発達障害

落ち着きがないっ!

「落ち着きがない」という主訴で受診される方は、結構いる。

幼稚園〜小学校低学年くらいの子に多いでしょうか。

 

「落ち着きがない」

 

この子、今後どうなっていく?

 

落ち着きがない子の椅子回し

「落ち着きがない」という主訴で受診した子。

どんな子かみてみると、まぁ落ち着きがないわけです。

 

基本的に、子どもは落ち着きのない生き物なんだけど。

むしろ「落ち着いた子ども」の方が違和感あるけども。

 

中でも『特に落ち着きがない子』なのでしょう。

 

 

受診に来るじゃん?

あのね。

回るのよ。

回るの。

 

診察室のイス、あるでしょう?

アレ、回転タイプで回るじゃん?

(ところでなんで回るイスなの? 背中の聴診とかしやすいから?)

アレをね、回すんよ。

超回す。

 

 

おもしろいんだよ。

回し方にもパターンがあって。

 

オーソドックススタイル

イスに座って回る。

自分ごと、クルックル回る。

もうね、羽生結弦並に回る。

 

で、回りながら診察室内の物品にぶち当たる。

大抵、デスクの角に頭や足をぶつける。(先回りして、小児科のデスクの角にはクッションが貼ってある。それくらいみんな回るw)

それでも回り続ける。

遠心力でイスから転げ落ちたり。

 

乗り物酔いする子は「気持ち悪い……」とか言いながら、でも回り続ける。

回りすぎて吐いた子いた(笑)

なのに次の診察でも回った(笑)

 

ろくろスタイル

自分は回らず、イスだけ回す。

椅子の傍らにしゃがみ込み、クルックル回す。

正月のコマ回しみたいに回す。

 

何が楽しいのか、取り憑かれたように回し続ける。

回し方に緩急をつけたり、座面に持参したおもちゃを置いて吹っ飛ぶ様子を観察する子も。

こういう実験行動から、物理法則は発見されたのかもしれない。

科学ってこうやって進歩したのかもなぁ……なんて、椅子を回す子を見てしみじみ思う。

 

で、イスは大抵キャスター付きなので、回していると徐々に移動するじゃん?

案の定、母にぶつかり叱られる。

 

バランスボールスタイル

回らず揺れる。

ゆらゆら、くねくね。

半回転を繰り返すというか。

 

ねじり運動みたいに、ずっと動いている。

振り子のように行ったり来たり。

やじろべえ的な感じ。

 

このタイプが一番多いかも。

あまり害がないので特に止めないんだけど、ずっと動いている。

 

むしろ癒される。

100均で売ってるコレに似ている。↓

 

 

以上、診察室のイス談義。

どーでもいい話なんだけど、僕は興味深く観察させてもらっている。

 

子どもって、こういうことするから面白いよね。

内科にはない味わい深さ。

小児科って、イイよね。

 

園や学校では困る

そんな感じでまぁ、落ち着きがないわけです。

多かれ少なかれ、子供はみんな椅子を回すんだけど。

 

あ、『みんな』回しますよ。

風邪とか喘息で受診した子(つまり発達系の相談じゃない子)も、かなりの割合で回します。

回すからすなわち多動ってわけじゃないです。

というか、子どもはみんな多動です。

念のため。

 

 

でもまぁ、これが行きすぎると、困ってしまうのだろう。

回りすぎてイスごとひっくり返ったり、診察ベッドで飛び跳ねたり。

病院に来て、新たなケガをこしらえてちゃ世話ない。

 

備品を片っ端からひっくり返し、最終的には診察室を飛び出し走り去っていく。

ここまでくると、結構な「困り感」になってくるのだろう。

 

病院では、ある程度のことは対応できる。

診察室内には子供は一人。

対して大人は、親御さん、僕、スタッフさんと、複数人いる。

すっ転ぶ前に抱き抱えることが可能だし、明らかにケガしそうな行動には親御さんの一喝が飛ぶ。

飛び出したら誰かがつかまえるしね。

 

