不登校

「不登校の子。ODの可能性があります。」

ネットサーフィンで、発達界隈について検索する。

すると、タイトルのような文言に出会うことがある。

 

お子さんが不登校?

それ、ODが原因じゃないですか?

 

いや、ちょっと待たれぃ!

 

僕の立場から、一言もの申させてください。

 

起立性調節障害と不登校

起立性調節障害、略してOD。

ご存知、朝起きられない病気。

 

まず最初に断言させてもらうけど、

不登校とODの合併率は鬼のように高い!

 

それな。

ほぼ合併してる。

不登校の子が10人いたら、8人はODだろう。(僕調べ)

100人いたら、80人はOD。

24万4940人いたら、19万5952人はOD。(文科省発表の、令和3年の不登校者数)(なんだけど、病気やコロナ回避のお休みも含まれているだろうから、実際はもっと少ない)

 

そのくらい多い。

 

だから、冒頭の

 

不登校?

ODかもよ!

 

という文言は、間違っていない。

お子さんが不登校なら、ODの合併を疑うのは当然のことだろう。

 

でもさ!

 

でもさでもさ。

僕、ちょっと違うと思うんだよ。

勘違いしてほしくないんだよ。

 

上記文言を読んで、

不登校

ODを治せば解決

と思わなかった?

思ったじゃん?

思ったよね?

これ、ミスリードだよ。

 

ODのせいで不登校なら、ODを治せばよい。

そう思うじゃん?

素直に解釈すると、そうなるじゃん?

 

違うんだよ。

 

ODを治しても、たいていの不登校は解決しない。

ってゆーか、OD治らねぇ!

 

それが、現場からの意見。

 

現場より

こちら現場です。

初診の、不登校の子。

朝起きられず、頭痛もあり、学校に行けないとのこと。

検査をしたら、案の定ODの診断。

 

生活指導をして、投薬も開始しました。

 

でも、守らねぇ!

薬も飲まねぇ!

飲んでも効かねぇ!

 

当たり前だけどOD症状は治らず。

もちろん学校にも行けません。

そういうことです。

現場からは以上です。

 

 

ね。

たまーにいるけどさ、ODの治療で不登校も解決する子。

でも、ホントたまによ?

不登校かつODなら、たいていメンタル要素が絡んでいる。

メンタル不調から体調を崩し、体調を崩すからメンタルが悪化。

この悪循環に陥っている子が大多数。

 

ODの治療もするけど、メンタルをなんとかしないとまず治らない。

ってゆーか、メンタルが安定すれば、OD症状も薄皮を剥ぐように軽快するものだ。

 

 

だから、

不登校なら → ODかも?

は、正しい。

でも、じゃあ

ODなら → 治療すれば不登校も解決する

は、正しくない。

ここまで言及しているネット記事って、ほぼ見かけないように思う。

ここ、注意してほしい。

 

一問一答じゃない

ODと不登校は、相関関係にある。

合併率は鬼のように高い。

 

でも、純粋な因果関係にはない。

ODだから→不登校、という図式ではない。

 

ODを治せば不登校も解決、なんて単純な話ではないのだ。

ってゆーかOD、治んねーし。

 

 

ここが、僕が数の暴力で言いたい部分。

一般の人は、「原因」と「結果」を結びつけたがる傾向にある。

「何が悪かったのでしょうか」

「どうすればいいですか?」

という質問を、よく受ける。

 

僕は、そんな単純なもんじゃないと思う。

  • 〇〇が悪かった
  • 〇〇すれば解決

なんて事柄は、全ての相談のうちほんの一握り。

 

たいていは、本人の持って生まれた資質(玉)や、それまでの生育歴、考え方の癖、両親との関係、クラスの環境なんかが影響しあって「そう」なっている。

答えなんて、出せないのが普通だ。

「どうすればいいですか?」 〜答えはどこに?〜 最近頻繁に聞かれる。 「どっちがいいか」について、明確なエビデンスはない。 それぞれ...

 

でも、それって難しいですよね。

多変量解析なんてできねーよ!

そう、激ムズですよね。

 

わかる。

だからこそネットのシンプルな「不登校の原因はODかも」みたいな記事がウケるのもわかる。

シンプルな図式は理解しやすいから。

 

でも、物事は一問一答じゃない。

答えなんかないんだ。

 

まとめ

不登校の子に、ODの合併を疑ってみる。

それはとてもよい。

ぜひやってみてください。

 

でも、「だから不登校も解決する」という過度な期待はしないほうがいいと思う。

ってゆーか多分、ODは治んねーよ。

 

ODって『隠れ蓑』だから。

「学校に行きたくない」という本音と向き合わないための、『隠れ蓑』。

だって、そんな本質部分と向き合う元気ないもん。

今は、心も身体もボロボロだもの。

無理に剥がさないでやってほしいと、お節介ながら思う。

POSTED COMMENT

  1. くまもん より:

