HSC

間口の狭い子

自己肯定感。

親が子に与えられる一番大きいものだと僕は思っている。

 

これが揺るぎないと、非常に生きやすい。

良いときはさらに良く、しんどいときは上手に人に頼って。

失敗しても自分を責めることなくまた立ち上がれる。

その道が成功へと続く。

 

だからお子さんの自己肯定感を育んであげてほしい。

たくさん肯定して、そのままのその子を受け入れてほしい。

 

 

そうなんだけど。

 

 

受け入れても受け入れても、その肯定を受け取らない子がいる。

そのままのあなたで愛してるよって言ってるのに、全然信じない。

 

なにその天邪鬼。

そう、HSC (ひといちばい敏感な子)だ。

HSC 〜ひといちばい敏感な子〜 中2女子です。 朝は特に調子が悪いんだね。 ...

 

HSC(ひといちばい敏感な子)

HSCはみずみずしい感性を持つ。

他の人とは違う発想をする。

周囲を鋭く観察する。

それゆえに、社会生活がしんどくなることも多い。

 

 

そんな美点を、そして欠点を、大人が肯定的に捉えて接する。

なのに。

 

女の子
女の子
 でも、そうは言っても自分はヘンなんだ

 

男の子
男の子
でも、お母さんも本音では普通じゃないとダメって思ってる

 

なにこの天邪鬼。

肯定されてるんだから、素直に受け取ればいいのに。

 

 

育てにくい、ですよね。

HSCの子育てって大変ですよね。

 

でも、責めないであげてください。

そうなった理由があるはずなんです。

 

そうなった『理由』

HSC。

ひといちばい敏感な子。

 

すごく繊細で、人からの評価をとても気にする。

基本的に「褒められたい」。

小さい時から、褒められるとすごく嬉しい。

褒められたくて、心配かけないように空気を読んだり、頑なにルールを守ったり。

 

彼らの原動力は「褒められたい」。

その一心で、周囲から見たら理解しづらい行きすぎたような行動をとるんです。

 

 

だから、もともとじゃない。

生まれつき好意を受け取る間口が狭かったわけじゃない。

後天的にそうなった。

 

 

きっと何かエピソードがある。

大人が聞くと「そんなことで⁉︎」と思うようなエピソード。

クラスメートがノリで悪口言ったとか、親が愛あるイジりをしたのを真に受けたとか。

傍目にはとても些細なこと。

 

 

でもHSCだから、100倍くらいに増幅して受け取った。

 

  • たった1度、男子にブスって言われたことで、「自分はブスでキモいとみんなが思ってる」と何年間も思い悩んだり。

 

  • 母が対外的に我が子を謙遜したのを聞いて、「お母さんは本音では私はダメな子って思ってるんだ」と解釈したり。

 

  • 不登校はダメなことという世間の風潮を敏感に感じ取り、「お母さんも本当は学校に行って欲しいと思っているに違いない」と考えたり。

 

HSCだ。

傷つくのがとても怖い。

 

好意的な言葉を真に受けて、浮かれた様子を陰で笑われたりしたら耐えられない。

だから、調子に乗らない。

褒め言葉も疑ってかかる。

 

女の子
女の子
みんな優しくしてくれるけど、本音では自分が邪魔なんだ。

 

根拠は、小学校3年生のときに男子にキモいって言われたこと。

 

 

ね。

HSC本人もとてもしんどいでしょう?

 

 

そうなった理由がある。

だから間口が狭いこと、責めないであげてほしい。

 

それでも肯定してあげて

めんどくさいのはわかる。

どんなに肯定しても響かない、どうすりゃいいのよ!

わかる。

 

 

でも、突破口はある。

なぜなら、その子はHSC。

もともと、人からの承認を誰よりも求めている

 

「あなたはあなたのままで、大切な存在よ」

「あなたを信じているよ」

「あなたの意見を尊重するよ」

 

きちんと伝えてあげてください。

で、面倒かもしれないけど、伝わったか『答えあわせ』してください。

 

「お母さんは本気でそう思ってるんだけど、伝わってる?」

「本当に本当?」

「そうは言ってもいい子じゃなきゃ愛してもらえないと思ってる?」

 

疑心暗鬼な様子なら、何度だって伝えてあげてください。

HSCの狭い間口を広げるには、101回くらい伝える必要があるかもしれない。

あなたが好きだから!」(武田鉄矢で)(いい話なのにふざけないで)

 

 

 

HSCに親が与えられるものって、自己肯定感しかないと思う。

世の中の仕組みなんて、その鋭い観察眼でよくみている。

いいこととダメなこと、誰よりよく分かってる。

しつけじゃなくて、心配じゃなくて、信頼して、肯定して、『自己肯定感』を育ててあげてほしい

HSCは誰にも真似できない大きな花を咲かせると、僕は信じている。

POSTED COMMENT

  1. まぼ より:

    小5の息子、不登校になり2か月経ちました。小さな頃から抱きしめて、愛情を伝えてきたつもりなのに、本人はまだまだ足りないようで、今も頻繁に甘えてきます。赤ちゃんの頃から敏感で育てにくく、本当にしんどい思いで子育てしてきました。先生の今回の話は非常に腑に落ちる内容でしたので、これからしっかり「答え合わせ」していこうと思います。あと、HSCの子は母親の精神状態を自分のことのように吸収してしまうので、私自身がいつもハッピーでいられるように、楽しいことばかり考えています。先生、熱意のあるブログをありがとうございます。

    • pediatrician-p より:

      甘えん坊の5年生ですね。
      ぜひたくさん甘えさせてあげてください。

      HSCは母の精神状態をよく観察しています。
      そして、影響されます。
      おっしゃる通りだと僕も思います。
      お母さんがお母さんの人生をエンジョイされてください!

