親子関係

家を快適に 〜「でも配偶者がわかってくれないんですっ!」〜

再三書いているが、家は快適にしてほしい。

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外で散々傷ついてきた子だ。

家でゆっくり安心して過ごし、エネルギーを回復してほしい。

 

家族の協力が得られない

たびたびコメントでいただく。

 

自分は快適にしたいのに、配偶者が分かってくれない。

 

快適にしようと頑張っているが、親類縁者が否定してくる。

 

これはまぁ、ぶっちゃけ「僕にはわかりません」なのだが。

僕、小児科医だもんで。

大人のことはさっぱり。

 

 

ちなみにリアルの患者さんでは、さほど多い訴えではなかったりする。

夫婦関係、親戚関係の問題は、小児科医である僕に相談することじゃないからね。

ブログのコメントに多いのは、解決するためじゃなくて、愚痴のような感情も半分くらい混ざっているものと予想している。

だから別に書いてもいいんだけどさ。

僕にはわかりません」です、ハイ。

 

 

でさ。

その上で僕は、やっぱり家は快適にしてほしいと思う。

 

配偶者や親戚が文句言ってくる環境。

それって快適じゃなくない?

少なくても相談者さん(多くはお母さん)にとっては快適じゃないはず。

お母さんが快適じゃない家って、子どもにとっても快適じゃないでしょ? とは思う。

 

こんなケースがありました

外来では、夫婦の意見が真っ向から対立しているケースって多くないんだけど。

でも少数ながらある。

 

どちらかは受容的、支持的。

どちらかは強制的、威圧的。

 

ちなみに両親とも無理解って家庭はほぼ経験がない。

きっと受診につながらないので。

 

 

あるケースで、まさにこんな感じだった。

 

お父さんの主張は、以下のようなもの。

  • 不登校に人権などない!
  • 学校に行かないならスマホもゲームも取り上げる!
  • 甘えてる! ロクな大人にならない!
  • 俺が言えば従うのに、不在だと聞かない。母が悪い!

まぁ、無理解のテンプレのような感じ。

例によって、口だけじゃなくて手も出る。

足も出る。

※もちろんこんなお父さんは病院には来ないので、お母さんから聞いた話になる。だから真偽のほどは不明。だいぶ盛っていたり、よく聞くとお父さんなりの考えがあるのかもしれない。

 

一方お母さんはというと。

  • 不登校とか関係なく、今の時代に中学生にスマホを与えないのは違うと思う。
  • 不登校とか関係なく、この子らしくいきいき生活してほしい。
  • 自立のためにはまず家に居場所を作ることから。
  • この子なりに悩んで傷ついているから、ケアしたい。

おー素晴らしい。

しかも、しっかり時間をとってこの子の話を聞いている。

雑談も積極的にしてる。

すばらしすぎる対応。

※両親の対応は改変してます。いくつかのケースを混ぜてる。

 

 

でね。

この子がどうなったかというと、低空飛行を続けている。

 

すごく悪くはなってない。

でも良くもなってない。

 

母がメインで接する期間は、ちょっとずつ行動が軟化。

笑顔で雑談でき、兄弟への当たりも柔らかで、短時間の外出もできたり。

 

でも、父が介入すると一気に悪化。

父の前では言うことを聞くが、いなくなると部屋にこもり、気分で暴れる。

兄弟に八つ当たりし、母には無理難題をふっかけ、父そっくりの物言いで威圧的に騒ぐ。

手も足も出る。

 

 

こんな感じで、行ったり来たりを繰り返している。

 

社会復帰はできない。

でも、警察沙汰まではいかない。

 

低空飛行。

低め安定。

 

 

これね。

まぁ、最悪ではないよね。

でも、良くもないわけさ。

 

この子が自分の人生を謳歌しているかというと、まったくそんなことはないだろう。

本来、優しくて繊細な子だ。

暴れながらも、本人が一番傷ついているものと予想する。

 

この家、快適?

そして。

やっぱりこの家、快適じゃないと思うんだ。

父が不在の時間も、「快適」かというとそうじゃないはず。

仮初の平和だし、両親の不仲がベースに横たわっているわけで。

 

 

頑張ってくれているお母さんには悪いけど、やっぱり夫婦不仲の家庭は、快適じゃない。

コミュニケーション不全の家は、快適ではない。

「ちゃんと話し合ってくれ」って思う。

 

不安定な家庭では、エネルギーは思うように溜まらない。

いつ壊れるか分からない平和なんて、平和じゃないもん。

お母さん一人で頑張っても、ここが限界だろう。

 

 

夫婦や親族間でコミュニケーションをとっていただくより他ない。

考えをちゃんと伝えるしかない。

相手はどう考え、どうしたいのか、ちゃんと聞くしかない。

 

「聞いてくれないんです」

「言ってもムダです」

とか言われそうだけどさ。

 

