子どもって優しい。
自分は後回しにして、人のことを考える。
いやー、寒いですねー。
僕の住んでいる地域も、ご多分に漏れず寒くて。
寒いといえば、こんな相談を受けた。
小学生男子。
子どもは風の子ってんで、この最強寒波でも半袖・半ズボンだそうだ。
あるよねー。
晴天でも長靴とか、暑いのに重ね着とか、習字の日に白い服とかさ。
子どもの感性って自由だ。
母は止める。
風邪ひくからやめなさいっ。
大人には、骨身に滲み入るような寒さだ。
でも子どもは元気。
同様の子は一定数いるようで、僕も街中で何人か見かけた。
うむ、元気があってよろしい。
……と、思ったんだけど。
児童相談所に通告されたらどうするんですか!
うかつにも本人の前で「まぁいーんじゃなーい?」とか言っちゃった僕が悪かった。
お母さん、オカンムリ。
やべっ、対応間違えた。
結局、お母さんの心配事は
寒さで風邪をひく
より、
ネグレクトしてる親と思われる
だったようなのだ。
そう、これ、あれだね。
親の不安だ。
子どもにはなんの不安もない。
お母さんが不安なのね。
親の不安を子どもにぶつけている。
ここが元凶なんだけれど。
実際、本人にそう伝える。
「お母さんが悪く見られるから、ジャンパーを着てちょうだい。」
そう言われちゃうと、この子も従わざるを得ない。
小学校低学年。
社会の目とか母の立場なんて理解していない年頃だ。
でも、「お母さんが困る」というのは分かる。
お母さんを困らせたくない。
親子には、上下関係がある。
庇護されている以上、対等な言い合いはできない。
最終的には従わざるを得ない。
そして、子どもは親が大好き。
気に入られたいし、愛されたい。
困らせたくない。
こうして、この子は自分の主張をひっこめた。
でね。
別件バウアー(サッカー選手)で、中学生女子。
普段は母子一緒に診察室に入るんだけど、この日は子どもだけで入室した。
何かあったと思い、話を聞く。
親のこと考えてたら……。
もともとはODとか頭痛とか腹痛なんかで通院している子。
この子の親御さんは、体調の悪いこの子のことを熱心に考えている。
なんとか良くしようと東奔西走。
そのお母さんに、
あなたは〇〇がしんどいのよね。
□□したいのよね。
などと言われたらしい。
ホントは違うんだけど。
……否定できない。
本当は違う。
〇〇はしんどくないし、□□もしたくない。
でも、そう言ったらお母さんを悲しませることが分かる。
「子を心配する親」というお母さんの役割を奪ってしまう。
結果、曖昧な返事でお茶を濁す。
「……うん、まあ。」
これを、母は同意と受け取る。
ホラやっぱり!
〇〇がしんどいんだわ!
この悪循環。
親はさらにハッスルするし、子どもは本音を引っ込める。
この子はしんどくなって過換気を起こしたようだ。
聞いていて、優しさが辛い。
子どもは優しい。
大人が思うよりずっと。
普段あんなに憎たらしいのに、中身は繊細で、優しすぎるほど優しいのだ。
親を優先し、嘘をつく。
話を合わせて、本当の気持ちを押し込める。
優しい嘘だ。
でも、この嘘のために事態がこじれるケースがある。
本当のことを言ってくれなきゃ、周りは分からないからね。
親子には、力の差がある。
どうしたって親の方が強い。
大人は、努めて子どもに喋らせるくらいで良いように思う。
話していいんだよ。
あなたの言葉には価値があるよ。
そう伝え続けないと、子どもは本音を引っ込める。
伝え続けたとしても、さらに優しさが上回って、本音を引っ込めるケースもあるくらいだ。
子どもの言葉は、聞く方がよい。
実現できなくても、現実的じゃなくても。
とにかく「聞く」。
で、「意見を承知する」。
「あなたはそう思うんだね」だ。
この種が、後々芽を出す。
僕の中での、最近のテーマ。
「聞く」。
いかに難しく、いかに大切か。
子どもは一度「言えない」と思うと、その後も「言わない」からさ。
あのときとは状況が違うのに、やっぱり意見を引っ込める。
言ってくれなきゃ分からないのに。
上記の女の子のように、「本当は違う、そうじゃない」と自覚できていればまだ良くて。
