優等生が不登校になることはよくある。
え、あの子が⁉︎ って子。
そんな子が、あるとき急に不登校にーーーーー。
優等生の中でも、ここでは特に、IQが平均〜平均やや上くらいの子の話をする。
しかも項目ごとの凸凹が少ないタイプ。
高知能の優等生の不登校は、もうちょっとこう、厨二病的な感じでこじれるからね。
話が違ってくる。
ここで話すのは、標準的なIQの優等生ね。
なので、当てはまらない人は夕飯のメニューを考えてください。
親子丼おすすめ。
まず、この子が優等生となった経緯から紐解いていこう。
まず、平均的IQの子って、学校教育に合いやすい。
課題は量・質ともにちょうどいい。
授業の進み方もちょうどいい。
先生の説明も過不足ない。
分からない部分は友達と相談とか一緒に勉強とかしやすい。
実にちょうどいい!
学校に適合しやすい。
つまり、良い成績を取りやすい。
「フツーに頑張ればちゃんと評価される」という経験を得やすい。
だから優等生になる素地がある。
これはご理解いただけると思う。
加えてこのタイプには、ある共通点が存在する。
HSC的な子が多いのだ。
平均IQの平均的生徒と、平均IQの優等生とを分けるのは、繊細さ・敏感さといった気質な気がしている。
勉強して褒められるのが嬉しい。
努力が認められると天にも昇る気分。
もっと褒めてくれ!
HSCはたいていフクちゃんだからね。
いっぱい勉強していっぱい努力するわけよ。
HSC気質のない子は、それよりも遊びを優先しちゃう。
そこまでして褒められようと思わないわけ。
HSCは褒められるのが大好き。
逆に、叱られたり見捨てられたりするのはめっっっちゃ怖い!
「勉強ができる自分」でいれば、親にも先生にも褒めてもらえる。
実際にそんな経験を積んできたし。
この地位を手放すのがめっっっちゃ怖い。
そりゃもう、めっっっっっちゃ怖い!
だもんで、HSCは勉強する。
超絶勉強する。
フツーさ、小学生なんて勉強しないじゃん?
放課後は、道端で雑草食べてるじゃん?(僕だけ?) (食べられるんだけど不味いよ!)
終わったドラクエのレベル上げしてるじゃん?(僕だけ?)
だから、優等生の立場をキープするべく頑張り続けるなら、その子はおそらくHSCタイプだ。
以上より、小学生の優等生って、
① 標準的もしくはそれ以上のIQ
かつ
② HSCタイプ
の子が多いと思われる。
この子たち。
しっかりしてそうに見えるでしょ?
ハタから見ると安定感ハンパないでしょ?
でも案外、不登校になるリスクが高い。
なぜ不登校になるかというと。
中学生くらいになると、勉強の難易度が上がる。
小学校の勉強なら、標準的なIQでも努力でなんとかなった。
でも中学からは、努力だけでは難しくなる。
苦労なく点を取る天才が台頭してくる。
今まで勉強しなかった子も、中学生くらいになるとみんなそれなりにやり始める。
高知能の子が突出してくるのだ。
優等生タイプは負けじと頑張る。
とんでもない時間と労力を費やして勉強する。
もう、めちゃくちゃに努力していることが多い。
英単語1万回とか、テスト前は徹夜とか、連日明け方まで課題をやるとか。
それで対抗できているうちは、なんとか頑張る。
でもやっぱり限界がくる。
ナチュラルボーンの天才には勝てない。
能力の限界が見えてくる。
余談だけど。
この部分、僕はすっごく残酷だと思うんだ。
どうしたって「ない」ものは「ない」。
知的な能力の差ってあって。
どんなに努力しても「持ってる」人には勝てない。
「ない」ものは「ない」んだ。
世の中ってそういう仕組みだ。
残酷だけど。
閑話休題、話を戻す。
他の分野でも同様に、突出した子が出てくる。
運動、芸術、容姿、コミュニケーション、財力……。
今まで見えなかった才能が、どうしようもない壁として立ちはだかる。
小学生くらいまでは「みんな同じ。結果の差は努力の差!」と思ってたのに。
努力では、もうどうにもならなくなる。
すると。
優等生は、自分を見失う。
「なんでもできる、優等生の自分!」がアイデンティティーだった。
先生にも親にもクラスメイトにも、一目置かれる存在だった。
でも、これ以上維持できそうにない。
そのとき。
もともとHSC気質のあるこの子。
めっっっっっちゃ焦る。
めっっっっっちゃ落ち込む。
今までそうしてきたように、努力で埋めようとする。
それしかやり方を知らないから。
でも埋まらない。
やってもやっても、持って生まれた才覚の差が露呈する一方。
めっっっっっちゃ焦る。
めっっっっっちゃ落ち込む。
で、どうなるか。
たいてい体調を崩す。
だから学校に行けない……。
起立性調節障害を発症する。
このタイプの不登校のOD合併率って超高い。
一番になれない、価値のない自分
と向き合いたくない。
だったら
頭痛のせいで学校に行けない
の方が、精神衛生上ずっと良い。
こうして、体調不良からの不登校になっていく。
優等生タイプの不登校は、時間をかけた方がいいと僕は思っている。
時間をかけて、なんならこれまでの人生全てをかけて作り上げた、「優等生の自分」。
この自己像が、粉々に打ち砕かれたのだ。
人生のドン底。
再起には時間がかかって当然だ。
まずはじっくり体調不良と向き合うのが良いと思う。
焦らず、そこからでいい。
次に、自分と向き合う。
ひょっとして精神的なものが原因?
そう思えたら、次のステップだ。
その『精神的なもの』の正体と向き合う。
自分って何が好きなのか。
何が嫌いなのか。
※この子たちは「嫌い」という感情に蓋をしていることが多い。「嫌い」なんて悪い感情はあっちゃいけない! と本気で思ってる。
そしてどこまでなら頑張れるのか。
現実的な落とし所はどこか。
※0か100かの極端な思考で、ハードルが富士山のように高いことが多い。
このあたりについて、納得するまで悩む。
その間、ゆっくり休むほうがいいと、僕は考える。
復学を考えるのはその後だ。
まずは休む。
休むのはいつだってベターだ。
ベストじゃなくても、ベターを選ぶスキルがあれば人生はそれなりに回る。
で。
この子たち、社会適応はめっちゃ良いと予想される。
知的に標準で、発言が理解されやすい。
加えて空気をよく読むHSC気質。
トラブルになる気がしない。
実際、今まで優等生でやってきたわけだし。
「自分ってナニ?」
この思春期の問いが終われば、あとはもう心配ないと僕は思っている。
その子らしく胸を張って生きていくだけだ。
不登校は、この辺のスキルを身につけるための修行の時間とすら思う。
一生の武器になるスキル。
この子にとってクリティカルなスキルだ。
View Comments
難しい。本当に家族も本人も学校もつらい。なぜこういう子どもが増えたんでしょうか。
ドンピシャ!ドストラーイク!!です。
成績学年トップで、学級委員長を中1の2学期に無事に果たし終えて3学期から不登校になりました。真面目!
現在中3です。最近は部屋でストレッチをしたり、絵を描いたり好きなことをして過ごせています。
一生の武器になるスキルを身に付けるための修行期間なんだと、私も全てを受け止め、向き合っていこうと思います。
いつも勇気をいただいています!
親子丼、明日のメニューにします😁
うちの子、IQ低い凸凹です。
親子丼作ります笑
先生の記事、好きです。
投薬に悩んでて、機会があったら書いて欲しいです。