心理学

完璧主義と、絶対に失敗しない方法

日常生活で、実際に問題となってくることが多いんだけど。

 

完璧主義

 

これ、なんとかならないものかしら。

なんでそんなに頭カタいのよ。

 

完璧主義

完璧主義。

黒か白か。

ゼロか100か。

 

女の子
女の子
学校に行くなら朝から夕までフルじゃないとイヤッ。

遅刻や早退、別室登校するくらいなら、学校へは全く行かない!

 

男の子
男の子
友達との会話で変なこと言っちゃうのが不安だから、いっそ誰とも話さない。

どーせオレは気の利いたギャグとか言えないし。

 

もうちょっとさ、グレーでもいいんじゃない?

0か100かじゃなくて、50じゃダメ?

 

とりあえず遅刻でも登校した方が、出席日数にカウントされる分おトクじゃん?

芸人じゃないんだし、気の利いたギャグなんて言わなくてよくない?

 

実際の外来診療で、こんな問題にぶちあたることはよくある。

 

 

親御さんは大抵、「完璧じゃなくていいよ」ってスタンス。

でも、本人は頑として受け入れない。

課題は完璧に仕上げないとだし、クラスの全員に好かれなきゃいけないし、「頭いい子」と思われなくちゃいけない。

 

亀の甲より年の功だ。

人生経験の豊富な親御さんはグレーが許容できるけど、子どもには難しいようだ。

 

絶対に失敗しない方法

完璧主義の子。

完璧に仕上げたい、完璧に振る舞いたいわけですが。

実際にはムリなわけです。

 

そりゃそうだ。

ヒトなんだから、できないこともある。

予想外の突発的なトラブルもあるし。

 

そんなとき、どうするか。

リスクを避けたいこの子が、どんな選択をするか。

 

 

世の中には一つだけ、「絶対に失敗しない方法」というのがあってですね。

傷つくリスクゼロ。

恥をかく心配もない。

絶対の絶対の絶対に、失敗しない。

 

それは

動かないこと。

 

 

そう。

行動しなければ、失敗のしようがない。

トライしなければ、絶対に失敗しない。

恥をかいたり叱られたりの危険は全くないわけだ。

 

だもんで、完璧主義の子はこの選択肢を選ぶ。

 

動かない。

 

四の五の言って、結局動かない。

地蔵のように、とにかく動かない。

完璧主義の子がリスクを避けると、つまり「動かない」という選択になりがち。

 

不安の強さ

でさ。

動かないって、そりゃちょっと、いやかなり困るわけですよ。

やってみないことにはどうにもならないわけで。

 

動かないと、別の問題も出てくるし。

例えば学校に行かないと勉強がわからなくなるし、友達がいないと教室に居づらいし。

さらに学校に行きづらくなる。

 

母
学校も譲歩してくれてるわけだし、とりあえず遅刻で行きなさい!

 

母
みんなから好かれる必要なんてないし、とりあえずフツーの話しときゃいいでしょ!

 

お尻を叩いてみるんだけど、本人は頑なだ。

失敗して叱られたり恥をかいたりする可能性があるなら、絶っっっっっ対に動かない!!!

 

 

なんでこんなに頑固なんでしょうね。

困っちゃう。

 

多分ですね。

完璧主義の子は、不安が強いのだと思う。

 

不安の強さって生まれつきで。

不安の強さってどこからくるの? 〜その子の不安レベルはどのくらい?〜不登校とか、それに類するトラブルの相談を聞くと、 vs自分 の要素がありそうだな、と思う。 https://h...
不安なのに準備しないって、一体どうして⁉︎不安の強い子。 https://hattatsu-kids.com/?p=4121 不安の強い人は、その不安の強さゆ...

