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高IQに思うこと、低IQに思うこと

「高IQだと無双できるんでしょ?」

 

そんな風に思っている人も多いと思う。

 

「アタマいいんでしょ?

スゲーじゃん!」

 

逆に、低IQに対する悲観的な意見もしばしば見かける。

 

「WISCで〇〇の項目が低いと致命的だって。

人生オワタ\(^o^)/」

 

 

うん。

そんなことねーよ!!!

 

高IQの人

高IQと聞いて、どんな人を思い浮かべますか?

 

東大王?

メンサ?

おしり探偵?(IQ1104らしい) (いいおしり)

 

とにかくなんでもできるというか、自分の上位互換的な感じを想像するんじゃないでしょうか。

 

そんなこと、全然なくてですね。

 

僕の患者さんに、突き抜けた高IQの子って結構いる。

例えばIQ 130の人って人口の上位2%ほどらしいんだけど(ちなみにメンサの入会基準がこのくらいらしい)、僕の外来には割とたくさんいるんだ。

普通に考えて、全患者さんの2%の割合が妥当だ。

でも、全然もっといる。

 

ってことは、高IQは困りごとを抱えやすってこと。

困ってるから病院にくるわけで。

 

高IQの人がみんな無双できるなら、病院なんか来ないわけで。

(もちろんうまくいっている高IQの人は病院に来てないのは承知)

やっぱ、「なんかうまくいかない感じ」を抱えやすいんだと思う。

 

※乱暴に言うと、平均が一番「やりやすい」。

 

ハイスペックってどういうこと?

僕は高知能ではなさそうなので(調べたことないけど)、高知能の人の気持ちはわからないのだけど。

でも客観的に高知能の人を見ると、少なくとも無双状態ではないなと思う。

 

確かにスペックはスゲーんだろう。

最新のパソコン、いや未来のパソコンのようだ。

画面が空間に映し出されて、計算とかめっちゃ早くて、CPUとかマジ半端ない。

こんなイメージ。↓

 

 

実際すごいんだと思う。

能力はすごく高い。

でも現実的に生かせているかは……ってことが、結構ある。

 

 

まず、ハイスペックすぎて、能力を発揮する場がない。

例えば上記ハイスペックPCに、「2+5=?」と入力する。

 

できるよ?

正解は出せるんだけど、圧倒的コレじゃない感。

 

↓コレ、要らない。

 

↓コレで十分。

 

ハイスペックすぎて、持て余すんだよね。

違和感ハンパない。

 

 

また高IQの子は、知的には高いんだけど能力に凸凹があることが多い。

少なくとも病院に来る子はそう。

言語理解130知覚推理130ワーキングメモリー130処理速度130で、全IQ 130なんて子はまずお目にかからない。

こんな人もいるのかもしれないけど(いたらすごそう)、あまり見かけない。

 

やっぱり能力の凸凹、得意不得意がある子が多い。

発達障害特性を持っていることも多い。

 

 

するとどうなるか。

能力をうまく使えない場面が出てくる。

苦手な場面では、能力をうまく発揮できない。

 

パソコンを例に出すと。

例えば、「咳」と入力したいのに、どーしても「席」になる。

何度変換しても「咳」は出てこない。

どうしたって「席」だ。

「席」はどうでもいい、今言いたいの「咳」なのっ!(ちなみにコレ、僕が病院で使っている電子カルテ) (地味にイライラする)

 

パソコンのスペックはスゲー。

なのに変換機能がポンコツだ!

 

うまく入力される問題については、処理能力ハンパない。

円周率なんて、1104桁(いいおしり)くらい延々計算している。

 

なのになぜ、「咳」は変換できないのか……!

 

パソコンはすごくても、キーボードがポンコツだったり。

「入力」と入力したいのに、どうしても「にゅうよく」になってしまう。

入浴じゃない、入力なのだ。

「尾根ギアします」じゃない、「お願いします」だ。

 

今欲しいのはアマビエのイラストであって、甘海老じゃないんだよ……っ!

