発達障害

子どもは『発達』する。今できなくても大丈夫。

苦手なことがある子は多い。

でも、今できなくてもよい。

今がゴールじゃない。

 

子どもは発達する。

大人になってもまだまだ発達する。

「その時」までになんとかなっていればいいんじゃないかって、そんな話。

 

「将来が不安です」

 

母
この子、忘れ物が多いんです。

このままじゃ将来不安です。

 

母
小学校からこんなに休んで。

大人になったら仕事は休めないのに。

 

母
とにかく発表が苦手なんですが、社会人になったらどうしましょう。

 

 

発達障害。

発達にデコボコがある。

 

すごく得意なことがあったり、ずば抜けて苦手なことがあったり。

良いところもあるんだけど、どうしても苦手なことがフォーカスされやすい。

 

例えばADHDだと、年齢に比して「注意力」とか「衝動性のコントロール」とかが苦手。

ASDは「コミュニケーション」とか「切り替え」とかが苦手。

LDは「書字」「読字」「計算」なんかが苦手。

 

上記のお母さんのように、「出来ないこと」があると不安になる方は多い。

みんなできてるのにウチの子だけできないのは不安だわ! と。

今は良くても、先々必要になったときが不安だわ! と。

 

早くできる方がいい?

でもね。

早く出来る必要はないと、僕は思うんだ。

最後に辻褄が合えば問題ないんじゃない?

 

大人になってIQが高い人が、幼少期に人より早く発達したかというと、そんなことはないと思う。

東大王は新生児期にすでに喋った?

そんなことはないだろう。

 

早期に歩き始めた子が将来的にも運動神経が良いかというと、関係ないという論文が出ていた。

スポーツ選手は新生児期に歩いた?

そんなバカな。

 

物事が早く出来るようになった人がその後もよく伸びるかというと、その限りではないと思う。

であれば、人より早くできるようになる意味ってあまりなさそうだ。

 

必要になったとき=出来るようになるとき

発達障害の子には、苦手分野がある。

そして発達障害じゃなくても、たいていの子には苦手分野がある。

 

この苦手分野をどう扱うか、その戦略を考えるのが人生の醍醐味だと思う。

僕はそう思っている。

克服するか、逃げるのか。

どちらも選びうる。

 

克服する場合は、具体的にどのような工夫をするのか。

逃げるなら、必要のない場所に行くのか、人に委託するか。

 

ベストじゃなくていい。

ベターを選ぶ。

どちらかといえばどっちがよさそう?

そうやって自分に得な選択をしていけばいいと思う。

 

 

そして。

「自分はこれがやりたい」

と決めたとき。

 

その時に必要なスキルなら、克服できる。

今は忘れ物が多くても、大人になっても忘れまくるとは限らない。

多少の忘れ物はあっても、「シャレにならないこと」をやらかさなければ大丈夫。

キモを外さなければ大抵のことは大丈夫。

 

これは絶対忘れちゃダメ!

 

自分でそう思えれば、きっと工夫する。

メモに書くとか、人に伝えてもらうとか、アラームをセットするとか、目に入る場所に置くとか。

 

特性はなくならない。

でも、物理的な工夫で特性を軽減することはできる。(ここ大事。根性論じゃなくて、『物理的に』工夫する。)

すると、他の人からは特性が薄まったように見える。

場合によっては特性自体なくなったように見えたり。

 

母
私自身、子供の頃は忘れ物が多かったんです。

でも今では業務マネジメントの仕事が大得意です!

 

先日そんなお母さん(多分ADHDタイプ)に会ったばかりだ。

 

「その時」が来たら

早くマスターする必要はないと思う。

ゆっくりでいい。

 

勉強は、受験の当日までにできればいいし。

欠席は、就職後に有給範囲内に収まればよい。

発表も、自分でやると決めたならきっとできるよ。

 

義務教育のうちに欠席しても、人生になんの影響もない。

やらされている発表に尻込みしても、なんの心配もないと思う。

忘れ物?

受験の出願さえ忘れなければ、あとはなんとかなりそうだ。

 

母
今できないと、大人になった時もできない。

だから今から叩き込みます。

 

僕はこの考え方が好きじゃなくて。

今できないことが、10年先、20年先もできないって、なんで決まるの?

状況が変わるんだから、考え方が変わる。

考え方が変われば、行動も変わる。

 

学校で忘れ物をしても基本的には自分のマイナスになるだけだけど、仕事で忘れ物したら他の人に迷惑がかかる。

同義じゃない。

 

その子はそれを理解できるよ。

だから、大人になったらやるよ。

必要になったら。

「その時」が来たら。

 

母
「その時」っていつですか?

