発達障害

【ADHDの】やる気にならない【やる気スイッチ】

ADHD。

やればできるんだ。

今はやってないだけで、本気出せばすごいんだ。

 

そう、「やれば」ね……。

 

ADHDの特徴:注意のお部屋が一つ

ADHDを一言で表現すると、

注意のお部屋が一つ

だ。

 

これ、僕が言ったんじゃなくて。

誰かの表現をパクった。

いい言葉だなって。

 

 

ASDやHSPの特徴が、「自他境界の弱さ」から来ているのに対し。

ADHDは、「注意のお部屋が一つ」だと思っている。

 

注意が、一つのことにしか向かない。

同時にあれこれ注意することができない。

 

 

ASDやHSPと、ADHDとは、別のベクトルの概念なのだろう。

だから、ADHDの中にも自他境界の弱い人がいて。

この人たちは、ADHDでありながら、ASDやHSP的な困難も抱えている。(いわゆる合併)

 

病院に来るのは、このタイプのADHDが多い。

自他境界のしっかりしたADHDは、そこまで困ったり、思い悩むことが少ないのかなーなんて想像している。

 

 

閑話休題。

ADHDは、注意のお部屋が一つ。

だもんで、一つの物(こと)に注目すると、他がまったく目に入らない。

 

視界の外はブラックホール。

文字通り「消えて」しまうのだ。

 

だから衝動的だし、不注意だ。

視界の外は目に入っていないから。

「それ」しか見えていないから。

 

 

刹那的に判断する。

「叱られる!」と思うと、瞬間的に自己保身の嘘をつく。

あとでもっと怒られるのに、その瞬間は「怒られるのを回避したい」しか頭にない。

 

純粋というか、まっすぐというか。

なので、ADHDの悪さには、悪気がないことが多い。

 

怒らないでやってほしい。

怒っても、多分いいことないし。

 

ADHD、「やらない」問題

でね。

ADHDあるあるとして、やらないというのがある。

 

やるべきことをやらない。

ASDやHSPでもあるんだけど、ADHDでよりトラブルになりやすい。

 

関心がないことは一切やらない。

目に入っていなければ、超興味ない。

興味ないというか、「ない」。

存在しない。

 

今ゲームしてるんだから、宿題とか勉強とかブッ込まないで欲しい。

宿題は今は「ない」。

 

悪気はない。

「注意のお部屋が一つ」なのだ。

 

 

ASDやHSPが「やらない」理由は、

  • 先が見通せないとか
  • 興味の偏りとか
  • 不安が強いとか
  • 完璧主義とか

なのに対し。

 

ADHDのそれは、「ない」だ。

「ない」のよ。

「ない」の。

 

 

きっと、やればできる。

視界に入れば、気持ちが向けば、それなりにできる。

興味がないわけでも、やり方がわからないわけでもない。

ただ単純に、「今この瞬間、視界に入っていない」だけだ。

 

これが分かるので、親や先生は頑張らせようとしがち。

指摘し、ハッパをかけて、お尻を叩く。

 

母
先に宿題しちゃえば、あとが楽でしょ!

 

でも、やらない。

 

ADHD児からしたら、「今はゲームをしている」のだ。

それ以外の事柄など、ブラックホールに消えている。

 

なのに、強制的に意識に登場させられる。

この場合、ゲーム一色の世界に突然宿題が割り込んできた。

 

非常に不快。

 

脳の構造上、2つ以上のことが同時に浮上しないのだ。

 

 

無理くりその状況を作られるこの手の声かけに、ADHDは不快感を示すことが多い。

不快感で済めばいいけど。

反抗、反発、場合によっては暴言暴力。

ADHDあるあるだ。

 

「あと30分でゲームを切り上げて宿題をやれば、お風呂の時間に間に合うな」などと考えるのは、とても苦手。

つまり、プランニングが苦手。

ADHDの計画性のなさは、まさに「注意のお部屋が一つ」による症状だ。

 

やる気スイッチはどこ?

