発達障害

反抗的な子

反抗挑戦性障害

反抗的な子。

それってどんな子?

 

『暴れん坊』『やんちゃ』『乱暴者』

そんな風に言われる子。

反抗挑戦性障害』とかって聞き慣れない名前がついてる。

 

  • 少し注意しただけでブチ切れたり。
  • 一番にならないと気が済まないとか。
  • 思い通りにならないと手が出るとか。
  • 揚げ足をとって、わざと大人を煽っている感もある。
  • こちらが感情的になろうものなら輪をかけて怒り、暴れる。

 

ガンジーは非暴力・不服従だけど、この子たちは暴力・不服従

そう書くとなんかヤベー気がするけど、これってどうなの?

 

学校で困る

こんな子、クラスにいたら困りますよね。

実際手を焼いているという話を先生から聞いたり。

母の話から、学校ではそんな感じなんだろうなーと透けて見えたり。

 

 

困りますよね。

生徒が30人もいる中にそんな子がいたらめっちゃ困る。

先生だって人間で、そんな態度を取られたらイライラだってしちゃうし……。

 

母
どうしたらいいですか?

 

ほとほと困り果てた様子で聞かれる。

でも申し訳ない、どうしたらいいか、僕にはわからない。

それはそれは大変だろうと思うけど、じゃあどうしたら扱いやすくなるか、本人が納得して動けるのか、その答えを僕は持ち合わせない。

申し訳ないけれど。

 

そうなった『理由』

でも。

僕は小児科医なので、どうしても子供の肩を持ってしまう。

僕は子供の心を持った大人なので、子供の気持ちがわかることがある。(Mr.Childrenってこと)

身体は大人、頭脳は子供!(逆コナンくん)

 

 

このような反抗的な子。

最初からそういう子ってわけじゃないのでは?

つまり、そうなった理由があるのでは?

と、僕は思う。

 

 

 

反抗挑戦性障害の子。

診察室では学校ほどの反抗っぷりはない。

ぶっきらぼうだけど話は出来る。

 

そして、「授業中に私語して叱られ、大激怒して学校を飛び出した」とかのエピソードを母から聞くんだけど、本人に確認するとそれなりの言い分があるのだ。

 

男の子
男の子
いつもはみんなの方がうるさいのに、オレだけ怒られて納得がいかなかった。

 

男の子
男の子
普段からオレの文句ばっかり言ってる先生だから、我慢の限界だった。

 

男の子
男の子
友達が先にちょっかい出してきたから、オレは「やめろよ」って言ったんだけど、その声がうるさいと怒られた。

なんでオレが……。

 

うん。

筋が通ってるね。

理由があって怒ってるんだ。

 

思春期の子も同じ

僕が話を聞く機会があるのは小学校低〜中学年がメイン。

中学生くらいになると話してくれないし、そもそも受診に来ないし。(大人はみんな敵だと思っているのかな)

年齢が上がるほどこじれて、本人も頑なになっていくんだと思う。

 

 

でも、小学生に話を聞くと、まぁ分かる。

怒る理由があって怒っている。

低年齢であればあるほど、「怒った理由」が見えやすい。

だからきっと中学生くらいの『乱暴な子』にも、それなりの理由があるんだと思っている。

 

もともとは優しい子

で。

小学生の『乱暴な子』。

 

親御さんに話を聞くと、幼児期から乱暴だったわけじゃないことが多い。

幼稚園でカッとなって友達を叩いたとかのエピソードはポツポツあるんだけど、やっぱり理由があって怒っているだけで、根は優しい子だと。

家で母に対してはすごく優しい子です、とかよく聞く。

 

母
基本的には優しい子で、友達もたくさんいて楽しく登園していました。

小学校に入り、先生と合わなくて、反抗的な態度をとるように。

自宅では優しい子なんです。

 

学校の先生と『合わない』とき学校生活において、担任の先生のチカラは大きい。 先生が変わった途端うまくいかなくなる子がいる。 先生と、壊滅的に『合...

 

その乱暴さ、『二次障害』かも

僕は反抗挑戦性障害は「適応障害」だと思っている。

環境が合わなかったからそうなったってこと。

つまり、二次障害だと思っている。

※二次障害にはいろいろな種類があります(精神的なもの、身体の症状、行動の問題など)。中でもこの反抗的、暴力的というパターンが一番表面化しやすく、一番相談されます。

 

 

そして「乱暴者」は、知的に高く賢い子であることが非常に多い。

彼らなりの主張があるのに、聞いてもらえない。

納得できないから反抗的な態度をとるんだと思う。

 

 

 

もともと発達に偏りがあったのかもしれない。

でも、持って生まれた特性以上に困る特性が出てくる。

そう、二次障害だ。

 

じゃあどうするか

再三言っているが、二次障害を起こさないこと。

その子をありのまま受け入れること。

これが何より大事。予防が大事だ。

 

自分の意見を持った子だ。

上から押さえつけず、話を聞いてあげてほしい。

 

 

 

予防が大事なんだけど、でもすでに発症しちゃってる子はどうすれば?

