発達障害

【発達性協調運動症】不器用は治るか【DCD】

DCD。

不器用な病気。

 

これは、治るのか。

不器用なら、いや不器用だからこそ、今から特訓すべきか。

 

発達性協調運動症

 

発達性協調運動症(DCD):

手と手、目と手、足と手など、複数の身体部位を協力させて行う運動が著しく困難な障害です。

キャッチボールが苦手であったり、消しゴムを使うと紙が破れてしまったりと、日常生活での運動に困難が現れます。

 

DCD。

極端に不器用な病気。

 

手足の麻痺や、運動機能の障害があるわけではない。

病名の通り、『協調』が苦手。

協調して動かすのが苦手で、結果、不器用となる。

 

 

例えば、手を動かしながら脚も動かすとか。(運動)

目を動かしながら指先を動かすとか。(板書)

体幹のバランスを取るとか。(姿勢)

そういうのが苦手。

 

1個1個の動作はできるんだけどねー。

「さあ、見本を見ながら、手を動かしながら、一緒に脚も動かして」となるともうダメ。

 

アブラハムでいうと、

 

さあ踊りましょう

右手(右手)

左手(左手)

右足(右足)

左足(左足)

あたま(あたま)

おしり(おしり)

 

ウガーーーーーッ!!!

 

って感じ。

 

一個ずつのパーツなら動くけど、一緒には難しい。

これが不器用。

『協調』が苦手。

 

……なぜアブラハムで例えたのだろうか。

 

ぶっちゃけ、治る?

アブラハムでウガーっとなるのは、粗大運動が苦手な子。

三輪車に乗れなかったり、ボールを投げるフォームが変だったり。

 

微細運動といって、指先の細かい動きが不器用な子もいる。

鉛筆や箸、着替えなんかが苦手。

 

ちなみに、どっちのタイプもたいてい体幹が弱く、姿勢が悪い。

机に向かうとぐにゃっとするし、隙あらば横になりたがる。

ので、DCDは叱られやすい。

やる気なく見られがちだし。

損な特性である。

 

 

で、本題。

コレって治る?

 

治ることもあるが、基本治らないと思ってもらってよい。

 

治るには、特殊な条件が必要。

条件さえ揃えば、もともとの運動機能に問題はないわけで、治る可能性は十分にある。

 

んだけどさー。

不器用な子に、大人が躍起になって練習させる例をよく見聞きするんだけど。

たいていうまくいかないんだよねー。

 

右手はこう!

同時に左手はこう!

両足も!

ほら、体幹はしっかり安定させて!

 

とかやっても、まぁ、相手は不器用なわけですよ。

超絶ヘッタクソ。

 

ほら、よく見て!

こうよ、こう!!!

 

ハイ「手本をよく見る」という目の運動が追加されましたー。

もう、無理ゲーだ。

詰みだ。

 

 

結局どうなるかというと。

子ども、キレるんだよね。

 

男の子
男の子
もういいよ!

もうやんねーよ! 

 

もともと別にやりたくないし、やってもダメ出しばっか。

メリットねーじゃん。

やんねーよ。

もう、金輪際ダンスなどしない!

と、こうなる。

 

 

ほっとくと苦手だからやらないし、やらないからさらに苦手にという悪循環。

でも、特訓してもたいていダメ。

これがDCDだ。

 

好きこそものの上手なれ

じゃあ、治るための特殊な条件って?

 

はい、コレです。↓

 

好きなこと。

楽しいこと。

 

本人が好きでやっていること。

楽しくてやっていること、

これは克服する。

 

 

結構います。

サッカーを始めたら楽しくて、いつのまにか上達して。

これまでなかった「運動で褒められる」という経験をして。

自信がついて、他の運動もそこまで苦手意識がなくなる。

気がつけば「球技は得意」になっている。

↑こんな話は結構聞く。

 

 

微細運動もそう。

好きで、楽しんでやっていると、案外上達する。

 

書字や箸、ボタンなんかそう。

医療者だと、採血や点滴なんかも、やっていると結構上達する。

採血の上手な人(職人技として重宝される)が、実はもともと不器用なんて、医療者あるあるだ。

 

 

なので、好きとか楽しいとかやりがいだとか、そんなのがあればDCDは克服できる。

逆に言うと、なければ無理

 

そしてお察しの通り、好きとか楽しいとかやりがいだとかのコントロールはハチャメチャに難しい。

自発的に好きになってもらうより他なく、コントロールはまずできない。

だから、上記の結論。

 

