Categories: 不登校

学校に行きたいんだけど、行けないんだけど

男の子
学校に行きたいんだけど行けない。

 

休みがちな子からよく聞くセリフ。

本人は行きたいと言う。

でも、実際は行ってない。

なぜに?

 

学校に行きたいのにでも〇〇

学校には行きたい。

でも、

 

男の子
今日はなんだかダルくて……

 

とか

 

男の子
頭痛さえ治れば……

 

とか

 

男の子
今から行くと遅刻になっちゃうからちょっと……

 

とか、四の五の理屈をつけて、結局行かない。

夜になると元気で、「明日は行く、約束するよ!」とか言うんだけど、やっぱり行かない。

 

いじめにあっている様子はない。

勉強もそこそこできる。

先生と特段相性が悪いわけでもなさそう。

でも、行かない。

 

学校がしんどいの?

しばらく休学したり、転校する手もあるよ?

 

親御さんが先回りして聞いてみるんだけど、

 

男の子
それは嫌だ!

〇〇さえ良くなれば学校に行きたいんだ!

 

ここで膠着してしまい、動かない。

でも実際には登校できず、時間だけが過ぎていく……。

 

ホントに「行きたい」の?

多分このタイプの子は大抵、

  • 行きたい
  • 行くべき

この区別がついていない。

 

学校は「行くべき」で行くのが「当然」。

その意識が強すぎて、「本当は行きたくない」という自分の気持ちに気付いていないものと推察する。

 

真面目ないい子に多い。

完璧主義でルールを遵守しがちなHSCとか特に多い。

行くべき!

当たり前!

普通!

常識!

なのに、行けない自分。

本当は行きたくないという気持ちを認められない。

ってゆーか、自分の中にそんな悪い気持ちがあるなんて、考えも及ばない。

 

本人も混乱している。

 

行きたいのに、行きたい「はず」なのに、どうして……?

 

そこで色々と、屁理屈とか言い訳をこねくり回すわけです。

頭痛とか腹痛とか起立性調節障害とかも、こんな逡巡の果てに作りあげられるわけだ。(実際には本当に身体疾患で本当に症状はあるんだけど、ここではあえて『作り上げる』と表現する)

 

だから、その言い訳をひっぺがさないであげてほしい。

せっかく隠れ蓑ができたのに、論破されちゃうと混乱してパニックになります。

病気を治したくない! 〜疾病利得について〜起立性調節障害。 朝起きられない病気。 なんだけど、その問題の大半はメンタル的な部分だったりする。 起立性調節障害...

 

本当の気持ち

どうするか。

自分の本当の気持ちと向き合うしかない。

本当は「学校に行きたくない」わけで、まずそれを自覚しないことには話が進まない。

 

ちなみに僕の患者さんで、本当に学校に行きたいのに本当に体調のせいで行けない子が、ひとりだけいる。

この子は明らかに異質で、ガチで行きたいけど行けないんだろうなというのがよくわかる。

残りの99%は「本当は行きたくない」だ。

 

自分の本当の気持ち。

物心ついてたかが数年の子供に、自分の気持ちを理解するのは難しい。

自分が何を考えているかなんて、気にしたこともないしサッパリ分からないのが普通。

ゆっくりでいい。

不登校対応で一番時間がかかるのがここだと思う。

 

自分は本当はどうしたいのか。

学校に行きたくない、じゃあなぜ?

逆にどんな学校(やその他の居場所)なら行けそう?

本当に行きたい?

行かなきゃいけないって思ってるだけ?

そこで何を得たい?

 

本当の気持ち。

ホントのキモチ。

J-POPの歌詞みたいだな。

いい年したおっさんがキモいな。

会いたくて会いたくて震える。

 

「したい」と「べき」の区別

〇〇したいのにできない

 

不登校に限らず、上記のような訴えがある場合。

勉強したいのにできないとか、友達が誘ってくれたのに行けないとか、習い事続けたいのにでも……とか。

 

まずは「したい」のか「べき」と思っているのかの区別をおすすめする。

そして大抵「べき」と思っている。

  • ちゃんとやらなきゃ
  • 逃げちゃダメだ
  • できて当たり前

とか思っていることがほとんど。

 

逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……

 

その思考は、周囲を見えなくさせる。

やっぱり真面目ないい子に多いんだと思う。

 

逃げ場を作ること。

その上で「ホントのキモチ」と向き合うこと。

ゆっくりでいいので、まずはそこから取り組むことをお勧めする。

pediatrician-p

View Comments

  • アメブロから辿り着きました。

    我が子も、去年の6月から、学校に行きたくても、原因不明の腹痛で行けない状況になりました。夏休み明けから徐々に行けるようになり、波を乗り越えながら、今はもとに戻ることができましたが、やはり、行きたいのに行けない…とずっと言っていました。

    本当は行きたく無かったのかな…。
    引きずり出したりなど、無理やり行かせることは無かったのですが、それでもなるべく行かせる方向で動いていました。

    私自身も受け入れられなくて、いろいろ声掛けしてましたが、対応が間違ってたのかなぁ…。
    とても考えさせられました。

  • とてもタイムリーな話題でいろいろ考えさせられました。
    本当の気持ちを知りたくて、ついしつこく聞きすぎてしまって、こじらせてしまいます。
    「行きたいのに」という言葉は一番私が求めている言葉なのかもしれません。
    嬉しくて背中を押しすぎているのでしょうね…
    どうしたらいいのかわからず、日々ブレブレです。

  • まさに今日、行きたいのに行けないと言って休みました。
    行った日は、楽しかった♪と言うし、遅刻して行った日は、やっぱり行ってよかった♪と言います。
    でも翌日になると、行きたいのに行けないといって休む。
    なんでなんだろう…と思ってました。
    本当に行きたいのに行けない訳ではなく、行きたくないのですね。
    逃げ場作って本音が出てくる環境を作ってあげたいけど、受験生だし、とりあえず行って〜と思ってしまいます。

  • 不登校になったばかりの頃は「行きたいけど、行けないんだ」と言っていた息子は、最近になって「行くべきなんだろうけど、本当は行きたくないんだ」と本音が言えるようになったので、これからどうしたいのか話し合えるようになったら良いな~♬︎*.:*と思う今日この頃です。

  • いやん(*˘︶˘*).。.:*♡
    逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ
    って呟いたら
    ちゃんと書いてあった♡

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