が悪い。
    納得すればできる。周りみたく、何も考えずに大人の言いなりに動かないだけ。むしろカッコいい。
    けど、周りと同じように動けたほうが、楽しく過ごしやすい。
    だから、できるだけ理屈で納得させる。
    これ、こちらのブログ読んでから、自分に言い聞かせてます。
    ブログ。かなり参考にさせてもらってます。感謝です。

    あと、できたことは、他の親の前でも、大きな声で褒めまくる。

    これ、つい謙遜したくなるから難しいけど、あえてやってます。

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