治ることもあるが、基本治らないと思ってもらってよい。

 

基本、ダメ。

特訓して得意になるより、苦手を回避する方が現実的だろう。

 

僕の場合

かくいう僕も、不器用でして。

微細もヤバいんだけど(字が汚すぎて読めないレベル)、粗大運動はもっとヤバい。

 

自分の不器用さには、高校のダンスの授業で気づいた。

それまでも「運動はなんか下手かも?」くらいの自覚はあったけど、ハッキリ理解したのはこの時。

ただ走るとか、球技だとなんとかなるんだよねー。

上位7割には入る。(つまり下位3割)(上手くはないけど飛び抜けて下手でもない)(ドヤ顔できるレベルではない)

 

ダンスがヤバかった!

 

ダンスの実技テストで気づいた。

真面目に踊っているのに、なんか不合格。

自分ではできたつもりが、やっぱり不合格。

どうやら、イメージに身体がまったくついていかないようだ。

 

再試、再々試、再々々試くらいで、お情けで合格。

「真面目にやってるから、まぁしょうがないか」とは体育教師の談。

つまり『真面目』以外は壊滅的だったってこと。

全く踊れていなかったのだ。

 

あっぶねー。

この時ばかりは昭和の根性論に助けられたね。

 

 

そんな僕だが、実は今ではダンスが結構得意

すごく上手くはないけど、平均的な中年男性よりは踊れる。

 

なぜかというと、練習したから。

 

何を隠そう、僕の大学の頃のカラオケの持ちネタは松浦亜弥だった。

飲み会後、二次会はたいていカラオケなのよ。

 

想像してほしい。

モッサリした理系男子学生が、あややを踊り狂う。

……気持ち悪いことこの上ない。

 

そう、ウケるのだ。

僕のあややはウケた。

あまりにキモくて。

 

もともとDCDで体幹がぐにゃぐにゃ、おかしな動きでとにかくキモい。

MP吸われそう。(ふしぎなおどり)

ちなみに大塚愛もウケた。

 

当時の僕にとって、ウケるか否かは超ド級の関心ごと。

味をしめた僕は、その後もアイドルの振り付けを覚えていった。

AKBとか、ももクロとかね。

その過程で、『不器用』を克服したように思う。

羞恥心をアルコールで封印していたのもよかったのだろう。

 

残念ながら、上達したせいで今ではさほどキモくなくなってしまった。

なので、カラオケであややを踊ることはおそらく一生ない。

ウケないなら誰がやるかっ!

 

 

とまあそんな感じで、DCDは克服することがある。

しないこともある。

 

何がきっかけかは分からない。

まさか大学であややデビューするとは、誰にもわからない。

よって、コントロールできない。

POSTED COMMENT

  1. こあら より:

    踊りではないですが、、、

    あいみょんを熱唱するオジサマのことを「おじみょん」と言うのだそうです。
    カラオケで人気なのだとか。

    P先生、コロナ明けのカラオケ対策として、、、 
    令和の飛び道具としていかがでしょうか?⁠♪⁠~⁠(⁠´⁠ε⁠`⁠ ⁠)

  2. さとゆず より:

    久々に、あややが脳内無限再生中です・・・

    どうしてくれるの!?P先生!!

    私の新たな夢は、P先生とカラオケ行くことになりました♪
    今世中に、叶うかな…

  3. うきうきの夏希望 より:

    縄跳びは手と足のタイミングがどうしても難しくて全くできず、字も枠からはみ出して慌てて硬筆で特訓、どうにか書けるようになったら書道が始まり服から習字道具のケースまでドロドロになったり…懐かしいです

    あ、大人(大学生)になっても治ってません笑
    歩く、泳ぐ、自転車に乗る等はまあ何とか…
    体幹弱くて基本フラフラしてるしバランス感覚が壊滅的で飲み物を入れるとか運ぶとか、ハラハラドキドキです
    でも少しずつ努力と工夫を重ねドリンクバーでは少量しか入れない、学食では汁物、麺類を頼まないなど
    →最近釜玉うどん(もちろん汁なし)が新メニューに加わったらしく喜んでます

    みなさんのコメント欄がみなうちの子みたいで愛おしいです
    好きなこと以外はあまり治らないんですね
    ASDと気付くのが遅く、療育等受けていないので、療育さえ受けていれば訓練?で良くなっていたかもしれないと悔やんでいたので少しすくわれました
    いろいろ思い出してじーんとしたけれどP先生のあややで吹きました

