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【親ガチャ】親じゃなくて、人生は自分で切り開くべき論

親ガチャの話題で、たびたび耳にする。

 

なんでも親のせいにするな。

自分の人生は自分で切り開くべきだ。

毒親の元に生まれても大成した例だってある。

ってやつ。

 

これは、僕は違うと思っていて。

 

 

もちろん、そういう人もいる。

自分で人生を切り開いた人。

それは誰が見ても素晴らしい。

 

ただ、確率が違う。

毒親の元に生まれると、明らかに人生ハードモードだ。

 

親は、子の人生に影響する。

すごくする。

稀な成功例を提示して、「こういう人もいるんだから」と一般化しちゃダメだと思う。

 

 

やっぱり、子どもは親の影響を受ける。

すごく受ける。

その仕組みを考える方が、個人の頑張りに期待するよりも、圧倒的に建設的だと僕は思うんだよ。

 

親の影響と他人の影響

人生、親で全てが決まるわけじゃない。

学校や友達などの環境からも強く影響を受ける。

そこから学び、自分を高めるのだ。

 

って理論がある。

だから人生の全責任を親になすりつけるな! って話になっていくんだけど。

 

前半部分はその通りで。

その人の人生は、親だけで決まるわけじゃない。

親からもらうのは①遺伝子②生育環境

学校やその他からもらうのが、③それ以外の環境

 

遺伝子

生育環境(家庭)

その他の環境(学校とか友達とか)

①②は親由来③は親以外の由来

 

この3つで、その人の性格や能力が決まる。

そこに運とかモロモロが絡んで、人生が決まってくる。

異論ない。

 

 

じゃあ、この3つがどのくらいの力関係で影響してくるのか。

非常に興味深いところだ。

 

ほぼ遺伝?

それとも環境が大きい?

 

 

これについて、研究している人がいるらしくてですね。

実に興味深い。

 

↓こんな感じらしい。(画像お借りしました)

https://www.tamagawa.jp/graduate/educate/column/detail_15056.html

へぇ、そうなんだー。

 

もちろん、この割合で決まり☆ ってわけじゃない。

あくまでいくつかの研究の結果であって、ブレはあるだろう。

大まかな目安として、こんな感じなのだと理解している。

 

 

その上で。

非共有環境、つまり③親以外の環境(学校や友達)の影響、結構デカいね。

ふむふむ、「やる気」とか「集中力」なんてのも、③その他の環境の影響を相当受けるわけね。

むしろ家庭環境の影響、ほぼゼロじゃん。

しつけとか家庭での勉強習慣とか、コレ見ると悲しくなってくるな……。

 

人の影響を「受けられない」

ここで最初の話に戻って。

 

「じゃあ親のせいじゃないじゃん!

遺伝なんて親の責任じゃない(親にもどうしようもない)わけだし。

頑張り次第でいくらでも勉強できるし、成功できると証明された。

だから親ガチャとか言うな!」

って理屈になる?

 

僕は、『否』だと思っていて。

 

なぜなら、非共有環境からうまく影響を受けるためにも親が重要だから。

 

 

説明する。

 

子どもは、学校や社会から影響を受ける。

その際に、親が多大に影響する。

と僕は思う。

 

何言ってんの?

 

単純に親が裕福とか教育熱心だと良い教育環境で育ちやすく、良い影響を受けやすいってのもあるけど。

僕の主張はちょっとまた違った視点の話で。

 

 

どんな環境にも、「良い影響」と「悪い影響」とが存在しますよね。

超進学校だって、超底辺校だって、良い部分があれば悪い部分もあるわけで。

「すべてが良い」とか「すべてが悪い」なんて環境は、存在しないだろう。

つまり、どんな環境にも、良い影響と悪い影響とがあるわけだ。

 

その時に、

親ガチャに外れると、良い影響を受けづらい

と思うんだよ。

 

親に話を聞いてもらった経験のない子って、人の話を聞けない。

人に話を聞いてもらう経験を積んで初めて、人の話が聞けるようになるのであって。

そして僕の思う「親ガチャ失敗」って、子どもの話を聞いてくれない親だ。

 

 

人の話を聞けない子。

せっかく「良い影響」を与えてくれる人や情報が存在するのに、素直に聞けないんだよね。

 

