HSCの子。
これまで特に問題なく、ここまできた。
なのに突然、頭痛、腹痛、朝起きられない。
急に不登校になったり。
この先、どーなっちゃうの⁉︎
余談なんだけど。
発達外来がめっちゃ混んでいるという話は何度かしていて。
本当に申し訳ない。
こんなに需要と供給が一致しないことも珍しい。
僕の外来は、毎月1日に半年先の予約枠を開けるシステムで。
ありがたいことに(?)、もう何ヶ月も即日完売。
毎月1日には1ヶ月分の枠が埋まる。
しかも、午前中で埋まる。
なんぞ、これ。
そもそも最近だと、うちの病院発熱外来もやってるから、代表に電話がつながらないんですよ。
1日の朝一に電話をかけ、しかも運良く予約センターに繋がった、選ばれし勇者のみが受診できる。
いや、枠の数は結構あるんですよ。
なのになんぞ、これ。
アイドルのコンサートチケットか。
ジャニーズか。
頑張って電話をかけてくれても、会えるのは所詮僕ぞ?
二宮くんと松潤を足して2で割り、ミャクミャク様(万博公式キャラ)を融合させて3年間熟成したような。
……そりゃキモいな。
それだけ需要があるということだ。
僕にじゃなくて、この分野に。
もっと、こう、みんなに行き届く、持続可能な支援はないもんかね。
マジSDGs。
ってことで、大変申し訳ないのだけど。
発達外来じゃなくて、一般の小児科外来を受診する人がいる。
メンタルじゃなくて、まずは身体疾患の相談にってんで。
で、そこでメンタル面も相談して。
担当した医者がそのままフォローしてくれることがある。
発達外来がいっぱいだから、専門じゃない先生がみてくれるのね。
本当にありがたい。
そして申し訳ない。
でさ。
聞かれる機会があるわけですよ。
どうすればいい?
こんなケース、これからどうなっていく?
親も焦ってるんだけど、何かできることある?
おぅ、それな。
わかる。
同僚の説明から、本人の様子がありありと想像できる。
繊細で真面目なタイプの子が、限界を超えて、OD症状を発症したのだろう。
本音では学校には行きたくないんだけど、でも「行きたい」と言う。
ってことは、「行きたい」と「行くべき」の区別がついていないのだ。
学校は行くべき。
なのに、行けない自分。
とてつもなくダメで、どうしようもない。
行かなきゃダメなのに、動こうとすればするほど体調が悪くなり。
大混乱の上に、そんな自分を全否定して、いっぱいいっぱいの状態。
わかる。
親御さんも、これまでなんの問題もなかったこの子が急にこんなことになって。
青天の霹靂。
焦って心配して、大混乱。
マジわかる。
でさ。
この同僚に、僕はこう答えたんだ。
本人に、その子の特性を説明してあげてほしい。
でもおそらく受け入れない。
「みんな頑張ってるんだから」と、頑張れない自分を否定し続けるだろう。
今は理屈として、「繊細なタイプだよ」「他の人はそうでもないよ」と知っておいてほしい。
そして、
動くのは、自分で納得したとき。
いつになるかは不明。
それまでにできることは、特に思いつかん。
待ちだ。
そう。
待ちだ。
こんな子に周りがしてあげられることって、非常に少ない。
知識を与え、安心できる居場所(家)を与え、あとは待ち。
本人が動くしかないのだ。
自分のタイミングで。
分かってたつもりだけど、人に説明して明確になった。
そうか、僕は待ってるだけなんだ。
してあげられることは特になくて。
話を聞いて、肯定して、親御さんの不安を受け止めて。
それだけ。
ただただ待ってるんだ。
いつでも肯定する第三者として。
親御さんの不安やグチの吐け口として。
それだけ。
折を見て、ちょっとだけヒントを出したり背中を押したりすることもあるけど。
でも、それで本人が動くとは全然限らないし。
待ってるだけで、結局何もしてないんだなーと実感した。
僕らにできることって、多くない。
それだけ。
僕ら発達外来の医者がうまいのは、待つスキルなのだろう。
経験がない先生は、当然だけど、やっぱり慌てちゃう。
ヤバくない?
僕らは、3ヶ月では動じない。
まぁまだまだかかるヨ、なんて悠長に構えていられる。
僕らの強みは、「待ち」に慣れてることだと思った。
他には特にない。
動かない子を動かす魔法も、不安が強い子を安心させる手法も、僕らは、いや少なくとも僕は持たない。
本人待ちだヨ。
時間かかるけど待っててネ。
結局、僕のやっていることってこれだけなんだと思った。
肯定しながら、ただ、待つ。
これに、でもやっぱり何らかの意味はあると思いながら。
未来のこの子(と親御さん)に、プラスに働くと信じながら。
ってことで、
待ちの一手
です。
僕に特殊スキルなどない。
何もできないけど、でも、一緒に待つよ。
キミが動けるようになるまで待ってる。
予約の取れない発達外来で、ミャクミャク様は待っている。(キモい)(最後で台無し)
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P先生こんにちは!
待ちの一手でいいんですよ、その間、有効そうなアプローチがあるか、一緒にみていきましょうね
って、今まで たくさんの子供をみてきたお医者さんに言ってもらえることが
ありがたいんですよねー^_^
周りがみんなペリーだったとしても、
親である自分の中のペリーはなるべく抑え込みたいですから。