 

先回りしていろんなリスクを考えちゃうから、結果完璧主義になるのでしょう。

 

 

不安が強いって、別に悪いことじゃないんだけどね。

リスク回避能力に長けているわけだし。

 

不安の強くない人が優れているってわけじゃ、全然ない。

失敗を恐れずなんでもトライできる特性が、悪く出ることもあるだろう。

 

ただ、不安が強いタイプの人が、その不安の強さゆえに動けなくなっちゃってることは実際あるよなぁと。

 

 

僕、羊の話が好きなんだけどさ。

冒険心の強い羊は、草を求めて遠くまで行くんだって。

でもあんまり巣から離れると、オオカミに食べられてしまうかもしれない。

だから臆病な羊もいて、そいつらは巣から離れないのだそうだ。

 

でも、みんなが臆病な羊だったら、巣の周りの草を食べ尽くして群れが滅んでしまう。

だから臆病な羊とイケイケの羊、両方がいて初めて群れの安定が保たれるんだそうな。

 

( ;∀;) イイハナシダナー

 

 

僕は基本的に、「特性はそのままでいい」と思っている。

変えるのは『解釈』と『行動』であって、『特性』は変えるべきじゃない。

 

ただ、完璧主義の人の問題行動(問題「非」行動か。動かないから。)って、

巣の周りの草を食い尽くさんとしながらも、新地開拓へは赴かない

という状態。

確かに、羊死んじゃう。

 

安全基地を広げる

じゃあどうするかって、少しずつ安全基地を広げていくしかないのでしょう。

昨日より3cm遠くへ行ってみるとか。

「初めての土地だけどオオカミは来なかった」という経験を積んでいくしかないのだと思う。

 

不安です!!!

という気持ちを否定するんじゃなくて。(つまり、『玉』の否定)

 

不安です!!! という気持ちは肯定しつつ、その上でどう動くかを考える。

あ、肯定は、本人も周囲の大人もした方が良いと思う。

自分でも不安なことを認め、周りの人にもその不安を認めてもらってですね。

 

不安を認めた上で、どう動くか。

 

こっちにシフトしていけると良い。

 

 

まぁ、冒頭で書いたとおり、親御さんは大体みなさんグレーを許容しているわけで。

経験値が増えると、自然にできるようになると思われる。

 

亀の甲より年の功。

小さな経験から積んでいくとよいのでしょう。

成功経験も、もちろん失敗経験も。

 

まぁ、その小さな経験に踏み出すハードルがめっちゃ高いのが、『完璧主義』なんだけどね。

POSTED COMMENT

  1. 迷える母羊 より:

    子どもと会話すると癇癪爆発の火種にしかならないから、会話しないのが一番平和だという考えに至りました。

    だけど・・・

    もちろん即否定されました。
    それは平和じゃないと。

    でも、そんな考えに至る親は私だけでは無いそうです。

    追い詰められた親は100対0思考になるのかも知れません。

  2. ささ より:

    こんにちは。
    うちの息子も不安強めの中1男子です。
    先にコメントされてるまぼさんの文章読んだら、なんだか安心しました。
    うちと似たような感じなんだなあって。
    不安が強いと何をさせるのもひと苦労です。
    私も小さい頃から不安強めでしたが、40代になって少しずつ経験値が上がってきて不安が減ってきたような気がします。

  3. まぼ より:

    P先生こんばんは。いつも読ませていただいています。
    完璧主義で不安の強い中1男子(完全不登校)、普段はほぼ引きこもりですが、このお盆休みは珍しく祖母宅に帰省しました。
    出るわ出るわ不安が‥。
    ばあちゃんちは木造→「地震が来たら家潰れるかも」
    花火大会→「これ、雷混じってない??こわい」
    お墓参り→「蚊に刺されるのこわい」
    それでも、母に言わせると前回会った時よりも明るく、大人っぽくなったそうです。
    オンラインゲームで一応友だちとコミュニケーションは取っているし、家族とも普通に過ごすし、彼なりに成長しているんですね。
    不安が強いのは赤ちゃんの時からなので、先生のおっしゃるとおり生まれつきのものと思います。
    長所と短所は表裏一体。いつの日か彼の個性が強みになって、社会に羽ばたいて行けるといいな。いや、行ける!と思った夏休みでした。

迷える母羊 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です