 

それは、その子が決める。

 

二次障害を起こさない

今できなくてもよい。

できるようになるのが「今」である必要ってないと思う。

たとえ周りのみんなができていて、この子だけできなくても。

それでこの子が困らなければ、なんの問題もない。

むしろ、「こんなに早くから〇〇できる!」って、親の安心材料でしかないとすら思う。

 

二次障害さえ起こさなければそれでよい。

 

女の子
女の子
忘れ物が多くて、私ばっかりいつも怒られる。

 

男の子
男の子
欠席が嵩んで学校に行きづらい。

 

女の子
女の子
友達とのトラブルが多くて、もういや!

 

男の子
男の子
学校楽しくない!

どうせ僕なんか!

 

こうならなければ大丈夫。

こうなっちゃう場合は工夫してあげて欲しいけど、「本人は全然気にしていません!」という苦手分野なら、そのままでいいと思う。

 

苦手は苦手のままで、それも含めてその子だ。

そのままマルっと肯定してあげて。

「〇〇できない子は愛してあげない」なんて、愛情に条件をつけないであげてほしいと思う。

 

大丈夫、できるようになりますよ。

「その時」がきたら。

POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    いつかはできる。
    昔ママ友が誰が早く歩けるようになるか競ってて。
    大人になればみんな歩くんだから焦ることないって言ったら、驚かれました。逆に、そのことに驚いたんですが。

    発達でこぼこ。私は誇らしい。

    できないことは本人的には生きづらいだろうから大変だけど、親からしたら、こどもらしくてかわいいし。

    できない事はいつかはできる。

    今日、ずっと出来なかったことができるようになりました。親子で嬉しかった日。

    得意なことは得意。苦手なことは苦手。

    もうすぐ小学生。

    8の字が楽しいと言う日が来るとは思わなかった!

  2. ちーこ より:

    いつもありがとうございます。
    中二の息子は、誰にも迷惑をかけていない、自分のしたことの責任は自分で取れる、など…
    盛大な勘違いをしています。
    修了式に自分の荷物を引き上げてくることもせず、先生が家まで持ってきてくれる始末…
    いわゆる中二病というやつでしょうか。
    自分は天才だから勉強する必要はない、誰の世話にもならずに生きていく、など…
    こういった考えや行動も、「その時」が来れば変わるのでしょうか。

  3. トム母 より:

    息子のトムはADHDとASD。
    4月から中学生。

    忘れ物が多く、部屋の片付けも出来ない。
    でも出来るようになる『その時』を待ってます。

    『その時』を首を長くして待ってる事がもう一つ。
    お漏らしが治らない!
    発達障害ってトイレまで忘れるの!とビックリします。
    更にお漏らししてズボンにシミを作っても好きな事を優先。着替える事もしない。
    もちろん色々な方法も試したのですが…。

    もう中学生。
    早く『その時』が来ないかなぁ。

    愚痴になって、ごめんなさい。

  4. にったん より:

    もっと長男が小さいうちにこういう考え方ができていたら…と思います。

    ここからは愚痴です!
    幼稚園の先生や子育て支援のアドバイスをされている方の中には、2次障害を起こさないために早めに苦手を克服しましょう、という考え方の人がいると思います。

    長男が年中の後半になった時に、先生から就学に向けて不安な点(他の子よりできない事)を言われ、本人も出来ないことを気にしているから自己肯定感が下がっている、ご家庭でももっと取り組んで欲しいと言われました。

    私は途端に不安になり、習い事や療育に下の子達を連れて駆け回りましたが、たぶんその時必要だったのは、長男に今できなくても大丈夫だから不安にならなくても良いと言ってあげる事だったと思います。

    子供にも自分にも、やるべきときに頑張れるよう、今はご飯が美味しくて空が青ければオッケーでやっていきたいです!

  5. のしお より:

    17歳男子の母です。彼は幼稚園児のころ正義感が強すぎて、本来先生がするべき注意を、自分が友達にしていて、しばしばトラブルをおこしていました。保護者懇談で言われました。「このまま大きくなっては将来が心配です」内心、はぁ?でした。子どもを扱うプロでもこんな人がいると、あきれてしまった記憶があります。
    時期が来ればおさまる。当時思ったこと、今日のP先生のブログで思い出しました。

  6. YUN より:

    P先生こんにちは!
    今回も、読んでいて涙が出ました。
    焦ったり比べたり落ち込んだりが多い母ですが、
    「そうだよな~、そうなんだよなあ~。」と、
    うなづきながら拝読しました。
    ありがとうございます。
    「できないこと」「できてほしいこと」ばかりにとらわれず、
    今を楽しんでいきたいと思います。

  7. YUN より:

    P先生こんにちは!
    今回も、読んでいて涙が出ました。
    焦ったり比べたり落ち込んだりが多い母ですが、
    「そうだよな~、そうなんだよなあ~。」と、
    うなづきながら拝読しました。
    ありがとうございます。
    「できないこと」「できてほしいこと」ばかりにとらわれず、
    今を楽しんでいきたいと思います。

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