それは「僕にはわかりません」です。

小児科医だもんで。

 

 

でも子どもから見ると、両親も自分の配偶者とコミュニケーションがとれていないのだ。

家族とコミュニケーションをと言われても、難しいだろう。

ロールモデルがこうなんだから。

ましてや家族以外(学校の人とか)とコミュニケーションをとれとか、もうさ。

 

コミュニケーションとってください

お母さん(お父さん)が快適じゃない家は、きっと子どもも快適じゃない。

快適じゃない家庭では、エネルギーが溜まらない。

 

「コミュニケーションは取れないが、家は快適で問題なし」という家庭は、あるのかもしれないけど僕には想像がつかない。

コミュニケーション不全の家族は、やっぱり快適じゃないように思われる。

 

コミュニケーション、とってください。

それは大人の課題だ。

課題の分離ね。

 

子どもにはどうしようもない部分。

親御さんの課題だ。

 

 

両親で意見を一致させろってことじゃない。

方針が違っても構わないと、僕は思う。

※もちろん一致した方がスムーズだけど、そうもいかないことってあるだろう。次回詳しく書きます。

 

「相手はこう考え、これを大事にしている」って理解してほしい。

理解した上で、お互いの考えを尊重してほしい。

 

同意できなくても良い。

理解して、尊重してほしい。

これは実現可能なはず。

そしてこんな家庭は、きっと親御さんにとってもお子さんにとっても快適なはずだ。

 

まとめ

お母さん(お父さん)が快適じゃない家は、きっと子どもも快適じゃない。

快適じゃない家庭では、エネルギーが溜まらない。

 

これは、大人の課題だ。

 

家を快適に。

お願いします。

POSTED COMMENT

  1. 匿名希望 より:

    耳の痛いお話でした。
    きちんとコミュニケーションを取って、夫婦が居心地良くなれば子供もエネルギーがたまる…おっしゃるとおりです。
    でも、夫には何をどう話してもどうしても無理なんです。ASDだからというのもあるのですが、自分の考えが世界の正解で、妻も子供も同じでないとおかしいと言います。
    理解も尊重も、私がしようと思っても向こうはそんな必要はないと信じているので1ミリも変わりません。
    私の力不足で夫とコミュニケーション不全になり、娘のパワーを奪ってしまい、不登校に追い込んでしまった自分はなんてダメなんだろうと申し訳なくて泣けてきます。
    娘のために快適な家にするには離婚するしかないのかもしれません。
    でも、おっしゃるとおり夫婦の問題ですよね。関係ない愚痴を書いてしまって申し訳ありませんでした。

  2. もふもふ より:

    P先生いつもありがとうございます

    長男がOD発症時の我が家のようです。長男が夫には目を合わせなくなってようやく気づいたようです。その後も私には文句言ってましたが長男には言わなくなりました。

    私にはいいけど長男には口を出すな、金を出せを合言葉にしました笑

    でもまあ、家庭内はギスギスしてましたね。

    そんな中、猫を飼いだしました。みんな猫に気が行くし長男もリビングに出てきて可愛がったりして会話も増えてきました。

    みんな穏やかになりました。

    家を快適に。大切だと思います。

    • ふくちゃん より:

      我が家も、もふもふさんと同じです!
      息子がODになって、家族が心身疲弊していた3ヶ月目に、愛犬チワワを迎えました。

      おかげで、家の中に穏やかさが、戻ってきました。みんなで可愛がっていて、
      もう、NO LIFE NO FUKU.です(笑)

      ODになって、1年3ヶ月がたちました。
      先は、不安ですが、
      なんだか、家族で笑っていると、大丈夫な気がします。根拠のない自信ですが、、😊

      突然のコメント失礼しました。
      今後ともよろしくお願いします。

  3. 匿名 より:

    まさに、我が家の家のことかと思いました。

    エネルギーたまらないですよね。
    なのに、周りだけが焦って圧を与えてしまう。

  4. 杉母 より:

    本当にそうですね! 我が家も息子の不登校が始まり出した時は、夫婦での意見が合わず喧嘩になったりで…。しかし息子の辛そうな姿を主人も見てられなくなったり、あとは心療内科の主治医の先生の話を聞かせてみたりですっかりまるくなり、まるくなりすぎて不登校息子のやりたい事ばかり優先にし過ぎてちょっと困ってるくらいに…。とにかく息子にとって楽しい事を優先的にしてくれて、ありがたいです。そんな息子も二年からは通信制の高校移り、大学進学をめざそうという事になりました。 
    先生、私にとってのカウンセリングはこちらのブログです。今後とも投稿よろしくお願いしますね。

  5. 毒親 より:

