発達障害

衝動性 vs 衝動性

子どもはゲームが大好き。

特にADHD特性を持つ子は、めっちゃゲームが好き。

たいていやりすぎちゃう。

 

親御さんは止める。

……んだけどさ。

 

ADHDとゲーム

ADHDの特徴の一つに、「衝動性」がある。

 

  • 思い立ったら即行動。
  • 考える前に体が動く。
  • あと先なんて考えねェ!

 

案の定、やらかす。

んだけど、また同じことを繰り返す。

 

だって、そこにあったから!

 

ADHDタイプの子にトラブルの原因を聞くと、

そこにあった(いた)から

と答えることがままある。

 

  • 友達を叩いたのは、そこにその子がいたから。
  • 漫画を読み耽ったのは、そこに漫画があったから。
  • 物を壊したのは、そこに物があったから。

 

ある意味清々しい。

 

なぜ、山にのぼるのか。

そこに、山があるからだ。

 

まるで有名な登山家のようだ。

一周回ってかっこよす。

 

 

でね。

この「衝動性」と、「ゲーム」の親和性は高いって話で。

 

衝動性の高い子は、衝動的に色々やってみたくなるわけです。

衝動的に動いて、すぐに結果がほしい。

刺激が欲しいんですよ。

 

行動に対し、即座にレスポンスが欲しい。

それも、刺激的なヤツ。

キツイの、アツいの、激しいのが欲しい。

刺激という報酬を求め、衝動的に行動を起こす。

 

この特性とゲームって、ガッチリはまり。

だって、ボタンを押すと、キャラが動く。

目に入るものに衝動的に飛びつけば(アイテムを取れば)、ポイントとして加算される。

しかも明確な結果(敵の撃破)を伴って。

 

しかもしかも、敵はだんだん強くなるし、エフェクトは派手だし。

イイ感じに刺激的!

 

現実世界でこんなにすぐにレスポンスがあり、しかも派手で刺激的な活動ってある?

お行儀よく着席して退屈な授業を聞き続けるのがお仕事の、義務教育の子どもたちに。

 

ってことで、手っ取り早くイイ感じの刺激が得られる手段が、ゲームとなる。

刺激を求めて実際に何かやらかすと(人を叩いたり、物を壊したり、走り回ったり)、大抵ロクな結果にならない。

この子たちは身をもって分かっている。

 

じゃあどうするか。

ゲームでしょ。

 

この乾いた心を満たしてくれるのは、ゲームしかねぇぜ!

 

ってことで、ゲームに飛びつく。

そんな仕組み。

 

強い禁止と強い反発

この子たち、現実世界を忘れてゲームにのめり込む。

没頭して、やるべきことがお留守になる。

 

当然、周りの大人はこれを静止する。

 

母
ゲームの前に、宿題はやったの?

 

でも、そんな言葉などゲームに「のめり込んでいる」子の耳には届かない。

するとどうなるか。

 

母
約束が守れないなら、もうゲーム禁止!!!

 

ゲーム自体を取り上げてしまうことも少なくないだろう。

 

↑これ。

僕的にはおすすめしない。

衝動性に衝動性をぶつけても、カオスになるだけだから。

 

説明する。

 

子ども視点

子どもは、ゲームに没頭している。

親の再三の忠告は、耳に入っていない。

聞こえていないのだ。(ADHDタイプが何かに熱中しているとき、声かけが耳に届かないことはよくある)

 

で、突然ゲームを取り上げられる。

 

子ども、めっちゃ混乱。

めっっっっっちゃ怒る!

 

めちゃめちゃ怒りますよ。

熱中していたゲームを、子どもからしたら一方的に取り上げられた状態。

そりゃもう、烈火のごとく。

 

男の子
男の子
嫌がらせとしか思えない!!!

 

そうなんです。

そもそもルールを破った自分が悪いのに、そこには目が行かない。

親が「急に」「嫌がらせで」ゲームを取り上げたと解釈する。

親が全面的に悪い! となる。

 

ちょっと考えれば叱られた理由がわかりそうなものなのに、そうはならない。

なぜか。

 

衝動性が高いから。

 

衝動的に「嫌がらせだ!」と思ってしまうと、他の可能性が考えられない。

叱られ方が衝撃的であればあるほど、子どもは衝動的に解釈するように思う。

 

熱中しているゲームを

取り上げられる

 

これは、子どもの思考能力を奪うのに十分すぎる衝撃だろう。

実際、よく聞くのだ。

なぜゲーム禁止されたと思うか問うと、

 

男の子
男の子
知らない!

嫌がらせに決まってるよ。

 

との子どもの答え。

 

親視点

この時の、親御さんの視点はこうだ。

 

ゲームを全くするなとは言わない。

でも、最低限のルールは守ってほしい。

 

うん、至極当然だ。

 

これを破った、さらには嘘までついたりしたわけだから、

 

母
しつけのためにも、罰として取り上げる!

 

ここでなぁなぁにしちゃ、この子のためにならない。

ダメなものはダメと教える必要がある!