    わびさんのお子さんが、うちの息子の年齢、経過、状態とあまりにも一緒なので思わずコメントさせていただきました。うちは通信制高二の引きこもりです。
    家の中で荒れることもないですが、家族としか話さない毎日で、何かする意欲も湧かないようです。
    不登校の最初はそんなに特別なことでもないのかくらいに考えていました。でも最近、このままでいつか何か変わるのか、じわじわと少しずつ不安な気持ちが増幅してきました。
    息子も動けない自分に対する不安を感じながらいるようです。
    たまに玉をなげてみたりもするのですが、そっとしておいたほうがいいのかなとか、分からなくなっています。

  2. わび より:

    ブログの内容に、ほんとにそうだなと思いました。

    約2年前、息子の不登校が始まった時、起立性調節障害と診断されました。初めて聞いた病名、息子に何が起こっているのかと不安でした。

    この頃はODを治せば学校に行けると思って、息子に対し薬の服用、自律神経を整える生活習慣、水分とる事、など色々声掛けアドバイス、、、必死でした。でも親子関係は悪化していき、学校にも行けず、ひきこもりになっていきました。

    今は高校2年、通信制高校に転入しましたがゲームやスマホ三昧の日々。ODの症状は軽減されているようですが、勉強などやるべき事に向き合えないでいます。

    不平不満、病気のせい、環境のせい、親のせいとも思っているかな?
    本人が気づき、現実に目をむけ、乗り越えていけるようになる事を信じて待つしかないのかな。。辛いです

  3. こあら より:

    「割りきれない人」
    娘を見ていて思います。

    勉強の遅れを補おうと、ボランティアの塾に体験に行ったら帰宅後キレました。
    「教え方が悪い」

    個別指導塾も同じことを言って辞めました。
    数字、結果を求めない営利目的ではないところなら、と思案しましたが。

    隠れ蓑、理解しています。
    学校が悪い
    同級生が悪い
    親が文句ばかり言う
    「じゃあ、勉強のことは一切口出ししないから、進路は自分で調べて考えて。行動に責任持ちなさい」と言えば「親は何もしてくれない」とまた文句。

    ふわっと学校行けない子は、ふわっと将来は自立するものだ、と考えられるのかな。

    人のせい、環境のせいにする隠れ蓑は、いつか自ら剥がすのかな。

    人の目は気にするのに、進路のことには無頓着。
    まさに、「そこはお留守」です。

  4. プリン より:

    P先生の記事が読める事を、とても心強く幸福に感じます。ネット社会の恩恵に感謝します。その面に関しては私の母世代は大変だっただろうなと思います。
    子供が小4でODと診断受けました。不登校の時期もありました。
    診断を受け、やる事、対処法、その先の希望、が見えると不安が減るので、子育てのつらさ軽減に繋がるのはあるかもしれないと思いました。
    子供は中1になり、現在はなんとか頑張って登校していますが、
    学校の担任からも、祖父母からも、甘えだと根性論で叱られます。偏食や甘やかしがあるからだ、武道やスポーツをさせて鍛えてこなかったから、母親の遺伝子と教育が悪い、、と言われ、つらいです。
    愚痴をすみません。
    皆様のコメントを読み、1人じゃ無いと分かり有難く涙が出そうです。
    ありがとうございます。

  5. きなきな より:

    P先生、おつかれさまです。
    いつも先生のブログ楽しみにしています!

    子供が不登校になると、学校の先生やお医者さん、カウンセラーさんから
    「親がブレてはいけませんよ!」
    なーんて言われちゃうんですけど、
    「そんなこと最初から出来たら、とっくの十にやってます!」
    って思っちゃうんですよね。

    親も隠れ蓑が欲しいんです。
    弱っている時に正論をぶつけられても、受けとれないんです。

    だから、先生が
    「OD治らねぇ!」
    って言ってくれて、ホント嬉しいです。

    先生、本当にありがとうございます。
    いつかどこかで先生に会えますように。

  6. クレハ より:

    ODは隠れ蓑ってよくわかります。
    娘は中3の秋に2日間頭痛で学校を休んで初めて受診した小児科の問診だけでその日のうちにODと診断されました。小児科医からODの説明を娘と2人で聞き、母親であるわたしは医師の前で娘に謝りました。「頭痛いのに薬飲んで学校行きなさいって言ってごめんね」って。その日を境に娘は中学を卒業するまでの4ヶ月間ほとんど学校へ行きませんでした。ODという病名が隠れ蓑になっていたことはわかっていました。鎮痛剤も漢方も整体も何一つ効きませんでした。娘は高校生になり今は学校へ通っています。

  7. 匿名 より:

    先生いつもありがとうございます。
    激しく同意します!
    不登校なりたてのころ、起立性調節障害と診断されて、内服始めました。
    これで安心と思っていましたが、全然治らない(笑)
    薬は余るし、受診は嫌がるし、治す気無いだろ!ってこじれるし…
    高校に入学しましたが、朝起きられなくて数回遅刻…
    学校の先生からは、受診を勧められました。
    P先生みたいに理解のある先生じゃなければ、無意味です!
    って言いそうになりました。
    本人の成長を見守るしかないんですよ~
    経験から、薬は効くときもあるし、効かないときもあります!

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