言われるがまま、「私は〇〇がしんどいし、□□したい」と思い込む子もいる。
〇〇はしんどいはずだ、だから私はつらいんだ……
と、自分に暗示をかけて。
でも実際は〇〇は別にしんどくないから、自分でももうワケわかんなくなって。
もちろん、周囲の大人もワケわかんなくて。
にっちもさっちもいかなくなるケースがある。
和食の基本は「まごわやさしい」
心の基本は「こどもはやさしい」
今日は、これだけ覚えて帰ってください。
ボケるところが見つからず、最後に無理やりボケた気概を評価してほしい。
View Comments
あなたはそう思うんだね」だ。
この種が、後々芽を出す。
↑
肝に命じます。
切ないですね。
「私が救ってあげなきゃ」が暴走して、「守ろうとして先回りしてレール敷いて」もはや進路妨害してますね、、、。
ミュンヒハウゼン症候群みたいだな、って思いました。
「お母さんにいろいろ言われたら嫌だから、従ったほうが自分が苦しくない。」
そう思わせてしまったら、親子共に不幸ですね。
「私はこんなにやってるのに」が暴走。
子供が動き出した時、前に出ずに後ろにまわって支える親でありたいです。
骨拾いBBA、と毎日つぶやいて刷り込ませたら出来るかなぁ。
子供の時に、買う浴衣の柄をAかBで聞かれて答えられなかったことを思い出しました。
親は優柔不断な子だと思っていたようですが私の頭の中は「どっちを選んだら親の好みに合うのか?」でいっぱいでした。
きっと、不登校になった私の息子はもっともっと繊細にそして敏感に親である私のことを喜ばせようと言葉選びをして疲れていたのでしょう。
先生が仰ってる負の連鎖、私がなんとかして止めたいです。
身に染みますね(涙)親は愛ある故に、ついつい心配しすぎて良かれと思うことを色々言っちゃうんですよね。機会があったらこれまでのこと、子に色んなこと謝りたいなあって思います。後戻りは出来ないし、これからのこと大事にしていくしかないですしね。
いつも先生のお話をほっこりした気持ちで拝見していますありがとうございます
我が家にも不登校から五月雨登校な娘(小6)が居まして真冬に半袖タイプなのですが、、、
先月バセドウ病であることが発覚しました(涙)
真冬に半袖はバセドウ病に依るもののようです
まさか小学生でもかかるとは思ってたのですが専門病院でお話を聞くとそんなに珍しい訳ではないらしく
うちの娘は不登校前から不安がめちゃくちゃ強くてさらに上乗せされていて児童精神科にも診てもらっています
中学進学を控えてまた不安が強くなっており小学校もまたあまり行けてません
甲状腺機能亢進症で精神的不安定は良くある症状であるようですが先生は今まで診て来られたお子さんで別の基礎疾患がもともとあったり受診してから発覚することはあったりするのでしょうか?
もう少し早く気がついてやれなかったかとつい自問しています
自分も優しい子どもだったことを思い出しました。涙
優しい内容になんか切なかった事を思い出しました。
どう見ても辛そうな子供に私から学校を休むように言って、そこから何カ月もたった本当に最近、子供に「当時の担任の先生に『お母さんを困らせちゃダメ』って言われてた」と聞かされました。先生にも色々な考えがあって言った事だと思いますが、正直殴りたくなりました。大人なんか困らせてナンボやん、子供に我慢させんなと。娘がどうして学校を休みたいと言わなかったのかずっと分からず、私が弱っちく見えるせいなのかと今も改善中です。子供が安心して振り回せる大人でありたいです。
私の母も弱そうに見えて、私は子供の頃なるべく親を困らせなくてすむように大人っぽく振る舞う子供で、今更やりたいことをあまり出来ずに生きてきた事に娘が不登校になってから自分と向き合って気付きました。子供の頃ちゃんと子供やらなかったせいで逆コナン君状態です。愛はたくさん貰ってたんですけどね。子供がやりたいことやってても余裕で笑顔で過ごせるように日々精進してます。まず、私からやりたいこと破天荒にやる!
ひとまず毎日トイレに行くとき変なダンス踊りながら行ってます、ウニウニとシャキシャキと。
P先生、真面目な内容にもボケを忘れないその心意気、流石です(o´∀`)b