 

そうですよね。

必要なしつけだ。

 

でも、言っても言っても聞きやしない。

だから「取り上げる」という強い行動に出るしかなかった。

 

両者のすれ違い

この子どもとこの親、ぶつかるとどうなるでしょうか。

そう、

めっちゃすれ違う

わけです。

 

  • 親はしつけのつもりでやった。
  • でも子どもは嫌がらせと受け取っている。

 

こんなすれ違いは本当によく見る。

 

 

これは両者にとって不幸で。

衝動性の高い子に衝動的な罰(急に取り上げる)を与えても、反発するだけでうまくいかないことが多い。

 

落ち着いたあとで「怒られた理由」を考え、納得できる子ならいいんだけどさ。

それができず、ただ「むかつくむかつくむかつくむかつく……」と悶々としている子も見るから。

 

刺激控えめに

衝動性の高い子を刺激強めに叱ると、「叱られた!」という衝撃で内容が入っていないことがある。

こんな子には、少し刺激を控えた方がよい。

 

具体的には、

  • 声をかけても耳に入っていないようなら、目の前に行き、視界に入って忠告するとか。
  • いきなり取り上げるのではなく、約束を思い出させるよう仕向ける。
  • それでもダメなら取り上げるんじゃなくて「一時停止」とかさ。

 

余談だけど、繊細なタイプも刺激強めの叱責はタブーだ。

「叱られた!」という衝撃で内容は入っていない。

こう考えると、強く叱ってうまくいく子って少なそうだ。

強い叱責は慎重に相手を選ぶ必要がある。

 

 

閑話休題。

衝動的な子には、衝動的に対峙してはいけない。

衝動性に衝動性をぶつけても、きっとうまくいかない。

落ち着いて、段階を踏んで、理路整然とが良い。

 

格闘技でいうと、真っ向から向かっていくのではなく、相手の勢いをうまく使って受け流すイメージ。

少しずつ軌道を変えるイメージで。

 

あ、今まで一度も言ってなかったんだけどさ。

実は僕、格闘技は全然できないんだ。(できないのかよ!)

 

 

ルールは事前に設定しておくと良い。

ルールもないのに親の気分一つで(親にとってはしつけでも、子どもにはそう見える)「取り上げる」とか、いかにもリスクが高そうだ。

 

  • 刺激控えめに。
  • こちらに注意を向けさせて。
  • 理路整然と。

説明するのが望ましいと思う。

 

衝動性に衝動性をぶつけても、きっとうまくいかない。

剛には柔で対応する。

格闘技と一緒だ。

僕、格闘技できないんだけど。

POSTED COMMENT

  1. ひさー より:

    こんにちわ!
    衝動性VS衝動性
    ずっとやっていた気がします。
    ASDかなぁとも思ったのですが、話を読むと
    ADHDの衝動性の方が強いかなぁと。
    スマホもゲームも罰則をずっと与えてましたが、
    衝突して嫌な気分にお互いなる割にすぐ破られて
    また戻る事が多いですね・・・
    刺激を控えめに理路整然とを心に頑張ってみます

  2. agario より:

    I want to to thank you for this great read!! I absolutely enjoyed every little bit of it.
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  3. 迷える母羊 より:

    もう8回も入院してる息子ですが
    ゲームには寛容な主治医なので、ずっとゲームは許可されていました。(一定期間後に)

    今回、本人が入院1週間になるから許可して欲しいと主治医に訴えましたが、家で暴れて病院で快適に過ごしたのでは意味がないと拒否。

    思い通りにならないと暴れる事が問題で度々入院している自閉くん。

    ついに病院で大暴れしたそうです。
    なにがなんでもゲーム許可しろと。

    話にならないからと放置されたそうで・・・
    30分位廊下に転がり泣いてたそう。
    (光景が眼に浮かび笑えました。)

    ADHDじゃなくASDだと目の前になくても飛び付くみたいです。ゲームに。

  4. しろ より:

    連投すみません。
    試行錯誤していたころ、P先生のおっしゃる通り罰則ルールは全く意味がなかったですね。
    意味がないどころか、怒られる→取り上げられる、だけがインプットされてしまった気がします。
    今だに毎日癇癪(理由は様々)を起こすのですが、『どうせ没収するんだろ!』『こんな約束守れないヤツからは取り上げればいいだろ!』みたいなキレ方もよくあります。
    使い方を学んでほしいからもう取り上げたり没収はしないと、何年も伝え続けてますが、なかなか伝わりませんね。

  5. しろ より:

    今回もうちの話か!?と思うような内容でした。
    今のルールに落ち着くまで、本当に試行錯誤&ぶつかりまくりの繰り返しでした…。
    今は、
    ・switch→見守りswitchのアプリでタイマーを1時間。時間になったら強制終了の設定。
    ・YouTube→ipadの内蔵タイマー使用。1時間で強制終了。
    ・スマホ→ペアレンタルコントロールで15分タイマー。やることが全て終わったらその都度2時間まで延長。
    にやっと落ち着きました。
    それでもアマプラはタイマー使えないし、タイマー使用の物もいまだにちょこちょここぜり合いは起きます…。
    今まで、何度も話し合ってここまでのルールになりましたが、本人は許されるのであれば一日中やっていたいと思っています。
    夏休みなど長期休暇中は1日時間制限ナシの日を作ったりすると、本当にご機嫌です(汗)。
    心配なのは、成長と共に親の管理が届かなくなったときに、自己管理できるんだろうか…と思います。
    タイマーで強制終了ではなく、自分で終わりにする練習をしてきたほうがよかったのかなぁ…とか。(私がイライラに耐えられなく無理でしたが)

  6. 匿名 より:

    先生、コワオモテの武闘派じゃなかったんですね。気合いだー!とは真逆にいらっしゃる気はしてました。そこがたまらない魅力です。笑

    ADHDの衝動性の母です。私も息子に負けず劣らずADHD気質ダダ漏れです。むっちゃ気が合うのですが、衝突も激しいです。

    気をつけようと思いました。

    知性派の主人からすると、異星人らしいです。私たち。

  7. しのぶ より:

    こんにちは!

    P先生が格闘技できるとは思ってなかったから、大丈夫です(←?) (^o^)/

    それに、今から始めてみるのも良いと思います!

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