めっちゃ頑固。

「でもそれは違う!」って頑張って主張し続ける。

せっかくの「良い影響」を、この子は受けられない。

助けてくれようとした人を自分からぶった切っちゃった、なんて、よく聞く話でさ。

 

 

そしてなぜ人の話が聞けないかというと、親に話を聞いてもらえてないから。

つまり、「親ガチャ失敗」したから。

 

外来で、人のアドバイスを聞けない子がいる。

「自分はこう思うんだ!」

「自分は悪くないんだ!」

って主張するばかり。

「でも!」

「だって!」

反論ばかりで僕の話は聞かない。

こんなケースはやっぱり、親御さんがお子さんの話を聞いていない。

 

受診したわけだから、この子には困りごとがある。

僕からなにかしら解決のヒントが得られたかもしれない。

良い影響を受ける機会があった(かもしれない)のに、聞き入れられないのだ。

(もちろん僕のアドバイスがクソだった可能性もあるけど) (よかれと思って言ってるけど) (まぁアドバイスをどう使うかはその人の勝手だし) (ぐすん)

 

この子は多分、他の場面でも人の意見を聞かないのだろう。

第三者の意見、好意の意見があっても、受け入れられないし影響を受けられないわけだね。

※その割に、マイナスの意見や悪口はすげー気にしたりする。非常にバランスが悪い。

 

自分一人の脳で考えるより、人に助けてもらった方が、そりゃ勝率は高いのに。

この子は他人の意見をシャットアウト。

 

こんな子は損だ。

ごめんごめんテヘペロができる子はお得。

人の影響を受けて、上手に生きていく。

人の話を聞く力 〜愛されキャラのススメ〜ASD、もしくはADHDの子。 特性のせいでトラブルが起きることってあると思う。 ないに越したことはないんだけど、まぁあるよ...

↑コレは発達障害の話だけど、定形発達でも同じ。

 

 

不登校の子が社会復帰するときの、伴走者の話もそう。

僕は、不登校の最後の段階、社会復帰への最終ステップは、家族以外の伴走者にひっぱりあげてもらうのが良いと思ってるんだけど。

 

人のアドバイスを聞き、人と並走できるかどうか。

つまり、人の影響を上手に受けられるかどうか、だ。

社会復帰への伴走者って誰? そんな人どこにいるの? 不登校の子が、少しずつ動き出した。 家の中なら堂々と過ごし、楽しそうにしている。 コンビ...

 

人の影響を受けられるかどうか

人の影響を受けられるか。

親じゃない人の影響を受け、上手に舵取りの方向を変えられるか。

これって、「人の話を聞けるか」だと思う。

 

人の話を聞けるか。

つまり、「親に話を聞いてもらえたか」だ。

親に話を聞いてもらって初めて、その子は人の話を聞けるようになるからね。

人の影響を受ける土台に、安定した親子関係が必要ってこと。

 

 

親ガチャに失敗すると、親以外の環境からの良い影響を受けづらくなると思う。

人の意見が聞けないから、相対的に親の影響が大きくなる。

皮肉なことに。

 

多分だけど、前述の表より幾分か、もしかしたら大幅に、③その他の環境の影響割合が小さいんじゃないかと思われる。

あの表はフツーの親の元に生まれた子についての研究でしょ?

 

周りの影響をうまく受けられなければ、親を反面教師に舵取りし、「正しい方向に頑張る」なんてできっこない。

「あさっての方向に頑張る」か、「そもそも頑張れない」か。

大成する確率は、ゼロじゃないけど低い。

だから親ガチャは大きな問題なのだ。

 

 

貧困は連鎖する。

虐待も連鎖する。

毒親も連鎖する。

不幸って、世代を超えて連鎖し、続いていくと思うんだ。

そこから抜け出すのは容易ではない。

 

「頑張ればできる」って言うけど、そもそも頑張れない人がたくさんいるわけで。

 

やっぱり、親ガチャ失敗はとてつもないハンデだと思う。

安易な自己責任論に帰着するのは違うと、僕は思う。

pediatrician-p

View Comments

  • 親に話を聞いてもらった経験のない子って、人の話を聞けない。

    そうですね・・・
    私自身が人の話を素直に聞けないし
    それで、自分の子育てでも我が子をコントロールしようとしてきたんだと思います。
    15歳引きこもり息子、とても良いものを持ってて素敵なところがたくさんあるんですが・・・
    私が親で申し訳なかったなと思います。
    今からでも「聞ける親」になって好転していけるでしょうか?
    例えば、息子と会話できた場合、どういう気持ちで聴いていたらいいのか・・・まずはそこから練習、模索です(しょっちゅう忘れたり感情に流されたりしますが・・)。

