登校を渋って休みがちな我が子が、今日は登校した。
親御さんはどう声をかけますか?
やっとわかってくれた!
これで治った!
これでこそ我が子!
そんな感じで浮かれますか?
頑張ったねー!
すごいね、えらいね、がんばったね!
明日もこの調子でね!
褒めて激励しますか?
不登校の子が学校に行った日。
この日の対応こそ慎重になる必要があると、僕は思う。
「学校に行く」と言った日
子供が学校に行くと言った日。
どんなつもりでそう言ったのか、よく観察してほしい。
「もう大丈夫! 心配しないで」と胸を張って晴れ晴れ登校するのか。
「そろそろ行かないとホントにやばい」という後ろ向きの気持ちからか。
これからも続けて登校できると思っているのか。
自信ない……なのか。
というのも。
お子さんが学校に行くということは、少なからずエネルギーが溜まっている証拠だ。
つまり、家が快適だった証拠。
親御さんは不安を押し付けず、小言もグッと我慢して、今日までやってこられたと思う。
その努力が実を結んだ形だ。
で。
ここで手放しで喜んでしまうと、
「学校に行けるのがいいこと。学校に行く子を肯定するし、お母さん嬉しい!」
というメッセージを送ることになる。
お子さんがこれに100%同意していれば良いが、そうでない場合。
「行かなきゃいけないから、行かなきゃ」という後ろ向きな気持ちの場合。
想像してほしい。
すごいプレッシャーになりません?
「また行けなくなったらどうしよう……」
行けたらお母さんは喜ぶ。
学校に行ける自分だと愛してもらえる。
あぁ、こんなにも喜ぶのか……。
喜ぶ母の様子をみてお子さんも嬉しい反面、プレッシャーを感じないだろうか。
また行けなくなったらどうなるんだろう。
すごく怒るかな。
落胆するかな。
見捨てられたらどうしよう……。
そんな風に考えると、翌日以降しんどくてもお休みしづらい。
見捨てられたくない一心で、限界を超えて頑張ってしまう。
それでもダメだったとき、また行けなくなってしまったとき、この子の自己肯定感はどうなるだろう。
ボロボロになってしまうんじゃないか。
そう心配になるのだ。
逃げ道の用意を
じゃあどうするのが正解か。
ケースバイケースで、子供の性格や親子の関係性、その時の状況で変わってくると思うのだけど。
いずれにしても逃げ道は用意してあげるのがいいと思う。
もちろん、たくさんたくさん褒めてあげてほしい。
学校に行くのは、すごく大きな決断だったと思う。
すごい勇気だ。
でも手放しで褒め称えるのではなく、「しんどければ休んでいいからね」と付け加えておくとか。
「学校に行っても行かなくても、あなたのことを大切に思っているよ」というメッセージは添えた方がよいと思っている。
こんな親子がいました
先日、僕の患者さんが登校を再開した。
悲惨なトラウマから不登校になった子で、僕から見ても痛々しいくらい。
繊細で、敏感な子だ。
この子が、親御さんは行けとも行くなとも行っていないのに、自発的に登校を再開したそうだ。
親御さんの驚きは想像に難くない。
で、どんなリアクションを? と尋ねると、「あ、そう。行くのね。」程度に抑えたとのこと。
ちょっと塩対応すぎないかとも思ったが、今まで親子で泣きながら、何度も話し合ってきたご家庭だ。
通じるものがあるのだろう。
お母さんは、努めてリアクションを抑えたと言っていた。
子供が無理してるのがわかるから、できる限り普通に接したと。
いつ戻ってきてもいいように。
深いな。
こんな愛情の形もあるんだな。
そう感じた。
僕からみても、きっとこの登校は長くは続かないと思う。
でもプレッシャーをかけられたら、人一倍がんばってしまう子だ。
頑張りすぎて潰れてしまうのが目に見える。
だからこそのお母さんの塩対応なのだ。
母親ってすごいな、と思った。
あなたならどうしますか?
あなたのお子さんが学校に行く日。
親として、どんな言葉をかけますか?
ここ一番の大事なときだ。
親の気持ちはぐっと抑え、まずは慎重にお子さんの様子をみてあげてほしい。
お子さんにベストな声かけ、これは親御さんにしかわからないと思うので、よろしくお願いします。