 

これも話を聞いてあげるしかないと、僕は思う。

なぜ怒ったのか、言い分を聞いてあげてほしい。

 

 

悪い子のレッテルを貼られると、それを証明するようにわざと悪さをすることがままある。

「ほーらやっぱり怒られる」を確認している。

そんな子に正論で叱っても意味なくて。

 

なぜそうしたのか、まずは話を聞いてあげてほしい。

99ダメでも、1納得できるところがあるならそこを拾って受け入れてあげてほしい。

 

「あなはたそれがイヤだったんだね」

 

悪いところは悪いって分かってるか本人に確認し、理解していればそれで終了で良いと思う。

叱りつけたりとりあえず謝らせたりするんじゃなくて、本人を信じてあげてほしい。

「悪いことは悪いんだから、とにかく謝りなさい!」とか、マジイケテナイと思う。

 

 

大人は話を聞いてくれる

そう思えると、問題行動は減るように思う。

そう思えるまでには時間がかかるけど。

こじれちゃった子は特に時間がかかるけど、でも少なくとも、こじれるのにかかったのと同じくらいは腹を据えて向き合ってあげてほしいなーなんて僕は思っている。




POSTED COMMENT

  1. くろこぶたん より:

    幼稚園児の三男がまさに暴れん坊です。
    初めはおとなしかったんですが、ひと月程経ち慣れてきた頃に噛みついたり蹴ったりと主張の仕方が暴力的なんで当然ですが問題児扱いになりました。
    ただ話を聞くと「おもちゃ取られた」とか「叩かれたからやり返しただけ」とかで理由はあるんです。
    「手を出すのはダメですが何かしらの理由はあるはずなので話を聞いてもらいたい。叱るならみんなの前でなくできるなら一対一で話してほしい(余計に話が聞けない、逃げるので。)」と伝えていたので担任は話を聞いてくださるんで1学期が終わる頃には少し落ち着いてきたのですが、その場に居合わせた他の先生の対応によってはひどくなることもあり、教員間で対応を統一して貰えたらありがたいんだけどなぁ…と思います。
    先生方も忙しいでしょうし難しいとは思うのですが。
    …っと、グチになってしまいました。
    話を聞くと落ち着くことが多かったのでそうしていたのですが、自分の対応が間違ってなかったと確認できてよかったです。

    • pediatrician-p より:

      そのようなことがあったのですね。
      まさに、ですね。
      まず話を聞いてもらえると、問題行動が減ることがありますよね。

      先生によって対応に差があるのは、僕もよく聞きます。
      難しいみたいですね。
      担任の先生が分かってくれてるだけいいのかなぁなんて思ったり。

  2. まちゃ! より:

    すぐ悪者扱いして怒ったり、周りがため息ついたりせず、信頼して本人のタイミングまで待ってあげれば、だんだん元の素直さが戻ってくることもある。

    ホントは優しくていい子だと分かってるよと、本人に伝われば和むことも多いと思う。

    発達と言うと、たまにレッテル貼ってそういう扱いされることもあるから、そういうのが嫌だ。

    本音は置いといて、本人を信頼して、褒めて、良いとこ探しして本人に伝えたら、結果、少し素直になって、色々良くなった。
    そんな話を周りにもしたら、それやってみると言ってくれたから良かった。

    このブログのおかげです。ありがとう。

    • pediatrician-p より:

      おっしゃる通りですよね。
      信頼してもらうと子供もわかります。
      素直さが戻ってくること、ありますよね。
      診断名にこだわらず、その子の特性をみてあげてほしいと思います。
      きっと素直な優しい子なんでしょうね。

  3. 寝る子 より:

    コメントする程では無いんだけど
    記事が私にとても役立ちそうだったので
    小さな感謝を表したい
    そんな時のイイネボタンがこっちのブログだと無いのが残念です

    反抗的な我が子の話を聞いてあげようと思いました

  4. かおりんご29 より:

    ようやく短いはずだけど、長かった夏休みが終わろうとしています。
    暑さと、マスクと疲労と…
    また帰ってきたら荒れるんだろうなぁ。
    泣きながら宿題するのかなぁ…と憂鬱な気持ちとともに、ようやく学校が始まる!と、嬉しさもあります。
    この夏は先生のブログを遡って勉強しました。
    自己肯定感と自己肯定感と自己肯定感。笑

    どんな二学期のスタートになるのかな。

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