 

なんてことが、割と頻繁に起こる。

どこがどうポンコツかは人によるけど。

とにかくPCが指令を把握すればパネーんだけど、そこまで辿りつかねぇ! ってことが結構あるんだ。

 

近未来のパソコンだって、目の前にあったとしてまず使い方が分かんねーじゃん?

そんな感じ。

起動方法からわからん。

ハイスペックパソコンは誰がどう使うかが問題なわけで。

 

だから、高IQだから万事オッケーってわけじゃない。

持っている能力をどう使うか、実際に使えるのかが非常に大事なんだと思う。

 

低IQの人

コレも同様で、低IQだからもうダメですってことは全然ない。

 

確かに、低IQだと問題が起きやすい。

問題に気づきにくいし、軌道修正もしにくい。

ミスも多いだろう。

でも、だからといって「全部ダメ」なわけじゃない。

 

何?

いまだにWindows95だって?

懐かしいな。

 

でも、Windows95でもできる仕事ってたくさんある。

一般的な文書作成や計算はできる。

データ不足はフロッピー(懐かしいw)で補えばよい。

 

画像のダウンロード?

ダイヤルアップ接続でピーヒョロヒョロってなるから、やめとこか。

 

その子のできること、出来ないことを把握し、できる部分を使うのがすごく大事だと思う。

 

確かに今の時代Windows95は時代遅れかもしれない。

でも近未来のパソコンだって、僕には使えないわけだし。

目の前のパソコンで、じゃあどうする? って考えるしかない。

 

結局、持っているスペックをどう活かすかを考えるしかない。

ないものを嘆いても意味がないし、型遅れだから使えないなんてことは絶対にない。

 

持っているカード

IQがこうだからみんなこうってことは、全然ない。

それで人生決まらない。

 

たくさんの患者さんの人生をのぞかせてもらい、僕はそう強く感じる。

 

配られたカードで勝負するっきゃないのさ

スヌーピー

 

持っているカードをどう使ってどう戦略を立てるか。

結局、それしかないんだと思う。

 

まだカードを配られただけだ。

神様にできるのはそこまで。

神様なんてクソ食らえだ。

 

どう使うかは、自分次第だ。

POSTED COMMENT

  1. まぼ より:

    フームとてもよくわかりました(おしりたんてい)。
    P先生のブログにたまに出てくるスヌーピーの言葉、「配られたカードで勝負するっきゃないのさ」が好きです。
    あるものはある、ないものはない。他人と比較せず、あらゆる執着を捨てて軽やかに生きてみたいものです。おしりたんていさんだって辛いものが超絶苦手という弱点がありますもんね。

    小6息子は絶賛不登校中ですが、このくらいの年頃って周りの友だちの持っているカードがまぶしく見えたり、自分がかっこ悪く思えて自信をなくしたりするのかもしれません。ついでに授業が簡単でつまらないし、画一的な行動をするのも苦手だそうです。

    仕事をしていると、「高学歴=仕事ができる」わけではなく、やはりコミュ力などを含めた総合力なんですよね。一般人として生きるなら、バランスよくそこそこできるのが最強だなあと身に染みております。

  2. 林檎 より:

    息子は 高知能、娘は境界域。どちらも不登校
    定型発達の子供に合わせた義務教育が合わないようで ストレスがたまり適応障害。

    息子は、授業がつまらなく 同級生と会話合わず。校則や皆んな同じ服に同じ髪型に 洗脳教育と言って 教師は上から目線の馬鹿ばかりと言い、中学は1ヶ月のみ登校。

    娘は 彼女のもっている能力以上の事を毎日、毎日しなければならず許容範囲を超えて 不安で過敏性大腸炎になり起立性調節障害になりました。支援級では、物足りず 普通学級では、
    学習についていけず。。今は 自由登校。

    不登校になった理由は 違うけど、不登校になると同じ事が起こる。

    先生のブログ またまた参加になりました。
    ありがとうございます。

  3. io0402 より:

    アメブロから読ませて頂きましたm(__)m
    https://ameblo.jp/io0402/entry-12682252902.html

    物凄く判りやすい例えで共感しかないです。

    こんなドクターもいらっしゃるんだ、と
    「一生喋れないかもしれないのにそんなに頑張ったってねえ」

    とドクターに言われた身としては

    「あの頃こんなドクターにたどり着けていれば」と思ってしましました!