やらないのだ。

ADHDは、とにかくやらない。

 

やればできる。

そうなんだろうが、とにかくやらない。

マジでやらない。

 

「やる」才能が欠如しているというか。

「やらない」ので、結局「できない」。

そりゃそーだ。

 

 

特性からいうと、ADHDにやる気を出させるには、興味のあることに片っ端から飛びついてみることだろう。

やっては飽き、また別の方向に飛びつき。

そのうちに「これ」というものが見つかる。

 

なんだけど、これがスムーズにいかない。

特に子ども時代なんて、やりたくない学校やら課題やら生活リズムやら、強制されるもんで。

子どもの思い通りになんて、なかなかさせてもらえないもので。

好き勝手に飛びつかれては、生活が破綻するし。

どうしても強制されがちとなる。

 

 

「やらない」です。

ADHDは、「やらない」。

そういう生き物だ。

 

  • 不便でしょ
  • 困るでしょ
  • やっちゃった方が断然ラクでしょ

と、思うけど。

 

ADHDはやらない。

ADHDだもんで。

「注意のお部屋が一つ」だもんで。

 

この特性とうまく折り合いをつけるのが、ADHDの難しいところだと思う。

 

「やらない」特性

でもまぁ、そうでしょ。

やらないでしょ。

 

やられちゃったら困るもん。

だって、無敵じゃん?

エネルギッシュでフットワークが軽く、好奇心旺盛で新たなことに尻込みせず、人懐っこくコミュ力高く、しかもやることちゃんとやる特性ならさ。

 

ADHD、無双じゃん。

 

僕みたいなASDタイプ、立つ瀬ないじゃん。

そんなスーパーな特性なら、今頃世界中ADHDだらけじゃん。

 

 

実際、成功しているADHDって(成功者にはADHDタイプが多い)(社長、起業者、校長とか)、

やる人だよな。

 

特性を把握し、ちゃんと「やる」人。

ここに注意できれば、ADHDはマジで強い。

 

でも実際そうなっていないのは、ADHDが「やらない」特性だから。

素敵な欠点を、神様は作った。

やっぱどんな特性でも、良い面と悪い面とがあるものだ。

POSTED COMMENT

  1. しろ より:

    なるほど、“やるADHD”と“やらないADHD”が存在するのですね。
    発達障害というと、偉人や成功者の名前を思い浮かべる人もいて「〇〇も発達障害だったらしいし…」と謎のフォローをされたり、私自身も「特性を味方につけて伸ばしてあげれば、〇〇みたいになれるんじゃないか!?」と思ったことも多々あります。
    けれど、どう考えても感じが違うんですよ。
    ゲームも好きだけど、その分野で突出してるとか将来そういう仕事に…とかってほどではなく。
    前に通級の先生が「発達障害だからといってみんなが〇〇や〇〇(成功者や偉人)のようになれるわけではありません。好きなことを極めて仕事にできるのはごく一部です。むしろ好きなことは趣味やお楽しみとして、そのために多少嫌なことがあっても仕事をがんばれる力をつけるほうが大事」みたいなことをおっしゃっていて、すごく納得しました。
    つまりはうちの息子は“やらないADHD”のほうなんですね(笑)。
    中学生になり、やらないなりに多少はやるようになりましたが(笑)。
    すごく腑に落ちるお話ありがとうございます♪

  2. 匿名 より:

    うちの息子、正にこれです。
    興味のある事にはとことんうちこみ、今まで数々のブームあり。コミュ力最強、どこでもすぐに友達を作る。行動力も最強。「行く」となれば、1人で知らない場所も平気。この息子が、大学中退して、崩れました。ちょうど大学入学時にゲームブームで生活が乱れ、中退して3年、そろそろゲームにも飽きてきているのに、目標が見つからず、動けなくなりました。あれだけ動きも、しゃべりも止まらなかったのに、今は、ほどんど自分からはしゃべらず、出かけません(オンラインで友達とは楽しそうですが)。不登校、引きこもりのセオリー通り、家族は、ひたすら受け入れ、家を快適に、と心がけて、関係は良好だと思うのですが、これ以上どうすれば…。

  3. 匿名 より:

    小学六年生のADHDっこ。
    毎回懇談で言われるのが、最初からやる気出せばAがつけられるのにもったいないです。

    前半はまるでやる気ないモード。
    でもあるとき急にスイッチが入って本気出す。
    スイッチ入ると他の子より頑張っちゃう。

    上手にスイッチ押してくれる先生だと伸びるけど、大概正論で押し通されてしょぼくれる。
    だからなかなかスイッチが入らないスロースターター。

    活き活きと生きていくのは公立学校では難しいのかな。

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