この本、知ってますか?↓
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ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) [ 宮口 幸治 ] 価格:792円 |
有名な本なので、読まれた方も多いのではないでしょうか。
僕も最近やっと読んだんだけど。
僕が興味を惹かれた内容。
それは、「ケーキを3等分しなさい」と言われても実行できない子供達の話。
ベンツマークのように切ることができない。
とりあえず真ん中で切り、次の手を考え込んでしまうというのだ。
ここ。
「とりあえず真ん中で切り」。
ココ。
僕は個人的に、この部分にヒジョーに興味を持ちまして。
目の前のことでいっぱいいっぱいの子
本に書かれている少年たちは、知的にボーダーだったり認知機能が低かったり。
支援を要する子がメインだ。
この子たちが「とりあえず真ん中で切る」のはうなずける。
真ん中で切って、その後どうするか? という見通しが持てないわけだ。
ケーキを切れと言われたから、とりあえずハイ切りました! って。
でも僕、外来でもこのような考え方の子をよく見かけるのです。
知的には問題がない、むしろ高い子でも、だ。
今のこの行動、先々どんな影響がある?
そこが見えず、目の前の状況に溺れてアップアップしている感じ。
とりあえず見えていることにだけ対処して、状況を悪くしている感じ。
(とりあえず真ん中で切っちゃうと、3等分するのが非常に難しくなる。それと似ている。頭の中で完成図と手順を設計してから切ってほしい。)
例えば、「不登校で、とりあえず人生終わったのでパニック!」とか。
- 本当に終わるの?
- 他の不登校の人たちの予後は?
とか、見ていない。
パニックになっても何も解決しない。次の手を考えてトライするのが建設的だ。(もちろんパニックの時間が必要なのは承知。でも長いとその分前進が遅くなる。)
「テストの点が悪くて、とにかくもうダメだ」とか。
- そのテスト、成績にどれだけ影響する?
- 今回の成績って内申点に響く?
とか、度外視だったり。
「親が〇〇って言ったクソが」とか。
- 親がそう言った意図は?
- 状況の認識がお互いズレてない?
とか、考えてない。
全体を見る力
全体を見る力が弱いと困ったことが起こりやすいのは、ご理解いただけると思う。
この子たちも、上記の書籍で言われるような認知機能の弱い子なのかもしれない。
IQは高くても、認知機能や実行機能は要支援レベルの子が存在するのは、本の通り。(WISCでその子の能力を正確に測ることはできない。「参考程度」だ。)
異論は全くない。
でもその可能性は理解した上で、デモデモそうとも限らないかもと個人的には思うのだ。
経験が足りないんじゃ?
僕にはそう思える。
すごく思う。
圧倒的に経験が足りないんじゃない?
特に失敗の経験が圧倒的に足りない。
やってみて → 失敗して → 自分でケツを拭く
この一連の経験がまるでないのでは? と思う。
なんで?
多分だけど、親御さんが過保護。
どうやら転ばぬ先の杖を突きまくっている。
「危ないから」「傷つかないように」「良かれと思って」「あなたのために」先回りして決める。
子どもの側としても、今までそれでうまくいっているので親御さんに頼りきり。
自分で決めた経験が非常に乏しい。
だんだんと、自分で判断することを放棄する。
だって親の言う通りにしていれば失敗しないのだから。
自分で考える必要ないもん。
するとどうなるか?
想定外の場面に出くわしたとき、困ってしまう。
この子は、小さい頃から小さい失敗の積み重ねが圧倒的に足りない。
自分で狙いを設定して→やってみて→結果を確認 という経験がまるでない。
だから、失敗したらどうリカバーするか全く分からん!
パニック!
これが「経験不足」。
パニックになればなるほど、余裕がなくなる。
目の前のことでいっぱいいっぱい。
とりあえず目の前のことに対処するしかできない。(とりあえずケーキを真ん中で切る、的な。)
→さらに状況悪化
という悪循環。
経験がないから余裕がなくなり、余裕がないからさらに状況が悪化するという悪循環。
これ。
成功と失敗
全体を見る力、先を見据えて実行する力って、失敗からしか学べないのだろう。
成功から得るのは『報酬』
失敗から得るのは『学び』
↑これ、僕が考えたんじゃなくて脳科学者の先生が言ってた話。
だから信憑性あると思うけど。
大人が方法を教えて成功しても、その成功の秘訣はなんだったのか、どこに注意すべきか、子どもは理解していない。
「成功した」という報酬を手にするのみ。
次につながる学習って、失敗からしか得られない。
失敗して、じゃあどこがダメだったのか考え、またやってみる。
方法を変えるとか、目標を下げるとか、自分の能力を把握するとか。
試行錯誤することで次につながる学びとなるのだと思う。
転ばぬ先の杖をしちゃうと、この経験が圧倒的に不足するだろうことは想像に難くない。
子どもの失敗する権利を奪っちゃいけないんだと思う。
立ち直れる?
