何度か書いているが、発達障害(主に自閉スペクトラム症とADHD)の診断は難しい。
検査でこうだからこの診断です! というわけにいかない。
(いつも書いてるけど、発達障害を診断する検査なんてないヨ。そしてHSCは発達障害じゃないし、医者には診断できないヨ。)
正直、かなりフワッとしている。
医者は「患者さんがそう言うなら自閉スペクトラムなのだろう……」と思い、
患者さんは「医者がそう言うなら自閉スペクトラムなのだろう……」と思っている。
なにこのカオス。
改めて文章にしてみるとひどいなコレ。
でも実際そんなもんなんです。
「PCR陽性、じゃコロナウイルス感染です!」
ってわけにいかない。
そして難しいのが、診断したところで治療がないのだ。
病気なら薬や手術で治るし、コロナなら放っておけばそのうち治る(子供は)。
「インフルエンザです。タミフル出します」
↓
「治りました」
これは分かりやすい。
でも、発達障害はそうはいかない。
まずそこを知っておいてほしいと思う。
子供の発達が気になるとき、当たり前だが親御さんはその原因を突き止めようとする。
その時に医学ではクリアな答えを提示できないのが申し訳ない。
でも、できない。
ゴメンナサイ。
どんな経過を辿りますか?
それもわからない。
ゴメンナサイ。
人は色々な特性を持っている。
みんな何かしらの偏りがある。
例えばADHDでも多動・衝動性が強いタイプと不注意が強いタイプとでは、表現型がかなり異なる。
またどのくらいの強さで出ているか、どんなときに困るか、他にも困る特徴があるか、など人の数だけ状況がある。
ケースバイケースとしか言いようがない。
「あなたはADHDです。こうすると治ります」
という魔法の薬や魔法の言葉はないんです。
じゃあどんなときに診断するかというと。
その特徴によって困ってしまうとき。
ADHDのせいで忘れ物が多く叱られがち、とか。
自閉スペクトラムのせいでこだわりが強く切り替えできない、とか。
本人の怠慢や親のしつけのせいじゃないのに、困ってしまうとき。
そんな時、「この子はADHDです」とフダをつけることで、周囲から見えやすくする。
つまり、フダをつけるだけなんです。
フダだけついても、その先に「じゃあこうやって対応しよう」がなければ何も解決しないのです。
最悪なのが、フダだけつけて投げっぱなし。
つまり、診断しっぱなし。
一体どうしたら……と困り感を増やすだけになってしまう。
診断を気にされる親御さんは多い。
でも、大事なのは診断のその先。
「この子はADHDです。
だから忘れ物するけど元々すごく苦手な部分なんですわざとじゃないです。」
この、「だから〜」の先。
ここです。
発達障害診断なんて、このピンクの部分を言いたいがためのノリしろに過ぎないと思う。
「この子忘れ物が多いからよろしくメカドック!」と言うより、
「この子はADHDだから忘れ物が多いのよ」と言った方が、周囲も本人も受け入れやすいだろう。
診断って、それだけのためにある。
だから。
診断を希望される親御さんには、まずピンクの部分を考えていただきたい。
困ることが先にありきで、解決のために必要なら診断をつける。
でも困ることがあっても解決策がなければ、診断をつける意味がない。
「この子はADHDですよろしく哀愁!」
それって具体的にどうしたら……。
診断をつけても、不安や困り感は解決しないと知っておいてほしい。
むしろ診断だけつけても不安を助長するだろう。
「困った困った困った診断を教えてください!」
ではなく、
「こんな風に困っており、診断をつけて〇〇したい(こうやって対応したい、この子の特性を理解したい、など)んです」
と相談していただけるとありがたい。
そこんとこ、よろしくメカドック。