発達障害

通常級に行くか、支援級に行くか

そろそろ来年度の就学が視野に入ってくる頃ですね。

この時期になると、こんな質問が増える。

 

母
通常級と支援級、どちらがいいでしょうか

 

通常級とはいわゆる普通のクラス、支援級とは発達障害や知的な遅れのある子が少人数で授業を受けるクラスのこと。(ちなみに支援『学校』は障害が比較的重い子が行く)

 

上記質問をされたとき、「親御さんはどちらが良いか希望はありますか?」と聞くと、「できれば通常級がいいですが、この子に合わないなら支援級でも」みたいな返答が多い。

多くの親御さんが「できれば通常級がよい」と希望されているようだ。

実際、どこに着目して判断する?

 

どうやって決める?

僕の住む自治体では秋頃に就学前相談というのがあって、そこで相談して決めてもらうのだけど。

自治体によっては親御さんの希望がほぼ通ったり、診断や手帳の有無やIQで機械的に振り分けられるところもあるようだ。

 

① 全体指示が通るか

僕の意見は、全体指示が通るかどうか

通常級では先生一人に対し、生徒が30人くらい。

当然、一人一人に声かけなんてしていられない。

先生がみんなに対し「今から〇〇してください」と指示を出したとき、その通りに実行できるかどうか。

これができれば通常級でやっていけるし、できないと本人がしんどくなると思っている。

 

で。

これにはもちろん発達特性やIQが大きく関わってくるのだけど。

自閉症やADHDだと指示を全然聞いていなかったりするし、低IQだと指示が理解できなかったり。

一度にいくつか言われたらもうダメだったり。

まずは、能力的に全体指示が通りそうか無理そうかをみる。

 

② 周囲を見てマネできるか

そして。

それと同じくらい大事なのが、周囲を見てマネできるか

 

集団指示を全っっっ然聞いていない子。

でもふと気がついたときに周囲の友達を見て同じように動ければ、集団に適応できる。

「ヤッベみんな教科書開いてる。何ページだ?」

隣の子を盗み見てマネできれば、指示を聞いていなかったことは挽回可能だ。

 

指示が理解出来なかった子も同じ。

「あ、みんなが教室から出たからついて行こう」

目的地がわかっていなくてもみんなの後ろからついていければ、事なきを得る

 

 

能力も大事だけど、でもこの周囲をマネる力があればカバー可能だ。

ここは着目されづらいところなので、意識して見てみてほしい。

幼稚園や保育園で、みんなの様子を見てマネできるか。

療育ではどうか。

家庭では観察できないので、年中・年長の頃の集団行動の様子で判断していただけるとよいと思う。

 

これができれば、まずは通常級に入ってみてよいと思う。

できなければ、支援級など少人数のところをおすすめする。

 

ホントに通常級がいい?

ところで。

冒頭の話に戻るが、通常級を希望される親御さんは多い。

 

その気持ちの裏には「普通の子」でいてほしいという考えがあるようだ。

支援級といういわゆる「出来ない子」を集めた場にいくと、「この子は普通じゃない」と決定してしまう。

そのまま高校の支援学校や職業訓練校、サポート校に行くコースに乗ってしまいそう。

「普通の子」と一緒に「普通の学校から普通の就職」というコースが途絶えてしまう気がする。

小学校に入学するこの時期に、そんな先のことまで決定したくない。

伸びる可能性も全然あるのに……。

 

そう考える気持ちはわかるし、実際その通りでまだまだ伸びる可能性がある。

だからこそ、支援級に行ったからといってその後のコースが決まるわけではないと知っておいてほしい。

 

合わない環境に入れる弊害

無理めな子を通常級に入れる弊害って、もちろんある。

全体指示が通らず、かつ周囲をみて動けない子。

こんな子は通常級に行っても負担が大きい。

 

指示を聞いていないので、やるべきことを理解していない。

みんなが動いても、マネして行動することができない。

すると、どうしても目立ってしまう。

 

前述の通り、通常級は生徒30人対先生1人だから、勝手な行動をする子がいると困ってしまう。

ゆっくり諭してくれる余裕のある先生だと非常に助かるのだが、そうもいかないことも多々あるだろう。

すると、どうしても叱られる。

強制的にやらされる。

 

本人としては、指示がわからなくてオロオロしていたり、別のことに興味があってそっちに夢中になっている状態。

そこへ、急に先生が来て、『指導』され、強制的に何かやらされるわけだ。

これ、たまったもんじゃないですよね。

 

「いつも叱られる」

「なんで自分だけ」

 

自己肯定感はボロボロだ。

学校は楽しくないし、先生はムカつく。

学校に行きたくない。

大人は分かってくれない!