大抵の失敗は大丈夫。
失敗させないことより、失敗しても立ち上がる力をつけてあげてほしいと思う。
※もちろん、シャレにならない失敗は止める必要がある。マジ命の危険、とか。あと人によってはコレは心折れるでしょうよ、とか。そこは親として目を光らせ続けてほしい。
そう思える子は強い。
失敗から学び、認知機能を向上させていくだろう。





わ〜〜〜!
更新うれしいです!!
(数日経って気付いたのはちょっと悔しい笑)
変わらずとても参加になるお話しありがとうございます。
成功で得られるのは報酬、失敗から得られるのは学び
いつも忘れないようにしたいです。
世の中どんどん進化して、この先もどうなるやら!?の中、「失敗しても大丈夫」「またやってみよう」の力が付けられるようにするのは、何より大事ですね。
自己肯定感はもちろん大事、でも、自己効力感が最低限ないと、自己肯定感はなかなか持てないよなぁ…
と最近思っていましたが、
「失敗」→「リトライ」→「成功」
は
「いきなり成功」
よりずっと大きな自己効力感につながるような気がするな、と思いました。
(可能な範囲で)失敗させたいな、、そのためには母の余裕を作らないとな、、は永遠の課題ですが。
お歳暮送ります。いつも何でか届かないみたいですが
🦀🍺🍖
理想は失敗を沢山させていきたいです。
でも、今まで娘が家の近所や学校で問題を起こすたびに私は謝罪し、悩んで悩んで疲弊し、過保護にならざるを得なくなりました。あれもこれも娘の経験!って思いたいけど、私も同じ生活範囲で生きているので割り切ることはできません。
楽しみにしていたイベントに寝坊して行けなかった、とかなら「次からは夜更かししないように気を付けよ!」って娘の良い経験になると思います。
自分が失敗する分には良いけど、親が先回りしてしまう事の先には「周りに迷惑をかけてしまう」があるのではないかと思います。自覚しているからこそ、過保護という言葉に胸がチクっとします。
先生が今回の記事に関する過保護と、私が思っている過保護の内容が違うかもしれないでの、見当違いなコメントでしたらすみません。
「多分だけど、親御さんが過保護」は
一番言われたくない言葉です涙。
そうならざるを得なかった経緯があるんです。
夫婦関係とか親自身の育ちとか。
母親に子育て全ての責任があるかのような
社会とか。
親が先に根回ししてしまうのは「うちの子はこれをできないだろう」「ここでつまづくだろう」「言っておかないと忘れるだろう」と、要は子供を信用していないってことらしく…。
言ったとしても、だいたい「そんなの言われなくても分かってるよ!」って返してきますけど、それが「オレのことを信用してねーのかよ!」の意味なんだろうな。
これに気づいてからは、薄着で出かけようが、傘を持たずに行こうが、部屋に定期券の忘れ物があろうが、まあ、なんとかするだろうと静観しています。
帰ってきても「知ってたんなら教えてよ!」みたいなことは言われないので、正解だったのかも。
久しぶりに先生の過去記事見ようと覗いたら同じ日に新しい記事が!!嬉しい
やってみて → 失敗して → 自分でケツを拭く
この一連の経験がまるでないのでは?
親御さんが過保護。
どうやら転ばぬ先の杖を突きまくっている。
グサッ、グサッ、グサーーっっっと!!!
きます…
もうまさに、、凸凹グレー息子について
状況からして、生涯伴走続けねば、ゆく果ては支援者に繋げてから昇天か(;;)と勝手に予想しているこの頃
覚悟もして情報収集はしておきつつも、決めつけず、もう少し俯瞰して息子をみないとな。先生の仰ることにハッと立ち止まりました。関わり方見直し、いろいろ考え試行錯誤したいです