    このブログの内容とは全く無関係ですが、P先生は、環境ホルモンと発達障害の因果関係についてどう思われますか?
    先日テレビで環境ホルモンが発達障害の原因の一つと研究している研究者の番組を見てしまいました。私はプラスチックの危険性なんて知らなかったので、姉の子どもが使ってた20年前くらいのプラスチックの哺乳瓶をもらったので考えなしに使用してました。細かい傷もたくさんありましたりしかも使い方もいい加減で、人肌のお湯を入れるのでさなく熱湯をいれ後から作っておいた白湯を入れたり、仕事もしていて、帰ってきてから作るスキルがなく3歳すぎまで作り置きのご飯をあげていたので、ラップ類で温めも毎食やっていました。油物もラップを使用していました。思いきり新生児から幼児期にかけて環境ホルモンにさらしていました。私の育て方がこの子がいけなかったのだろうと悩んでいます。他にも子どもがダメなことをした時叱るではなく怒ったり時には手を出してしまう毒親です。

  6. 匿名希望 より:

    P先生、いつもありがとうございます。
     
     手も足も出るような人間とは対話できる気がしませんが。「普通」にとらわれているだけの人なら、P先生がいつも書かれている方法が、大人にもある程度使えるかなと思います。

     (子供に対する対応の様な)意見の異なりそうな、大事な事については触れずにまず雑談で、相手がどんな事に興味を持っているか聞く。配偶者も自分の考えが相手に理解してもらえないと言う不満や反発を抱えているはずなので。

     あくまでも一例ですが、相手の家庭以外での頑張りをさりげなく聞き出して労ったり、感謝したりする。相手がリラックスして聞く耳を持ってから、相手の気が付いていない着眼点から説明する。「普通」の範囲なら良いお父さんで、もし他の兄弟との折り合いは悪くないようであれば(←手も足も出るような人は無理だと思いますが)、お父さんと他の兄弟だけで楽しいお出かけができる機会を作っても良いかも。
     
     他人の性格も価値観も変える事はできないけれど、他人の気がついていない事を上手に指摘したり、他人の気分を変えることで、他人の個々の行動をある程度変える事はできるんじゃないかと個人的に思ってます。対話が無駄な人というのは確実に存在しますが(相手が伝えようとした事を正確に認識したり、自分の考えを客観視するって、ない人にはない、多分かなり高度な能力)。例えば、自分は頑張ってるのに自分の苦労が評価されていない、子供だけ甘やかしていると思うと色々な事が腹立たしい、疎外感を感じていると言う程度の事であれば、気分が上がっていたり、自分を出来る人だと思っているとか、気持ちを理解してくれる家族には嫌われたくないと言う思いで言動がマイルドになる場合もあるはずなので。….私もよそのご家庭がどんな風に配偶者とのコミュニケーションとっているのか知らないので、他に何か、こういうのが効果的、と言うのがあったらお聞きしたい気持ちはありますね。この件に関しては、確かにP先生より、読んでいる方たちの方が、それぞれの経験をもとにした工夫を持ってらっしゃる様な気がします。

  7. ふくちゃん より:

    先生、ご多忙にもかかわらず、いつもコメントにすぐに反応してくださり、ありがとうございます。

    家を快適に、を心掛けています。
    娘と不登校の息子、愛犬、夫、私の5人家族です。
    病院を受診するときは、片道2時間くらいかかるので、初診から夫と一緒に行っています。3人で小旅行みたいです。

    とにかく夫を頼るようにしています。コミュニケーションを取って「ありがとう」をたくさん言うとか、笑顔でいるとか、、女優に成りきる(笑)。母から、昔、「お母さんは、家庭の中の太陽でいなきゃね」って、教えてもらいました。

    それで、たまに威圧的だった夫も変わりました。こどもたちも「お父さん、変わったよね」って、言っています。

    普段から笑顔でいると、家の中も上手く回るような気がします。家の中の環境って、やっぱりお母さん次第なんだなぁって感じます。

    ただ、上手くいっていても、ふと思うこと。

    相手の頑固なところとか、元々の性格って、変えられない。。イライラするー。

    そんな時は、

    元々、育った環境も価値観も全く同じ夫婦はいないのだから、何か不満があるときは、「あ、そうか、育った家庭が違うかぁ。なら仕方ない。お互い様だし。ま、いいか」と割り切るようにしたら、楽になりました。

    もちろん、息子が起立性調節障害→不登校になり、何度か夫とぶつかりました。言い合いになり、息子と家を飛び出そうとしたことが一度あります(笑)。(せっかちで、すぐに白黒つけたがる私ですが、)相手より優しく冷静に!を心に決めて話したら納得いく終わり方ができると学びました~。

    10年後に、家族で「あんなことあったよね」と笑い合える日を楽しみに、ぼちぼちやっていきます。長文乱文で失礼しました。

  8. 匿名で より:

    先生、本日もありがとうございます

    主人にも「あなたはそう思うんだね」が通用しますかね。夫婦お互いに話しを聞くことが大切ですね。まずは私からやってみます!

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