不登校の子の親御さんからよく言われる。
「ウチの子、日中ずっとダラダラしてるだけなのに、少し用事を言いつけると疲れたとかダルいとか文句ばっかり言うんです。
一日中スマホでゲームしてます。」
そうですか。
でもこれ、お子さんがホント。
ダラダラしてるって、とても疲れる。
「何もしてないのに嘘でしょ!?」
本当。
なぜそうなるのか、理屈で説明したいと思う。
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身体の中で最も燃費が悪いのは、脳だ。
体積は小さいくせにかなりのエネルギーを使う。
脳のエネルギー消費割合は以下。
喋ったり勉強したりといった活動に使われるのはたったの5%、
脳のメンテナンスに20%、
残り75%は何もせずぼーっとしている時間に消費されているらしい。
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という言葉がある。
人は何もせずぼんやりしていても、とりとめなく何かを考えている。
雑念が次々に浮かんでくる。
今日のご飯なにかなー
その前に勉強しないとお母さんに叱られるかなー
そろそろゲームしたいなー
バレないようにできるかなー
今日お母さん仕事だっけ?
帰ってきたとき機嫌悪かったらめんどくさいなー
最近は勉強や進学の小言が増えてるし
結論が出るわけではない内容が浮かんでは消え、消えては浮かび。
無意識にごちゃごちゃ色々なことを考えているのだ。
これが、疲れる正体!
ごちゃごちゃ思考のエネルギー消費は膨大だ。
デフォルト・モード・ネットワーク という。
むしろ何かに集中して取り組んでいる方が疲れない。
コレ本当。
親御さんも経験あるでしょ?
何もせずダラダラ過ごした休日、なんだかどっと疲れたってこと。
アレです。
アクティブに動くと、体は疲れているはずなのにエネルギーに満ちていること、ありません?
仕事があまりにも暇だと逆に疲れるから適度に忙しいほうがいい、とか。
忙しいと時間が早く流れる感覚。
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不登校の子は疲れている。
常に雑念(だいたいマイナスの内容)が湧いて、脳が休まらない。
何もしていないはずなのに、疲れてだるい。
そんな自分に嫌気がさして、さらに余計な雑念が浮かぶ。
この悪循環。
しんどい。。。
これでは辛いので、不登校の子はゲームやネットに逃げる。
自分から発信せずとも、一方的に情報が提供される。
受け身な娯楽だ。
その情報を追っている間、雑念はストップする。
非常に楽だ。
楽というのは、人間の行動原理の中でとても大きい。
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だらだらスマホをいじっているからって取り上げたら、
そりゃ、怒りますって。
そんなことしたら、また雑念と向き合わないといけない。
そんなエネルギーない!
しんどい!
だから僕は、不登校や思春期の子のゲームやネットを否定しない。
まずは脳を休ませてあげてほしい。
「そのままゲーム依存にならない?」
ノーだ。
ずっとゲームしていると、少しずつエネルギーが充電される。
ある程度(30%くらいか)溜まると、ゲームに飽きてくる。
暇だ暇だとぼやき、急に散歩などし始める。
そこからゲームを減らしていけばよい。
「でもウチの子は一向に飽きる気配がないです」
小言を言っていませんか?
せっかくゲームに逃げたのに、親から小言を言われると、ゲームに集中できない。
親ウゼー
むかつくわ
自分だって大したことやってないくせに
そういえば前も○○って言われて……
ゲームしながら、メインは雑念を抱えている状態になる。
しかも、マイナスの内容。
デフォルト・モード・ネットワークだ。
これでは脳が休まらない。
メディア依存そのものよりも、その成り立ちに問題があると僕は考える。
依存状態そのものが問題ではなくて、なぜ依存せざるを得なかったか。
それが問題。
現実から逃げたかったからだ。
それなら、依存を責めるのではなく、逃げなくていい状態にしてやるのが先だ。
安心できる居場所を提供する。
学校のことはとりあえず脇に置いてよい。
まずは家の快適度を高めよう。
「家は安全な場所」と思えれば、依存は止まる。
そのうちエネルギーがたまり、『暇』になり、行動を始める。
何もしない子が行動を始めるには、この行程を踏む必要がある。
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だから言うのだ。
ゲームしていいし、ダラダラしていい。
家を安全基地にしてほしい。
家族がお子さんの味方でいてあげてほしい。
ってことで、デフォルト・モード・ネットワーク。
覚えて損はない知識だと思う。
余談だが、だからヨガや禅、マインドフルネスなんかは、疲労回復やリフレッシュに効果がある。
デフォルト・モード・ネットワークを止めるから。
理屈を知って、うまく活用されたし。