不登校

家が快適すぎるから学校に行かない? 〜不登校の子に適した自宅環境〜

「不登校なんですけど、家が快適すぎるみたいです。

わざと居心地悪くしたほうが学校に行くでしょうか」

 

 

不登校の子どもが、まぁ不登校なのでずっと家にいるわけだが、

長時間ゲームしたりテレビを見てケタケタ笑ったり、楽しそうに過ごしている。

 

家が快適すぎて、余計に学校に行かなくなるのでは?

居心地を悪くすれば、家から出て学校に行くのではないか?

 

 

 

なるほど。

言われてみれば確かに。

他の子は学校に行っている時間に、我が子は自宅でのんびりしている。

ゲームやYouTubeをエンジョイしすぎて、学校からさらに足が遠のきそうだ。

 

母
この生活に満足してもらっちゃ困るのよっ!

 

確かに確かに。

親御さんはそう思うはず。

家で楽しそうにしている我が子を見ると、

なんの不安も抱えていない(ように見える)その姿に、親の方が不安になる。

 

でもこれは明確にノーと言いたい。

家はできるだけ快適にしてあげてください。

 

 

 

不登校の予後を研究した論文がある。

細かいところは忘れたが、不登校の学生を追うと、数年後(5年後くらいだったか)に復学か就職している子が8割ほどらしい。

ほとんどの子が、数年後には社会復帰するのだ。

 

大人の引きこもりと異なり、子どもの不登校の予後は悪くない。

 

 

 

では社会復帰しない2割って、どんな子だろう。

僕はこれには2種類あると思っている。

 

 

まず一つは、自閉スペクトラム。

そもそも人とのコミュニケーションを欲しないタイプの子だ

自宅で好きなことをしているのが一番ハッピーで、人と関わることに興味がない。

だから社会に出ようと微塵も思わない。

 

この子は、僕はこのままで良いと思う。

 

 

 

二つ目、家の居心地が『悪い』タイプ。

『良い』ではなく、『悪い』タイプです。

社会復帰しない子の大部分がこれに当たるだろう。

 

学校でうまくいかなかったから不登校になったのに、家にも居場所がない。

自分の気持ちを誰もわかってくれない。

自己肯定感、めっちゃ低い。

自分には価値がないと思っているけど、それを認めて開き直る勇気もない。

こんな自分に産んだ親が悪い! と親のせいにしている。

 

 

このタイプは大抵家族と折り合いが悪い。

暴言を吐いたり、暴れたりする。

自宅の壁には穴が空いている。

 

このタイプの子の親御さんからしたら信じられないだろうが、自宅で円満に不登校している子もけっこういるんですよ。

そういう子の予後はすごく良好で、近いうちに復学する。

 

 

我慢して我慢してどうしても無理で不登校になったのに、親がわかってくれない。

口を開けば

「ロクな大人にならないよ」とか

「学校に行かないならご飯も食べるな」とか

「親戚に合わせる顔がない」とか

「本当に恥ずかしい、ダメな子だ」とか言う。

 

 

不登校の子はそもそも罪悪感と劣等感に苛まれているのだ。

自分で自分を責めている。

なのに、さらに傷口をえぐるようなことを、親が言う。

 

こんな自分に産んだ親が悪い!

今の状況は親のせいだ!

責任とれ!

 

と、すねる。

自分を正当化するため、「親のせいでこうなった」と思う。

八つ当たりだって?

でも彼/彼女はこう確信している。

 

親が子育て失敗したから、自分はこうなった。

苦しんでいる様子を親に見せつけてやる!

 

 

親への復讐を目的に、ひきこもりとなる。

自分の人生を棒に振ることで、親への見せしめとする。

お前が一人の人間の人生を台無しにした! と見せつける。

 

いつか親が理解し、今までのことを謝罪してくれるんじゃないか。

それまでテコでも動かない!

 

 

これは事態が膠着する。

長期化する気しかしない。

 

 

こうならないために、「親は味方」「家は自分の居場所」と思ってもらえるほうがずっと良いと思う。

家で安心できると、そのうち『暇』になる。

『暇』ってものすごいエネルギーで、自分の足で立って歩く原動力となる。

 

 

人はどうしても他者との関わりを求める。

特に思春期は、親から離れ同世代の友達を欲する年齢だ。

親が全てだった世界から巣立ち、自分の世界を広げていく時期。

親元にいたら物足りない、すなわち『暇』なわけだ。

これが健全な姿だと思う。

 

引きこもり続ける子は、「親への復讐」という目的があるので、なかなか『暇』にならない。

家の居心地を『悪く』するってつまり、復讐という目的をわざわざ与えることになるんじゃなかろうか。

 

 

 

まぁグダグダ書いたが、不登校の子は、もう十分に傷ついている。

学校でボロボロになって、家へ逃げ込んだところだ。

傷口に塩を塗りますか? ってこと。

 

彼/彼女なりに傷ついているのは明白だ。

何も考えず、自宅での生活をエンジョイしているわけがない。

たとえそう見えなくても、だ。

不登校生活をエンジョイできるような神経の図太い子は、そもそも不登校にならない。

やっぱり思いっきり安心させて休んでもらうのが得策と思う。

POSTED COMMENT

  1. 高校生 より:

    私は今高3です。
    たぶんHSCで、完璧主義です。
    高3から不登校になりつつあります。
    親にHSCで完璧主義なことを伝え、学校を通信制にしたいと言いましたが、あと1年で卒業ということもあり、(コレまで通り学校に行けば)あり得ない、サボらず学校に行けと言われます。自分がHSCなことは分かりましたが、親や友達にわかってもらえない場合どうしたらいいでしょうか。相談は受け付けていないとのことだったのですが、話せる人もいないため、書かせてもらいました。できたら、記事にしていただきたいです。長文失礼しました。

  2. bool より:

    中学一年生 男子。6月から急に不登校になって、現在絶賛引きこもり中。
    小学校からの友達も不登校…。昼間は、2人オンラインのゲームで音声チャットで話しながら楽しんでる。
    こんな形で他者と関わっている、同年代の同じ境遇の友達と交流してる状況。P先生のいう『暇』に果たしてなるのだろうか。
    『暇』にならなけらば、ずっとこのままなのかな。

  3. フジ より:

    小学生の低学年で、一日中テレビを観ても脳への影響やテレビ依存などの心配はないでしょうか?制限なしでも問題ないですか?

    • pediatrician-p より:

      質問ありがとうございます。
      同じようなことで悩んでいる方が多そうなので、近日中に記事にさせていただきます。

  4. 雨のち晴れ より:

    はじめまして。
    こんにちは。
    突然申し訳ございません。
    不登校の子どもがいます。
    具体的にご相談したいことがあるのですが、こちらに詳細を入力しても大丈夫でしょうか?

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