    いつもありがとうございます

  4. もと より:

    いつも興味深く、楽しく読ませていただいています。
    うちの娘まんまです。
    習字教室に通って10年位経ちますが…未だに習字を習っていない小学生レベルの字を書きます。消しゴムビリビリは勿論のこと、そもそも消せていません。ボタンももれなく苦手で、小学生の頃はブラウスのボタンを、上から着たベストの穴に留めていたこともありました。
    そんな娘を、当時は【発達性協調運動症】だとは知らずに、強豪校の吹奏楽部にぶち込んでしまいました…。勿論当たり前の基礎練習も上手く出来ず、毎日怒られていたようです。ですが、その吹奏楽も10年近く続け、全国大会の舞台にも立つことができました。勿論それでも、楽器は今でも人並み程度です。
    P先生のおっしゃる通り、治ることはないけど克服できることも少しあるんだな…と思います。

  5. しろ より:

    うちの中2男子(ADHD・ASD・LD)も当てはまりまくりです。
    ですがスイミング8年、野球5年続けています。
    どちらもそこまで好きではないと思います。
    特に野球は未だに投球フォームがイマイチです。
    小学生の頃は、少年野球経験者の主人と自主練をすると毎回ブチギレてました。
    スイミングは最後の1級がなかなか受からず、1年半も毎月進級テストを受け続けています…。
    2級まではフォームが多少微妙でも、泳ぎきれば進級できたんですが、1級はタイムをクリアしないと合格できないんです。
    規定の合格タイムまであと30秒…なかなか縮まりません。
    スイミングも野球も、今まで辞めるタイミングは何度もあったし、“いつ辞めてもいいんだよ”と伝えているんですが、本人は“辞めない”と言うんですよねー。
    好きだから辞めたくないというより、辞めることへの不安が大きい気がしますが。
    でも先日授業参観で体育のバレーボールの授業を見たんですが、以前のような目も当てられない下手さではなく、普通の初心者並みの下手さで、すごく驚きました。
    表現が難しいんですが、身のこなしが普通というか、動きが不自然じゃない、というか。
    なんだかんだありながらも、今でも決して得意ではないけど、スイミングと野球をなんとか続けてきたことで得た物もあったのかなー、と思いました。
    (でも、毎日逆ギレされながら素振りをやらせる日々は、もう繰り返したくないですが(汗))

  6. はるまるま より:

    P先生のエピソード最高です(*⁰▿⁰*)笑
    いつも面白く、ためになるブログありがとうございます☆

  7. より:

    もっさり理系男子のあややの破壊力に脱帽。笑
    アメトーークの踊りたくない芸人とかお腹よじれるくらい笑ったけど、もしかしたらDCDってやつだったのかもなぁと読んでて思いました。
    世の中には知らないことがたくさんあるなぁ…

  8. ミモザ より:

    先生、なるほどなるほど、です。
    我が家のASD息子、ほんと字をキレイに書くのが苦手。
    そして、体育の実技テストが、むちゃくちゃ苦手すぎて、去年1年間、体育の成績が全部、5段階中の、2でした(泣)
    (期末の体育のペーパーテストは、がんばって、すごく良い点を取ったのに…!泣)

    なのに、
    運動苦手なハズなのに、
    歴代仮面ライダーの変身ポーズなら、完璧に、そして連続で何種類もできるので、不思議だったのです。

    やっぱり「好き」だからなんですね。

  9. team TOKUMEI より:

    いつもためになるお話ありがとうございます。
    WISCで差が40ある、凹凸男子の母です。

    今回のお話・・・もう、まんま我が子なんですよ。
    ボタン苦手!消しゴムでノートビリビリ、板書は遅すぎて
    まず間に合わない。
    体育で、球技・ダンス・跳び箱マットの時期(ほとんどの種目)は、かなり憂鬱だったみたいです。格技もダメ。
    タイムは遅いけど走る!自転車でどこまでも行く!泳ぐ!は得意です。持久系なら何とかって感じですね。
    まー、義務教育終えたら、これらの苦しみから解放されるのかなとは思います。

    それにしても、P先生のキャラがますます分からなくなってきたんですが・・・。
    カラオケで松浦亜弥って、実は超絶陽キャなんじゃないですか!?

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