    色々言われた子供も中学受験を乗り越え無事合格、楽しく登校!
    と言いたいところですが、無理しなくても学年上位を狙えるくらいの学校を選んだためか、授業中に煩い生徒が多いらしく、ちょっと無理する位の学校にすれば良かったか、と進学しても迷いばかりです💦

    凹凸がきついとこんなにも生き辛いとは、我が子を育てるまでこれ程とは想像もつきませんでした!

  4. まりめっこ より:

    いつも更新を楽しみにしています!

    うちにも凸凹のある手札を持つ息子がいます。
    ネット上をさまよい、似たカードの話題を探してする事と言えば…
    耳障りの良い話の時は期待に胸を膨らませ、都合の悪い話の時にはそっ閉じ…。
    さながら星座占いのようです😅

    賽は投げられた、じゃないですが、
    あとは然る時に然る場所でカードを切り、人生を楽しんでもらえたらと願ってやみません。

    また、初めてのコメントで大変不躾ながら、先生にいつかブログで取り上げてもらいたいことがあります。
    ネットで知った言葉で、過度激動(OE)についてです。
    先生のフィルターを通し、紡がれた文章で読んでみたいです!
    どうぞ宜しく尾根ギアいたします!

  5. さとゆず より:

    尾根ギアします

    ピーヒョロヒョロ

    もー、サイコーなんですけど!

    この二カ所で、マンガみたいにぶーって吹き出してしまいました。

    P先生面白すぎます。

    そんなに面白くしておいて、最後はスヌーピーでガシッと心を持ってくあたり、ほんとやられましたー。文才ぱねえです。さらにファンになりました。

    神様なんて、クソくらえですね。

    配られたカードで、どこまで幸せな瞬間を多く感じる人生にできるか。幸せは、自分がきめるんですからね。みつおさんも言ってましたから。

  6. 小1の壁が分厚い より:

    P先生、ありがとうございます。
    前ブログに闇吐きコメントしてしまいましたが、今回のブログに泣けてきました。
    そしてWindows95に笑いましたw ピーヒョロロ~

    息子は私が小学生だった頃とは全く違うタイプで、共感ポイントが少なくて手探りの毎日です。
    自分が知ってる普通の幸せが手に入りやすい車線に子供を乗せたくなりますが、育つ時代も異なる違う人間なので、自分の価値観に固執しない意識を持ち続けたいと思います。

    だいたい特性のある子供とその親なんて、色眼鏡で見られたり、配慮という名の排除的な扱いをされたり否定される事の方が多いです。
    私だって子供だって、健康な定型で育ちたかったに決まってるじゃん!とモヤる日もありますが、腐らずに、平凡な毎日を送れるように頑張ります。

    これからもブログ楽しみにしてます!
    ファンです!

    • 小1の壁が分厚い より:

      こちらの記事の内容をずっと心に置いていました。
      最近wisc受けました!
      勇気を出して受けて良かったです。
      幸い主治医からも心理士さんからも、P先生のような優しい視点でアドバイスを頂けました。
      入学直後は心配しかなかったですが、最近は頑張っていて、凸凹のある子でもこんなに成長していくんだなと驚きです。
      これからも本人のペースで、生活が楽しく過ごせるように模索していきます。
      過去の記事にも励まされている事をお伝えしたくて書き込みました。

  7. にったん より:

