WISC。
子どものIQ検査。
これで全てが分かるとは思わないけど、「参考までに」実施することが多い検査。
僕は好き。
これ、数値が高いほど良いってもんじゃない。
そう。
知ってたんだけど、再度実感したので書く。
今回は『言語理解』について。
言語理解が高い
WISCは大きく4分野に分けて、その子の知能を算出する。
こんな感じ。↓
どこが得意でどこが苦手か。
能力のデコボコを見るには有用だと思う。
この中で、処理速度について以前書いた。
速けりゃいいってもんじゃない。
同様に、今回は『言語理解』の項目について、高けりゃいいってもんじゃないなと実感した。
言語理解が高すぎるゆえの問題。
分かってないことが外から見えづらい。
言語理解。
意味の理解、語彙、社会的ルール、言語による習得知識などをみる。
言葉を知っているか、意味を分かっているか、言葉で表現できるか、とかそんな感じ。
僕は初診のとき、知的にどのくらいの子なのか想像しながら話を聞いている。
話す様子から、知的レベルに当たりをつける。
つまり、知的に高いのか低いのか。
状況をどのくらい理解しており、またこちらの言うことをどの程度理解できるか。
それによってアドバイスの内容が大きく変わるからだ。
でね。
「この子は知的に高そうだな」って、なんとなく分かるんよ。
よく理解してるんだろうなーって、なんとなく分かる。
でも、この推測が大きく外れることがある。
そう、「言語理解が高い子」だ。
全体としてのIQは低め、でも言語理解だけやたら高いパターン。
この子、よく分かってそうに見えるのよ。
こういう意味だと思う。
だって以前に⭐︎⭐︎ってことがあったから。
一見分かってそうなの。
でも、WISCを受けてみると、IQは低め。
分かってそうにみえて、分かってなかった。
言ってるだけだった。
こんな子は、誤解されやすい。
先生も親御さんも、言えば分かる子だと思って接する。(僕もそう思ったし)
アドバイスやお説教、または傾聴なんかをしてくれる。
でも、全然響かない。
実は、本人はチンプンカンプンだったりする。
授業だってちゃんと聞いてるし、質問すればそれなりに答える。
でも、テストの点数は振るわない。
大人は、今はやる気が出ないのだろう、本気出せばできるのだろうと思う。
だけど能力的にしんどいんだよね。
授業は「聞いてるだけ」で、本質的な理解はできていない。
友達とも楽しく会話し、盛り上がっている。
でも、トラブルが起きると崩れる。
何が問題なのか理解していないので、身動きがとれない。
ヘタに発言して状況を悪化させたり。
こんな子が、「状況がよく分かっていない」というシンプルな理由から、トラブルを起こす。
- 友達の言葉の意味を理解していない。
- 授業がわからなくてつまらない。
- あさっての方向へ努力しているから成績が上がらない。
- 大事なことが分からず優先順位がつけられない。
- 解決策が思い浮かばない。
知的な低さから状況を把握できず、解決策を想起するのも難しい。
なのに、言語能力が高いがゆえに、周囲からは困難さが見えない。
本人は困っているのに、困ってなさげに見えちゃう。
大人からのフォローが得られない。
困る。
言語理解が低い
言語理解は、高けりゃいいってもんじゃない。
もちろん、低い方がいいって話でもない。
言葉理解が弱ければ、人の話が聞けない。
何言ってるかわからないんだもの。
注意力散漫になって叱られるのも分かる。
「あれだけ説明したのになんで出来ないのっ!」
また、自分の気持ちを表出できない。
考えを、うまく人に伝えられない。
思いがあっても言葉にできない。
小田和正。
もどかしくて、カッとなって手が出てしまうこともあるだろう。
こんな子は、困っているのがわかりやすいので、大人のフォローは入りやすい。
ただ、何にどう困ってるのか言葉にできない(小田和正)ので、支援しづらいけど。
バランスが大事
言葉って、頭の中身を伝え、相互に理解するためのツールだ。
言葉でのやりとりを通してしか、お互いの思いを知ることはできない。
頭の中身を伝えるのに、必ず『言葉』というツールを通す必要が出てくる。
ここで湾曲する。
ツールがハイテクだと、その人自体もハイテクと受け取られやすい。
同様にツールがポンコツだと、その人もポンコツだと受け取られやすい。
このギャップって結構あるなぁと。
僕はデコボコのある子こそ他人に頼って生きていけばいいと思っている。
苦手な部分は人にぶん投げればいいと思ってるけど。
そもそも「ここが困ってる」って内容を過不足なく伝えるのって難しいよなーと。
やっぱり、生きやすさで言えば、どの分野の能力も均等で、かつ平均的な人なのだろう。
デコボコの大きい人(僕も含め)は、うまく戦略を練る必要がある。
そうなんだけど、コレがなかなかどうして、難しい。
はじめまして。オランダ在住で、6歳の娘が最近WISC-Vを受けました。結果、
Verbal Comprehension 124
Visual spatial 129
Fluid reasoning 88
Working memory 97
Processing speed 84
でした。
言語理解がものすごく高く、強い部分で弱い部分を補っていたため、この記事の話と同じ感じです。
曜日や月、アルファベットの順番を覚えられない、二桁の数字の左右がめちゃくちゃになる、読み書きが難しいなど、学校で苦労していますが、苦手な課題を与えられると、関係ない内容のおしゃべりをしはじめて先生等の気をそらしたり、やらない理由を考え出して私達に交渉してくるのがとても上手いです。笑
WISC-Vのおかげで、私達は暖かく見守り、自信をもたせる事に重点をおいて、彼女のスピードに合わせたサポートを受けられるようになり、毎日彼女の笑顔が見れるようになったので、とてもうれしいです。
普通級のHSCのうちの子がまさにこれです。
ウィスクで言語理解110 知覚推理90聴覚処理80の子です。
担任の先生、塾の先生は1度教えたらできるので知的障害境界値ではないと思うと言われています。
国語は得意です。
分かっていると思っても、算数があまりできません。5回は復習しないと覚えない。本人も、どうしておぼえられないんだろうと泣いています。
友達付き合いも小学校3年生頃から中学受験組から発達グレーっぼい仲間に変わっていきました。
たぶん、何かのズレがあって中学受験組とはあわなくなったんだろうなと思います。
どこに支援を求めたら良いでしょうか
いつか記事にしていただけたら有難いです。
P先生こんにちは。
言語能力が高いけれどもIQは低い、とは、状況をきれいに理解している訳じゃないけど状況に合ったような事が話せる、ということでしょうか…?
だとしたら、周りも本人も、問題が起きた時には「なんでこんな事に…」と戸惑うばかりですよね。
たしかに難しい…