でも、集団行動の場、つまり園や学校ではここまで目をかけることができない。

困っちゃうよね。

授業中に、イスごとひっくり返ってガターン! とか。

ビックリするし、怪我するし。

ちょっと勘弁してほしい。

 

公共の場(電車とか)で走り回ったり。

しつけがなってない! とか思われそうだし。

 

そのうち落ち着く

経験則では、落ち着きのなさはそのうち落ち着くことが多い。

具体的には、10歳前後でしょうか。

そのくらいの年齢になると、落ち着くケースが多いように感じる。

 

  • 授業中にイスをガタガタする。
  • 友達にちょっかいを出す。
  • 思ったことを大声で言う。
  • 気になると人を押し除けてでもやりたがる。
  • 周りを見ずに動くので純粋に危険。

 

↑こんな訴えが、小学校高学年くらいから激減するように思う。

1、2年生くらいがピークでしょうか。

患者さんも、高学年くらいになると椅子を回さない。(笑)

 

 

実際困っちゃってる子を見ていくと、やっぱり10歳くらいになると落ち着く。

試しにちょっと聞いてみると、

 

母
そういえば、最近は椅子ガタガタとか走り回るとか、しませんね。

 

落ち着くのだ。

多分、前頭葉の発達がアレでアレして、ブレーキがかけられるようになるのだと思う。

 

 

落ち着きのなさといえばADHDだけど、この子たちの多動も落ち着いていく。

高学年になっても離席して走り回るとか、あまり聞かない。

他の特性(特に不注意)は残るけど、落ち着きのなさで困ることは減っていくように思う。

 

ASDの落ち着きのなさも、やっぱり落ち着いていくように思う。

この子たちも、経験からブレーキがかけられるようになるのだろう。

 

まとめ

落ち着きのなさは、そのうち落ち着く

 

度を越した落ち着きのなさは、確かに困る。

でも、そのうち落ち着くケースが多いようだ。

 

なので、今はケガや事故のないよう注意していただいて。

先々を考えると、そこまで困らないことが多いようです。

 

 

ってことで、診察室の椅子は回る仕様のものを置いているのが悪いので、あまり叱らないでやってください。(笑)

POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    実家のピアノの椅子がクルクル回る椅子で、私も子供の時は日課のように毎日回ってましたね〜。
    私の場合はオーソドックススタイルとろくろスタイルでした。
    それもオーソドックススタイルの時は、座るのではなくて、椅子に覆い被さるように、座面を抱えるようにして回ってました(笑)

    でも病院では回ったことないんですよね。
    やっぱり男の子の方が回る率高いのでしょうか?
    女の子は回りたいけど外では遠慮している私みたいな子が多いのかな。

  2. すずらん より:

    我が家の小4ADHD息子、昔はいつも回ってましたー。
    おそらく他のお子さんも回っていたんでしょう…ある日、診察室に「回転イスは保護者の方がお座りください。お子さんは回らない方にどうぞ」と張り紙がされておりました(笑)

    確かにあんなに回っていた息子ですが、いつの間にか回転イスがあっても回らなくなりました。
    先生のお話通り、10歳でだいぶ動くのは落ち着いてきました。
    相変わらず、大小ケガは多いですが今のところ、命には別状ありません(笑)

  3. 匿名 より:

    すみません、めちゃめちゃ笑ってしまいました。
    最近は体も丈夫になり、滅多に小児科には行かなくなりましたが、子ども二人とも喘息だの風邪だのでよく小児科にお世話になっていました。
    当時、「ほんっとに、この椅子に座ると回るよなー」って思っていました。
    もう本能?暗示?なんかよくわからないけど、もう回らなきゃあかん!てな具合で、、絶対回ってました。我が家は二人共オーソドックスなやつです笑

  4. るか より:

    うちの小3息子、まだまだ回りそうです。
    この前は座面を抱え込むようにして回っていました。

    対処法として家に回転椅子を用意しまして、病院に行く前に回るようにしています。
    少しだけ落ち着くかなーって感じです。

    かかりつけの小児科の先生も、怪我さえしなければ回っててもいーよーって感じなので助かっています!

    あと1年くらいで落ち着くといいな…

匿名 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です