  • 家庭が不安定(=自分も不安定)だと、不良グループに入ってしまったり、いじめられたりしやすいから、学校や友人関係といった非共有環境も悪くなりがちで、まじで八方塞がりになる人が多いと思う
    ほんで大人になったら自己責任で切り捨てられちゃうんだもん、生きづらすぎる

    持ってうまれたものを伸ばしてもらえず、生育環境が悪くて、その他の環境も悪いんだもん
    頑張れるわけないよ、常に充電2%だよ、呼吸してるだけで精一杯だよ

    親がちゃにはすれた人の苦悩って、はずれてない人にはぜっっったい理解できないですよね、想像すらできないと思う

    先生はいつも私の中の子どもの私がうまく言葉にできないことを、分かりやすく記事にしてくれていて、本当にありがたいです
    分かってくれる人がいるだけでスッとこころが軽くなる気がします

    …ただ、不登校の原因は親ではない、には賛成しかねますが笑
    直接の原因じゃなくても間接的な原因は親にたくさんあると思うけどな~と思ってます
    うまく言葉にできないけど~笑

  • >不幸って、世代を超えて連鎖し、続いていくと思うんだ。

    だとしたら、親が子どもと良い関係を気づけないのは親のせいではない。
    遺伝子ではなく家系の問題だから、永遠に続くの・・・

    って考えにおちついてはいけないのだろうけど・・・

    親が変わるのも難しい問題なんですよね。
    頭では、理屈では分かっていても・・・

    だから連鎖しちゃうし、簡単なら連鎖なんてしないんだろう。

    諦めてる訳ではないんだけど・・・

  •  P先生、具体的で面白いデータ教えてくださって、ありがとうございます。

     家庭内で自分の話を聞いてもらう経験が乏しい→相手が自分の提案を受け入れてそれが嬉しかったり、相手が自分の提案を受け止めた上で、更に工夫したりする所を見る経験も乏しい。友達に対してどんな風に会話したらいいのか、語りかけるのも受け止めるのも家庭内での予習なしで、子供社会に放り出される事になる、という事かなと思いました(大きい子でも実社会に出るのはこれからなんだから、何歳でも、お子さん自身が話したがっていたら聞いてあげるのは、後でお子さんの役に立つと思います。コミュニケーションの面でも勿論ですが、それ社会に出る前に知っといて良かったね、と思う事がポロポロ出てくる。雑談の中で感じる違和感、大事)。

     私の子供達はもう大きいせいか、何でも親に話したい訳ではありません。目の前でいつにない大きなため息をつかれたら、「どしたん?」と軽く聞いて「疲れた」と言われたら、「そっか」や「お疲れ」と返す。気にはかけているけれど、あなたの踏み込まれたくない所までは踏み込まない、という事を言外に伝える様意識しています。

    • 追記です。犯罪被害や加害に巻き込まれてそうにないかだけは、他の様子も見ながら一応考えた上での、対応です。

  • 今回も「なるほど!」です。ありがとうございます。
    我が家の特性ありの次女に「どうして素直に話が聞けないの?」と、小さい頃から言ってきました。が!…そうです。私が次女の話を聞いていませんでした。主張の強い長女の話は聞いていても(聞かないと怒るので。)、優しい口調で主張弱めの次女の話は、長女が家から出た今でも聞いていない事があるみたいで、先日次女に「私がよく話す前に、お母さんお母さんと言うのは、甘えてるんじゃなくてそう言わないとお母さんが聞いてくれないから。」と言われました。
    私の母親も話を聞いてくれない人でした。
    私の母親は6才の時にお母さんが亡くなっているので、もしかすると話を聞いてもらう環境ではなかったのかもしれないなと思いました。
    連鎖するんですね…。
    次女は今通信制高校の3年生。18才。
    今からでも『話を聞くこと』遅くはないのかな…。