二次障害まっしぐらだ。ネコまっしぐら。カルカン。

 

その子に合う環境がベスト

こうなるより、支援級へ行って少ない人数でその子の進捗に合わせて授業を進めてくれた方がずっと良い。

何度も言っているが、大事なのは二次障害を起こさないこと。

 

「炭治郎くん、今は28ページの問1だよ」

 

分かっていなさそうだったら個別に声をかけてもらう。

集団指示は通らなくても、個別で声かけされればきちんと理解できる子は多い。

先生と1対1なら全集中算数の呼吸だ。

 

少人数で慣れれば、数年後は通常級に入れるかもしれない。

子供は成長する。

今は無理でも、数年後にどうなっているかは全く分からない。

いきなり無理目な通常級からスタートするより、支援級でその子にあったペースで練習を積む方が、最終的に得るものが大きいことも多々ある。

 

その辺を考えて、どこに就学するか選んでいただければと思う。

POSTED COMMENT

  1. 393 より:

    P先生、いつも分かりやすい文章で書いてくださり、ありがとうございます。
    私もP先生のブログに助けていただいている1人です。
    辛くてたまらない日には、1日に何度もブログを読んで、気持ちを落ち着かせています。

    どの内容もとても参考になしましたが、中でも私は、
    ・不登校はどの子供でもなり得る(親の育て方のせいではない)
    ・しかし、親の対応でその予後が変わってくる
    ・家を居心地良くすると、いずれ暇になるので動き出す
    ・厳しくすると復讐という目的があるので、暇にならない
    という内容が、目から鱗!でした。
    私は親の対応が原因で不登校になると混同していました。

    我が子は無邪気で明るく物事に前向きなタイプでしたが、コロナ休校途中から心身が不安定になり、1学期途中から不登校になりました。
    私のどの対応が悪かったのか、悩み苦しかったです。
    家の雰囲気もずいぶん変わりました。
    ようやく授かった子で、夫と可愛い可愛いと育て甘やかしたから、弱い気持ちの子に育ってしまったのではないか?と後悔と反省の気持ちでした。
    だから、ブログのように家を居心地良くする事に躊躇しました。
    厳しくしないで本当に大丈夫なのだろうかと。

    その後、担任の先生のご協力などもあり、我が子は心身共に少しずつ落ち着き始め、新学期から学校へ行き始めました。
    また休む日もあると思います。でも、それでいいと思えるようになりました。
    今後どうなろうとも、P先生のブログを参考に寄り添っていきたいと思います。

  2. まちゃ! より:

    二次障害が心配だから、親は支援級の方が安心だけど、本人はみんなと同じ大勢のクラスがいいと言っています。

    僕なにかダメなの?なんで放課後デイサービスっていうところに見学に行くの?など、周りと違うことをする場合、とても気にするようになりました。

    スイミング(準備体操も周りを見ながらできてますが時々、コーチから声かけされてます)や空手には楽しく通えていますが、療育でゲームに負けると悔しがり、次の活動に移れません。ですが、大泣きはしなくなりました。
    普通級でダメだった場合、あとから支援級に変更する本人のダメージも理解してます。

    ここで、本人の希望にそぐわない、支援級になった場合、自分がダメなところがあるからみんなと同じクラスになれないんじゃないかと自信をなくすことにならないか、そういう不安もあります。

    普通級でダメなら、フリースクールがあると思って、あえて普通級にするか、安心安全な支援級にするか。

    クラスメイト、担任との相性が良ければ、普通級で過ごせそうですが、どちらが本人に合うのか、悩みつつ、きっと希望通り普通級にすると思います。

    周りのマネができて、挽回できるかどうか。
    そういう視点でも考えるということ、とても参考になります。
    ありがとうございました!

    • pediatrician-p より:

      僕の患者さんでも、第三者的にみたら支援級がよさそうだけど、本人は強く普通級を希望するというケースがあります。
      その場合は本人の希望通り普通級に行くことをおすすめします。
      僕は本人の希望を第一優先に考えます。

      息子さんに合う環境が見つかるといいですね。

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