不器用すぎる病気。
そんなのあるの?
あるんです。
発達性協調運動症、略してDCD。
身体機能には問題がない。
身体を動かす能力は正常。
なのに、不器用。
超ド級の、不器用。
高倉健も尻尾巻いて逃げるレベル。
自転車に乗れない。
枠から文字がはみ出す。
細かい作業ができない。
縄跳び跳べない。
ボール投げられない。
靴紐結べない、箸できない、ボタン無理、定規やコンパスが使えない、鍵盤ハーモニカやリコーダーの運指ができない。
球技なんて最悪で。
走りながらボールを見て、到達地点を予測、タイミングを合わせて、斜め先のゴールを視界の端で捉えつつそちらにキック!
……あぁ、めまいがしてきた。
これらが全部できないわけじゃなくて、その子によって「この分野が苦手」という特徴がある。
大きく分けると、
の3種類だ。
「走る」「指を動かす」「モノを見る」など、一つひとつの能力には問題がない。
けどそれらを『協調して』使うことに難がある。
アレをしつつコレも、ができない。
こっちを見ながら手を動かす、とか。
右手はこっちで左足はあっち、とか。
あっちのけんととこっちのけんとは、アレ、何がどう違うんだっけ⁉︎
それがDCD、不器用すぎる病気。
病気っていうか、脳の特性。
トントントンツーツーツートントントン。
でね。
このDCDがですよ。
比較的治りやすいと、僕、思うんですよね。
治るというか、克服するというか。
すっっっっっごく不器用だった子が、なんかそれなりのモノを仕上げるようになる。
壊滅的な運動神経が、まぁ人並みになる。
特定の課題なら、以前ほど苦ではなくなる。
あるんですよ。
不思議なことに。
多分コレねー。
遺伝子がひっくり返ったんだと思う。
その子は、もともとその遺伝子を持っていた。
できる遺伝子と、できない遺伝子の両方があった。
当初は「できない遺伝子」が表面に出ていた。
あるときそれが、ひっくり返った。
ってことだと思うなーーーーー。
なぜひっくり返ったのかは分からない。
経験からコツを掴んだのだろう。
本人のやる気、チャレンジ精神も関係していそうだ。
偶然の要素もあるだろう。
ケースバイケースで、理由はいろいろだ。
でも、ひっくり返った。
なんか知らんけど、できるようになった。
他のことと比較し、このDCDでは遺伝子のひっくり返り現象が起こりやすいように思う。
なんでかな?
わからんけど。
不器用な病気、DCD。※病気という表現が適切かは分からないが。
わざとやっているわけじゃない。
サボってるんでも、ふざけているわけでもない。
でも、冗談みたいに不器用。
冗談みたいにできない。
高倉健も真っ青。
当然、叱られやすい。
周囲からの理解が得られない。
本人にもできない理由がわからず、自己肯定感が低下しやすい。
二次障害の原因になりやすい。(実は不登校や問題行動の間接的な理由にコレが結構あるんじゃないかと思っている)
でも。
実は、結構できる。
今はできなくても、将来的には割とできる。
DCDは特にそうだ。
もちろん、できない人もいる。
最初からその遺伝子を持っておらず、どうひっくり返っても「できない」人。
これは絶対に存在する。
でも、ひっくり返るとできる人もいる。
この子がどちらかは、やってみないと分からない。
いや、やってみても分からないかもしれない。
遺伝子は持っているのに、一生裏返ったままの子もいるだろう。
まぁ、それはみんなそうか。
DCDに限らず、誰にだって日の目を見ずに終わる才能の一つや二つ、10や20はありそうだ。
僕にも裏返ったままのすごい才能が、きっとある。
……そんな隠れた才能が、きっとある。
でも、1ミリも開花しない。
とても悔やまれる。
「開花していない」のか「持っていない」のか。
両者を見極めるのは、至難の業だ。
ぱっと見でわかるといいんだけどね。
花さか天使テンテンくんみたいに。
知ってる? テンテンくん。
才能の種、サイダネがね……。(また誰も興味ない昔の漫画の話を)
とにかく。
その子は、タネを持っているかもしれない。
才能はあるけど、鳴りを潜めているだけかもしれない。
いつかできるようになるかもしれない。
何かのきっかけで、よくわからんけど、急に。
そう。
「急に」なんだよ。
「急」って結構キーワード。
見過ごされがちだけど。
発達デコボコ系の子の成長って、えてして「急」だ。
定型発達の子が努力に比例して徐々にできるようになるのと比較し、彼らは長い時間停滞する。
で、「急に」伸びる。
これだな。
定型発達の成長モデル↓
発達デコボコの成長モデル↓
こんなイメージ。
成長の差には、遺伝子のひっくり返りが影響しているんじゃないかと、個人的にはにらんでいる。
予想通りにいかないのが、発達デコボコなんだよなー。
DCD、案外治る(ひっくり返る)。
まぁ、気長にネ。
本人がイヤにならない程度に、ちょいちょいチャレンジの機会を与えるといいんじゃないでしょうか。
なんか突然、できるようになるかもしれませんし、ならないかもしれません。
あ、「治る」ときは本人が楽しんでやっている場合が多いことを追記しておく。
楽しくサッカー教室に通っていたら、なんか急に、とか。
やっぱさ、楽しくやるのがいいですヨ。
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24歳の息子がいます。
幼稚園の時は鏡文字でした。
小学生のときはノートの罫線は無視でした。3行使って書きなぐりが普通。
定規で真っ直ぐ線は引けないし、縦書きの文章は永遠に同じ行を読んでるし。
でもだんだんできるようになりました。
字はとてもきれいだし、なんなら老眼の親には読めないような小さな文字で整然と書きます。
縦書きの文章は苦手だけど、論文は横書きなので問題なし。修士論文も難解なものを書いてるし、教授の論文チェックまでやってます。
線も真っ直ぐ引いて図面も書けます。
夫の母(息子から見たら祖母)も不器用なタイプです。
スマホのスワイブできません。
スマホのアプリもなぜかすぐに消します。
ボタン系は強く押します。(壊れます)
でも編み物や縫い物は訓練したのですごく上手です。