  •  P先生、今回の記事も私的に納得感大です。
    親ガチャの外れって、要するに、安定した親子関係を築けず、結果的に自己肯定感ダダ下がりで、周りの人達を信用できなくて…と人生のスタート地点から苦しいレースを強いられてるってことですものね。
    まさに私自身がそうだったのでよくわかります。
     私は母から話を聞いてもらえず、母の価値観を一方的に押し付けられるような育て方をされました。たいして悪いことをしていなくても叱られて殴られたりしました。
     発達グレーの我が子を産んでから育児本を読み漁り子育てについて知識を深めてから自分の母が毒親だったんだなぁと気がつきました。なので私は専門家の先生方の力を借りながら、子どもときちんと向き合って子どもの話を聞いてあげられる母親になるべく奮闘中です。が、忙しいとなかなか理想通りにはいかず、不甲斐ないことも多々あったりします。
     一時期うちの子(小4男児です)が仲良くしていたお友達グループの中にうちの子同様の特性のある子がいました。その子はそのグループのなかで他の子を巻き込んでうちの子だったり、他の子だったりをイジメの対象にすることがあるため、「そんなことをしてるとお友達いなくなっちゃうよ」「いじめた過去が大人になってから自分に跳ね返ってきて不幸になることもあるから損だよ」等と伝えたり、色々な方法で止めるように働きかけたのですが、本人はむくれるばかりで遂に息子がそのグループを抜けるまで行動は改善されませんでした。その子のお母さんは子どもを叱るときには叩いていて、子どもの話を聞くような雰囲気ではないようでした。
     親に話を聞いてもらえるような安定した親子関係って、当たり前のようで、なかなかそれが出来てない親も多いんじゃないかと思います。
     私は毒親の連鎖(祖母も毒親なので)を断ち切るよう努めていますが、忙しかったり油断すると、私の中に眠っている毒親がひょっこりと顔を出してしまうので気をつけています。

  • こんばんは。
    私も人の話が聞けません。
    確かに親に聞いてもらえなかったかもと思いました。そして私も息子へ悪影響かもしれないなと。

    息子が来年小学校へ入学です。
    集団行動が苦手な為迷いに迷って自閉、情緒のクラスへ決めました。

    子供にとってどうなのか未だに不安ですが
    いつもふんわりした事しか言わない保育園の先生に支援級へ行く報告をしたら、
    因みにこれから療育とか行かれる予定は、、?と聞かれたのでまぁ現時点では普通学級は難しい感じなのかなと思ってます。

    就学前健診で内科の先生が怖い&目に入った折り紙で遊びたい&みんなの前でお腹なんか出したくないって事でイヤイヤし始めて、、、私が皆に迷惑かけるのを恐れて早々に離脱。地獄のような時間を過ごしました。

    次は仮入学が来年あるんですがもうめちゃくちゃ怖くて。これまた私が。

    なので仮入学までに学校見学に何度か行けないか、タイムスケジュールが出来上がれば事前に共有してもらえないかの問い合わせをした所
    何でもかんでも先回りして転ばないようにするのも一つの考え方だけどやってみたら案外いけるかもしれない。うまく行かない経験からわかることもある。仮入学の様子(模擬授業を受けたりします)を見てどんな支援が必要か教員が判断する為の場でもある。事前に見学と言うがそれが仮入学ですよと。。。

    で、人の話が聞けないのでなんで苦手がわかってるから対処したいのに一か八か仮入学に挑まないといけないのか、見通しを立てて仮入学へ挑むのは先回りして転ばないように手をだしてる事になるのか、というか仮入学の一回で必要な支援わかるの、、、それ学校始まってからでよくない?!健診時の皆の視線痛かったんですけど!!!(多分私が一番イヤなの結局コレなんですけどね、別に誰も何も言ってないし)と、話を聞きながらイライラMAXでコーディネーターと言い合いみたいになってしまい、まだ入学もしていない息子の来年からの環境悪くしてしまって落ち込んでいるところです。

    コーディネーターだからコーディネートしてくれるんだと勝手に期待して違ったので勝手に傷つけられたと怒ってました。

    もう無茶苦茶難しいです。親の私がしっかりせねばと思えば思うほど空回りです。
    そして全て私の不安で子供の不安ではないんですよね。

    支離滅裂な文章ですみません。
    記事へのコメントでなくもはやただの愚痴。
    書かせていただきありがとうございました。

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