    発達障害と認知症の件で、元病院勤務の医療従事者の私見(肌感レベル?)を書いてもいいですか?
    不適切だったら削除して下さいね。

    症状をベースに捉えると、どちらも脳の前頭葉機能低下や左右の脳の伝達がうまくいってない事によるような症状が共通していると思います。
    でもなぜ前頭葉の機能が低下しているのか、伝達がうまくいかないのか、その原因が異なると考えます。

    特に認知症は、長谷川式だけでなくCTやMRIでの脳の萎縮や脳梗塞の後遺症など、いわゆる老化の所見があると思います。
    そこからアルツハイマー型やレビー小体型に分類されるには、それぞれ診断基準をクリアしてると思うので、別物になるのかな?と思います。

    お薬は、脳レベルで効果がある事は証明されているので、症状が変わらなくても悪化を防ぐための効果はあり、という判断もあるのかな?とも思います。
    私の完全な偏見ですが、神経内科の先生はそのへんとてもヲタクなイメージがあるので(スミマセン笑)、症状の改善が微妙でも何か意図があっての投薬なのかもとも思いました。

    でも病気として別物でも、その人の支援をするのに、前頭葉機能を補うような関わり方の工夫は共通してやってみても良いことだなと思いました!

    あと認知症の患者さんでも、元々リアルサザエさんみたいな人だった、とかもやっぱりあるので、大元の原因に拘り過ぎると支援しにくい事もありますね。

    利用者さんの性格のせいとして片付けないで、特性や障害として見る目を持っていらっしゃるのが素晴らしいなと思いました!

    • まあこ より:

      にったんさんありがとうございます。

      やっぱり別物なんですかね。発達障害と認知症が併発しないかインターネットで調べたりしたらそのことについて研究している医師もいたので、ありえるのかなと思いました。
      私には医学的な知識はないので、なんとなく思っただけで。
      でも意見くださって嬉しかったです。

      • にったん より:

        まあこさん、横から肌感レベルの話を失礼しましたm(__)m
        なんとなく医療に不信感を持っていらっしゃるように感じたので、多くの先生が本当に色々な知識を持ち合わせた上で、患者さんとその病気に向き合っている事をお伝えしたくて意見を書きました。私は医師ではなく、一緒にチーム医療する職種ですが、先生方の情熱に圧倒される事が多々あったので。
        私の古い知識だと症状としては共通点があっても病気としては別物かな?と思いましたが、研究もあるという事なので、もしかしたら何か新しい発見があるのかもしれないです!
        私も勉強になりました(^^)

  8. くま より:

    いつも楽しみにしています。
    内容にも納得なんですが、尾根ギアしますに笑いました。
    私も結構頻繁にこれが出てしまいますw

  9. まあこ より:

    子どものことでも、ブログの内容とも異なることでごめんなさい。ただP先生に読んでいただきたかったのでコメントさせてもらいます。私は今高齢者施設で働いています。アルツハイマーやレビーなど色々な認知症の方と関わっています。子どものことで発達障害の勉強をし始めて思ったのは、認知症と発達障害を併発している方は、実は多いのではないかと。
    昔は子どもに対して今より寛大で、多少乱暴だったり周囲と合わなくても、子どもだからねーとすんでいて、今よりストレスを爆発させられる場所も沢山あって、発達特性があってもそのまま成長し普通に暮していた人も多いのではと。今まで介護拒否あった人とか思い出し、認知症の面しか見てなかったけど、もしASD特性があっての拒否の場合はまた関わりを変えた方が良いのではと。
    (レビーとADHDは併発しやすいみたいですし。)
    怒りを抑える薬のはずなのに、全然効かなかったりして本当に合っている薬か疑問に思う時もあります。
    特に医師の方達に、発達障害にも認知症にも詳しくなって欲しいと願ってしまいます。P先生は違うと思いますが、お医者さんって薬に口出されるの嫌いな人たくさんいて・・
    これからも自分なりにも発達障害について学んでいきます。P先生のブログも楽しみです。

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