  2. ニャンコ先生 より:

    P先生 いつも拝読しています。先生の言葉にクスクスしながらもとても励まされています。中2の娘はたぶんHSCです。そしてターナー症候群で小2から治療をしています。
    休校明けに不登校になり2ヶ月経ちました。怖がりでできない事が多く(やらないから) 、ターナーだからだと思ってました。そんな諦めみたいな気持ちが娘に伝わっていたのかもしれません。やる前から「私にはできない」と尻込みしてしまう。背中押して言葉かけてもテコでも動かない。 私は自分を責めて反省しました。
    今は答え合わせの真っ最中です。主人とも気持ちは同じ方向を向いていますので、これからのことはみんなと同じでなくとも、娘と話し合いながら別の道を考え、方向づけをしてあげるのが我々親の役目だと思っています。

    娘が6年の時に書いた句があります。

    「たのしみは
    今日のしたこと あったこと
    母といっしょに 語り合うとき」

    親バカですみません。
    そして長々と書いてしまいました。
    これからも先生のブログを応援します。
    ありがとうございました。

    • pediatrician-p より:

      みんなと同じでなくても、話し合いをしながら方向付けするのが親の役目。
      まさにおっしゃる通りだと僕も思います。
      素晴らしいです!

      HSCは、気持ちを聞いてもらえるだけですごくハッピーになります。
      たくさん会話してあげてください。
      応援しております。

  3. こはるかお より:

    母子分離不安、HSCと、聞きたかった事を書いて下さりありがとうございます!
    3年生の息子と付き添い登校を始めて、もうすぐ二年。息子の不安が落ち着いてきたかな~と思ったらコロナで長期休校など何かしら起こり、敏感な息子にはなかなか気持ちが付いて行けない様です。
    ゆっくりで良いよ、そのままで良いよって伝え続けていきたいと思います。
    ただ…主人(父親)は同性だから?なかなか理解してもらえない感じです。
    板挟みがしんどくなります。

    • pediatrician-p より:

      コロナですねー。
      リズムが崩れた子が僕の外来にもたくさんいます。
      親御さんの無理のない範囲で付き添い登校してあげてください。
      お子さん、すごく安心すると思います。

  4. ミッキー より:

    私の息子も超敏感で
    不登校5年目です

    凄い鋭い観察力で
    落ち込んだ私を発見し
    勇気をくれる言葉掛をしてくれます

    学校にはいけてないけど
    私は彼の成長を素晴らしさを日々感じます

    こうなれたのも
    母親を支えてくれる存在がいたからです。

    先生も
    私を含め
    多くの母親を
    支えてくれています✨✨✨✨

    出会いに感謝✨

    • pediatrician-p より:

      ミッキーさんのお子さんは超敏感なのですね。
      HSCにはHSCにしかない良さがありますよね。
      そんな特性を大事にしてあげてください。

      そして、子を支えるにはまず親からの理論ですね。
      そこがなかなか難しいのですが、微力でもお力になれると幸いです。

  5. すー より:

    HSCって、本当にめんどうですねー。
    何度も同じことを言っても、何度抱きしめても足らない。
    一発屋の芸人が、同じことばかり言うのが飽きてきた。でもその先に視聴者にたくさん伝わるから言い続けないといけないって誰か言ってましたが、それぐらい本人には伝えて伝えて伝え続けないといけないんですねー。例えが変ですいません。

     大きな花には、みんなと違う肥料や水の量が必要と自分に言い聞かせて、花の開花を信じたいと思います。

  6. まちゃ! より:

    今日の話は、うちの6歳児にピッタリあてはまりました。
    本当にその通りだと思います。診断は違うんですが、私の中では、コレだと信じてます。
    間口が狭い。なるほどなと思いました。
    ペリーさんの視線気にせず、こども目線に照準合わせて、堂々と関わるようになれたのも、ママ友にブログ教えて貰ったお陰です。
    最近、悪循環から抜け出せました。園で嬉しい報告受けました。
    このまま。
    自己肯定感あげあげで行ってきます。

  7. kei より:

    私の子供もHSCと言われました。
    大切に育てます。

  8. よぴこ より:

    P先生のブログはいつも愛があります。
    大好きです。

  9. ラスチェリ より:

    そうですね。大きな花🌸を咲かせることを信じて

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